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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives「アナウンサーだって人の子~森アナが見せたなみだ~」11/04/16

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アナウンサーも人の子…です。腹が立つこともありますし、泣きたいときもあります。
しかし、その感情をいちいち放送で披露していたのでは仕事になりません。
T光アナのように器用に泣いて、番組を盛り上げる“達人”もいますが、ほとんどのアナは
怒るまい、泣くまいと自分の気持ちを必死にコントロールしながら実況しているのです。

それでも、放送中に泣いてしまうアナもいます。
2004年オリンピックの女子バレーボール最終予選で出場権を確定したあとのフジテレビ・
森昭一郎アナのなみだはひとつの典型です。

話を分かりやすくするために少し書き変えました。

「森アナのなみだ」 (2004.05.18)

女子バレーボールの最終予選はかなりの盛り上がりでしたねえ。
TBSとフジの共同放映になったことにもびっくりしました。
プロモーションなどをのぞけば、こんなことはめったにありません。
フジの渡辺アナがTBSで小倉アナと一緒に番組を仕切る場面などを見ていると「時代は
変わった」と思わざるを得ませんでした。
全体としては、NEWSを起用しての応援など、フジ主導の感じは否めませんでしたが。
ハハハ。
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当時のHPのBBS・“ANY TALK”でひとしきり話題になったのは、オリンピック出場を
決めた韓国戦後の、フジテレビ・森昭一郎アナの涙のインタビューでした。
彼の涙が初めて大きく取り上げられたのは前年のワールドカップ・バレーのときでした。
強敵・ポーランドに勝ったあとのインタビューで、感極まった彼は第一声がひっくり返り、
「まずい」と思ったのでしょう。一瞬、間があいたとき、お茶目な高橋みゆきがマイクを
持ち去ってインタビューを続けたのです。

まず、選手たちがもらい泣きするなど大うけ、会場も大爆笑となりました。
「結果オーライで、決してほめられない」と本人はかなり落ち込んだらしいです。
長いスポーツ中継史上でも、珍しい光景だったといっていいでしょう。
「やっちゃったよ」と思いながら見ていたのですが、このとき、強く印象に残ったのは、
むしろ高橋選手の機転でした。まるで、「万一のときには…」と打ち合わせがあったのかと
思うほど、この時のマイク奪取は見事な間合いでした。ハハハ。

そういう「前ふり」があったうえでの今回のインタビューです。
日本は、宿敵・韓国に完勝してアテネへの切符を確保しました。
「さて、聞き手は誰だろう?」と見ていると、森アナでした。始まったときから涙声で
危なっかしかったのですが、「もらい泣きするからやめてください」と選手たちにけん制
されながら、何度も泣いていました。たぶん、もともと感激屋なのだろうと思います。

BBSへの書き込みを読むと、「ぎりぎりセーフ」もふくめて、7:3ぐらいで“肯定派”が
多かったようです。もちろん、厳しいご意見もありましたが、当然です。
プロの立場で言えば、基本的には「まず、冷静に。お前が先に感動してどうする?」です。
しかし、物事は、必ずしもそのとおりにはいかないんですよね。

そして、もうひとつ、考えられる背景を書いておきましょう。

フジテレビのバレー担当アナはまず、高校バレーの取材から始めます。
学校にお邪魔すると、練習の最中でも、監督は選手全員を集めます。
「フジテレビの○○さんだ」と紹介すると、選手たちは声をそろえて「こんにちは!」と
頭を下げ、「よろしくお願いします!」と言って、また頭を下げます。
「フジテレビの○○です。練習を見せてもらいに来ました。ヨロシクお願いします」と
挨拶すると、「よろしくお願いします!」と勢いよく頭を下げて、コートに戻っていきます。

学校によっては、この間、選手に爪先立ちをさせているところもあります。体力づくりの
一環です。はじめのうちは練習の厳しさ、激しさに圧倒されます。
今回の大会中に、監督が不振の大山加奈選手に厳しい言葉を投げつけるところをご覧に
なった方もいらっしゃるでしょうが、練習のときの厳しさはあんなものではありません。

「いじめじゃないか」、「憎んでるみたいだ」と思うほどのことが目の前で展開されます。
監督によっては、取材が入るとやたらに張り切ってしまう傾向の人もいます。ハハハ。
しかし、多くの場合、「愛のムチ」です。「本当に憎かったらできませんよ」と監督たちは
口をそろえて言います。教える側にしてみれば「できるはずなのに、何故できないんだ」と
歯がゆかったり、悔しかったりするのでしょう。特に、女子の場合に、この傾向は強く、
実業団に進んでも変わることはありません。

こうして始まった選手との付き合いがVリーグ、代表チームにもつながっていますから、
“自分たちの”チーム・選手という思い入れ、感情移入が強くなるのは仕方がありません。
その彼女たちが苦しい戦いの末に大きな勲章を手に入れた…数十年前、同じ道を歩んだ
私には、森アナの気持ちが手にとるように分かります。ですから、判定も「その気持ちは
むしろ大事。結果もよかったんだから、まあ、いいんじゃないの」と大甘でした。ハハハ。
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私自身、若いころから涙もろく、「そういう場面に出会ったらどうなってしまうだろう」と
不安でした。77年のワールドカップで優勝インタビューを担当しましたが、選手たちが
“オトナ”だったせいでしょうか、泣くことはありませんでした。

実況人生で一番危なかったのは、2003年USオープン・テニスの初日に、サンプラスの
引退セレモニーをお届けしたときでした。
92年にテニス中継がスタートしたとき、まだ若手だった彼が“史上最高のプレーヤー”と
呼ばれるまでに成長するところをつぶさに見てきました。大好きな選手でした。
その彼が司会者に呼ばれてコートに入ってきたとき、スタンディングオベーションが長く、
長く続きました。
見る見るうちに彼の目に涙があふれていきました。こらえようとする、その顔が激しく
ゆがみます。とたん、私の胸にもこみ上げてくるものがありました。
あと数秒、このシーンが続いたら、危なかったでしょうね。
まさに、わが実況人生の中で最大のピンチでした。ハハハ。
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それにしても、TBS-フジ共同放映がどういう条件で行われたのか興味がありますね。
“おいしい”試合はフジに集中していた感じですし、出場が決定した翌日、朝の番組に
登場した顔ぶれに極端な差がありました。
柳本監督以下、主力のほとんどを揃えたフジに対して、TBSは、控えが多かった選手が
3人だけというさびしさでした。
放映権料は今後も上がる一方でしょうから、こういう方式は増えるかもしれませんね。
「見る側」としては、放送してくれればそれでいいです。
いろいろな意味をこめて、制作者、解説・実況の「独りよがり」な放送はごめんですが。
ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-04-16 09:31 | 放送全般 | Comments(2)
Commented by akapon at 2011-04-16 11:19 x
岩佐さん、こんにちは。
森アナのマイクを奪って爆笑インタビューへと持っていった高橋選手の
機転の利いた判断は素晴らしかったですね。あれですべてがOK状態でした。
サンプラス選手のシーンも良く覚えています。私も大好きな選手で、テニスをするときには
格好だけ!はナイキのサンプラス仕様でしたから(笑)

近年でもっとも泣いたのは昨年のW杯のPK戦の駒野選手を見てた時です。
自分もサッカー選手としてPK失敗の経験もありますし、あれは泣けました。
Commented by toruiwa2010 at 2011-04-16 14:49
akapon さん、こんにちは。

サンプラスの時には、ふと横を見ると、
柳さんも遠藤さんも目を赤くしていて
とても話しかける空気ではなかったので
焦りました。ハハハ。
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