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岩佐徹のOFF-MIKE

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“「大鹿村騒動記」光る~頑張った邦画:7月に見た9本~”         11/09/09

いろいろ あわただしい中で、集約することを忘れていた
7月に観た映画のまとめです。
振り返ってみると、邦画が頑張りました。特に、原田芳雄の
“遺作”になった「大鹿村騒動記」は光ります。


「アンダルシア」85

スペインの北、アンドラで邦人が殺害された。
パリにいた黒田康作(織田裕二)が現地に駆けつけると、インターポールの捜査官、神足誠
(伊藤英明)が、第一発見者の新藤結花(黒木メイサ)から事情を聴取をしていた。
彼は警視庁で内部告発をしてインターポールに飛ばされた刑事だった。
得体の知れぬ襲撃を受ける結花を守るため、黒田は彼女をスペインに連れて行く。

結花が働く銀行のマネー・ロンダリング疑惑が事件の裏にあり、殺されたのが警視総監の
息子だったことも絡んで、話はもつれて行く…
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「アマルフィ」もそうでしたが、オール海外ロケの映像が見事です。登場する俳優たちが
みな“カッコいい”連中で背景に負けていないのがいいです。ハハハ。
特に、今回は織田よりも伊藤英明が光っていました。

こういう作品はまともに論じてみても始まりません。エンタテインメントとして成立して
いるのですから、85点をつけます。ただし、「見るべきです」とか「お勧めします」とか、
言うつもりはありません。見たかったら見る。時間があれば見る。それでいいでしょう。
1800円分は楽しめると思います。…たぶん。

突っ込みどころは幾つもありますが、中でも福山雅治は現地にいる必要があったのかと…
黒田が情報をもらうだけなら、電話かファックスで十分でしょうに。
バルセロナ見物のために福山を…? まさか。ハハハ。

「小川の辺」 85

江戸から一人の男が海坂藩(うなさかはん)に戻った。使命を果たさぬまま病を得て。
男の使命は、藩主の失政を批判して脱藩した佐久間森衛(さくまもりえ:片岡愛之助)を
討つことだった。新たな討手として戌井朔之助(いぬいさくのすけ:東山紀之)に白羽の
矢が立った。佐久間の剣の腕前を考えると彼以上の適任者はいないのだ。
引き受けざるを得ない朔之助だったが、本心を言えば断りたい役目だった。それは
ともに脱藩した佐久間の妻が妹の田鶴(たづ:菊池凛子)だったからだ。

朔之助は奉公人の新蔵(勝地涼)とともに海坂を旅立った。雪が残る月山をあとに…
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若いころから、時代小説はあまり読まなかったのですが、唯一の例外が藤沢周平でした。
彼の小説に出てくる男は決して位の高い武士ではありません。どちらかと言えば平凡な
下級武士を登場させることが多いですが、藤沢の目はいつも優しく彼らにそそがれます。
武士の本分を守り、“侍の魂”を大事にする彼らをていねいに描いて人物像を浮かび
上がらせます。ほかの作家が書く多くの物語に登場する名のある武将には感じませんが、
藤沢周平が書く侍たちにはリアリティがあり、そこが大好きです。

作品の感想として、第一に挙げたいのは、映像の美しさです。
計算されたカメラ・アングルで、どのカットも絵画のようです。おそらく、多くの人は
気づかなかったでしょうが、朝もやの中の旅立ちのシーンが心に残りました。
“上意討ち”というまことに重い役目を背負って長い旅に出る夫の後ろ姿に、妻は黙って
頭を下げるしかありません。

東山はこれまで見た作品の中では一番よかったです。
親友であり、妹の夫でもある男を討つ…悩み苦しんでもおかしくない使命にもかかわらず、
朔之助の心はいっさいぶれません。雑念を排し、毅然として使命を果たそうとする男に
東山は見事に“はまって”いました。

