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岩佐徹のOFF-MIKE

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「自然への畏怖:被災地~単純な恐怖ではなく…~2」         11/05/31

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・・・つづき

仙台駅前のターミナルから高速バスに乗って今度は北に向かいました。
目指すのは石巻です。できれば気仙沼まで行きたかったのですが、車の運転もできず、
公共の運送手段に頼る旅ですから、いろいろ考えると、石巻が限界でした。
1時間15分で到着しましたが、仙台寄りの場所でがれきの集積場が一か所あったほかには
ブルーシートがところどころに見えただけでした。実際には、楽天イーグルスの本拠地、
Kスタ宮城も大きな被害があったのですから、バスから見たのでは分からないのでしょう。

石巻駅前についてバスを降りると、いきなり、海の匂いが鼻をつきました。
…と、思いましたが、少し違いました。潮の香りにしてはかなり強烈なのです。
あとで分かったのですが、漁港に近いところでは、そこにあった水産加工工場や倉庫から
大量の魚が流れ出し、それが腐ったために異臭を放っているのです。
がれきの集積場も含め、場所によってはマスクをしなければ厳しいと思いました。
雨に加えて 気温が上がってくると、この匂いは被災者を悩ますことになりそうです。

時間に制約があるので、すぐにタクシーを拾いました。
がっちりした体をした、鋭い眼つきの運転手さんで、ちょっとひるんでしまいましたが、
そのまま乗り込み、「石巻の漁港も大きな被害を受けたと聞きました。状況が分かる場所に
連れて行ってくれませんか?」とストレートに頼みました。

特に嫌な顔もせずに車を出した運転手さんとは、それから2時間近く付き合いましたが、
実はとても“いい人”でした。いかにも東北人らしく、語り口はトツトツとしています。
しかし、私が何かを尋ねると、優しい言葉で話をしてくれました。
彼は客待ちをしていて地震に遭い、揺れを感じてすぐに高いところに逃げたため、なんの
被害もなかったのですが、奥さんの家族が南三陸で津波に流され 今も行方不明だそうです。

石巻の駅前も1メートルぐらい浸水したようですが、駅を離れてすぐの商店街に入ると
地震と津波 両方の被害がはっきり見えてきました。建て直しの工事に取り掛かっている
店もありますが、ほとんどは“手つかず”のままです。
しかも、一帯がいまだに停電中で信号が機能せず、警官が出て交通整理をしていました。
北から来た車が中心街に向かう道ですから、反対車線はかなりの渋滞になっています。
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漁港に出ると、2カ月以上 経過しているのに、直後の惨状がうかがえる状況が見えました。
打ち上げられた漁船などの多くはすでに片づけられていますが、道路沿いに建つ家屋は
大半がぺしゃんこになっています。
家にめり込んでいる小型の漁船が残っていました。数は多くないのですが、そこここに
作業をしている人がいて、漁港周辺ではとてもカメラを向けることはできませんでした。

運転手さんが「女川も相当ひどいですよ」と話してくれました。
往復でどれぐらいかかるか聞くと、1時間程度だと言うので行ってもらうことにしました。
両サイドに、崩れ落ちた家屋が見える中、女川街道を東に走ります。

