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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives 「投げかけられる質問~女性アナに実況は…?~」 11/05/04

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「女性にはスポーツ実況はできませんか?」
…これまでに数え切れないほど聞かれた質問です。私にとって答え方が
一番難しい質問です。
答えは「まず、無理でしょうね」なんですが、次に「なぜですか?」と
聞かれることが分かっていて、その“答え方”がとても厄介だからです。
ハハハ。

5年前に、NHK-BSで思い切った企画が実現しました…

「女性アナの実況」(2006.04.24)


この項は自分の感じたことをまとめておきたいので書くだけです。
たぶん、皆さんは私と違う感想を持たれたと思いますから(ハハハ)お読みにならなくても
結構です。反発するだけですから。

日曜日、2台のテレビの1台で「からくり…」や「ジャンク…」を見ながら、もう一台は
音を消して巨人-阪神をつけていました。
一回の表、阪神が3点を先行したあとだったと思いますが、画面に解説者の梨田と並んで
有働アナが顔を見せました。
「今日だったんだ」と急いでDVDをスタートさせました。
ハイビジョンで実況をすると聞いていたのです。

以下は、それを見た私の感想です。
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「10年後でもいい、実現できたら嬉しい」という思いで彼女が出した企画が認められたと
いうことだそうです。そのチャレンジ精神、勇気には拍手です。
しかし、結果は厳しいものだったと言わざるを得ません。

事実を書いてみます。

酷だとは思いますが、“しゃべる訓練を受けている野球好き”の女性がマイクをつけて
“四方山話”をしているに過ぎない、という印象を受けました。
まず、NHKの制作陣がどういう意図で彼女を起用したのかがよく分からないのです。
「キャスターとしての経験を生かして彼女らしいアングルで」、「女性らしい視点で」、
「ファンの代表として」…いずれでもなかったように思います。
「たまには目先を変えるのもいいだろう」程度のことで“実験”をやられたのでは
付き合わされる視聴者はかないません。 
その部分は見られませんでしたが、冒頭で「野球にくわしい皆さん、ごめんなさい」と
言ったそうです。
つまり、自らの“ポジション”をかなり低いところに設定したということでしょう。
その割りに、試合全体のテーマを「キャッチャー目線」としたのは、かなりレベルが
高いと思うのです。

彼女自身から出されたアイディアなのか、制作陣が「普通にやっても意味がないから」と
思って用意したのかは分かりません。
わざわざ梨田を解説にすえたのも企画が先行してのものでしょう。
両チームのキャッチャーへのインタビューもあり、阪神の平田ヘッド・コーチにも話を
聞いて“つくり”はしっかりしていました。
インタビューの中で「そこから先を勉強しないと」と平田コーチから有働アナにダメを
出させたあたりは完全に“やらせ”に見えましたが。ハハハ。

この企画が番組の芯になっていたことで多少は救われていたと思いますが、経験豊富な
アナウンサーが実況を担当していたら、もっと話が膨らんだと思います。
スタッフにしてみれば、そのへんも、初めての彼女に多くを期待しても無理だ、という
判断はあったことでしょう。

“四方山話”と書きました。
したがって、キャッチャー以外の話はとりとめがないのです。
つまり、話の中身はもちろん、テンポ、リズムがグラウンド上の動き、スピード感と全く
合っていませんでした。テレビでスポーツを見るときに、一番イライラするポイントです。
こうなると、女性の解説者に多い“○○選手”の“選手”がうるさく感じられてきます。
ハハハ。
私たちは、テニスに新しい解説者を迎えると必ず、“…選手”はやめて“呼び捨て”にして
くださいとお願いしています。

望んでも無理だと分かっていたのですが、実況で描写が追いつかないのは興ざめでした。
まず、画面に映っていない、ランナーのスタートなどが完全に遅れてしまいます。
たとえば、ランナーがスタートを切り、バッターが打って打球が三遊間へ飛んだ場面でも、
インパクトの瞬間ぐらいから「走って…抜けて…」と、ひとコマずつずれていました。
一番困るのは、試合の半ばを過ぎてもここという場面で「あー」しか出てこないことです。

4回裏、巨人の攻撃。2死満塁で阿部の打球はライトの頭上へ飛びました。
「あー…ライナー性で…フェンス直撃…ランナーひとりふたり、返ってきました。二塁打」
…実況というより、“スタンドにいる女性ファンの独り言”のレベルでした。
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スポーツ実況を志すアナにとって、野球は基本です。
野球の実況の中にはプレーの描写を初め、情景描写、情報提供、解説者とのやり取りなど
スポーツ・アナに求められるすべての要素が詰まっているからです。
女性アナウンサーが最初に取り組む種目としては難しすぎるのではないでしょうか。

フィギュア・スケートなどでスポーツ実況の“感覚”を実感したあとで挑戦していたら、
今回のような失敗はしなかったと思うのです。
その意味では、本人ではなく、周りに責任があると思うのです。
「10年後でもいい」は、いろいろ経験してから、という考えがあったことを示しています。
安易にOKを出し、実現した結果がこんなことになり、有働アナにかぎらず、すべての
女性アナにとっての次のチャンスが遠ざかったとすれば罪は大きいと思います。
この放送でプラス面を探すとすれば、梨田氏の話し方が柔らかかったことぐらいです。
ふだんでも、スポーツ関係者はみんな女性アナ・記者に対しては“妙に”優しいですがね。
ハハハ。

