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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives「2004 Olympicsの思い出~体操の“誤審”をめぐって~」11/07/30

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2012ロンドン・オリンピックまで残り1年を切りました。
来年の今頃はテレビにくぎ付けになっていることでしょう。
いい種目の決勝などは時差的には厳しい時間帯になりそうですが、
頼みの綱はアメリカのテレビです。
放映権料として大金を投じているだけに、アメリカ東部のゴールデン・
タイムに合わせた日程を組織委員会に求める可能性が大です。
…そうなれば、日本では“午前中”ですから、私のような老人には
願ってもない時間です。サラリーマンはお気の毒ですが。ハハハ。

「ああ、オリンピック」(2004.08.26)


音楽、絵画、文学…どんな分野であっても、芸術に触れたときの人の反応はさまざまです。
人が見たもの、聞いたものを評価するとき、最終的な物差しは“好み”だからでしょう。
前回のコラム、「気持いいッ!」も、その意味では、評価が大きく分かれたようです。
                       (http://bit.ly/oE1RAN)
刈屋アナの男子体操・団体の実況について「黙ったほうがいいのに。しゃべりすぎだ」と
書いているときに、「これは、物議をかもすかもしれないなあ」と思っていたのですが、
そんなこともありませんでした。ハハハ。
賑わうかなと思った当HPの掲示板にもほとんど書き込みはなく、少々拍子抜けでした。
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日刊スポーツが2ページ見開きで賞賛していたのをはじめ 世間では名実況と判断する人が
多かったようです。一方で、私が話をした放送人は、アナウンサーも、ディレクターも
おおむね私の意見に賛成でした。どちらの考え方も分かります。放送関係者は、自分が
かかわっていない番組でさえ、どうしてもプロとしての視点で見てしまいます。
カメラワーク、スイッチング(画面の切り替え)、実況、実況とノイズのバランスなどが
気になって仕方がないのです。
そういう視点で見ると、あの実況は、程度の差こそあれ、気になるのです。
ところが、一般の視聴者は、画面に集中し、実況・解説はそのBGとして耳に入るために、
それほど気にならず、むしろ「盛り上がってよかった」と感じたのではないでしょうか?

それにしても、オリンピック。
全米オープン・テニスにそなえて、あまり夜更かしをしないようにと心がけ、午前0時を
リミットにしていましたから、熱心な視聴者とはいえないでしょう。
全体の印象は「オリンピックは美しい」でした。
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開会式で入場を終えた選手団が無意識に作り出した、高名画家のパレットのような、色の
散らばり方、日本選手に限らず、柔道で「一本」が決まるときの技のキレ、体操選手が
見せる人体の極限のフォルム。世界の一流選手たちの鍛え上げられた肉体の持つ美しさは、
人工的な美を寄せ付けません。射撃での各選手の集中した表情の美しさや、普段は見ない
カヌー競技でさえ、見事にそろったブレードが水を掻くスロー・ビデオにしばし見とれて
しまいました。

1 Paul Hamm(USA)   57.823
2 Kim Dae-eun(KOR)   57.811
3 Yang Tae-young(KOR) 57.774  ***

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男子体操・個人総合の最終順位です。
しかし、韓国の猛烈な抗議によって大もめにもめていますね。このことについて日本の
マスコミが詳しく伝えたかどうかよく分からないのですが、成田で読んだアメリカの新聞、
USA TODAYになかなか面白い記事があったので触れておきます。

体操競技では、選手は演技の中にどんな技を入れるか事前に届けます。その内容によって、
減点がない場合の点数が決まります。採点は その点数、つまり「満点」からミスに応じて
減点する形で行われるのです。
銅メダルに終わったYang Tae-youngの演技のときに問題が起きました。
そのときには気づきませんでしたが、彼の演技は「9.9満点」で採点され、出された点数は
「9.712」でした。

ところが、のちに、これは「10点満点」で採点されるべきだったことが分かりました。
その場合、彼の得点は「9.812」です。トータルは「57.874」となり、銅メダルどころか、
Hammを抜いて堂々の金メダルだったはずなのです!
韓国の体操チームはもちろんアピールをしていますが、これを書いている時点では結論は
出ていません。アメリカ側などからは、Yang Tae-youngにも金メダルを授与したらという
“妥協案”が出されています。

