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岩佐徹のOFF-MIKE

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「神様…」85点 「ツリー…」60点~8月に見た映画11本~       11/09/16

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遅れていた、8月の映画のまとめです。
レビューは3本にしぼりました。


「ツリー・オブ・ライフ」60


HELP !「ツリー・オブ・ライフ」を見て
途方に暮れている情けない奴です。


月曜日に 話題の映画「ツリー・オブ・ライフ」を見たあと、つぶやきました。
35分でギブアップして“しっぽを巻いて”帰ってきました。ハハハ。
シニア料金の1000円だから退席できましたが、一般料金の1800円を払った人はなかなか
決断できなかったのでしょう。費用対効果。

テレンス・マリックだか誰だか知りませんが、ショーン・ペンとブラッド・ピット…
せっかくビッグ・ネーム二人を揃えたというのに、なんという無駄遣いをしたものか!
そして、私たち夫婦以外にもきっと多かったはずの「2人が出るから」と劇場に来た観客を
絶望と混乱のどん底に突き落とした罪は深いと言わざるを得ません。ハハハ。
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オープニング・シーンから、果てしなく繰り返される神との一方的な会話、35分のうち
最後の15分は意味の分からぬ映像が続きました。
宇宙、天地創造を表すような映像、深海をさまよう巨大クラゲ、激しく噴火する火山、
深い原始の森、プラス ビッグバンを意味するようなCGのイメージ映像…
恐竜が出てきたとき、いよいよダメだと思い、森の中の、“バンビ”かと思った動物が
“やっぱり”恐竜らしいと分かって、隣を見ると、妻も“帰り支度”で賛意を表しました。
ハハハ。 いや、ほんとに笑うしかないんですって。

「監督、どうしちゃったのかしら」が劇場を出たあとの妻の第一声でした。
たしかに、冒頭の35分間で観客に伝わるのは、両親も成長した子供も信心深い人たちだと
いうことと、3人の子供の一人が死んだことだけ…
聖書を読まない人にもこの映画が理解できるとは思えません。ツイッター上には「分かる」、
「秀作だ」という意見もありますが、理解できることが不思議です。
いくらなんでも、もう、物語が動き始めるだろうと思いましたが、その前に堪忍袋の緒が
切れてしまいました。ハハハ。

つぶやきに対して数人の方からリプライがありました。

・何かを期待してしまい、最後まで席を立ちませんでした
・キャスティングにお金を払いましたが、それゆえ退席する勇気もなく
・何かあるはず、何かあるはず・・・で、最後まで。 別に何もなかった・・・


うーん、きっと、みなさん 1800円 払ってるんでしょうね。
結局、よかったですよというコメントはありませんでした。言い出しにくい空気を作って
しまったかもしれませんが。ハハハ。

ただし、全体を見ると、これほど評価が大きく割れている作品も珍しい気がします。
私がレビューを登録して、ほかの人の評価を参考にすることもあるgoo映画には12人が
レビューを寄せていますが、30点から95点まで!!
私のように、基本的には“非日常”を楽しみたいと考えて見に行く一般の映画ファンには
理解しにくい作品であることは間違いないようです。
そして、高く評価する人が果たして本当に理解できているのかどうか…。
どんな脳みそならこの映画を理解できるのかを知りたいものです。
「分かる。傑作だ」と言わないとカッコ悪いと思っていないでしょうね。
映画通として、「理解できる」と言いたいだけじゃないでしょうね。意地悪。ハハハ。

ぶったまげたのは、金曜日の朝日夕刊の映画評です。絶賛でした。

映画の表現に制約はない。自由である。
ただ、独創性を発揮する作家は極めて少ない。
断崖に咲く花を、危険を冒して摘みとる胆力と哲学とを要するからである。


…まことに文学的な書き出しで始まる一文は評論家・秋山登氏によるものです。

過去4作、いずれも鏤骨(岩佐 註:ルコツ=骨を刻むほど苦心すること)の秀作だが、
特にこの新作は、その表現の独創性において、卓絶している。――悠久の時空に、
はかない人間の営みを対置させ、生命の意味を考察するのである。
その眺めの壮大は驚嘆に値する。(中略)

