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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives「感動のスポーツ秘話~紳助の心は動かせなかったけど…~」11/08/27

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今週のアーカイブは何にしようかなと考えているときに
“紳助がらみ”の話を思い出しました。いえ、もちろん、
彼は知らないことで…ボクシングが好きで、スポーツに
かかわる“いい話”が好きだから、彼の“アンテナ”に
かかれば、採用される可能性があるのではないかと思い、
投稿したことがあるのです。

「深イイ話」08/07/22


フジテレビに入ってスポーツ・アナウンサーとして歩み始めたとき、ボクシングと競馬は
将来的にも担当する可能性がありませんでした。どちらも、数人の先輩がこの両種目の
需要を満たしていたからです。
競馬はともかく、ボクシングは、ファイティング原田、海老原博幸、青木勝利と、当時、
人気の選手が軽量級にいてブームになっていましたから、ちょっと残念な気持ちでした。
しかし、アルレドンドというチャンピオンがいたり、競馬にもシンボリルドルフという
強い馬がいたりして、ラ行が弱い私が近寄らなかったのは正解だったのです。ハハハ。

ただし、ボクシングは種目として好きなスポーツでした。WOWOWの開局から4年ほど
時々手伝ったことがあって、タイソンの試合を3試合 実況できたのは幸運でした。
今でも忘れない、こんなエピソードが生まれたのは、そのボクシング中継の中のことです。

どんなアナウンサーでも、“言いたいこと”、“言うべきこと”が頭には浮かんでいたのに、
タイミングを逃がして、言えなかった経験があるはずです。それは“言えなかったひと言”
ですが、このエピソードは“言われてしまった一言”とともに忘れがたいのです。
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ときは1993年3月、場所はラスベガスのミラージュ・ホテルでした。
東京でジェームス・ダグラスにKO負けしたあと、カムバックが軌道に乗り、かつての
凄みを取り戻しつつあったタイソンが、強烈なアッパーの持ち主、ラドックと対戦する
ことになりました。
そして、この日のアンダーカード(前座試合)として組まれていた3試合の豪華なタイトル・
マッチの中には、ウェルター級のIBFチャンピオン、S・ブラウンと WBCチャンピオン、
M・ブロッカーが、それぞれのタイトルをかけてグローブを交える好カードがありました。

二人は、無名時代から同じジムで一緒にトレーニングにはげみ、プロ・デビューも同時、
家族ぐるみの付き合いもしている無二の親友同士でした。
「いつかチャンピオンにと、はげましあって来た。まさか、同じ時期に、同じクラスの
チャンピオンになるなんて信じられなかった」と語るふたりは、互いに、「彼を殴るなんて
とてもできない」と言うほど対戦をいやがっていました。
しかし、プロモーターは、「だからこそ面白いのさ」とマッチメークをしたのです。

踏み込んで行くブラウンに対してアウトボクシングのブロッカーがカウンターで迎え撃つ
展開が予想され、この試合を取り巻く環境を考えると、よりアグレッシブにいかなければ
優位に立てないスタイルのブラウンの方が、やりにくいと思われていました。
しかし、二人がプロとして見ごたえのある素晴らしい打ち合いを見せたこの試合は、10回、
50秒に左フックでブロッカーをとらえたブラウンが、カウント8のあとも連打を浴びせて
TKO勝ちを収めました。
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このとき最初のダウンを奪ってニュートラルコーナーに行くよう指示されたブラウンが、
なおもブロッカーに向かって行こうとする構えを見せました。
私は、“ふたりの友情”に気持ちを奪われすぎていたのでしょう、「これは、まだ打とうと
いうのではないですよね。相手を気遣っているんですよね」と言いました。
私の目にはそう映ったのです。

