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岩佐徹のOFF-MIKE

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「“心の病”がアナを襲う!~プロセスが想像できる~」11/07/19

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NHK時代は「ジェスチャー」の名司会者として鳴らし、フジテレビに引き抜かれてからは
奥様向けの朝のワイドショーを仕切った小川宏さんは超有名なアナでした。日本放送史に
名前が残るアナウンサーの一人です。しっかり準備をしたことがよく分かる、いかにも、
NHKのアナらしい、きちっとした仕事ぶりでした。時代の空気ともうまくマッチしたのが
アナウンサーとして成功した秘密だったと思います。

俳優・高島忠夫さんは大きな体に柔らかな笑顔で映画やドラマに登場する一方、優しい
語り口で映画の解説をしたり、奥さんの寿美花代さんと料理番組に出たりして、やはり、
幅広い人気を持つ人でした。

小川さんは20年近く、高島さんも10年以上、元気な姿を見ていません。たまにテレビで
見かけるときは、本人か家族が“ウツ”についての経験を語っていることが多いです。
“語弊”があるかもしれませんが、痛々しく、こちらも辛くて、見ることはできません。

全国に、アナウンサーや俳優を職業とする人は数千人単位でいると思います。確率的にも
“心の病”を背負いこむ気の毒な人がいてもおかしいことではありません。

1960年代、私の後輩にもいました。同じ“カテゴリ”のアナを目指しながら、なかなか
チャンスに恵まれず、むしろ、後輩に先を越され、さぞかし、もんもんとしていた時期が
あったのでしょう。ようやく、望んでいた仕事が回ってきたとき、高揚ぶりは誰の目にも
明らかでした。これまで蓄えてきた経験や知識を生かすチャンスを得たことで、自分でも
コントロールできないほど気持ちが高ぶってしまったようです。
そのとき、すでに精神のバランスが崩れていたのかもしれません。“躁”状態でした。

…彼の場合は悲しい結末になりました。
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小川さんや高島さんはご本人も周囲も認める“ウツ病”でした。
2人が華やかなスポットライトを浴びる舞台から降りた直後に始まったように見えました。
心の動きが分かるような気がします。
私のようなものでさえ、ある程度の年齢になってからは、将来への不安がありましたから。
フジテレビで、自分から希望してアナウンサーを辞めたとき、本人的には納得していた
つもりですが、横で見ていると、やはり、普段とは様子が違っていて「心配だった」と
妻がポロっと言ったことがあります。
夢を追って入った仕事です。毎日 変化があって、とても“刺激”の強い仕事です。
最終的にWOWOWで“マイクを置こう”と考え始めたとき、「この刺激から離れたら、
いったいどうなるのだろうと」自分でも心配したものです。

さいわい、私の場合は深刻な事態に至ることはありませんでしたが、同業の先輩・後輩で
ウツ病になった人はかなりいるようです。自ら死を選択したケースもあります。
当然 さまざまな要素が重なっているのでしょうが、番組がなくなる、出番が減って行く…
その寂しさは大きいのでしょう。他人の想像をはるかに超えていると思われます。
「こんなはずじゃない」という思いは日を追って強くなるはずです。
それは、活躍ぶりが華やかだった人ほど強いのかもしれません。

成功者が“その後”にウツになるのとは別に、重圧に負けるというケースもあるでしょう。
与えられた仕事がこなせない。期待されているレベルに達していないという自覚がある。
起用された新しい仕事に自分の能力で対応できるか自信がない。周囲からのイジメ…
どんな仕事をしていても似たような悩みはあるでしょう。しかし、アナウンサーの場合は
プロデューサー・ディレクター、上司、同僚のほかに、“視聴者”という 目には見えない
存在からの批判にもさらされますから、厄介です。
まともな批判なら耐えられても、2chなど、“匿名性”を隠れ蓑にしたコメントの中には
“人格の否定”にまで及ぶものがありますから、並みの神経ではもたなくなるのです。

「松本和也アナウンサーに代わって司会をいたします徳田章です」
…17日の「のど自慢」の冒頭で徳田アナがそう言っていました。1週前の10日の放送でも
司会を交代していましたが、こういう言い方はしなかったようです。
松本アナは 司会することになっていた新番組「セカイでニホンGO!」(14日スタート)も
降板しています。

ネットのニュース・サイトで、松本アナが新番組のテスト収録を取りやめ、発表会見も
中止されたと伝えたとき、「原因は“体調不良”で、病名は不明」となっていました。
この時点で“心の病”が理由であることは十分 推察できました。
数日後にNHK広報局は交代の理由について「多忙によるストレスで、心身のバランスを
崩したため」と説明したようです。

