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岩佐徹のOFF-MIKE

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「選手の胸にピンマイク!~球宴に見たMLBならではの…~」 11/07/21

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(1979年)10月8日、ボルチモアに乗り込んだ。
ムクドリたち(Orioles)のホームタウンは完全に“Series Fever”だった。
小さな街で、ダウン・タウンには3,000人分の客室しかないというのに、シリーズ中は
1万人ぐらいの旅行者が訪れるのだから、ホテル事情は最悪だった。
私たちも、いつものヒルトン・ホテルには泊まれず、郊外のヒルトン・インに回されたが、
ここも人があふれていた。

人ごみの中に大リーグ側の窓口になっているベラフォンテがいた。
記録ビデオの制作のために来ているのだが、彼らは監督に小さなマイクをつけてもらい、
ベンチ内の会話や抗議の際のやりとりなどの収録に成功したこともある。
今回も両監督に頼んだようだが、「オリオールズのウィーバーには断られたのでパーマーに
頼んでいる」と言う。監督に断られ、その監督とは長い間犬猿の仲で、作戦批判なども
平気で言ってのけるエースに“代役”を頼むとはいい根性と言わねばなるまい。
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…自費出版本「WOWOWの岩佐ですが なにか?」に書いた一節を思い出したきっかけは
先日のオールスター・ゲームでした。ほかのことをしているときに、アナウンサーでも
解説者でもない、普通の話し方の音声が聞こえたのでテレビに目を向けると、ランナーに
笑顔を向けている1塁手・カダイヤーの胸にピンマイクが見えたのです。気づくのが遅れ、
会話の内容は聞き逃してしまいました。
何気なく耳に入った会話を日本語に置き換えられるほどの英語力はありません。ハハハ。
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カダイヤーはその回から守備についたようですが、その後 初めての打席が回ってきたとき、
主審に“How you doin’?”「どうだい」と話しかける声はシッカリ聞こえました。

もう一人、8回のマウンドに呼ばれたパドレスのベルはなぜか途中から全速力疾走でした。
ウォームアップが始まると激しい息遣いが聞こえました。彼の胸にもピンマイクが付いて
いたのです。面白がったスタッフがマイクをオンにし続けましたから、ベルの“鼻息”は
そのままテレビから流れていました。ハハハ。
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もしかすると、球宴の中継全体が“純ナマ”ではなかったかもしれません。
アスリートたちは平気で“f**k”や“s**t”といった放送禁止用語を口にしますから、
いつでも、音声をストップできるように“数秒のディレイ”だった可能性はあります。
delay machine で遅らせるのです。
子供もたくさん見ていますから、テレビ局としてはリスクを避けなければいけません。

アメリカの野球中継では、試合中の監督にマイクをつけさせて放送席から話を聞く場面が
よく見られるようになりました。少なくとも90年代前半までは考えられなかったことです。
ただし、冒頭に書いた通り、ワールド・シリーズを戦っている監督にさえ、ピンマイクを
つけさせてしまうのがアメリカのテレビです。ハハハ。

もっとも、これは生で放送に乗ることはありませんでした。
いまは、NHKで放送されているようですが、メジャーの1週間をダイジェストした番組、
“This Week In Baseball”の中で流されたのです。
野手がマウンドに集まると、1分もしないうちに主審がきて声をかけますね。TWIBを見て
多くの主審が“Well, gentlemen…”(「さて、諸君…」)と言っているのが分かりました。

TWIBを作ったのはJoseph Reichler でした。“商売上手”という印象が強い男でした。
選手の年度別成績はネット上にたくさん見られる時代になりましたが、20年ぐらい前まで、
私たちの頼みの綱は各チームのガイドブックを除くとBaseball Encyclopediaでした。
ライクラーは、このエンサイクロペディアの権利にもかかわっているようです。


受像機を“作る”ことについてはすでにあきらめたように見えますが(ハハハ)、あくまで
アメリカはテレビの“先進国”ですから、放送の仕組みやテクニックについては一歩先を
行っているところを見せてくれます。まあ、さすがに、公式戦の試合中に監督や選手が
ピンマイクをつける時代は来ないでしょうが。ハハハ。

