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岩佐徹のOFF-MIKE

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「…リズムということ~大事なのは“まず事実”では?~」                 11/03/28

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大きな事件・事故が起きたとき、テレビの報道局、新聞なら編集局のテンションは
一気に高くなります。
申し訳ないですが、「なんということだ」や「被災者(被害者)が気の毒だ」、あるいは
「大変なことになった」と思うのと同じぐらい「ビッグニュースだ。腕の見せ所だ」と
張り切る人間が多数いるはずです。“血が騒ぐ”のです。それは、報道マンたちが持つ
“業”ですから、一概に責めることはできません。

ジャーナリズムとは何か?
考え始めたらきりがありませんし、議論すればきっと様々な意見が出ることでしょう。
しかし、難しいことは抜きにして、その根底にあるのは“やじうま精神”だと言ったら、
かなりの人に賛成してもらえる…と思っているのですが、どうでしょうか。
フジテレビに入社した当時、先輩からは「世の中で起きている森羅万象、あらゆることに
興味を持ちなさい」と教えられました。つまり、アナウンサーにも“やじうま精神”は
必要だということだったのでしょう。
どちらかと言えば、“面倒くさがり”で、なにかが起きて大勢の人が集まって騒いでいても、
うしろからちょっとのぞくだけ、というタイプでしたから、プロとしては少々資質に欠けて
いたかもしれません。
それでいて、67歳まで現役を続けたのですから、ほめられてもいいと思っています。
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さて、そのやじうま精神ですが、報道と言う現場ではいささか厄介な面もあります。
アナウンサーや報道部員として仕事をしていたとき、今回ほど大きな災害や事件・事故は
経験していませんが、飛行機の墜落やハイジャック、ホテルニュージャパンの火災など、
“そのとき”の報道の現場がどんな状況になるかは何度も見たことがあります。

大事故が起きた。通常のニュースだけでは伝えきれないほど大きな事故だ…となると、
編集長は、直近のニュースを出すための指示を出しながら、経験豊富なデスククラスに
長くなるはずの一日への対応を命じるでしょう。
彼は、あわただしい喧騒から少し離れたところで、やらなければいけないことを模造紙に
書きだして準備に取り掛かります。

特別番組の時間枠を編成と交渉する。
特番に専従するスタッフを選ぶ。
休みだったり泊り明けだったりする部員に召集をかける。
並行して、放送内容を固めて行く。
中継ポイントと担当記者を決める。
技術に連絡して中継車を手配する。
アナウンス部にリポーターを要請する。
司会者を決め、解説者をキープする。
弁当の手配をする。


やるべきことは山ほどあって大変そうですが、見ていると、猛烈な勢いでアドレナリンが
流れているのが分かります。腕の見せ所と張り切る集団のトップにいるのがこの男です。
いったん、走り出したら止まりません。ことが大きくなればなるほど“躁状態”に陥って、
手がつけられなくなります。

どの局にも似たタイプの男がいるはずですし、新聞社も同じでしょう。
「もう、いいだろう」「よそがやっているのにウチだけやめるわけにはいかん」
…今度の災害では、報道と編成の間でそんな会話が何度となく交わされたと想像します。
配られた新聞のラテ欄では通常番組になっているのに、どんどん、緊急特別報道番組に
差し替えられて行きました。局内で起きた喧騒と混乱が目に浮かびます。
まさか、何かが起きることを期待する人間はいないでしょうが、取材者としての彼らには
日常の延長線上になっている政治、経済、裁判、犯罪の報道より“刺激的”であることは
間違いないでしょう。

この感覚はやじうま精神とまったくイコールではありませんが、“におい”は似ています。
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…ジャーナリズムについて書き始めたことを、いま、思い出しました。
スポーツの周辺に生息していましたから、ジャーナリズムもスポーツの側から見ることが
多かったのですが、一般のジャーナリズムも含めて、ある“傾向”が共通しています。

それは、“センセーショナリズム”と“センチメンタリズム”に頼ることです。
扇情的・刺激的な言葉が記事やリポートに使われます。スポーツ紙やタブロイド夕刊紙の
見出しがいい例ですが、“エスカレートする”性質があります。始末が悪いのは、言葉に
つられて買う人が増えることです。つまり、効果があるのです。

本社のデスクも現場の記者・リポーターも感傷的、お涙頂戴的なネタを求めがちです。
私は目撃していませんが、発生直後のテレビの取材の仕方に非難の声が上がったのは
このことと無関係ではないと思います。

