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岩佐徹のOFF-MIKE

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凛として「小川の辺」~「アンダルシア:娯楽としてアリ」~            11/07/12

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草創期のテレビは午前10時ごろに放送が始まり、午後2時ごろから夕方までは、放送を
休んでいました。主婦がテレビなど見る時間帯じゃないと判断したのでしょう。今 思えば、
浅はか極まりない話です。ハハハ。
フジテレビで午後3時から「テレビ名画座」の放送が始まったのは1960年10月でした。
東宝、松竹、大映が資本参加してできた会社ですから、古い映画がたくさんありました。
半分は“他に放送するものもないから”という理由でその古い映画を放送したのです。
68年4月に主婦向けのワイドショー「3時のあなた」が始まるまで続きました。

大株主ではあっても、当初、テレビで放送することに映画界には反対の空気がありました。
フィルムとテレビ画面のサイズが合わないため、映像に手が加えられることや、放送枠や
コマーシャルに合わせて作品が中断、あるいはカットされることに監督が抵抗したのです。
当時の映画関係者にはまだテレビを軽く見る傾向があった時代の話です。

やがて、映画はテレビの“ドル箱”になって行きます。少し前の作品であっても話題作を
ゴールデンで放送すると高い視聴率を稼ぎました。映画の放映権獲得競争が激しくなり、
当然、権料もうなぎのぼりでした。
テレビは、それならいっそ、自分たちで映画を作ってしまおうと発想します。ハハハ。
私の記憶では、先陣を切ったのはフジテレビです。これも記憶では、60年代の終わりの
「御用金」(監督:五社英雄)が第1作ですが、Wikipediaを見ると、1983年に公開された
「南極物語」(監督:蔵原惟繕)が本格的映画制作の1本目ということになっています。
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爆発的な大ヒットになりました。
いつも思うことですが、フジテレビは伝統的にイベントなどのプロモーションがうまく、
興行成績を上げることに成功しています。
“現役”のときはなかなか見る機会がなく、社員でありながら、初めて見たのは、たぶん
「海猿 ウミザル」だったと思います。
海猿シリーズはなかなかいい出来だと思うほか「容疑者 室井慎次」「交渉人 真下正義」
「HERO」が85点、同じ85点ですが、フジテレビ制作作品の中では「劒岳 点の記」が
最高でしょうか。ちなみに「大捜査線」関連はいずれも感心しませんでした。ハハハ。

「アンダルシア」85

スペインの北、アンドラで邦人が殺害された。
パリにいた黒田康作(織田裕二)が現地に駆けつけると、インターポールの捜査官、神足誠
(伊藤英明)が、第一発見者の新藤結花(黒木メイサ)から事情を聴取をしていた。
彼は警視庁で内部告発をしてインターポールに飛ばされた刑事だった。
得体の知れぬ襲撃を受ける結花を守るため、黒田は彼女をスペインに連れて行く。

結花が働く銀行のマネー・ロンダリング疑惑が事件の裏にあり、殺されたのが警視総監の
息子だったことも絡んで、話はもつれて行く…
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「アマルフィ」もそうでしたが、オール海外ロケの映像が見事です。登場する俳優たちが
みな“カッコいい”連中で背景に負けていないのがいいです。ハハハ。
特に、今回は織田よりも伊藤英明が光っていました。

こういう作品はまともに論じてみても始まりません。エンタテインメントとして成立して
いるのですから、85点をつけます。ただし、「見るべきです」とか「お勧めします」とか、
言うつもりはありません。見たかったら見る。時間があれば見る。それでいいでしょう。
1800円分は楽しめると思います。…たぶん。

突っ込みどころは幾つもありますが、中でも福山雅治は現地にいる必要があったのかと…
黒田が情報をもらうだけなら、電話かファックスで十分でしょうに。
バルセロナ見物のために福山を…? まさか。ハハハ。