随所で大自然と生命の神秘を詩的映像で語り、観客を幽玄の境へと誘うのである。


引用はもうやめましょうか。この記事のシメはこうでした。
「巨きな(おおきな)映画である。人々の記憶に永く残るに違いない」

…永く記憶に残る、か。そうかもね。“なんだか訳が分からなかった映画”として。ハハハ。

ちなみに、“高名な”評論家・品田雄吉は週刊誌で“一食ぬいてもぜひ”の星四つ…
ね? おすぎは“料金の価値あり”の星三つでしたが、名のある人ほど、酷評することは
ためらうようで、「ここは、ほめとくか」という感じになってます。
まあ、映画評ほど、首をかしげたくなる、あるいは、ややこしいものはありませんけどね。
人のこと言ってる場合じゃないですけど。ハハハ。


「神様のカルテ」85

「お昼まだだったら付き合うよ」と声をかけたのは同期の看護師(池脇千鶴)。
「誘ってもらうのはありがたいけど、僕は妻がある身なので…」と答えたのは、病院内で
“変わり者”扱いされている医師・栗原一止(イチト:桜井翔)だ。
アルプスのふもとの病院で勤務医をしている一止はまじめ一方で融通がきかない男である。
結婚して1年になる妻・榛名(ハルナ:宮崎あおい)は写真家だ。
廃業した古い旅館に友人たちと一緒に暮らす二人は新婚だがベタベタしたところはない。

たしかな腕を持つ一止に大学病院から誘いがかかった…
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どこが?と聞かれると困りますが、しみじみと胸にしみる作品です。
ほどよい距離感の若い夫婦、病院内で交わされる医師同士、医師と看護師、医師と患者…
会話の一つ一つが自然で違和感がありません。最近の映画やドラマはその点でストレスが
猛烈にたまります。“セリフがスムーズ”で納得するのも情けない話ですが。ハハハ。

櫻井翔が“地味に”好演しています。
要潤が“ただのイケメン”じゃない演技を見せていました。
これまでよさがあまり分からなかった宮崎あおいですが、少し分かった気がしました。
ほかにも、池脇をはじめ、柄本明、加賀まり子、西岡徳馬…みんな、素晴らしいです。
俳優たちの演技から、「これは、いい作品になる」という手ごたえを感じていることが
伝わってきました。


「一枚のハガキ」80

敗色濃厚になった昭和20年。奈良の天理教総本部の大広間に100人の兵が整列していた。
数合わせのためにかき集められた中高年の兵ばかりだった。彼らは 予科練兵の宿舎となる
建物の清掃を終えたところだ。

役目を終えた彼らの今後の任務は“くじ”によって決まることが告げられた…
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100人中、生き残ったのはわずかに6名…その中に松山啓太(豊川悦司)がいました。
彼は、奈良にいるとき、上官が引いたくじの結果 フィリピンに行くことになった森川定造
(六平直政)からあることを頼まれていました。
「もし生きて帰ったら、これを妻に届けて、読んだことを伝えてしい」と一枚のハガキを
預かったのです。検閲が厳しいため、彼は返信を出していませんでした。
ハガキにはこう書かれていました。

今日はお祭りですが
あなたがいらっしゃらないので
何の風情もありません
            友子


万感の思いが詰まった文章です。
次の任地が宝塚に決まっていた松山はこの依頼を引き受け、ハガキを預かります。

作品は、100人の運命を分けた“くじ”に最後までこだわって描かれています。
自身が体験者(6人の1人)である新藤兼人監督の思いがまさにそこにあるのでしょう。
戦争の場面はワンカットもありませんが、くじをキーワードに静かに反戦を訴えています。

99歳の大監督がメガホンを握った映画には多くの反響があるようです。
私が見に行ったのは封切から3日目、ウイークデーの2回目でした。
30分前につけば十分だろうと思ったのですが、切符売り場には長い列ができていました。
並んでいるうちに1回目の上映が終わりましたが、切れ目なく出てくる人の波にビックリ。
順番がきたとき、前から3列目より前の席しか残っていませんでした。
場内が暗くなるとき、満席状態でした。いくら封切から日が浅いとは言っても 平日なのに
満席というのは洋画・邦画を問わず、初めての経験です。