最近は、日本の球場もファンを喜ばせるための様々な工夫を凝らしているようです。
一度でもメジャーを現地で見ると、たちまちはまってしまいます。日本プロ野球との
違いもいろいろ目につき、それが楽しかったりします。
そのあたりを来週書く予定ですが、今日は、ひとつだけ…
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           7/16 Rockies vs Brewers @Coor's Field***
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球場に行ったら、ピッチャーとバッターだけに目を向けないで、たまには ベースコーチに
注目してみましょう。日本のコーチたちとくらべると、立っている位置が大きく違います。
規則には「常にコーチスボックス内にとどまること」と書かれています。規則通りに立つ
日本のコーチに対して、MLBではとんでもないところに立っていることが多いです。
規則をよく読むと【原注】のところに「…コーチは、打球が自分を通過するまでコーチス
ボックスを出て本塁寄り、およびフェア地域寄りに立っていてはならない。
ただし、相手チームの監督が異議を申し出ない限り、コーチスボックスの外に出ている
ものとはみなされない」とあります。

…つまり、MLBでは相手のコーチが立つ位置についてクレームをつけることはないんだ。
それにしても、「異議がなければ“出ていないものとみなす”」って。
しかも、その通りに“運用する”MLBとあくまで“生真面目な”NPB。ハハハ。

***撮影は当ブログのアメリカ西部地区責任者、koji1989さんです。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-07-21 10:02 | メジャー&野球全般 | Comments(4)
Commented by ひろ☆はっぴ at 2011-07-21 10:55 x
 日本ではオープン戦での「余興」としての扱いでしかないですね。亡くなられた仰木彬氏がオリックス・ブルーウェーブの監督に就任した最初の年に、ピンマイクを付けて声を放送に乗せたことがありました。放送したのは阪急以来縁の深い関テレでした。まだイチローは鈴木一朗から名前を変えたばかりで、210安打でブレイクするのはこのシーズンの秋です。唯一の名の知れた存在はパンチ佐藤のみ。そのパンチがデッドボールを受けバッターボックスに倒れこみ、すわ一大事か…と思った瞬間に起き上がって一塁へダッシュ。このときの仰木監督の大笑いがしっかり放送されました。サービス精神たっぷりの仰木さんに楽しませてもらった一コマでしたbyひろ☆はっぴ
Commented by akapon at 2011-07-21 17:02 x
岩佐さん、こんにちは。

以前、アメリカでの生放送には”6秒ディレイ”なるものが存在すると
読んだことがありましたが、マイクを付けていても思わず放送禁止用語
を叫んだりする事は想像できますよね。危ないリスクは自ら避けると。

コーチスボックスの立ち位置については不思議に思っていましたが
勉強になりました。感謝です。
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-21 18:01
akaponさん、こんばんは。
秒数はいろいろだと思います。

私がラジオのインタビューを受けた時も
テープレコーダー“経由“で遅らせてました。
Commented by ふぇでらーが好きなふぇでらー at 2011-07-22 01:26 x
岩佐さん、こんばんわ。

「異議がなければ“出ていないものとみなす”」の件にアメリカ的な民主主義一部を感じました。なるほどなって。国民性の違いですね。

昔たまたまLAへ出張した時に、相手方の会社の人がドジャースの試合に誘ってくれました。幸いな事に、その試合が野茂の最初の勝利になった試合でしたが、途中ジャッジがきわどく、ドジャースファンが総立ちで「ブーイング」を審判に浴びせ始めゲームが滞った時、ラソーダ監督が「分かった。君たちの気持ちを審判に伝えよう!」って感じで審判に詰め寄りましたが結局ジャッジは覆りませんでしたが、観客は「監督が俺達の気持ちを代弁した=代議士」みたいな扱いで納得して事が拍手で収まったのが気持ちよかったです。ここでも民主主義の国=アメリカを感じました。

アメリカのスポーツって、そんな事を感じさせてくれますね。 
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