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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives 「グランド・スラムの裏側で~2003 Roland Garros~」         11/05/29

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テレビがグランド・スラムを放送するとき、どう頑張っても
試合と試合後の会見の一部を伝えるのが精一杯です。
現地にいると、いろいろなことが見えます。2003年ローラン・
ギャロスで書いた記事の中に、もう一度読んでほしいと思える
記事を見つけました。

「ローラン・ギャロス 8日目」2003.06.02


杉山はいい試合をしましたが、ディフェンディング・チャンピオンを倒すところまでは
行きませんでしたね。(4回戦:Serena W d.Sugiyama 75/63)
スタッフと一緒に控え室で見ていましたが、終了が近づいたとき、試合が行われている
スザンヌ・ランラン・コートに向かいました。
このコートでプレーする選手たちは行きも帰りもガードマンに守られて15メートルほどの
スロープを通ることになっています。私は、あれだけいいプレーをしながら敗れた杉山が
どんな表情でこのスロープを上がってくるかを見たかったのです。
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技術や戦術のことは分からなくても、40年の取材を通じて、いろいろなスポーツの勝者と
敗者の表情を見てきましたので、その選手がいまどういう心理状態にあるかなどはかなり
見抜けると思っています。放送の中で、選手がどう思っているかについて解説者と意見が
違ったとき、立場上 譲らなくてはいけないのが残念でならないことがあります。ハハハ。

試合が終わったあと、コートを出たところでWOWOWとテレビ東京の取材を受けていた
杉山がスロープを上がってきたのは15分ほどたってからでした。
姿が見えると日本人のファンからいっせいに「お疲れさん」「ご苦労様」の声が飛びました。
やや前方に目を落としていた彼女はその声に顔を上げて手をあげ、少し微笑んでいました。

負けたわけですからもちろん会心の笑顔ではありません。精一杯の笑顔だったでしょう。
日本人のような、外国人のような記者が一人食い下がって話しかけていましたが、終始、
言葉すくなに応じながら、立ち止まることなく、足早にスロープを上がりきりました。
日曜日でしたから通路も満員状態、待ち構えていたファンがサインを求めると、今度は
彼女も足を止めて10人近くサインをしてから人ごみの中に入って行きました。

見ていて安心しました。
勝ったときは、喜びすぎずに次の試合に気持ちを切り替えるぐらいしか考えることはない
のでしょうが、負けたときにどうするかはとても大事なことです。
考えなければいけないのは「何が足りなかったのか」「それを補うためには何をしなければ
いけないのか」「この負けから何を学ぶか」…いろいろあると思います。
さすがにツアー10年選手、ただ打ちひしがれるのではなく、シッカリと現実を受け止めて
いるように見えました。

「プロの世界はどんなに善戦しても負けたら何も残らない」という考え方もあるでしょう。
しかし、その中から何を見つけるかでその選手の将来が決まると言ってもいいと思います。
非常に中身のある試合だったことを物語るように、かなりの時間が経過してから、彼女の
インタビュー・スクリプトが出てきました。わずか2ページですが、これは、それだけ
外国のプレスが注目したという証拠なんです。
普通、日本人選手のインタビューは速記者のいない小さな部屋で“ひっそり”行われます。
日本語だけの場合が多く、したがってスクリプトは残りません。

16シードまでの選手はベスト16に勝ち残って初めて「シードを守った」ことになります。
その意味で、杉山はシッカリとシードを守りましたし、何よりもプレーの中身で世界の
テニス・ファンやプレスに強いインパクトを残しました。
今シーズンの後半戦も大いに注目しましょう。
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昨日から、ジュニアの試合も始まりました。
日曜日のごった返す通路を、ほとんど誰にも注目されず、ラケット・ケースを肩に担いだ
初々しい顔つきの少年少女が少し緊張した表情で行ったり来たりしています。グランド・
スラムで見かける光景の中で私の好きなもののひとつです。いずれ「チャンピオン」と
呼ばれる選手がこの中から生まれるのかと思うとわくわくします。
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そして、今日8日目は朝から今大会初めての雨になりました。
ローラン・ギャロスは“降る雨”までどこかおしゃれですが、放送する立場になると
そんなのんきなことは言っている場合ではありません。。ハハハ。
プレーが無事に行われるか、昨日の試合からピックアップして放送することになるか
微妙なところだからです。
シャトルのドライバーが「今日は月曜だし、道がこんでるから長いドライブになるよ」と
言うので「どちらにしても長い一日だから」と空を指すと「そうだね」と肩をすくめて
いました。「予報はいいですよ」ぐらいのことを言って欲しかったのですがね。ハハハ。

