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岩佐徹のOFF-MIKE

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実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

Archives「絶叫中継…なぜ?~今ちまたではやるもの~」

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日本のスポーツ実況は、放送局がNHKしかないころに始まりました。もちろんラジオです。
“見たままを言葉にする”からスタートしたのだろうと思います。
「神宮球場どんよりとした雲、黒く低くたれた空、カラスが1羽、2羽、3羽、4羽、
風雲いよいよ急を告げております」
…戦前の六大学野球で松内則三アナが残した名実況です。

1932年のロサンゼルス・オリンピックでは理由は分かりませんが、競技場からの中継が
認められませんでした。そこで生まれた窮余の一策は「実感放送」でした。
アナウンサーが見てきたことをスタジオで描写するのです。
当時でも11秒ぐらいで走ったはずの100メートルなのに、放送では1分もかかってしまう
珍現象も起きたそうです。ハハハ。
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私が子供のころは、NHKのラジオしかない時代でした。
スポーツ大好き少年だった私は、各種のスポーツ中継に熱心に耳を傾けたものです。
その中に、アナウンサーとしては初めて野球の殿堂入りした志村正順さんがいました。
野球と相撲を主に担当した名アナです。
NHKからはその後も、続々と花形スポーツ・アナウンサーが生まれました。
ただし、目に映ったことを言葉にする、という流れは基本的には変わりませんでした。

やがて、テレビの誕生です。
まだ学生のころのことですから、細かいことは覚えていないのですが、新聞でどなたかが
こんな主旨のことを書いていたことを覚えています。
「これまでなら『横綱、照国が西から登場しました』と言うところだろうが、○○アナは
“西から登場したのは横綱、照国”と言った。これがテレビの実況である」
…音声だけのラジオと映像があるテレビでは実況の仕方に違いがあってしかるべきだと
いうのです。なるほど。

しかし、全体としては、“ラジオ的”な実況を続けるアナウンサーが圧倒的に多かったと
思います。
やがて、業界内からも、視聴者からも「見りゃ分かることをしゃべる必要はない」という
声が出始めました。私がフジテレビに入ったのはちょうどそのころです。
当時のアナウンサーたちは「じゃあ、何をしゃべり、何をしゃべらないのか?」について
まだ迷っていました。

実は、この「見りゃ、分かる」をどう考えるかはとても難しいところなんです。
言葉通り、画面を見れば、現場で何が行われているかがすべて分かる人もいるでしょう。
一方、本人は分かっているつもりでも、理解が間違っていたり全く分からなかったりする
人もいるはずです。
先輩たちが迷っていたのは、どこを落としどころにするか、ということだったのでしょう。
また、競技によっては画面ですべて見えていても実況がないと物足りないものもあります。
ボクシングなど、格闘技が典型的な例ですね。

雰囲気的に、ないとおかしな競技もあります。競馬中継に実況がないと落ち着きません。
金銭がからみますから、アナウンサーには“絶対ミスはできない”というプレッシャーが
かかりますが。ハハハ。

最後は、似ていますが、非常に微妙な“盛り上げるため”の実況があります。
見えていることでも、アナウンサーが実況することで視聴者の興奮をさらに高めよう、
というわけです。
その弊害がここ10年ぐらい激増している「絶叫型」の実況ではないでしょうか?

年齢的なことでしょうが、この夏のスポーツ中継、私には暑苦しいです。ハハハ。
バレーボールのワールド・グランプリ、世界水泳、サッカーの東アジア選手権、世界陸上…
まず、スタジオの司会陣が熱すぎて!! 
誰がどう、ということではなく、“生理的に”どうしても受付けないんですから、しょうが
ないですよね。
「この演出が本当に必要か?」「視聴者はこれが好きなのか?」と考え込んでしまいます。
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第一、同業者である、局のアナウンサーたちの気持ちを考えると複雑です。
加えて、テレビ朝日の森下アナを除くと、騒々しいアナウンサーばかりですから。ハハハ。
局の方針もあるでしょうから、アナウンサーばかりを責めることはできませんがね。
今年は、水泳や陸上で、独りよがりの古館節を聞かないですむのが唯一の救いでした。