いかにも剣の達人らしい、鍛え上げた肉体、きびきびとした動き、凛とした顔…たぶん、
藤沢が理想とする侍像に非常に近いのではないかと思います。
しかし、制作陣はなぜ、田鶴役に菊池凛子を選んだのでしょうか?理解できません。
“女性ながら、かなりの剣の使い手”という役なので彼女になったのかもしれませんが、
完全に失敗です。なんというキャスティングでしょうか?
なんの恨みもありませんが、彼女が登場した瞬間に藤沢周平の世界が壊れました。
ハハハ。

作品を見た日の夕刊に広告が出ていました。「各界から絶賛の声!」が寄せられていると。

王貞治「古来から日本人が持っていた家族への思い、友情、
    日本人としての矜持といったものを思い出させる作品です(後略)」

壇ふみ「こういう映画が丁寧に作られていること…それは、
    今の日本にとっての“希望”のように思われました」

みのもんた「国難とも言えるこの時、心をひとつにして
    前を向いて歩こう。人は如何に生きるべきか、
    日本人全員に観てほしい」


…王のコメントはまともです。
しかし、あとの二人の“絶賛の声”を読んだときは、「違う作品の話かな」と思いました。
みののコメントなどは、なにトンチンカンなことを言っているのだろうとあきれました。
そんな映画じゃありません。どうせ本人が書いたものではないでしょうがねえ。ハハハ。

こんなコメントに関係なく、最近の時代劇としてはレベルが高いですから、お好きな方は
出かけられるといいと思います。

「奇跡」85

大阪で暮らしていた夫婦が離婚して4ヶ月が過ぎた。子供が2人もいるのに、いつまでも
幼いことを言う夫(オダギリジョー)に妻(大塚寧々)が愛想をつかした形だった。
長男・航一(前田航基)は母とともに鹿児島の実家に、二男龍之介(前田旺司郎)は父とともに
福岡に移り住んだ。

鹿児島は今日も桜島が噴煙を上げ、市内に灰を降らせている。
「意味分からん」…桜島にあまり関心を持たない周囲に、癖になっている言葉がついつい
口をついて出る航一。 彼には、なんとかまた4人で暮らしたいという強い思いがあった。

福岡に移った龍之介は元気いっぱいだった。ぐうたらな父親の尻を叩き、家事をこなし、
新しい環境にもすぐなじんだ。

航一が耳寄りな話を聞き込んだ。
間もなく全線開業する九州新幹線の上下の一番列車がすれ違う瞬間に願いごとをすると
“奇跡”が起きるのだと。
航一の頭にアイディアが浮かんだ…
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一種のメルヘンです。あり得ない、起こり得ない奇跡ではなく、望みがありそうな奇跡に
小学生が夢を乗せる。その夢に友達が参加し、周囲の大人が背中を押す。
爆笑するような場面はありませんが、いたるところで、登場人物たちのわずかなしぐさや
セリフに、思わずクスッと笑ってしまう、そんな心やさしいドラマです。

子供漫才コンビとしての“まえだまえだ”はテレビで何度も見たことがあって、いかにも
大阪の子供らしい達者な漫才コンビだなあと思っていました。
もともと“子役”だということのようですが、特に兄、航基はタダものではありません。

最近の子役は実に“達者”です。
特に“ちゃんと”泣く子が多くなりました。それがドラマにリアリティを与えているのは
いいのですが、中には、計算した演技をしているな、と思わせる子役がいて白ける
ことが多いのも事実です。

前田航基は違います。
自然体で役をこなしています。“直感”に従っていると言ってもいいかもしれません。
しかも、それでドラマ全体を引っ張っているのですから恐れ入ります。
今後も大阪弁で通すとなると微妙ですが、彼にはこれからも注目しようと思いました。
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もう一人、
内田伽羅という少女からも目を離してはいけないようです。
目が非常に印象的な美少女です。元木雅弘の娘さんだと分かって腑に落ちました。ハハハ。
同じ場面には登場しませんが、この映画に出ている樹希樹林の勧めでオーディションを
受けて合格したそうです。樹希の孫、元木の娘だから…ではなく、やがて、輝きを増すに
違いない女優として注目します。