「ローラン・ギャロス 9日目」2003.06.03

QFでコリアに敗れたアガシの会見は6時45分に予定されていました。
取材陣はその時間を頭に置いて仕事を進めて行きます。しかし、予定より5分ほど早く
「アガシが 今、メイン・インタビュー・ルームに向かっている」というアナウンスが流れ、
あわてて会場に入るとアガシはすでに会見場に入っていました。
入り口まで何かしゃべりながら来た記者たちも静かになって席に着きます。
アガシは手元のボトルを見たり、入場する記者たちを静かな目で見つめたりしていました。
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スーパースターが思わぬ相手に負けたあとの会見の空気はかなり重苦しいものになります。
第一、選手のムードがよくありません。しかし、この日のアガシは、どちらかと言えば、
サバサバした感じで「何でも聞いてよ」という雰囲気でした。
こんなとき、口火を切るのは大体Bud Collinsです。ボストン・グローブのコラムニスト、
テニス・エンサイクロペディアという本の著者で、記者としてテニスの殿堂に入っている
ベテラン記者です。会見場の雰囲気や選手の緊張を彼の最初の一問がやわらげる場面を
何度も見ました。この日の第一問は「ヤツ(コリア)はちょっと走りすぎかな?」でした。
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選手のインタビューはこんな手順で行われます。
試合を終えた選手が握手をしてチェアにもどったとき、腰をかがめた係りの人が近寄って
いくのをご覧になることがあると思います。選手に、「会見の要望があるが、何時ごろが
都合がいいのか」と聞いているのです。記者から会見の希望が出ていたら、選手は正当な
理由なく出席を断ることは基本的には出来ません。罰金の対象です。

係りは選手の答えを本部に連絡します。それを受けて、試合後まもなく、プレスルームに
「だれそれの会見は何時何分に…」というアナウンスが流れます。
選手によって多少の違いはありますが、シャワー、マッサージに必要な時間を考えると、
試合終了から30~45分後が普通でしょうか。
係りがロッカーに張り付いていて、選手が会見場に向かうと、すぐ記者たちにそのことが
伝わるようになっています。
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会見は普通、テニスの公用語、英語で行われます。
全仏の場合、フランスの記者のために同時通訳が用意されていて、イヤホーンでそれを
聞く記者もいます。また、英語圏以外の国の選手の場合、英語での会見の後、母国語での
インタビューがあり、それが終わってからさらにテレビ、ラジオのためのインタビューと
続くことがありますから、選手も大変です。
クエルテンが 全米で、会見場に行く途中ブラジルのラジオ局につかまって話が長くなり、
大幅に遅れてきたときには記者たちからブーイングが出ていました。ハハハ。
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全仏では、会見場の前方でやり取りを聞きながら、ブラインドでキーをたたく人がいます。
普通は、英語とフランス語の二人で、彼らは速記者です。
この人たちの能力には驚くばかりです。彼らが打ったものがスクリプトとして起こされて
記者の手に渡るまで大体40分ぐらいです。これがあるからヒアリングが苦手な私も何とか
選手の談話をお伝えすることが出来るのです。
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アガシのインタビューは淡々と進みました。
インタビューの初めの方は全般的なことを聞くのが普通です。
「今日のプレーはどうだったか?」「ポイントになったゲームはどこだったか?」などです。
ただし、記者たちの中にはあるテーマで特集記事を書こうとしている人もいます。
こういう記者は選手全員に、たとえば「試合のない日の過ごし方」、「ストリングの張り方」
などを聞いたりします。一人一人アポイントを取って、それだけを聞くのは大変ですから、
グランド・スラムは願ってもないチャンスです。ハハハ。

何の脈絡もなくそんな質問が飛び出すと、ほかの記者が苦笑していても、選手は答えない
わけには行きませんが、この日のアガシにはさすがにそんな質問は出ませんでした。
敗者ですから和やかという訳にはいきませんが、前半で「ウインブルドンでの望みは?」
と聞かれたアガシがニヤリとして「コリアとプレーしたいね」と答えたときには、みんな
どっと来ていました。

自分は負けたのに、相手のコリアの今後や、ロディックと新しく契約したかつてのコーチ、
ブラッド・ギルバートのことまで聞かれていましたが、いやな顔ひとつ見せずに一つ一つ
丁寧に答えていました。ムードがよかったからでしょう。
これが、明らかにイライラしているときなどは「何を聞きたいんだ?」と言わんばかりに
相手の顔を見つめることがあります。“にらむ”わけではありませんが、その凝視は相手が
顔を伏せるまで続いたりして迫力があります。ハハハ。

最近 滅多に行かなくなってしまいましたが、会見場には人間くさいドラマが潜んでいて
試合とはまた別の楽しみがあります。

ボリュームを絞っていることが多いので、確かなことは分かりませんが、
どうも、最近のアナウンサーは、試合を伝えることに集中しすいていて、
周辺の“ドラマ”がおろそかになっているような気がします。
取材をすればするほど放送の幅が広がるはずですが。


カルガモ続報:卵の怪?

24日の午後 産み落とされた卵は翌日にはどこかに消えていました。
親ガモは25日の午後、2個目と思われる卵を同じ場所に産みました。
その後は変化がありませんでしたが、28日午後、卵の位置が変わっていました!!
廊下側に“移動”していたのです。しかも、1時間後さらに動いていました!!!
カラス、猫、親ガモ…“犯人”は誰でしょう?
まさか、卵自身で!? ハハハ。
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…ときどき、様子を見に行きました。
すると、夜8時、元の場所に戻っているではありませんか。
6時から8時の間の“犯行”です。どうやら、犯人は人間のようです。ハハハ。
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by toruiwa2010 | 2011-05-29 08:29 | テニス | Comments(2)
Commented by m.matsuda at 2011-05-29 08:47 x
そこなんですよね、「周辺のドラマ」、聞きたいですよね!!
昨晩はボリュームを落とし、「ZAZ」を聞きながら見てました。
手には「芋焼酎」ですが・・・
Commented by toruiwa2010 at 2011-05-29 08:53
m.matsuda サン、おはようございます。

NHKのメジャー中継も同じです。
解説者の技術論を理解することが
偉いと思っているみたいです。

私は興味ありません。ハハハ。
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