「数字を上げるためなら、金に糸目はつけない。何をやってもいいから」と、1995年の
バレーボール・ワールド・カップ中継を任された親しいプロデューサーは、バレー中継の
経験の浅い三宅アナに加え、ネット局から“絶叫系”のアナウンサーを二人、呼びました。
「どうですかね?」と聞かれたとき、「そんなの無理だよ」と答えました。
しかし、分からないものです。ふたを開けてみると、三アナをのぞけば、テクニックも
なにもない“やかましいだけ”の放送(ハハハ)が“いろどり”として起用したV6効果も
あって、前回大会を大きく上回る視聴率を稼ぎ出したのです。

私の認識では、プロレス以外で“絶叫型”が誕生したのはこのときです。
あっという間に、各局足並みをそろえて、スポーツ中継は実況中継ならぬ「絶叫中継」に
なっていきました。

アナウンサーが絶叫する理由ですか。いくつか考えられます。

局の方針に従っている
かっこいいと思っている
視聴者の共感を得ていると思っている
盛り上げる方法をほかに知らない
この場面を伝えるにはこれ以外にないと思っている…


こんなところでしょうか。

私の本にも書きましたが(MY BOOK)、状況を考えない絶叫は視聴者が拒否反応を
起こすのだと思います。とても難しいですが、絶叫する場面が視聴者の気持ちの高まりと
“シンクロ”すれば、違和感はないはずです。

絶叫は我慢するとしても、事実に目をつぶって、「まだチャンスはある」「巻き返せる」と、
専門家である解説者まで巻き込んで、視聴者を“間違った方向”に引っ張っていく昨日の
マラソンのような放送の仕方は勘弁して欲しいものです。

WOWOWに移ってからの私は、“癒し系”とか“絶叫とは対極にいるアナ”とか言われ、
いくつかのサイトに取り上げられたことがあります。
私も、“絶叫”しないわけではありません。ここという場面では、放送上の効果を狙って、
声を張り上げることもしばしばですが、全体のトーンが、“おとなしめ”なので、そういう
印象を与えるのだと思います。

今のスポーツ中継は全体として、“にぎやかな演出”を好む傾向に向かっていますから、
若いアナほどその方向に合わせた実況をしなくては生き残れないでしょう。
当面、オーソドックスな実況をするアナウンサーが出てくる可能性は低いかもしれません。

ここ数年は、NHKにさえ、サッカーのJリーグや高校野球に出てくる若いアナの中には、
かつては考えられなかったような絶叫型アナウンサーが時々います。
アテネ・オリンピックでも、若い人の中にはかなり絶叫する人がいてびっくりしました。
「ブルータス、おまえもか?」と言いたいですね。
年寄りには、だんだん見るものがなくなって住みにくい世の中になってきました。ハハハ。


2005年世界陸上のころに書いた記事です。
自分の関心が高いだけかもしれませんが、関連した記事はたくさん書いています。
明日は、2007年世界陸上についてのエントリーを再録します。
いくつかの記事をまとめたものですから、“とてつもなく”長いです。
読むときは覚悟してください。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2011-02-05 08:43 | 放送全般 | Comments(22)
Commented by 通りすがり@関西人 at 2011-02-05 09:36 x
完全的な個人的な感想ですが、
やっぱり私が一番すきなのは、
倉敷さん@スカパー
ですね。なんでといわれても、困りますが…
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 09:47
通りすがり@関西人サン、おはようございます。

