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岩佐徹のOFF-MIKE

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「UCLを実況した日々~決勝はWembleyか…~」11/04/13

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「5秒前!よんっ、さんっ」
スタジオの中に響くFD(フロア・ディレクター)の声が放送開始直前の緊張感を高めます。
そんなに広くないんだし、みんな静かにしてるんだから、そんなに大きな声を出さんでも、
聞こえるっちゅうねんと、なぜか関西弁で突っ込んだ(声には出さず)ものです。ハハハ。
キャリアの浅いうちは心臓がのどもとまでせりあがり、その場から逃げ出したい気持ちに
なることもありました。

しかし、経験を積むと、カウント・ダウンが始まり隣に座った解説者の気持ちがしっかり
集中しているのが分かると、自然にアドレナリンが音を立てて流れるのを感じました。
これこそ、アナウンサーの醍醐味です。現役をやめて5年が過ぎた今では、「あの緊張感を
もう一度味わいたい」と思うのですから不思議です。
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毎年この時期になると、達成感が大きく、充実した日々を送ったUEFAチャンピオンズ・
リーグのスタジオを懐かしく思い出します。
なかなかいい顔ぶれがそろったQFが今日未明から2nd leg に入っていますね。
あらゆる競技のトーナメントで最も面白いのは準々決勝だと言われますが、現役のころは、
まったく別の意味でQFの推移を見守りました。

WOWOWでは、SFと決勝は現地から中継することにしていましたから、自分がどこに
行くことになるかが気になったのです。ハハハ。
セリエAで海外サッカーの実況をスタートさせた私は是非、イタリアに行きたいのですが、
ミラン、インテル、ユベントス、ラツィォ、ローマ…どこが出て行っても、イタリア勢は
QF までに負けてしまうことが多く、思いがかないませんでした。
結果として最後のシーズンになった2003年にイタリアに行けたときは、出かける前から
昔の恋人に会うかのように、ワクワクしたものです。ハハハ。

バルセロナとマンチェスターUがまずSFに進出を決めました。
明日の未明に行われるカードではマドリードとシャルケの優位は動かないようです。
マンチェスターには行ってみたいですが、やはり、クラシコ…今、現役だったらほとんど
迷わないでしょうね。もっとも、希望すれば行かせてくれるわけではありません。
すべてはプロデューサーさまの判断にかかっています。
UCL決勝の実況は後輩アナに決まっていましたから、準決勝までしかしゃべれない私に
気をつかっていいカードを割り当ててくれることが多かったのですが、保証はありません。
念力を送るしかないのです。ハハハ。
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チャンピオンズ・リーグを担当している時には、毎回同じ手順を踏んでいました。
仮に、バルセロナvsミランの2nd legを担当するとしましょうか。

まず、4、5日前から両チームのテープを何本か見て、予想される先発メンバーの特徴を
思い出す作業を始めます。ユニフォームの着こなし、シューズの色、髪の型・色、走り方、
ボールの持ち方…実況の時の命綱ですから、結構、必死です。ハハハ。
当日午前中に、担当する試合の資料作りをひととおり終えて、午後は最終的なビデオ・
チェックに入ります。はじめに、サンシーロで2週間前に行われた第1戦、次に先週の
それぞれのリーグ戦のテープを、いずれもポイントを絞ってチェック。
最後は、最近実況した中で気に入っている“自分の実況”を聞いて感じをつかむことで
仕上げをします。

WOWOWでも、QFまでは東京のスタジオで実況をつけていました。
画面だけを見てスタジアムにいるかのように実況することをオフチューブ方式といいます。
小さい画面で選手たちやボールの動きを捉えなければならないのは、サッカーの実況アナ
としては高齢だった私には条件が厳しいやり方です。
加えて、キックオフが日本時間の早朝になる…という時差の問題もあります。
QFを迎えるころはサマータイムですから、キックオフは日本時間の3時45分です。
逆算して、スタジオへの集合は午前2時です。それまでに少しでも寝ておかないとかなり
つらいものがあります。

そこで、UCL担当の時は睡眠を確保するために、放送の前後、スタジオ近くのホテルで
やすむことにしていました。もちろん、自腹です。
夕方にはチェックインして、10時ごろベッドに入りますが、普段でも寝つきのいい方では
ありませんから、「眠らなければ」と思えば思うほど“睡魔”が遠ざかります。ハハハ。
一度、15分しか眠れなかったときは、実況中に、しゃべろうとすることが頭の中でうまく
まとまらず、とても苦労しました。