しばらくすると、右手に穏やかな海が見えてきました。万石浦(まんごくうら)です。
ニュースで見ましたが、昨日の雨で冠水していましたね。小中学生の通学のためにバスが
運行していました。
しかし、私がタクシーで走り抜けたとき、周辺には被災の跡はほとんど見えませんでした。
地盤沈下はあったようですが、ここに津波は来なかったのです。万石浦の“入り口”が
狭いことが理由だそうです。太平洋から石巻湾を経てこの狭い入口から万石浦に入った
津波は、その広い懐で勢いと高さを失った…運転手さんの話ですが、説得力はありました。
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三陸独特のリアス式海岸は、その地理的形状のゆえに津波の高さや速さを増すことになり、
沿岸の町に“想定外”の大きな被害をもたらしました。一方で、この地域一帯のように、
造化の神の“恩恵”をこんな形で受けた場所もあることが分かります。
今回の災害には、原発事故の問題や行政の立ち遅れなど、“人災”と考えざるを得ない点も
多いですが、“人智”の及ばない側面もあることを知りました。
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“女川”の標識が見え始めて間もなく、ハンドルを左に切ったとたん 爆撃を受けた直後の
市街地のような光景が目に入ってきました。 左手の高いところに町立病院がありますが、
その右側、海岸に至る平地がまっ平らになっています。ここでも 突然、色が消えました。
がれきはかなり取り除かれていますが、いくつかのビルが、土台から引き抜かれたように
横倒しにされたままになっています。津波の強さを物語っています。
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病院の駐車場が海抜20メートルだそうですが、その病院の一階は水に浸かったと言います。
そこに上って見下ろすと、波に運ばれた車がビルの屋上に乗っていました。津波の高さが
想像されます。“災害派遣”の横幕をつけた自衛隊の車両やパトカーなどは見えますが、
港を含めて作業する人の姿はそれほど多くはありません。それでも、写真は数枚撮るのが
精いっぱいでした。
港全体を見渡せるこの駐車場には、状況を見に来た人たちが数人いましたが、押し殺した
声しか聞こえてきません。ここで人々が暮らしていた、建物があった、…それを考えると、
言葉は出ないのです。
 
石巻に戻るとき、渋滞が激しいこともあって海に近いところを走ってもらいました。
途中に大きながれきの集積場があり、多くのトラックが出入りしていました。
写真を撮るために車を降りると、悪臭が強烈でした。
ここでも自衛隊の車両が目立ちましたが、今回の10万人体制で道路の整備が早かったと
運転手さんも話していました。ただし、当初から多数の行方不明者がいたため、がれきの
処理に重機が使えないことは大きなネックになったようです。
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港から1キロほどの日和山(ひよりやま)公園に行きました。
海抜56メートルですが、町の様子はよく分かります。女川と同様、東北沿岸部の被害は
まさに“壊滅”としか言いようがありません。
写真を撮っているとき、前に立っていた男性が知人らしい連れの人に話していました。
「私の家は、あそこに見える…」
その淡々とした話し方が、逆に衝撃でした。実際に家を失った人が目の前にいる。
もしかすると家族も?と、思わず手が止まってしまいました。
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…私が見たものは、今回の災害の規模を考えたら、きっと、“氷山のほんの一角”でしょう。
70日以上がたち、復旧が相当に進んでいましたから、本当の災害の姿でもありません。
それでも、いまさらですが、自然の力のすごさに“畏れ”を抱きました。
十数万人の被災者は、これだけ強大な自然の猛威に直面したのです。
その人たちの気持ちはとても想像することができません。
恐怖、絶望、無力感…そんな単純なものではなかったはずです。

大災害発生から80日が経ちました。
政府・自治体の動きは相変わらずのようです。東北の人たちは我慢強いと言いますが、
被災者の皆さんがよく怒りの声を上げないものだと思います。
原発事故による放射能汚染のほうが深刻な福島も同じことでしょう。義捐金の分配、
補償金、仮設住宅、放射線量の設定…すべて立ち遅れているように見えます。

“菅下ろし“の動きを、「そんなことをしている場合じゃないだろう」と、批判する声が
圧倒的ですが、私はそうは思いません。
このままで本当にいいんですか…と問いたいです。これだけの規模の災害に対応するのに
時間がかかることはある程度、仕方がないでしょう。しかし、それにしても、です。
道筋さえなかなか見えてこない状況は“あり得ない”です。性格の問題かもしれませんが、
発生当初から現在まで、一貫して、“温かみ”が感じられないことが腹立たしいです。
首相を初め、閣僚・議員は現地を見ているはずです。この惨状を目にしたとき、人として
何を思ったのかを聞いてみたいです。
被災地の皆さんが大人しいのをいいことに、あまりにも動きが鈍いことに怒りを覚えます。