いきなり“ナンダイ”ですね。
何だい?じゃなくて難題…。ハハハ。
熱っぽく推す人もいる一方で、アンチも多い人ですね。
申し訳ないですが、私は、生理的にダメです。
Commented by akapon at 2011-02-05 11:39 x
岩佐さん、こんにちは。
私がバレーボールという競技自体に興味を無くしたのがこの頃かもしれません。以来見る気が失せましたね。
絶叫とアイドルの組み合わせが生理的に受け付けないです。
サッカーでもテレビ朝日(笑)や、日本テレビでの「ゴールゴール」連呼・ひたすら勝手な資料読みなどなどもはや失笑しかないです。
「世界の松〇」って勝手に名乗っていた赤坂の人もいましたねぇ・・・
フジのサッカー中継は比較的好きなほうでしたが。
若い世代は絶叫系に慣らされたのか、普通だと思っている人が周りには多いと思います。私はとっくに絶望しています。辛い時代です。
Commented by masa at 2011-02-05 11:40 x
岩佐さん、こんにちは。
WOWOWにいらっしゃった頃の岩佐さん、”癒し系”って言われてたんですね。それは知りませんでした(^^;;;
テニス実況を見ている時にわたしが知りたい情報を教えてくれるアナウンサーは岩佐さんだけでしたね~
今、選手が審判に掛け合いをしている時に全然解説をしてくれないんですけど、英語を理解してないんでしょうか…

P.S.富士山いいですね。今年こそ見に行きたいです!
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 12:03
akapon さん、こんにちは。
>若い世代は絶叫系に慣らされたのか、普通だと
思っている人が周りには多い・・・

怖いのはそのことですね。
“世界の…”は今、人事関係の仕事を
しているはずです。
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 12:06
masaさん、こんにちは。

英語を理解していない…
たとえ、そうであっても、伝えなければいけない情報は
あるはずなんです。解説者の助けを借りて、考えられることを
話すだけでも視聴者は有難いものだと思います。
Commented by hasepyon1972 at 2011-02-05 12:20
例によって余計なお節介をして参りました。
スポーツグラフィックNumberの公式サイトの中に「言わせろナンバー!」という読者アンケートのページがあります。先日のお題が「スポーツの実況、熱血派か理論派か、あなたはどっち?」

熱血派といえば随分聞こえがいいですね。その対極に理論派を持ってくるのも乱暴な対比だと思いますが。選択肢に「どちらでもない」が無かったので、仕方なく理論派を選びました。そのついでにコメント欄には岩佐さんについて書かせて頂きました。ただ単に冷静なだけではなく、早野さんに提示するイエローカードを用意しておくユーモアもあったんですよ、と。読者の方からは6票のご賛同を頂きました。
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 12:27
hasepyon1972さん、こんにちは。
それは恐縮です。ただ、私の名前を出しても
分かる人が少ないでしょう。岩佐、who?と
言われそうです。それでも6票入れてくれた方々に
厚く御礼を・・・。

IDを変えましたね。
Commented by BeginningEgg at 2011-02-05 14:15 x
えぇっ、岩佐さんが“癒し系”・・・!?

それはさておき、絶叫中継は私も凄く苦手です。
叫び声、上擦った声は耳に障りますし、『話しのプロ』という感じがしないのが、個人的にとても抵抗感があります。

視聴者が求める『声』の質が変わってしまったというのも、要因のひとつかもしれません。
絶叫アナウンスや、破れ障子のような声で高音を出しまくるポップスなどなど・・・
とにかく強引に聴覚に入ってくる(苦笑)声が好まれる風潮があるような気がします。
Commented by ぐりーん at 2011-02-05 14:30 x
こんにちは

絶叫とまた違うのかもしれませんが…
私は伊藤みどりさん現役時代からのフィギュアファンです。
ここ数年の民放放送にはうんざりしています
選手の演技中におかしなコメントやポエム?のような煽り
そして、おきまりのアイドルが。

テクニカルな説明ができないなら
演技のみ放送してほしいと思っています。

スポーツ観戦は好きなので、サッカー、バレーも見ていましたが
最近は音量オフで見ることが多いです。
Commented by hasepyon1972 at 2011-02-05 14:39
あ、あれ(?_?)エキサイトのIDにログインして投稿したのですが、そのIDで表示されてしまうんですね。まあ、私の文体と内容で岩佐さんには正体がバレバレでしょうけど。
次のサッカー日本代表の大イベントはコパ・アメリカですね。今度ばかりは相手が相手がツワモノぞろいですから、厳しい試合展開が多いことでしょう。そこで冷静に実況できるか、はたまた高校選手権並みの絶叫の連発か。