「あぜ道のダンディ」80

田舎町の田んぼの中を自転車が走る。乗っているのは宮田淳一(光石研)だ。
自分を競走馬になぞらえて実況しながらひた走っていた。
妻をがんで失い、一人で育てた子供は、浪人中の19歳の息子と一つ年下で高校生の娘…
この春、同時に大学受験を迎えようとしていた。
年頃の子どもたちとの間に会話はない。配送トラックの運転手をしている宮田の楽しみは、
仕事帰りに中学からの親友・真田と酒を飲むことだけだった。プリクラが何か分からず、
子供たちが受ける大学が私立かどうかも知らない、ただの“おじさん”だった。

それでも、宮田は心に決めていた。子供の前ではカッコよくいようと…

小品ですが、なかなか面白いです。特に後半がよかったと思います。


「小川の辺」 85

江戸から一人の男が海坂藩(うなさかはん)に戻った。使命を果たさぬまま病を得て。
男の使命は、藩主の失政を批判して脱藩した佐久間森衛(さくまもりえ:片岡愛之助)を
討つことだった。新たな討手として戌井朔之助(いぬいさくのすけ:東山紀之)に白羽の
矢が立った。佐久間の剣の腕前を考えると彼以上の適任者はいないのだ。
引き受けざるを得ない朔之助だったが、本心を言えば断りたい役目だった。それは
ともに脱藩した佐久間の妻が妹の田鶴(たづ:菊池凛子)だったからだ。

朔之助は奉公人の新蔵(勝地涼)とともに海坂を旅立った。雪が残る月山をあとに…
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若いころから、時代小説はあまり読まなかったのですが、唯一の例外が藤沢周平でした。
彼の小説に出てくる男は決して位の高い武士ではありません。どちらかと言えば平凡な
下級武士を登場させることが多いですが、藤沢の目はいつも優しく彼らにそそがれます。
武士の本分を守り、“侍の魂”を大事にする彼らをていねいに描いて人物像を浮かび
上がらせます。ほかの作家が書く多くの物語に登場する名のある武将には感じませんが、
藤沢周平が書く侍たちにはリアリティがあり、そこが大好きです。

作品の感想として、第一に挙げたいのは、映像の美しさです。
計算されたカメラ・アングルで、どのカットも絵画のようです。おそらく、多くの人は
気づかなかったでしょうが、朝もやの中の旅立ちのシーンが心に残りました。
“上意討ち”というまことに重い役目を背負って長い旅に出る夫の後ろ姿に、妻は黙って
頭を下げるしかありません。

東山はこれまで見た作品の中では一番よかったです。
親友であり、妹の夫でもある男を討つ…悩み苦しんでもおかしくない使命にもかかわらず、
朔之助の心はいっさいぶれません。雑念を排し、毅然として使命を果たそうとする男に
東山は見事に“はまって”いました。

いかにも剣の達人らしい、鍛え上げた肉体、きびきびとした動き、凛とした顔…たぶん、
藤沢が理想とする侍像に非常に近いのではないかと思います。
しかし、制作陣はなぜ、田鶴役に菊池凛子を選んだのでしょうか?理解できません。
“女性ながら、かなりの剣の使い手”という役なので彼女になったのかもしれませんが、
完全に失敗です。なんというキャスティングでしょうか?
なんの恨みもありませんが、彼女が登場した瞬間に藤沢周平の世界が壊れました。
ハハハ。

作品を見た日の夕刊に広告が出ていました。「各界から絶賛の声!」が寄せられていると。

王貞治「古来から日本人が持っていた家族への思い、友情、
    日本人としての矜持といったものを思い出させる作品です(後略)」

壇ふみ「こういう映画が丁寧に作られていること…それは、
    今の日本にとっての“希望”のように思われました」

みのもんた「国難とも言えるこの時、心をひとつにして
    前を向いて歩こう。人は如何に生きるべきか、
    日本人全員に観てほしい」


…王のコメントはまともです。
しかし、あとの二人の“絶賛の声”を読んだときは、「違う作品の話かな」と思いました。
みののコメントなどは、なにトンチンカンなことを言っているのだろうとあきれました。
そんな映画じゃありません。どうせ本人が書いたものではないでしょうがねえ。ハハハ。

