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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives「実況アナへの注文~自分のことは棚に上げて~」 11/08/06

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独特の、紙のにおいがたまりませんでした。
“それなりに”苦労して書いた原稿が形になったのです。
2002年11月4日でした。
WOWOWに届けられた本の山を目にしたときの感動は
忘れることがありません。

「絶対、本を書くべきですよ」という後輩の言葉に背中を
押されるように、スポーツ・アナとしての自分を振り返る
原稿を書き始めたのは前年の6月、全仏オープンの出張を
終えたあとでしたから、1年半近くかかったことになります。

出版社を探す努力もしませんでしたから、500冊限定の
自費出版になりました。
タイトルは「WOWOWの岩佐ですが なにか?」…ハハハ。

視聴者には抽選で差し上げたのですが、外れた方の中から、
残念と言う声が届いていました。
2003年に始めたHPのコンテンツに「MY BOOK」として
全文を再録しました。
途中、知る人ぞ知る“ハプニング”があって中断しましたが、
これも1年半近くかかってようやく完了しました。


「棚の上の自分」2004.09.20


タイトルの意味は、「自分のことは棚に上げて」です。念のため。ハハハ。

ちょうど「リーガ・ゲッツ」のころ、「MY BOOK」の更新が“デンジャラス・ゾーン”に
さしかかっていました。そこで、無用の摩擦は避けようとアップを中断しました。
自伝的な部分や「アナウンス論」などは、賛否があってもそれなりに読んでいただけると
思ったのですが、「テレビで人気のアナたち」で取り上げている方たちには固有のファンが
いらっしゃいますからね。
「少し、“トーンダウン”させておこうか」と考えないでもなかったのですが、それでは、
そもそもこの本を書いた意味がなくなってしまいますのでやめにしたのです。
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本を書き始めた当初は、必ず出版社が見つかると思っていましたから、書店に並ぶことを
想定していました。「でも、本音は隠さないように書こう」と考えていました。
とは言え、残念ながら自費出版になったときに「プライベートなものなら、もっと激辛に
しようか」とも思いませんでした。「もともとの文章」を知っているのは自分だけですが、
だからといって、状況しだいで中身を替えるのはフェアではないと考えたのです。
その流れで行けば、HPに再録するときも、「オリジナルのまま」が正解でしょう。

今回、アップ再開を決めたのは、「1年たったから、もういいだろう」ではありません。
あと2回分を残した状態で長く中断しているのは気持が落ち着かないのと、そこまで読んで
いただいた方たちもきっと“中途半端”だろうと考えたからです。
でも、特に山本、倉敷アナには強烈なファンが多いからなあ…って、まだ迷ってます。
ハハハ。
いや、この結果、「彼らも好きだけど、岩佐も支持する」と言ってくださっていた方たちに
そっぽを向かれても仕方がないと覚悟はできてますから大丈夫です。
それに、書き始めたそもそもの動機のひとつにこの部分があるのですから、今になって
動揺したらおかしいのです。

この本では、ずいぶん勝手なことを書かせてもらいました。若手にはかなり厳しいことを
書いています。しかし、少し前に、元NHKのベテラン、島村アナと話したときに、私が
「今の若手は僕の若いころに比べるとはるかにうまい」と言ったところ、彼も同感でした。
彼が私とまったく同じことを感じているかどうかは分かりませんが、すくなくとも私は、
自分のフジテレビ時代の実況を今聞くと「情けない」と思います。

02年の暮れから自分の古いテープをDVDにコピーする作業をしています。懐かしさから、
時々聞いてみると、盛り上がった場面でのけたたましいしゃべり、解説者おいてきぼり、
自説の押し付け、情報の押し売り…今、若手に「やっちゃいけない」とお説教している
ことをそのまま実践している若い自分がそこにいるのですからやり切れません。