豊川と、森川の妻・友子を演じた大竹しのぶが見事でした。
山あいの農家でつましく暮らしていた友子にとって、戦争がわが身にもたらしたことは
理解することも受け入れることもできないものでした。周囲にその思いをぶつけるときの
大竹の激しい演技は観客の胸をうちます。文アカデミー主演賞の有力候補でしょう。

対照的に、くじによって生還することになった松山には一種の“うしろめたさ”があり、
これからの人生をどう生きればいいのかについての迷いもあるようです。豊川はそんな
松山を抑えた演技で体現していました。“動と静”…噛み合っていたと思います。
“熱演”はときに周囲から浮いてしまうことがあります。「仁」の内野聖陽には“いつも”、
香川照之には“ときどき”、それを感じ、鑑賞の邪魔になります。ハハハ。

作品そのものの評価はそれほど高くありません。
シリアスなテーマを笑いのオブラートで包むやり方は新藤監督得意の手法のようです。
新藤作品はこれまで1本も見ていませんでした。食指が動かなかったのです。「それでは
語る資格はない」と言われそうですね。しかし、作品はそれぞれが独立したものですから、
誰にだって語る資格はあるのです。

戦争反対はしつこく言い続けなければいけないテーマですが、この映画は“古色蒼然”の
印象をまぬかれません。テーマが古いのではなく、扱いかたと演出が…
若い監督が同じテーマで撮ったらまったく違う印象の作品になったでしょう。
松山と、村の世話人(大杉漣)のケンカのシーンなどいくつかの場面で“戯画化”した演出を
取り入れていますが、そのたびに「なぜ」と思いました。木に竹を接いでいる感じでした。

「キスしてちょうだい」

一番違和感を覚えたのはこのセリフです。
終戦直後、運命にもてあそばれた男女が再会したとき、女が男に向かって言います。

KISS…その頃の日本人は“キス”という言葉を口にしなかったはずです。
接吻(せっぷん)、くちづけ…から“キッス”になり、だいぶたって“キス”になった、と
当時、小学校低学年の“おませ”な少年は記憶しています。ハハハ。
豊川のひざ上までの短パンも、長さと言い太さと言い、妙に“今っぽい”ものでした。

ディテールが気になると引きずってしまう性格だけに、私の評価が普通の人より低いのは
仕方がないと思います。劇場を埋めた観客の大部分が60代、70代と思われ、その人たちは
違和感がなかったかもしれません。だからこそ、“平日でも満席”なんでしょう。
結局、固定的なファン層には受ける、そうでない人にはそうでもない…そんなところかも
しれませんね。どうぞ、あなたの評価は実際に見たうえで決めてください。ハハハ。

ちなみに、“反戦”をテーマにした映画・文学の中で、私が最も優れた作品だと思うのは
半世紀以上前に読んだ五味川純平の小説「人間の条件」です。

80 復讐捜査線 自分を狙った銃撃で娘を失った…そう思い込んだ刑事の執念の捜査
75 BIUTIFUL 混沌としすぎて何を訴えたいのか分かりにくい バルデムはさすがだが 
80一枚のハガキ 新藤ファンには文句なしの傑作のようだが突っ込みどころは多い
75 この愛のために撃て 2件の殺人を犯した少年が警官になった 悪夢がよみがえる
60 ツリー・オブ・ライフ 35分でギブアップした こんな映画は認められない
80 ヒマラヤ メスナー兄弟の物語 山岳映画は多いが上位にランクできると思う
80 チェルノブイリ・ハート 映像の衝撃度はすごい データ表記に配慮がほしい
75 HAYABUSA 2本の“記録映画”だがCGが多く期待した感動はなかった
80 シャンハイ カオスの街を舞台とする物語 相関図をのみ込む前に終わった
80 うさぎドロップ 幼女を預かった男の困惑 松山と芦田の演技に尽きる 
85 神様のカルテ 病院を舞台にした人間模様がいい 出演者の気持ちが伝わる

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by toruiwa2010 | 2011-09-16 09:53 | 映画が好き | Comments(0)
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