こんなコメントに関係なく、最近の時代劇としてはレベルが高いですから、お好きな方は
出かけられるといいと思います。


「わたしを離さないで」75

こぎれいな制服に身を包んだキャシー、ルース、トミーが学ぶ学校は、一見、イギリスに
よくある伝統的な寄宿学校のようだった。しかし、彼らの前途に待ち受ける“運命”は
想像を超える過酷なものだった。
彼らは、どこかにいる“オリジナル”から作られた“クローン”であって、その使命は
時期が来たら臓器を提供することである。

キャシーはトミーにほのかな恋心を抱くが、積極的なルースに奪われ、彼女の手元には
トミーにもらった1本のカセット・テープが残った。寂しいと思ったとき、キャシーは
そのテープをかける。曲名は“Never Let Me Go”、わたしを離さないで…

カズオ・イシグロの原作はつい先日、松本龍復興担当相が話していたものです。
映画は“リスト”に入れていたのに、いつの間にか上映が終わっていました。
近くの下高井戸シネマでやっていると知って駆け付けました。灯台もと暗し。ハハハ。

…やはり、コンセプトが私には“無理”でした。
3回か4回の臓器提供が終わると彼らの人生も終わります。それをcompleteと呼びますが、
不条理きわまりない宿命から逃げ出す努力もせずに、淡々と受け入れる青年男女たち…
そんな“荒唐無稽”な設定で人間の生や死を語られても困ります。ハハハ。

勧めてくださった方へ。
もともと見たいと思っていたのですから、責任を感じていただく必要はありません。

85 アンダルシア オール海外ロケの成功 “娯楽”として十分楽しめた点を評価する
75 わたしを離さないで 臓器提供のためのクローンという“設定”が無理すぎて…
80 あぜ道のダンディ カッコよくありたいと願う父親の思いは子供に通じるのか
85 小川の辺 映像美が見事 東山が周平の世界を体現している 菊池凛子がぶち壊し
80 海洋天堂 自閉症の息子の行く末を案じる父の心情が切ない …あまりにも切ない

今週は久々にDVDで映画を見ました。

「チェンバー」 90
死刑囚の祖父を救うために奔走する若い弁護士の物語です。
チェンバーはガスで死刑を執行するための部屋のことです。
ジョン・グリシャムの原作が面白いのですが、映画も非常に完成度が高いと思います。
テレビの小さな画面で見ても十分楽しめました。
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執行のときが迫る中でもプライドを失うことのない死刑囚を演じたジーン・ハックマンが
絶品でした。当時、アカデミー賞の候補にもならなかったようですが、おかしいです。
選考委員の目は節穴かと言いたいです。ハハハ。

「愛の選択」85
白血病の青年と彼の面倒をみるために雇われた若い女性…2人の間にやがて愛が
生まれるという平凡な物語で、普通なら80点どまりですが、ジュリア・ロバーツなので。
ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-07-12 09:51 | 映画が好き | Comments(4)
Commented by colfaxcove at 2011-07-12 11:15 x
ありゃ・・・残念。
「わたしを離さないで」をお勧めした者です。
岩佐さん評を楽しみにしていましたが・・・いまひとつでしたか・・・
SFなんだけど時代が過去で、もしかしたらどこかの国で実際に行われているのでは???と、ぞっとする映画だったんですが・・・
「チェンバー」はおもしろそうですね。 レンタルですか?
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-12 11:55
colfaxcoveさん、こんにちは。

予告編をボーっとみていたので
SFとは思わず、見たいと思ってしまったのが
失敗でした。SF,ホラー、アニメ…NGです。

チャンバーはWOWOWで収録したものを見ました。
1年ぐらい前です。お勧めします。
Commented by はまっこ at 2011-07-15 11:17 x
岩佐さん お久しぶりです
私も「わたしを離さないで」を見ました。それなりに面白く見たんですが
松本龍の発言を聞いて ん?と思いました。
単純に考えれば、自分は犠牲になったって言いたいのかなと思いましたが
それじゃあ、あんまり簡単すぎますよね
(自分は単純な人間だから…と言っていたのだから
 単純に考えた方がいいのか ^_^;)
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-15 11:35
はまっこサン、こんにちは。
松本ドラゴンは「軽い躁状態」という記事を
どこかで見かけまっしたが、心のバランスを
失っての発言だったのかも。

解釈はそれぞれでいいと思いますよ。
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