しかし、表彰式のあとで、解説のジョー小泉さんがこう話したとき、私は、“上っ面しか
見ていなかったのかもしれない”と思いなおしました。
「同じような条件での試合をいやがっていたある選手に対して、ベテランのトレーナーが、
“親友なら試合を短く終わらせてやれ、それがボクサーの友情だ”と言って聞かせた」…
あまりにも先入観にとらわれてしまった自分の未熟さを反省したものです。
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それよりグサッと来たのは、やはり解説をしていただいた浜田剛史さんの一言でした。
終了直後、ブロッカーのコーナーまで行って相手をしっかりと抱きしめ、耳元で懸命に
何ごとか話しかけていたブラウンが自分のコーナーに戻ったとき、その目には明らかに
涙がありました。
そのことは描写したのですが、そのとき、浜田さんが「勝って、さびしそうですね」と
言ったのです。ガ―ンと、頭を殴られたような気がしました。この言葉が試合のすべてを
完璧に言い表していたからです。

放送としては、多分、誰の口からその一言が出てもよかったのでしょう。
しかし、言葉を商売道具としているのに、普段は口数も少ない浜田さんに言われたことで、
私には「やられた」という思いが強く残りました。
こういう言葉は、しゃべる訓練を受けている、いないには関係なく、その人の人間性から
出てくるものだと思います。
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さらに、この一言は、ほとんどがアドリブのスポーツ実況の中でも、“その時、その場の
雰囲気に合った言葉、自然に出てくる言葉、とっさに出てくる言葉“が、いかに大事かを
示してはいないでしょうか。
逆に、前もって用意した言葉、その場で考えたとしても、視聴者をうならせようとか、
感動させようと思って“作った言葉”は、やはり、どこかむなしいと思います。そして、
最後にモノをいうのは、人間性でしょう。だまされている場合もあるかもしれませんが。
しかし、人気者になっている人たちは、それだけの豊かな人間性を持っていて、そこから
出てくる言葉、表現が見る人を惹きつけるのではないかと思うのです。

実を言うと、この記事のの“さわり“を日テレの「深イイ話」に投稿しました。
話の核になっている、「早く終わらせてやるのがボクサーの友情」、「勝ってさびしそう」は
なかなかいい話で、スポーツの世界の友情に弱い島田紳助の気持ちを“キャッチ”する
のではないかと思ったからです。

けっこう“勝算”はあったのですが、投稿してから1ヶ月以上たってもなしのつぶて…
なんの反応もありません。そのままにするのも悔しいので…。ハハハ。

結局、“ボツ”でした。センスのないスタッフだ。ハハハ。
私の大好きな話だったので、不採用になっても「きっと、
紳助の目に触れていないんだ。じゃあ、彼が経営している
店に送ってみようか」とマジに考えたこともあります。
ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-08-27 07:53 | 放送全般 | Comments(12)
Commented by ルナパーク@つくば at 2011-08-27 08:09 x
岩佐さん、おはようございます。ブログ拝見しました。
スポーツ実況に残る名セリフは割と作りこんでいた物が現実の状況にはまったケースが多いように感じますが(オリンピックとか特に)浜田さんの言葉ほどのパンチ力はないかもしてませんね。
そういう意味では、口下手でも一流の競技経験者を解説席に置くのは必要なのかもしれません。まあMLB中継みたくトンチンカンな解説聞かされることもありますが。。。
Commented by toruiwa2010 at 2011-08-27 08:29
ルナパーク@つくば サン、おはようございます。

アスリートとして実績があった人の言葉に
味わうべきものが多いのは事実ですが、
話すことの大部分が平凡だったりすると
悩みは深いですね。ハハハ。

きょうから、実績のない某俳優がレースごとに
感想をお話しになりますが。ハハハ。
Commented by しょう at 2011-08-27 10:10 x
おはようございます。
某俳優、今回はなんだかおとなしめにスタートしましたね。
岩佐さん、突っ込みがいがなく肩すかしだったのでは?(笑)

