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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives 「果たして我慢できるか?~近づく世界陸上1~」11/08/16

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飽きもせず(ハハハ)、“絶叫”シリーズです。
今年も、アーカイブを含め3回ほどアップしていますが、
それとは別の記事で、2年前の世界陸上を見ながら書いた
ものです。絶叫のすべてがダメとは言いません。しかし、
視聴者に「うるさい」と思わせたら、やっぱりダメでしょう。

「“絶叫中継 ふたたび”etc~世界陸上を見て思う~」09/08/21


「テスト、テスト…マイク・イチ、テスト、テスト」
早めに放送席に上がっていくと 音声担当のテクニシャンがヘッドセット・マイクをつけて
テストをしている場面にぶつかることがあります。
しばらくすると、突然「ハリメ、ハリメ…どうでしょうか?」と大きな声がブースの壁に
こだまします。 「(声を)張ってしゃべっているけど、どうか?」と、調整室にいる同僚に
尋ねているのです。試合中に、アナウンサーが大声を出したときに、どう“調整”すれば
いいかを決めているのです。

このブログに「絶叫中継」というタイトルで記事を書いたのは4年も前のことです。
私の知る限り、日本の放送史上初めての絶叫中継は、73年前のベルリン・オリンピックで
生まれました。
「前畑がんばれ!前畑がんばれ。がんばれ、がんばれ、がんばれ…」
女子200㍍平泳ぎ決勝を伝えたNHK・河西アナの実況は、150メートルのターンのあと、
オーバーに言うと、ほとんど「がんばれ」しか叫んでいませんでした。ハハハ。

テレビ時代の到来で、アナウンサーたちは「見りゃ分かることはしゃべらんでよろしい」と
教えられるようになります。
ただし、競馬や格闘技では、“見て分かる”こともしゃべりました。
実況がないと、むしろ違和感があるからでしょう。
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ややこしいのは「スポーツ・アナ 受難の時代~あほプロデューサーが握る運命~」にも
書いた“盛り上げるため”の実況です。ハハハ。
見えていることをアナウンサーの実況で視聴者の興奮をさらに高めよう、というわけです。
その延長線上にあるのがここ10年ぐらい激増中の“絶叫型”の実況ではないでしょうか?
“効果”を考えず、闇雲に大声を張り上げるアナウンサーがどんどん増えています。
ただし、局の方針もあって、プロデューサーからの指示でやっている場合もありますから、
アナウンサーばかりを責めることはできませんが。

絶叫の理由はいくつか考えられます。

・局の方針に従っている
・かっこいいと思っている
・視聴者の共感を得ていると思っている
・盛り上げる方法をほかに知らない
・この場面を伝えるにはこれ以外にないと思っている・・・


こんなところでしょうか。

本にも書きました(MY BOOK)が、視聴者が拒絶反応を起こすのは“状況を考えず”に
絶叫するからだと思います。送り手側(実況・解説)のテンションと、見る人の気持ちが
シンクロしないから“嫌悪感”が生まれるのです。
そこで起きている“感動”“オドロキ”を味わう権利を視聴者から奪うのは罪深いことです。
その時、その場面はアナウンサーや解説が独占しているのではありません。見ている人と
“共有している”ことを忘れてはいけないでしょう。その瞬間を“共に”楽しみ、喜びを
分かち合うにはどうすべきかを考えれば、落としどころは自然に決まるはずです。
私は、WOWOWに移ったころから「スポーツの感動はプレーそのもの中にあるのだから
言葉で飾ることはやめよう」と決めました。

たとえば、今回の世界陸上のハイライトになった男子100㍍決勝です。
とてつもない記録が誕生したのですから、経験の浅いアナウンサーが、ゴールしたあと、
長々と絶叫したことも、解説者が思わず大声を出したことも、理解できます。
しかし、もし、“私が”“WOWOWで”実況していたら、ゴールのあと、記録の確定までは
しゃべったでしょうが、そのあとは黙っただろうと思います。場内の拍手・歓声を聞いて
いただくために、自分と解説者のマイクをオフにして。解説者がしゃべりそうになったら
その口を手でふさいででも。ハハハ。
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“絶叫”と“沈黙”…どちらがいいかは、人によって意見が分かれるでしょう。
しかし、今、各局のプロデューサーたちは、“声を張り上げて実況”するれば“盛り上がり”、
“視聴率アップ”が見込めると考えているようです。
つい先日「アナウンサー受難の時代」を書いたばかりですが、何を隠そう、実は視聴者も
“受難の時代”なのです。お気の毒さま。ハハハ。


振り返ると、“絶叫”については何回も書いていますし、インタビューでも話しています。

元局アナnet インタビュー(2006年5月)

Q:仕事に対するこだわりを教えてください。

僕の実況のモットーは「さりげなく」。いま流行りの「絶叫タイプ」は視聴者が求めている
実況とは違うと考えています。肝心なシーン、例えばいいゴールやショットが決まった時、
僕はあえて「黙る」。その瞬間にどっと沸く歓声を聞かせるほうが、視聴者は喜ぶと思うし、
音声さんもよくわかっていて、そういうシーンだとノイズのほうを上げてくれる。
感動を呼ぶシーンを、絶叫や、用意した言葉で飾り立てるのは嫌なわけです。

2004年アテネ五輪体操で「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ」という
実況が話題になりましたが、事前に用意した言葉というのはどうも・・・
こういった流行りのスタイルは、ディレクターが成長しない限り続くでしょうね。
「とにかく実況で盛り上げろ」と制作側が要求してたりして。
用意した言葉ではなく、その場で起きていることを的確な言葉で伝える、というのが、
本来のアナウンサーの腕の見せどころじゃないかと思いますけどね。

「放送文化インタビュー」(2008年10月)

Q:岩佐さんは絶叫はここぞというときにしかしませんでしたし、〝癒し系実況〟とも
言われていましたね。

「〝縁側のひだまり実況〟と言われたこともありました(笑)。
以前、サッカー中継で『ゴール!ゴル!ゴル!ゴル!』と連呼しすぎたアナウンサーが
批判を浴びたことがありますが、ああいうのは、視聴者の感動を先取り、横取りして
しまっていると思うんですね。視聴者の感動を助けるのがアナウンサーの仕事です。
同じ絶叫でも、それが視聴者の感動とシンクロすれば、不快感はないと思うんですが」


“奇しくも”、絶叫発祥の地、ベルリンで世界陸上が終盤を迎えています。
椎野、土居、初田、佐藤…4人のアナが現地に行っているようです。
TBSの“エース”、林アナはゴルフ中継と重なってしまったことで、今回は、数日遅れの
参加になっています。
陸上の盛んなヨーロッパですから、きっと、場内も盛り上がっているでしょう。
周囲の雰囲気に巻き込まれて声を張り上げるのは仕方のない面もあります。
しかし、あくまでも、“程度問題”です。ハハハ。

2年ごとに「世界陸上」を見て「うっとうしいなあ」と思います。
実況アナだけが悪いのではなく、司会者の騒々しさも影響して
いるかもしれません。放送全体のトーンがもっと“落ち着いた”
雰囲気だったら、印象は違ったものになるはずです。


おことわり

当分、外出するときもコメントを承認制とします。
悪意に基づく書き込みを許さないためです。悪しからず。
面倒くさい世の中になったものです。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2011-08-16 08:36 | 放送全般 | Comments(0)
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