わきを固める出演者が豪華です。ベテラン同士、橋爪功と先日亡くなった原田芳雄の
“からみ”などはまさに絶品です。
教師役の長沢まさみはほとんどアップがないという贅沢な使い方をされています。
是枝作品には「それでもいいから出たい」と思わせる何かがあるのでしょう。
「奇跡」の前には「歩いてもあるいても」しか見ていませんが、とても気に入り、95点を
つけました。“岩佐ランキング”の年間No1は僅差で「おくりびと」にゆずりました。

「大鹿村騒動記」90

南アルプスのふもと、信州・大鹿村。
やってきたバスから4人の乗客が降りた。老人の降車を手伝っていた運転手(佐藤浩市)が
続いて降りたサングラス姿の中年のカップルをビックリしたような眼で凝視した。
「オサムさん!?タカコさん!?」

もう一人の乗客だった若い男が食堂「ディア・イーター(鹿を食う人)」に近づくと店主の
ゼン(原田芳雄)が店の前で芝居のけいこに余念がなかった。彼は、この村で長い伝統を持つ
大鹿歌舞伎の花形役者だった。
ゼンの頭の中は5日後に迫った今年の公演で演じる大役・景清のことでいっぱいだった。
ところが、小さな村がひっくりかえるような、もっと大きな問題が降りかかっていた。

この日、バスから降り立ったタカコ(大楠道代)は15年前に駆け落ちしたゼンの妻だった!
親友だったオサム(岸部一徳)がゼンに頭を下げて「返す」と言った。
認知症に似た症状を見せ始めたタカコは、オサムのことさえ誰だか分からなくなっていて
手に余るというのだった…
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静かな、緑豊かな山村で突然持ち上がった“騒動”が面白おかしく描かれています。
爆笑するシーンは少ないですが、ちょっとしたしぐさ、ぼそっとつぶやかれるセリフが
全編を通してクスクス笑いを誘い、人間の優しさを教えてくれます。きっと、シナリオが
素晴らしいからだと思います。
“遺作”になりましたが、原田芳雄は出来に満足して逝ったのではないでしょうか。
歌舞伎の場面以外は熱演というより、むしろ自然体に近い演技でしたが、見せました。
亡くなったから言うのではなく、この役者の幅の広さ、奥行きの深さが十分出ています。

岸部一徳にもほとほと感心します。映画でもテレビドラマでも、画面に出てくるだけで
一つの“世界”を作り出してしまう俳優はそんなにいません。この映画でも好演でした。
少し、首をかしげたくなったのは、タカコの“病状”が、物語の進行に合わせて都合よく
変わるところです。そんなに“便利な”病気があるのだろうかと。ハハハ。

今年、ここまでに見た邦画の中で90点をつけたのは「洋菓子店コアンドル」だけでした。
2作をくらべると、こちらの方が上のような気がします。
ちなみに、85点は「毎日かあさん」 、「SP革命篇」、「阪急電車」、「多田便利軒」、「軽蔑」、
「奇跡」、「アンダルシア」、です。…うーん、なんとなく“傾向”が出てますねえ。ハハハ。

85 アンダルシア オール海外ロケの成功 “娯楽”として十分楽しめた点を評価する
75 わたしを離さないで 臓器提供のためのクローンという“設定”が無理すぎて…
80 あぜ道のダンディ カッコよくありたいと願う父親の思いは子供に通じるのか
85 小川の辺 映像美が見事 東山が周平の世界を体現している 菊池凛子がぶち壊し
80 海洋天堂 自閉症の息子の行く末を案じる父の心情が切ない …あまりにも切ない
85 ラスト・ターゲット クルーニーのカッコよさと景観の美しさが得点を上げている
75 ロック 残した犬への愛情と島への思いの描き方が中途半端 時間の過ぎ方も不自然
90 大鹿村騒動記 さりげない笑いとペーソス 原田芳雄はいい作品を残して逝った
80 陰謀の代償 2件の殺人を犯した少年が警官になった 16年後、悪夢はよみがえる

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by toruiwa2010 | 2011-09-09 08:01 | 映画が好き | Comments(0)
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