6票を投じてくださった方々の耳には、いつまでも岩佐さんの声が残っているのでしょうね。隣からは、もれなくダジャレも…byひろ☆はっぴ
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 14:40
BeginningEgg さん、こんにちは。
こんなに辛口なのに、ですか?
“癒し系”・・・私が言っているわけではないので
そこのところ、よろしく。ハハハ。
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 14:42
ぐりーんサン、こんにちは。
フィギュアほど、シンプルな中継スタイルが
ふさわしい種目もないと思うのですが、制作者が
そのことに気づかない、という悲劇…。ハハハ。
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 14:47
hasepyon1972さん、コパ・アメリカは7月開催でしたね。
また、暑苦しい夏になりそうだなあ。ハハハ。
Commented by 遊び人の優さん♪  at 2011-02-05 15:53 x
岩佐サン、こんにちは!

岩佐サンの実況スタイルを自分は“癒し系”?とは思っていない
のですが、
「落ち着いて聴ける数少ないアナウンサーの1人でしたね…。」

7月のコパアメリカはNHK独占!でモロモロ御意見が訊かれるかと思いますけど、早野サンをはじめ解説陣の方々のコメントは
楽しみですね…。
(個人的には長谷川健太サンあたりは是非、現地解説に出向いて欲しいトコですね。早野サン、山本昌サンあたりは多分駆り出されるでしょうけど…。)

テレビ朝日のアジア杯は進藤&吉野アナが健闘しましたが、彼ら
は直接の上司である■澤アナを見習わなければ有望なんでしょうかね?

森下アナのゴルフ中継の極意(ジャンルは違いますが…。)を
見習ってくれたらイイのですがね…。特にフィギュアなどは!
Commented by syusyu03 at 2011-02-05 15:55 x
エキサイト初コメントです。
こんにちは、何度かお邪魔して拝見しては読み逃げすみません。
昨日の八ヶ岳は癒されました。小道から柳生さんが…。
行ってみたい…!。
話それました…w
絶叫型、主流ですよね。あとポエムコメントアナとか…。
芝居でもそうですがあまり熱いと聴衆は引きますよね。
特にスポーツ生で固唾をのんで応援している時に…。
絶叫は…煩いです。
はー初コメント緊張しました!

Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 16:14
遊び人の優さん♪サン、こんにちは。
コパはNHK独占ですか。朗報というべきか。
アンチNHKで頑張った私がこんなことを言うなんて。トホホ。

吉野アナは効きませんでしたが、進藤アナはかねてから
“有望”と書いています。
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 16:15
syusyu03 さん、こんにちは。

ポエム・アナにはみんな辟易してるはずですが、
女性視聴者の中にNHK,のKアナについては
熱狂的なファンがいるようで。
お好きなように、としか言えません。ハハハ。
Commented by 老・ましゃこ at 2011-02-05 17:25 x
やり取りも含めて、いい実況・解説を聴いたなぁ…と思いたいですね。
岩佐さんのコメントで、磐佐who?…ウケテしまいました(^^)
3月にはフィギュアスケート世界選手権がありますね。出場選手が持てる力を出し切って、いい試合・大会になるようにと願っています。
実況は期待…薄…なんちゃって(^^)
Commented by toruiwa2010 at 2011-02-05 18:49
老・ましゃこ サン、こんばんは。

いい実況・解説を聴いたなぁ…と思いたい…
あるいは、実況・解説が邪魔じゃなかった。ハハハ。
Commented by どらごん at 2012-12-24 02:11 x
フィギュアに限って言えば、個人的には森下アナが一番絶叫しているように感じます。今年のファイナルも浅田選手の時に絶叫しまくって、見る気が失せました。テレビ朝日のフィギュアでは進藤アナの方が好きですね。最近出番が少ないのが残念ですが。他局も含めると、フジの西岡アナが一番好きです。オリンピックも男子シングルは彼に担当してほしい。
Commented by toruiwa2010 at 2012-12-24 07:24
どらごんサン、おはようございます。

森下が絶叫系・・・!?
同意できませんが、あなたにとっては
そうなのでしょう。反対はしません。
感じ方ですから、個人差がありますね。
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