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岩佐徹のOFF-MIKE

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なるほど「英国王のスピーチ」~ひどいな「トスカーナ…」~ 11/03/04

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「英国王のスピーチ」90

1925年、ウエンブリー・スタジアム…
ヨーク公・アルバート王子は大英帝国博覧会の閉会式で父・ジョージ5世国王に代わって
挨拶をしたが、幼いころから苦しんできた吃音症のため惨めな結果になった。
がっくりと落ち込む夫を妻のエリザベスは献身的に支えた。
なんとか治したいと専門家を訪ね歩き、最後にたどり着いたのはオーストラリア出身の
言語聴覚士、ライオネル・ローグのところだった。

豊富な経験と独特のメソッドを持つローグのもとでヨーク公の治療がスタートした…
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90点は、純粋に面白かったからで、アカデミー賞を獲ったからではありません。
どちらかと言えば、私は「ソーシャル…」の方が好きですが、「英国王…」に決まったと
言われれば、「そうですか。まあ、そうかもしれませんね」という感じでしょうか。ハハハ。

予告編を見て興味がわき、見終わって満足感があったのは久しぶりです。
丁寧に作られています。それでいて回りくどくなく、観客が戸惑うことはありません。
監督賞がこの作品のトム・フーパーに決まったあと、スタジオでゲストの一人が受賞の
理由として「分かりやすく撮ったからだろう」という主旨の話をしました。
不満気に聞こえました。一方の「ソーシャル・ネットワーク」は見たあとに、いろいろと
ディスカッションができる作り方で、賞はそちらに獲らせたいと考えていたようです。
たまらず、つぶやきました。ハハハ。

分かりやすい映画のどこが悪いのか?
見たあとに会話が活発にならなければ映画としてダメなのか?
映画はそもそもエンタテインメントではなかったのか?


この時点では「英国王…」はまだ見ていませんでした。
「ソーシャル…」を応援していた立場の発言としては矛盾しているようですが、
映画の基本は“分かりやすさ”であってほしいと考えているので書いたのです。
私が間違っているのでしょうかね?
どっちにしても、反応はなかったのですが。ハハハ。

圧巻は、やはり第2次世界大戦の開戦を国民に告げる重大な演説のシーンです。
コリン・ファースの演技よりスピーチの文章に打たれました。胸に響きました。原文を
読んでみたいと思ったほどです。
ファースの演技が高く評価されることに異論はありません。
しかし、“ひねくれ者”の私は、WOWOWの放送で5人の候補者を紹介し、「ファースが
獲るだろう」と予想しているときにツイッターにこう書きました。

ファースの役は賞が獲りやすく、アイゼンバーグの役は
獲りにくいのだと…。


アイゼンバーグは「ソーシャル・ネットワーク」の主演男優です。
どちらも難しい役だろうと思いますが、激しく感情が起伏するヨーク公に対して
感情を露わにする場面が少ないザッカーバーグ(アイゼンバーグの役)は、演技力を
訴えることが難しい気がするのです。これも、反応ゼロでした。ハハハ。

演技ということでは、もう一点、助演賞にノミネートされながらオスカーには手が
届きませんでしたが、ローグを演じたジェフリー・ラッシュが光っていました。
「ザ・ファイター」はまだ見ていないので何とも言えませんが、授賞式で紹介された
短いフィルムで見るクリスチャン・ベールの演技はいかにも賞を獲りそうです。
スタジオで誰かが「“うまいだろう”オーラを出している」と発言したときのつぶやきは

“うまいだろう”オーラ…日本では、香川照之に少しその空気を感じる。w

…でした。何かひとこと言わなければ気が済まないたちでして。ハハハ。
お断りしておきますが、香川は基本的に大好きで、すごい俳優だと思っています。

アカデミー候補作の中で90点をつけたのは「英国王…」と「ソーシャル…」の2本でした。
主演男優賞と同じで、「英国王…」のほうが賞を獲りやすいテーマだし、作品だと思います。
私もそうでしたが、最後のスピーチに圧倒された人が多いはずです。あれだけで相当数の
票が流れた気がしないでも…。ハハハ。


「トスカーナの贋作」75

南トスカーナの小さな村にあるホテルのホールがざわついていた。
新刊の「贋作」について、イギリスの作家・ミラーが講演をするのだ。
予定時間に少し遅れて登場したミラーは魅力にあふれた中年男だった。
階上の部屋から下りてくるだけだったことを指して「渋滞に巻き込まれて、と
言いわけすることはできませんね」というジョークで講演が始まった。
最前列の席で聞いているのはこの村で小さなギャラリーを営むフランス女性
(ジュリエット・ビノシュ)だ。

翌日、ミラーがギャラリーを訪ね、彼女の案内で二人はドライブに出かけた。
車の中から“本物とニセもの”についての議論が始まる…
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訪れた村で立ち寄った店の女主人から“夫婦”と間違われ、二人は夫と妻として会話を
続けますが、しだいに話の中身が分かりにくくなっていき、観客は混乱に陥ります。
もちろん、理解力が衰えている私も例外ではありませんでした。ハハハ。
開始20分ぐらいで、80歳を過ぎていると思われる男性が杖を頼りに出て行きました。
とても、分かりにくいのです。