笛吹、三雲、安藤、小宮…夕方のニュースを見ると、女性キャスターがずらりと並びます。
今では違和感を覚える人は少ないでしょう。
1960年代終盤まで、ニュースは男性アナが一人で読むものでした。
やがて、横に女性アナが並ぶようになりました。
ただし、当初は「桜が咲いた」「あさがお市が開かれている」といった“トピックス”を
読むのが仕事だったのです。たぶん、1980年代初めに、日本テレビで桜井よしこさんが
メインをつとめるようになったのが女性キャスターの第一号だと思います。
初めは“変な感じ”でした。ハハハ。しかし、結局は“慣れ”の問題だろうと思います。
いまでは、女性であることを理由にとやかく言う人はいないでしょう。私は、声質などで
“無理”なキャスターが何人かいると思っていますが。ハハハ。

女性アナの実況も、この時が初めてではありません。
オリンピックの女子マラソン、高校野球、女子駅伝、フィギュア・スケート…試みは
何度かありました。
しかし、フィギュアが“微妙”だった以外、厳しい言い方ですが失敗に終わっています。
局内外から少しでもいい手ごたえを感じていればあったはずの“続編”がないことが
その証拠でしょう。

「女性だからダメ」と言っているのではありません。
ただし、かなり難しいのは事実です。独特のリズムが必要です。スピード感を出すのも
大変です。歯切れのよさも求められます。
たしかに、これはあくまで今の男性アナによる実況を前提にした話です。
しかし、“女性ならでは”のスポーツ実況の確立を目指すとなると、なおさら越えるべき
ハードルは高くなりますね。

同じことを何度も書いていますが、私たちのころは“スポーツ・アナが一人前になるには
10年かかる”と言われてきました。
目の前で起きることを、99%アドリブで描写していくにはそれだけの年月が必要なんです。
今、第一線で活躍する実況アナは、みんな、入社のときからスポーツの世界にどっぷりと
つかって知識を積み重ね、技術を磨いてきた人たちです。
男性と同じタイプの実況を目指すなら、入社のときから同じような道を歩まないと実現は
きわめて難しいでしょう。近道はありません。“ローマは一日にしてならず”です。ハハハ。

放送の最後に彼女はカメラに向かってこう言いました。
「取材してみて、野球の面白さが徐々に分かってきました」
決してあげ足を取るつもりはありませんが、今、各局でしゃべっている実況アナの誰も
こんなことは言わないでしょう。
病院で“研修医”、お店で“研修生”を見かけるこがもあります。
しかし、あくまで見習いの立場で仕事に臨んでいます。
同じように、すべてのアナウンサーが“完成品”というわけではありません。
だからと言って「私は発展途上のアナウンサーなんです」と、はっきり言われたのでは、
視聴者の立場はどうなるのでしょう。
梨田氏が何度も「初めてだから」「緊張してたから」と言ったのも逆効果です。
打ち上げの席でなら許されるでしょうが、放送の中で言うべきではありません。

今後について担当プロデューサーは「時間をかけて検討したい」と話しているそうです。

かなり、辛辣に書いていますが、有働アナに恨みがあるわけではなく、
むしろ、周囲の軽率な判断を責めているつもりです。
去年の7月に「“性”の違いによるものか?~女性アナの実況 again~」を
書いていますが、導入部にこの記事を再録したあと、“続編”とも言うべき
興味深い(自分で言うのもナンですが)話を書いています。
よろしかったらどうぞ。 ⇒ 
 http://bit.ly/ktSbyT

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by toruiwa2010 | 2011-05-04 09:43 | 放送全般 | Comments(4)
Commented by shin555 at 2011-05-04 19:28 x
ほんの少しご無沙汰しました♪
この元記事も、リンクの記事もよく覚えています。
オリンピックの女子マラソンはバルセロナでしたっけ?
なんだかテンポが無く、う~ん?と思った記憶があります。
応援も絶叫も勘弁してもらいたいですが
画面に遅れるのも聞いててきびしいですね。
まして、私は発展途上~は職業としてありえないでしょう。
なんて言っている私も、不勉強でして、なんて言って叱られたこと
複数回ありますので・・・・人のことは言えませんが(汗)
Commented by yukky at 2011-05-04 19:48 x
こんにちは。 
紹介してくださったその放送は見たことがありませんが、
要するに、性別の問題じゃなく、男性だろうと女性だろうと、
実況に慣れていて上手じゃない人にイライラするのは
当然でしょうね。
特にプロ野球中継については、我々は放送を数多く見ていて、
実況が上手なのが当たり前ですからね。

フィギュアスケートでは、Jスポーツで女性の小林千鶴さんが
よく実況をご担当されていますが、
この方がどの放送局のアナさんよりもいちばん競技に詳しく、
聞いていてストレスがないですね。
まあ、いろいろなしがらみや演出が要求される
地上波でないということもあるのでしょうが…。
Commented by toruiwa2010 at 2011-05-04 21:55
shin555 さん、こんばんは。

私の立場で、女性には無理というのは
それなりに勇気がいるのですが、誤解する人も
大勢、いるものですから。
Commented by toruiwa2010 at 2011-05-04 21:59
yukkyさん、こんばんは。
中には、自分はやれると思いこむ女性もいるので
無理だと言い聞かせるのに苦労することもあるのです。
夢は大事なんですけどね。
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