その場に居合わせた後輩のアナが「今の若手は昔の人の実況が“たたき台”になって、
それに上乗せしているんですからうまくて当然ですよね」と、フォローしてくれました。
便乗するわけではありませんが、それはあるかもしれませんね。

アナウンスに限ったことではなく、たとえば、スポーツのどんな種目を見ても、10年前に
比べれば、今の選手の方が、肉体面はもちろん、テクニックも戦術眼も優れています。
それは、先輩のいいところを学び新しいものを積み重ねていった結果だろうと思います。
なんだそうか、ま、そんなに下手だったわけじゃないし「フジテレビ 将来のエース」とか
言われたこともあったものなあ。ハハハ。

冗談はともかく、若い人の中には“達者なアナ”が大勢いるようです。
怖いのは“達者”だと、自分に酔ってしまいがちなことです。
悪いことは言いません。アナウンサーが考えなければいけないのは「自分が納得するか」
ではなくて、「視聴者が面白いと思うか」なんです。
ただし、自分のスタイルは守りながら、視聴者が求めているものを織り込んでいくことが
大事で、「迎合する」「おもねる」のとは違います。
微妙なところですが、そこをしっかり認識しないと、せっかくいい素質を持っていても
視聴者にそっぽを向かれるアナウンサーになってしまうでしょう。
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私は、去年の夏、とうとう世界水泳を楽しめませんでした。
生理的に“古舘節”がダメなので、どうしてもボリュームを上げる気にならず、ほかの
チャンネルに変えてしまいました。こういう視聴者は多かったと思います。
前回も、同じ批判はあったはずですが、テレビ局が同じやり方を選んだのは、それなりの
“成果”があったと見ているからでしょう。スポーツ実況のよしあしに関しては絶対的な
“尺度”がありません。すべては人それぞれの好みで決まるものですから、いろいろな
スタイルがあっていいと思います。
しかし、おのずから、落しどころというか、最大公約数があるだろうと思いたいのですが、
その答えがああいう放送だとは思えません。 
悲しいことに、スポーツそのものを愛する人たちにとっては、この受難の時代はまだまだ
続くことになりそうです。

古舘アナは「報道ステーション」の司会者になりました。
当然ながら、キャスターとして、私が“現代の講談”と名づけたスポーツ実況とは違う
方向を目指していますが、まだ答えは見つかっていないようです。
“才人”であることは誰もが認めています。この先、どんなスタイルを作り上げるのか、
皮肉でなく、とても楽しみです。

ここまで書くと、自然の流れで「お前はどうなの?」となりますよね。
私は、サッカーの実況から足を洗いました。いわば“半分隠居状態”ですが、現役として
仕事をしている以上、常に批判の対象にされることは避けられません。
特に、これから先は、「衰えた」、「口が回らない」、「反応が遅い」などの指摘はますます
大きくなるでしょう。それは、私自身にも十分、自覚があります。ハハハ。
年齢から来るこうした現象は止めようがありません。
しかし、今でもそれなりに応援していただけるのは、マイナス面を補うなんらかの要素が
私の実況の中にあるのだと自負しています。
それがなければ、私はとっくの昔に、マイクを置かざるを得なかっただろうと思います。
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くどいようですが、細かい点はともかく、自分のしゃべりには納得しています。
40年以上やってきて、一応自分のスタイルを見つけたと思っていますが、お聞きになる
視聴者がどう感じるかはまた別の話です。
実況アナとしての“ゴール”は見えていますが、時間と競争しながら一人でも多くの方の
共感を得られるような実況をしていきたいと考えています。

この記事を書いてから1年、WOWOWとの契約を更新せず、
“現役生活”に終止符を打ちました。
これでも、実況についてのエントリーを書くとき、現役中は
多少の遠慮があったのですが、辞めてからはなくなりました。
“タガ”が外れたのです。現役の後輩には迷惑な話でしょうが。
ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2011-08-06 10:30 | 放送全般 | Comments(0)
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