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岩佐徹のOFF-MIKE

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Archives「“ゴルゴルゴル”船越実況を考える~Series:アナウンサー、実況&放送全般~」11/09/24

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“慎重で安全第一”のNHKに対して “楽しませよう”と
考えてしまう民放…“性格”の違いもあるためでしょうが、
残念なことに ビッグ・イベントで問題実況が生まれるのは
圧倒的に民放の方が多いですね。
今日の記事で取り上げた実況は、サッカー・ファンなら
きっと、記憶の中にあるはずです。



*シドニー五輪サッカー 1次グループ第1戦 日本対南アフリカ
ユース時代から一緒に戦ってきたメンバーで組んだシドニー・オリンピックの代表には、
大きな期待がかかっていました。
そして、この試合を担当した日本テレビ・船越アナウンサーの実況は、おそらく日本の
スポーツ放送史上もっとも物議をかもしたものとして記憶に残る事になりました。
放送開始からのアナウンスはこんな感じでした。
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「南半球キャンベラは春を迎えたばかり、標高500メートルにあるこの街では夜はまだ
コートが必要です。しかし、1980年1月に日本の大平総理から贈られたという桜はいま
ちょうど満開、あたかもサッカーの新たなる歴史の始まりを祝うかのようです。1957年、
陸上競技場として完成したキャンベラ・ブルース・スタジアム、今回、そのトラックを
取り払ってスタンドを増設。いっぱいに入った日本の観衆が今や遅しと両チームの入場を
待っています」
<37秒+11秒のダマリ>
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「1936年、ベルリンオリンピック、学生主体の日本は、なんと優勝候補のスウェ-デンに
逆転勝利。ベルリンの奇跡と呼ばれる、日本サッカーの国際デビューでした。
そして、'96年アトランタ、日本はサッカー大国ブラジルに1対0。60年ぶりの快挙は、
マイアミの奇跡と言われました。そして迎えた 2000年のシドニー・オリンピック、いま
ピッチに向かう、史上最強の名をほしいままにしているこの日本イレブンが決勝トーナ
メントに進み、そしてメダルを獲得したとしても、もう誰も奇跡とは言えません。
予選リーグ突破は彼らに課せられた義務であり、そしてメダルは、確固たる目標なのです。
さあ両チームのイレブンがピッチに入ってきます」
<ここは55秒>

しゃべり始めてから選手入場に至る実況です。じつは、東京のスタジオから受け取った
直後にも、およそ40秒の予定稿(あらかじめ用意されたコメント)がありました。
放送のはじめの部分はきっちり決めたいと考えて、そのためにコメントを用意することは
ほとんど誰でも一度は試したことがあると思います。しかし、これだけの量の予定稿は
ちょっと珍しいでしょう。
私の経験からすると どんなにさりげなく、アドリブっぽく言おうと努力しても、予定稿は
どうしても「読んでしまう」ものです。長くなればなるほど その傾向は強くなりますから、
どれかひとつにして、あとはポイントだけをメモにしておいたほうがよかったと思います。

「いま感じていることを素直にしゃべっているな」と思うのと「これは前もって考えて
あった言葉だろう」とでは、視聴者の胸への響き方が相当違います。まして読んでいると
分かってしまうのはまずいでしょう。

日本の同点ゴール
前半31分先取点を許した日本はロスタイムに入った直後中村俊輔のFKを高原がヘッドで
決めて同点としました。
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「さあ、前半ロスタイムに入って日本、これが最後のチャンスでしょうか。
中沢 上がってきた。(主審の笛、キック)ボールを入れる。ゴール前だ。いいボールだ。
シュート、ゴール、ゴル、ゴルーーーーー。<トータル14秒> 日本、ロスタイムに同点。
高原、ついにゴールの枠を捕らえました。日本、同点。素晴らしいフリーキック、そして
高原ドンぴしゃり」

勝ち越しゴール
同点で迎えた後半34分 中田から高原に絶妙なパスが渡ってゴールが生まれます。

「―――――ヒデ。中村がもう前にいます。高原に渡った。高原ァー。 (ボールがゴール・
ラインを越える前から)ゴール、ゴル、ゴル、ゴルーーーーー。高原2点目、日本、逆転」
<最初の「ゴール」から28度目(?)まで13秒>
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…多くの視聴者の間で拒絶反応が起きたのも、仕方がないと思います。
船越アナは、野球などで経験を重ねたアナウンサーですから、こういう実況が全視聴者に
受け入れられるとは考えていなかったはずです。その意味で、当時言われていた“確信犯”
呼ばわりは、言葉はきついものの、当たっていると思います。
問題は、どのくらいの割合で共感を得られると思っていたかでしょう。
あえてやったところを見れば、「半数以上」と、考えたのではないでしょうか? 
私の常識では「10%以下」ですから隔たりすぎていて途方に暮れてしまいます。