途中から妙な方向に進み始めたとき、日本映画「今度は愛妻家」を思い出していました。

私がまとめた序盤の展開はこうでした。

夫・俊介(豊川悦司)は売れっ子のカメラマンだったが、この一年、一枚も
写真が撮れない。“あの日”から、彼の中で何かが折れてしまったのだ。
“ダメ男”に成り下がった俊介に文句を言いつつ、尽くしてきた妻のさくら
(薬師丸ひろ子)が箱根に出かかけると言って朝からバタバタしている。

写真を撮ってほしいと、女優志願の女から電話が入った。
チャンスとばかり、俊介は、さくらと入れ替わりになるようにその女を
スタジオ兼自宅に招いた。
しかし、爪を切るのを忘れた、財布を忘れたと、出かけたはずのさくらが
何度も家に戻ってくる。
このときは気をもんだ俊介が「戻ってきてほしいときには戻ってこない」と、
さくらに懇願するときがやって来る。「いつも、あんなに戻ってきたのに」。

しかし、さくらは戻ってこない。なぜなら…

この映画にはある“仕掛け”がありました。見た方には説明の必要もありませんが、
さくらはすでに死んでいるのです。ふざけてますよ、まったく。ハハハ。

大竹まことのラジオ番組に呼ばれた行定勲監督がこんな話をしていました。

「この映画にはトリックがあって、二重構造になっている。
それが観客にばれないように作っている。2回目を見ると全部納得がいく。
2回目を見る人を狙って作っている」


映画で初めて用いられたトリックではなく、公の場で胸を張って言うほどのトリックでも、
“シタリ顔”で話すほどのものでもありません。
“観客にばれないように”って、“そのとき”まで、まったく触れないのですから、ばれる
わけもないのです。“2回目を見る人を狙って作っている”が成立するとしたら、ずいぶん
人をバカにした話ではありませんか!
彼に限らず、ときどき、観客を高いところから見下ろす感覚でものを言う監督がいますが、
好きになれません。

「トスカーナ…」にもキアロスタミ監督の手で似たようなトリックが仕掛けられています。
初めから、だまそう、混乱させよう、と思っていたかどうか分かりませんが、こういう
映画作りも“独善的”で好きではありません。

朝日新聞の映画担当記者がこの作品を取り上げて、その締めくくりにこう書いています。
「…映画の主題は最初に男の講演の中で示されている。“本物の価値を示すために、
贋作の価値があるのだ”と。美術の真贋で始まったはずが、いつしか男と女の真贋
についての考察になっている。キアロスタミの術中にはまるのは実に心地いい」


…何を言ってんだか。ハハハ。
おれの洞察力はここまですごいぜ、と言わんばかりの書き方に虫唾が走ります。
もっとも、この記者さんは北野武監督の「アウトレイジ」についても

詩情をたたえた従来の作品と違い、やくざの怒鳴り合いと殺し合いを、
娯楽性豊かに描き切った。


と書いていました。“娯楽性豊かに”のところでずっこけてしまいましたが、少し…いや
相当にピントがずれている記者のようです。それとも、監督の独善を“心地よい”と思う
観客が本当にいるのでしょうか。いるのなら、私のほうが“ずれてる”ってことで。ハハハ。

わき道にそれてしまいました「トスカーナ…」に戻りましょう。

もちろん、難解な映画もあっていいでしょう。世の中には、そういう映画を見て自分を
“教養人”だと思いたい人たちもいますから。
ただし、圧倒的多数の映画好きは、“見て楽しみたい”のだと思います。
監督や、分かる人だけが分かって、多くの観客が途方に暮れるような映画はごめんです。

“引力”のある“トスカーナ”という固有名詞にすっかりだまされました。ずるいや。
ビノシュが出ていなければ70点でしたね。ハハハ。

90 英国王のスピーチ 吃音症の国王とそれを治療する男 最後のスピーチは感動的だった
75 完全なる報復 妻と娘を殺された男の復讐 初めは面白かったが途中からおぞましく…
75 トスカーナの贋作 “ずるい”作り方に腹が立つ ビノシュが好きだから5点プラス

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by toruiwa2010 | 2011-03-04 08:23 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by レニ at 2011-03-04 09:25 x
おはようございます。

うまいだろうオーラ……文筆業界にも山ほどいます。
ボクシングマニアの香川照之は、学生時代にボクシングマガジンにコラムを連載してましたが、それはもう「俺はこんなことまで知ってるんだぞ、こんなすごい文章が書けるんだぞ」オーラがどうにも鼻についてやりきれませんでした。
俳優としてもどんなものかな、と危ぶんでいたのですが、しかし数年前に偶然なにかのテレビドラマ見て、考えを少々改めました。
もう少し脂っこさが抜けてくれれば、とは思いますが。
Commented by toruiwa2010 at 2011-03-04 09:29
レニさん、おはようございます。

もう少し脂っこさが・・・賛成です。ハハハ。
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