眠れても眠れなくても、1時過ぎには起きて、インターネットで最後の情報チェックです。
パソコンをつなぐのはそれが最後で、あとはキリがないので見ないことにしていました。
放送のあと、戻って少し寝るためにチェックアウトはせずに、1時半にはホテルを出ます。
真夜中に外出するいい年のオヤジをフロントの連中が不思議そうな目で見つめていました。
ハハハ。
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辰巳のスタジオに着くと、ロビーでは制作陣と技術さんが打ち合わせをしている頃です。
私の到着と前後して解説者たちも顔をそろえて、今度はコメンタリー陣の打ち合わせです。
その打ち合わせが終わるころ、UEFAからのメンバー表が手元に届きます。
UEFAからは至れり尽くせりの資料が提供されています。
放映権を持っている局だけがアクセスできるページがあって、かなりの量の情報を与えて
くれます。基本的な情報は完璧ですから、いきなり「やれ」と言われても、ある程度の
経験を持ったアナウンサーならきっとやれるでしょう。
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出てきたメンバー表を見ながら解説者と雑談したり、メークをしたりしながら放送時間が
来るのを待ちます。私は、準備が整ったら出来るだけ早く席に着くことにしていました。
スタジオでもスタジアムでも、自分が仕事をする場所に慣れることは大事です。
いすの具合、マイクの具合、モニター・テレビの位置と角度、照明の具合…できるだけ
居心地よくするのです。特に、初めてのスタジアムでは重要なことです。

放送席には、資料はもちろんですが、ほかにも必ず持ち込むものがありました。
先日書いたばかりですが、使い慣れたストップ・ウォッチ、のどを潤すポロ、そして、
鼻の通りをよくする点鼻薬です。どれかひとつでもないと不安でした。ハハハ。

放送が終わると、控え室に戻り、簡単な反省会をして“お開き”です。
解説者の中には直接ゴルフに出かける元気な方もいました。放送の前は「眠い、眠い」と
言っていたのに!ハハハ。
奥寺、信藤、早野、野口…WOWOWの解説陣は人間的な魅力にあふれていました。
上がっていたテンションを下げる“クールダウン”での話が面白くて、こちらが先に席を
立つことはほとんどなく、お帰りを見送ってから帰り支度に取り掛かっていました。

ホテルに戻って少し休んでから帰宅していましたが、その日はほとんど“つかいもの”に
なりませんでしたね。しかし、よほど大きな失敗でもしていない限り、充実した気持で
過ごすことができたものです。
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サンティアゴ・ベルナベウとカンプノウでバルサvsレアルですか。
スカパーはオフチューブでしょうが、この顔合わせでのUCL準決勝をこのスタジアムで
実況できる海外のアナウンサーの“幸せ”を思うと、軽く“ジェラシー”が。ハハハ。
見てみたい気もしますが、わざわざ契約するのももったいないしテレビでダイジェストを
見れば十分かなあ。ああ、だけど、今年の決勝はウエンブリーなんですよね。
新しいスタジアムがどうなっているのか見てみたい気もするけど…。迷うなあ。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-04-13 09:23 | サッカー | Comments(5)
Commented by 遊び人の優さん♪  at 2011-04-14 07:44 x
岩佐サン、お早う御座います。

決勝は確か、フジテレビで『生中継』のハズです。
(去年から…。)

準決勝は内田篤人がいる「マンUvsシャルケ04」戦?を放送しそうですが…。

ホントは「バルサvsレアル」戦のほうを放送してほしいのがサッカー・ファンの気持ちでしょうね!
(どうするんだろう?日テレあたりがチャッカリ対応してきそうな予感もします。)
Commented by いち at 2011-04-14 11:28 x
おはようございます。CLはWOWOWがやらなくなってから軽い抗議の意味であまり観てません。その代わりスペインリーグにはかなり詳しくなりましたが。"クラシコ"というフレーズはWOWOWの放送から日本で定着させたと思うんですが。多分、一番最初に聞いたのは、CLの準決勝で岩佐さんが実況されていた時に。前まで放送していたNHKやJスポーツは"スペインダービー"と言っていたような…
Commented by toruiwa2010 at 2011-04-14 11:43
いちサン、こんにちは。

それは意外ですね。スペインではクラシコと
いうものだとばかり思っていました。
UCL準決勝の時は確か、スーパークラシコだったような。
Commented by 石ママ at 2011-04-15 21:30 x
岩佐さんと原博実さんで、バレンシアからの放送に感銘を受けました。
以前、岩佐さんが「リーズの選手が皆スキンヘッドにして、誰が誰だか困った」とおっしゃっていたのが、懐かしく思いだされます。

サッカー中継の数日後に、オーストラリアでテニス中継、WOWOWのスポーツ中継になくてはならない岩佐さん、引退が残念でした。
Commented by toruiwa2010 at 2011-04-15 21:49
石ママさん、こんばんは。

原さんは独特のムードを持った解説者でした。
リーズの話は→ http://bit.ly/fvc8IS に書いています。
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