前にも書いたとおり 視聴者に媚びる必要はありませんが、同時に“その時、その場面”は
アナウンサーが独占しているのではなく、視聴者と共有していることを忘れてはいけない
でしょう。その共有している瞬間を楽しみ、喜びをどう分かち合うかを少しでも考えれば、
落としどころは自然に決まってくるはずですけどね。

いったい、どうしちゃったんだ!?
どんなに興奮しても、“発作的に”あんな実況が
できるわけはありません。 
同業者の私でさえかなり驚きました。ハハハ。
船越アナは、すべてを承知の上でやったのだと
思います。放送史に名前を残そうと初めから
考えていたのでしょう。まさに“確信犯”です。

ご存知の通りの事情で画面から消えました。
視聴者から“奪った”喜びの瞬間は返さぬまま。


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by toruiwa2010 | 2011-09-24 07:37 | 放送全般 | Comments(8)
Commented by あおき at 2011-09-24 10:52 x
こんにちは。。日テレのサッカー中継ですか。
日テレに限らず民放は避ける様にしています、、岩佐さんとか倉敷さん、解説者も出来る範囲で拝借すれば良いのにと、何度思った事でしょう。
何でも喋れば良いって訳でもなく、テレビは映像で観れるんですから、もう少し考えるべきでしょうね!日テレはトヨタ杯を放送してたからでしょうけど、南米の熱狂系を意識してた方が見受けられましたね。
Commented by toruiwa2010 at 2011-09-24 11:03
あおきサン、こんにちは。

船越アナは日テレの社員ですが、この時は
コンソーシャムのメンバーとして実況したのですから
“罪”はさらに重いと言わざるを得ませんね。
Commented by ひろ☆はっぴ at 2011-09-24 11:05 x
 このオリンピックの前の年、トヨタカップで当時レアル・マドリーのラウールがゴールを決めたときに「ラウール、ラウール…(約十数回繰り返す)、ラウールマドリード!」とやってしまった前科があります。あの頃のレアルはラウールが大エースだったので、サポーターの間ではラウール・マドリードと呼ばれている…などというこぼれ話をしていたのが伏線としてありました。

 その後のクラブワールドカップのバラエティ番組化の発端がここにあったのでしょうね。もっともこの路線の発端を作ったのは、バレーボールにアイドルを登場させた我らがフジテレビですけど(苦笑)byひろ☆はっぴ
Commented by toruiwa2010 at 2011-09-24 11:18
ひろ☆はっぴ サン、こんにちは。

ラウールは力強さはないものの、
動きがしなやかで美しい選手でした。
Commented by 赤ぽん at 2011-09-24 19:43 x
岩佐さん、こんばんは。
「ゴルゴル船越」アナと当時サッカー仲間ではよんで彼の実況を肴に飲んだものです。
でも怒りが湧いてくるのですぐやめましたが(笑)
感動&感情爆発!一番イイ瞬間を全部ぶち壊してテレビの向こう側に持って行っちゃった
人として忘れがたき元アナですね。

書かれているように”予定稿”は、まるで作文発表会のようですね。
日テレアナは資料準備と資料読みが異常に多い気がします。
コンソーシアム・・・「ツラい人」に当たると視聴者にはきついです。
Commented by toruiwa2010 at 2011-09-24 20:02
赤ぽんサン、こんばんは。

腹を立てて飲む酒はまずそうですね。
ハハハ。
この実況は「作文コンクール」よりひどかったと思います。
明日も作文の話ですが。
Commented by ペンギンマニア at 2011-09-24 23:33 x
「こう言ってやろう」と用意されたのが丸わかりの実況は、やはりゲンナリすることが多いですね。
目の前で戦っている選手にも手に汗握って見ている視聴者にも失礼だなーと以前から思っておりました。
船越さん以外にも民法在京某キー局にも、うん?という方がいらっしゃったりしますが、日本ではフィールドスポーツの実況能力が足りないアナウンサーが多いのでしょうかね…
Commented by toruiwa2010 at 2011-09-25 07:33
ペンギンマニアさん、おはようございます。

“失礼”をまき散らす実況は困りものですね。
「うん?」が民放に多いことも認めますが、
NHKの「つまらなさ」も私は好きになれません。
ハハハ。
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