「政治の空白は避けるべき」「代わりがいない」「誰がやっても同じ」…
分からないではありません。しかし、この総理大臣のもとで復旧・復興作業を進めれば、
時間の経過とともに、目に見えない“2次災害”、“3次災害”が増える気がしてなりません。
「急流で馬を乗り換えるなんて」とい人もいるようです。リンカーンの言葉らしいですね。
この期に及んで、菅をリンカーンになぞらえますか?
リスクはあるでしょう。しかし、馬ごと急流に流されそうになっている今、“2次災害”を
避けるためにも、馬を乗り換えることを選択肢から外す理由が分かりません。

4月27日の記事の最後に書いたことを再録しておきます。

運命…それぞれの立場

いま、このときに自分が総理大臣でいることに運命を感じると菅直人は言った。
いま、このときに菅直人が総理大臣でいることを受け入れなければいけない
被災地の人々の過酷な“運命”を思う。

カルガモ:卵の怪?続々報
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今朝は、また卵がなくなっていました。どうなっているのか全く分かりません。
9時過ぎにオス?が池にいましたが、気にしている雰囲気はありません。
ダミーだから? 当分、一喜一憂が続きます。
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by toruiwa2010 | 2011-05-31 09:50 | 岩佐徹的考察 | Comments(6)
Commented by えそらいろ at 2011-05-31 10:09 x
おはようございます

歴史にたら・ればはないと言いますが、
地震直前の外国人献金問題で、前原さんと同じように
菅さんも辞めていてくれればなぁ、と何度も思いました。
Commented by toruiwa2010 at 2011-05-31 11:07
えそらいろサン、おはようございます。

最近、あまり伝えられませんが、せっかく地震・津波を生き抜いた命が
失われるむなしさがやりきれません。
菅政権に責任なしとしないでしょう。
Commented by ふぇでらーが好きなふぇでらー at 2011-05-31 17:46 x
こんにちは、岩佐さん

今日も現地のレポート、ありがとうございました。

「臭い」の部分、これは今のテレビやラジオでは絶対に伝わりません。津波の襲った現場や、避難所の建物の内部の臭気等、実際に足を運ばないとわからない事ばかりです。

現地で働く警察官や自治体職員は全国から応援でやって来ています。先日、東北道の上り・蓮田SAで熊本県警の車両が10数台休憩をしていました。若い巡査がおられたので声をかけると岩手からの帰りだそうです。このまま陸路で首都高・東名・名神・中国・九州自動車道と1000km以上のキャラバンを組んで帰るのでしょうね。出動時もそうだったんだと思います。

内閣は頼りないです。どの政治かもきっと皆頼りないです。でもこうして働く公務員や民間は頼もしいですね。私も頑張ります。

Commented by toruiwa2010 at 2011-05-31 21:44
ふぇでらーサン、こんばんは。

メディアを通して知る自衛隊や警察の
働きぶりは見事ですね。頭が下がります。
仕事だから当たり前…と、だれがどんな顔をして
言えるかな、と思います。
仕事をしてないやつが多いのですから。
Commented by jerry at 2011-05-31 23:29 x
岩佐さん、とてもわかりやすく、そして生々しい現地レポートありがとうございます。
やはりTVニュースやネットの情報だけでは伝わって来ない事がたくさんあるのでしょうね。

あまりにも悲惨な出来事が、起こってしまった事はどうしよもない事だとしても、そこからの”人災”には怒りを覚えます。

メディアは菅おろしを進める野党、または小沢さんを非難していますが、ここは国民がメディアに煽動される事なく、冷静な判断をして頂きたいと思います。
被災された方が、1日も早く日常の生活(災害以前のようにはいかないかもしれませんが・・・)に戻られます事を心より願います。
そして、国・国民の事を思った政治が出来る政治家が、リーダーとなる国であってほしいと思います。





Commented by toruiwa2010 at 2011-06-01 07:07
jerryさん、おはようございます。

今日、明日にも不信任案が提出されそうですが、
現在の分析では可決されそうにありません。
相変わらず、あの不機嫌な顔を見ながら日々を
送らなければならないかと考えると憂鬱です。ハハハ。
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