以前にも書きましたが、辟易するのは、高校野球やオリンピックになると「天国にいる…」、
「最愛の…」が氾濫することです。
その時期に、私たちは驚くほど多くの選手の身内が亡くなったことを知ります。
なんとか理解できる外国語は英語だけですが、無理やり泣かせようとする記事や演出に
出会うことはめったにありません。
テレビや新聞・雑誌は、情報を得るために欠かせない媒体ですが、情緒に流された報道や
過剰なセンチメンタリズムを持ち込むことはいいかげんで勘弁してほしいものです。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2011-03-28 10:50 | 放送全般 | Comments(9)
Commented by chibita at 2011-03-28 13:17 x
岩佐さんこんにちは。
私はいつも思うのですが、岩佐さんのおっしゃるような事は報道番組をみている人はみんな気付いてると思います。情報は気になるからテレビは見ます。例えば、事故や事件に巻き込まれて亡くなった方のひととなりをインタビューするとき、必ず「きちんと挨拶する人でした」を繰り返し、犯人については「挨拶もしない」など。人間の価値観は「挨拶」なのか。といつも思います。
お涙頂戴な話も好きではありません。本人もそんな話をされて嬉しいとは思わないし。過剰なセンチメンタリズムは私も気持ち悪いと思う事さえあります。でも、私はテレビ見るんですよね~。

Commented by えそらいろ at 2011-03-28 16:37 x
岩佐さん、こんにちは
昨日はありがとうございました。

私も、スポーツなら純粋にその競技を、
ニュースなら事実を淡々と、
というのが好きです。
Commented by toruiwa2010 at 2011-03-28 16:41
chibitaさん、こんにちは。

>私はテレビ見るんですよね~。

フジテレビなんて二度と見るか!と息巻いていた人たちは
きっと、昨日の音楽番組も見なかったんでしょうね。
Commented by toruiwa2010 at 2011-03-28 16:42
えそらいろ サン、こんにちは。

スポーツ報道についても、いずれ書く予定です。
Commented by sky_thumb at 2011-03-28 20:27 x
こちらには初めて投稿します。大のテレビ嫌い、特に民放は受け付けません。
「JAPANデビュー」の騒ぎ以来、NHKとも訣別(植民地政策を扱った特集で、取材時の説明と番組の趣旨が全く違ったことで 長時間密着取材を受けた台湾の親日家の方々がNHKに抗議、NHKは黙殺し大阪放送センターに抗議グループが押しかけるなど問題になりました)

岩佐さんを見た覚えもないのですが…それはともかく。
日本人が持っている慎み深さ。礼節。こういった美点はどこへいってしまったのか。
取材対象に対する感謝もかんじられず、旅の恥はかき捨て的な振る舞い。
現地レポもそうですが、報道特番でクライマックスや見せ場で挿入される音楽。
ほとんどが生きていく上で何の必要もない情報。
人として、それでいいのと言いたくなる、お年をめされた方への立ち居振る舞い。
現場は今一度、襟をただし、自省してほしい。自分たちが本当に冷静かどうか。
見ている方は常に冷静で、ある意味冷ややかであり、特に私のようなものは報道陣など軽蔑の対象でしかないのです。
もう テレビの時代は終わった、というのが私の考え方です。
Commented by sky_thumb at 2011-03-28 20:30 x
真摯に、そして冷静に事実だけ伝えてほしい。日本人らしく、慎み深くあってほしい。
自分自身に対しても、やはりそうありたいと願っている一人です。
人生とは自分の性分との戦い、なかなか自灯明は立ちませんが。

岩佐さん、こいつなんか違うと感じたら、管理者権限で消してくださいね。
好意に甘えて吐露しただけで、荒らす気はないのです。
2度目の訪問で投稿していますので、ある意味無謀で、失礼なことです。

ネットは本当に難しい。会えばなんてことないのに。次が電話。
メールではかなり、心の機微はつたわらなくなる。
かなり血の気の多い人が、タイミング悪く見たときの印象も推し量ったうえで読み返し、最後の最後に送信ボタン。
なかなかですが、そうするようにしています。
でも、気を使ったり遠慮するようになったら負けですよね、そう思いませんか。
私は、そうなったら死ぬときだと思っています。
火を使うのもそうだが。
…言葉で、文字で、思いを伝え、互いに影響しあい、時には命をも守りあう。
それこそが、人間の証なんですからね。
Commented by toruiwa2010 at 2011-03-28 20:52
sky_thumb さん、こんばんは。
熱さはしっかりと伝わりました。

しかし、申し訳ないですが、これは、コメントとして
書きこむボリュームではないですね。
削除はしませんが、今後もお続けになりたいなら、
自分でブログを立ち上げることをお勧めします。
私がやれたんです。エキサイトでもヤフーでも、
簡単に始められますよ。
Commented by skylafe at 2011-03-29 22:53 x
岩佐さん、おつかれさまです。

さすが! というしかないですね~。 すごい分析だと思います。
岩佐さんが、ジャーナリズムのプロであることを、再認識させてもらいました。

ジャーナリストのモチベーションってなんなんでしょう?
情報を得て、それに付加価値をつけて、広く公開する・・・・・
それによる、対価は・・・・名声なのでしょうか?
それとも、満足感や使命感?

最近、上杉さんや岩上さんの活動を見ていて、ふと思いました。
Commented by toruiwa2010 at 2011-03-30 07:53
skylafe さん、おはようございます。

こんなもので感心しちゃダメですよ。
年寄の繰り言ですから。
上杉はリスペクトの対象ですが、
私など、足元にも及びません。
彼が去った「キラキラ」はさびしくなります。
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