はじめから真相を発表するのが理想ですが、遅れたとはいえ、この時点で公表したことは
よかったと思います。隠せば隠すほど、無用の憶測を呼び、本人だけでなく家族、友人、
関係者まで巻き込んで、さまざまな誹謗中傷が飛び交うことになるのですから。

「英語でしゃべらナイト」に出演していたころはよく見ていました。
多くのNHKアナを“楷書”とするなら、彼は“行書”と呼びたい仕事のやり方でした。
“きちんと”、“きれいに”話すことよりも、自分をさらけ出して行くタイプです。
うっかりすると、先輩・三宅民夫アナの“亜流”に見られそうですが、NHKには珍しい、
バラエティがこなせるタイプですから重宝されたのだろうと思います。

「のど自慢」の担当になって1年3ヶ月、前任者(徳田アナ)との比較も耳に届いたでしょう。
放送する街の下調べなどで多忙の中、リフレッシュの時間がなくなったかもしれません。
しかも、新番組への起用が決まる…上司や関係者が彼の仕事量の調整に失敗したという
話も聞きます。少しずつ、少しずつ、ストレスがたまって行ったのでしょう。
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何度も書いていますが、アナウンサーになろうと思う人間は、“程度”の差こそあっても、
みな“自意識過剰”の傾向があり“自己顕示欲”が強いのです。むしろ、それがなければ
成功しないのではないでしょうか。ただし、神経の太さは人それぞれです。
それだけに、うまくいかなくなったときに精神のバランスを取ることは普通の職業よりも
難しいかもしれません。

松本アナは、きっと、まじめな性格の人なのでしょう。
番組の中で“失敗”があったとは聞いていません。それが何よりです。
名前も顔も知られているだけに大変でしょうが、早く戻ろうと焦らないことが大事です。
早い段階で病気に気づき、本人も周囲も認めたうえで療養に入ったのは“不幸中の幸い”
だったと思います。

志半ばで“戦列”を離れ、無念の思いは強いと思います。同情を禁じえません。
いまは、“傷んだ心”を癒すことに専念してほしいです。同じような病に見舞われながら、
克服してマイクの前に戻ったアナは何人もいるのですから。

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by toruiwa2010 | 2011-07-19 09:54 | アナウンサー・実況 | Comments(5)
Commented by ふぇでらーが好きなふぇでらー at 2011-07-19 14:38 x
自分の業界やクライアントの方や、そして友人・知人・家族に。同じ病で苦しむ人を知っています。

最近では、「社会的に認められた病」として「ウツ」はポピュラーになりましたが、昔は「ただの怠け者」と見られた節も多かったようですね。

松本アナウンサーのよっくりで良いですが現場復帰を期待します。
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-19 14:47
ふぇでらーサン、こんにちは。

NHKで中堅として将来を嘱望されていたようですから、
挫折感も強いことでしょう。
すっかり、元の仕事に戻ろうとしないことが大事です。
それでは、負担が重すぎて再発しかねません。
過去の栄光は捨てて、地味でいいですから、自分の
好きな仕事を楽しみながらやることを考えるべきです。
それも、かなり先の話になるでしょうが。
Commented by ふぇでらーが好きなふぇでらー at 2011-07-19 18:08 x
打ち間違い、失礼致しました。

「よっくり」=「ゆっくり」です。はははっ!こういう事を気にし出すと危ないのかな・・・失礼致しました。

個人的には「NHK」ほど地味な世界は無いのではないかとも思っていましたが、体質が杓子定規で融通が利かなかったのでしょうか。
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-19 18:47
ふぇでらーサン、打ち間違いは私もしょっちゅうです。

NHKの体質…部外者ですから推測でしかありませんが
“官僚的”何だろうと思います。減点法です。いかに失点を
防ぐかがポイント…ハハハ。
Commented by ひろ☆はっぴ at 2011-07-20 10:22 x
灘中、灘高、そして京大。関西では最強のエリートコースを歩んで来た一方で、一日中ビートルズの特集というFMラジオの番組を自ら志願して担当したという松本アナ。好きな仕事だから続けられる、しかしそれゆえに心身を痛めてしまう…。大変な仕事だということが、よくわかりました。

松本アナの復帰を祈ります。NHKにあって民放に無いもの、転勤して環境を変えてみてはどうでしょう。関西に帰ってきたらいいんじゃないかとも思いますbyひろ☆はっぴ
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