真剣勝負のスポーツはそれだけで感動する、
というのはもちろんですが、
バックグラウンドを知る人や競技に精通している人の、
深く重い一言がよりいっそう感動を引き起こす、
という典型のエピソードですね。
放送は観ていないのですが、読んでいてジーンとしました。

たまにエキサイトマッチを観ますが、
ジョー小泉さんと浜田剛史さん、味があってお二人とも大好きです。
確かにしゃべりには難点がありますが、
一言一言が、なるほどー、ほー、と興味深いです。
ジョーさんの駄洒落を除いては。
Commented by toruiwa2010 at 2011-08-27 10:16
しょうサン、こんにちは。

朝からやってるなんて知りませんでした。てへ!
メジャーを見ていたので、おとなしめのスタートを
見そこないました。
朝が早かったからじゃないですか。ハハハ。

余計なものを排除すると、本質が見えるんですけどね。
Commented by しょう at 2011-08-27 10:54 x
岩佐さん!セリクウォッチャーとして、
オープニングを見逃すとは何事ですか!(笑)
恐らく、最初の競技(女子マラソン)開始前だったので、
アイドリング状態だったのだと思います。
マラソンゴールも着々と近づいていますから、
今頃はアクセルを必要以上に踏み込んでいるのではないでしょうか。
Commented by takutaku at 2011-08-27 11:08 x
 おはようございます。 エキサイトマッチ、好きな番組です。 ボクシングの殿堂入りまでしているジョー小泉さん、ジョーク好き、そして何カ国語も操るできる男というイメージがあるのですが、岩佐さんから見たジョーさんはどういう方なのでしょうか? 機会があれば紹介してください。
Commented by toruiwa2010 at 2011-08-27 11:43
takutaku さん、こんにちは。

ジョーさんで驚くのは顔の広さです。
会見場や練習会場にいくとあちこちから
joe joe と声がかかります。

ダジャレは私のころはあまり言って
いなかったんですがね。
Commented by toruiwa2010 at 2011-08-27 12:23
しょうサン、

セリクウォッチャーのつもりもなく・・・。ハハハ。
確かに、抑えてますね。あとは、分かったふりを
抑えてくれたら、いいんですが。ハハハ。
Commented by takutaku at 2011-08-27 16:04 x
岩佐さん ありがとうございます。 国際的マッチメーカーとして世界中を駆け回り、大好きなボクシングに没頭する。 カッコいいですね。 男として羨ましいです。 ジョーさんのブログを覗くと、時々弱気な言葉も聞かれますが、まだまだお若い(もちろん岩佐さんも)。 ますます頑張ってほしいと思います。
Commented by akapon at 2011-08-29 01:22 x
岩佐さん、こんばんは。
日テレの「Going」でジャニーズの亀梨くんが日テレアナの指導の元、
巨人戦の実況をするコーナーを観ていて、自分でも架空実況してみましたが
いかに素人が思いつく言葉のボキャブラリーが少ないか、そして
瞬時に思いつく言葉が酷いか・・・
つくづく岩佐さんの実況が凄いものかがほんの少し分かったような!?
(錯覚でしょうか?でも本当に実況アナって凄いです!!)
ちなみに日テレのアナは村山?さんとかの名前だったです。
ご存知でしょうか?
Commented by toruiwa2010 at 2011-08-29 06:56
akapon さん、おはようございます。

村山アナは箱根駅伝で総合アナを
務める実力派で、日テレの中では
もっともクセのないアナです。
Commented by akapon at 2011-08-29 11:41 x
日テレのアナは巨人戦を全く見ないのとサッカーでの某ゴルゴルアナ以降
ほとんど存じ上げません!が、村山アナ、実力派なんですね。

このところJスポーツでの女子バスケアジア予選を見ていますが、
島村アナは相変わらずソフトな語り口で安心して聞いていられますね!
バルセロナ五輪のドリームチームや日本シリーズ実況は今でも強く印象に
残っています。
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