ソルトレーク・シティーの冬季オリンピックで、フランス人のジャッジが不公正な採点を
したために、IOCが 2位だったカナダのペアに“second gold medal”を贈ったのは記憶に
新しいところです。このときは「ジャッジに対して“工作”があったから」という理由が
つけられていましたが、今度のケースは違うのだそうです。
つまり、「ジャッジの採点は最終的なもの」とする世界体操連盟の規約が優先し、IOCなど、
第三者が立ち入る余地はないのです。
アメリカにも、「Hammは金メダルを返上すべきだ」とする意見があるようです。しかし、
本人は「僕は個人総合チャンピオンだと思ってる。今の時点で返上するつもりはないが、
連盟が返上すべきだと決定すればそうするつもりはある」と語っています。
彼の母親は「ポールは何も悪いことはしていないのだから、返上すべきではない。
あらゆるスポーツで、ジャッジの判定は最終的なものではないか」と訴えています。
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この出来事に、USA TODAY紙の女性記者、Christine Brennanが含蓄のあるコメントを
書いていました。
彼女によると、Hammにとってこれは“一世一代のチャンス”なのだそうです。
「聖火が消え、9月になって、フットボール・シーズンが始まったら、誰がオリンピックで
メダルを取ったかなんて覚えてはいないでしょう。彼は、せいぜい『もめた金メダリスト』
として記憶されるだけでしょう。いま、『それが正しいことだから』と言って金メダルを
返上すれば、そのスポーツマンシップと名誉は世界中から賞賛されることでしょう。
しかも、そのことで失うものは何もありません。一個の金メダルをギブアップすることで、
単に体操の金メダリストではなく、世界中のスポーツマンのお手本になるのです。
フェルプスなんて問題じゃなくなってしまうのです」

…かなりユニークな意見ですよね?
仮に、北島の「泳法違反」とかが、もっと具体的な証拠を伴ったもので、雲行きが怪しく
なったとして、日本のメディアの中に「北島は金メダルを返上すべきだ」と、思い切った
記事を書ける記者がいるでしょうか? いないだろうなあ。ハハハ。

日本中を睡眠不足に陥らせ、経済活動にも多大の影響をもたらしているオリンピック。
井上康生の父親に土下座させ、15歳の福原愛ちゃんに「メダルが取れなくてごめんなさい」
と言わせてしまうオリンピック。確かに、「魔物が棲む」といわれるだけのことはあります。

しかし、“敗者までが美しい”のはオリンピックだけでしょう。私が、この4年に一度の
スポーツの祭典に強く惹きつけられる理由も、その一点にあるような気がします。
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先週の土曜日に、サッカーやテニスで一緒に仕事をしてきたウッド・オフィスの仲間が、
ギャラクシー月間賞のお祝いをしてくれました。
4ヶ月ほど、誰からもまったく“お座敷”がかからなかったのに、木曜日から3日連続の
怪挙?でした。ハハハ。
気心が知れたもの同士の宴は、思い出話や、オリンピックの話題が尽きることなく大いに
盛り上がり、全米に向けて“元気”をもらいました。ありがとう!

***Yang Tae-youngに“不幸”はそのまま確定しました。
フィギュアの採点がおかしい…と個人が思うのとは違って、完全に
審判のミスですから気の毒ですね。
韓国のオリンピック委員会はスポーツ仲裁裁判所に提訴しましたが、
却下されています。同委員会はYang への支持の意思を表すため、
メダル(ゴールド!)と、金メダリストと同額の20000ドルを贈り、
その労をねぎらったそうです。


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by toruiwa2010 | 2011-07-30 08:20 | スポーツ全般 | Comments(2)
Commented by shin555 at 2011-07-30 12:21 x
Brennanさんが言われていたとおり、忘れていました(^_^;)
今更ながら思うのですが
当事者のコメントには競技やゲームに対する思いがこもっていて深いですね。
状況は違いますがガララーガの一件を思い出しました。
Commented by toruiwa2010 at 2011-07-30 13:12
shin555さん、こんにちは。

まあ、誰が考えたって、時間がたてば
第三者は忘れるでしょうけどね。ハハハ。
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