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岩佐徹のOFF-MIKE

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「X day & Y day~金正日が逝った~」11/12/22

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2ヶ月近くその行方が分からないと騒がれていた北朝鮮国営放送の“看板”女性アナが
世にも悲しげな声で総書記・金正日の死を告げたのは19日でした。
新聞は、父親・金日成のあとをついで国家の指導者になったところから死に至るまでの
生涯ををまとめた記事を載せ、テレビは、その間の映像をまとめて放映しました。
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世間には、「短い時間でよくこれだけのものを…」と思った人もいるかもしれません。
いくらなんでも、そう簡単にまとめられるものではありません。
新聞もテレビも、遅くても数年前の発作のあとには、数人編成のチームを作って準備を
始めていたはずです。

これは金正日に限りません。
各国の元首や世界的に有名な芸術家・文化人・学者などについて、いざというときに備え、
マスコミ各社はその生涯や業績・作品を記事や映像でまとめているのです。
去年から今年にかけて中東で“アラブの春”が吹き荒れたときは トップの座を失いそうな
権力者たちの資料が集められたでしょうし、毎年、ノーベル賞選考のシーズンが近づくと
候補になりそうな日本人についての情報・資料が集められるはずです。

ただし、実際に使われる量は知れています。
テレビなら5分~15分、新聞・雑誌でも1,2ページ埋まる量があれば十分でしょう。
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…ケタはずれだったのは昭和天皇のときでした。
昭和天皇が87歳で亡くなったのは1989年でしたが、フジテレビで“その日”に備えて
プロジェクトがスタートしたのは畏れ多いことに1970年前後だったのです!
まだまだお元気でしたが、テレビにはそれだけの準備をする理由がありました。

崩御のあと数日は、一日中 通常番組を全部中止して“CMなし”の追悼番組になることが
予想されましたから、“とんでもない”量が必要だと考えられていました。早々と準備を
始めたのは、その“量”を確保するためだったのです。
準備グループは“Xデー・プロジェクト”と呼ばれていたと記憶します。
つまり、天皇崩御の日を“Xデー”としたのです。少し遅れ、皇后陛下が亡くなったときに
備える“Yデー・プロジェクト”もスタートしたはずです。

事前準備で、最も手間がかかったのは昭和天皇の一生をまとめる「一代記」の制作でした。
戦争をはさんで波乱万丈だった昭和天皇の生涯をたどるのは、きっと気が遠くなるような
作業だったと思います。テレビは 映像、最低でも写真が必要ですから余計に大変です。
幸い、陛下がお元気だったこともあって、作業はゆっくり進められました。
第1巻が完成してそのナレーションを私が担当したのは1973年ごろのことです。
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<<<あるひとつの人生を語るとき、それを一国の歴史になぞらえることが出来る
人生に揺籃の時代あれば、国に草創期の苦闘の歴史あり
人生に青年客気の時代あれば、国に狂瀾怒涛の歴史あり
人生に成熟の時代あれば、国には爛熟した文化の時代がある

我々がいま昭和という時代の終焉にあたって、大行陛下ご一代の足跡をたどるとき、
まさしくそれが一国の歴史であり、ひとつの人生と呼ぶにはあまりに歴史的な人生で
あったことを痛感せずにはいられない>>>

フジテレビ時代にたくさんのナレーションを手掛けましたが、伊勢神宮の映像をバックに
制作側の要求でゆったりしたペースで読み始めたこの“作品”は一番のお気に入りです。
しかし、制作のペースがきわめて遅く、81年1月いっぱいでアナウンス部を出てしまった
私は、結局 4巻(2時間分)しか、かかわれませんでした。
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昭和天皇の崩御は1989年1月でした。最初の収録から15年以上の時間が経過していた
ことになります。WOWOWに出向していた私はこの日の放送を自宅で見ました。
大行天皇(昭和天皇と呼ばれるまでの“称号”)の幼少時からのざらついた映像を見ながら、
聞こえてくる自分のナレーションに、特別な感慨がありました。
“その日”の空気を頭に入れて充分に下読みをし、読み終えたときには 大きな満足感が
あったのですが、「幼い」「深みがない」という印象を免れませんでした。
当時は、大きな仕事を任されてプライドをくすぐられたものですが、こういうものは
やはり、年輪を重ねたアナウンサーがやるべきだったのだと思いました。

現在では、各局ともライブラリーが充実していますから、何が起きてもそれほどあわてる
ことはないでしょう。それでも、膨大な素材をつなぎ合わせる作業にはそれなりの時間が
必要ですから、特定の人物については編成や報道部で準備が進められていることでしょう。
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by toruiwa2010 | 2011-12-22 09:22 | blog | Comments(4)
Commented by しょう at 2011-12-22 12:46 x
岩佐さん、こんにちは。
著名人の死去や偉業の際に、
テレビなどのメディアがいち早く特集を組めるのは、
そのような裏事情があるからなのですね!
それにしても昭和天皇の崩御に関して
1970年から着手していたというのには驚きです。

そして、北朝鮮については、
これを機会にすこしでも良い方向へ
向かって行くことを願うばかりです。
Commented by toruiwa2010 at 2011-12-22 12:49
しょうサン、こんにちは。

どんな種類の会社でも、それなりに
緊急事態に向けた準備をしていると
思いますが、マスコミの場合は少し
特殊かもしれません。

北朝鮮については、同感ですが、
あの三男坊は何だか危ないですね。ハハハ。
Commented by しょう at 2011-12-22 15:11 x
連投すみません。
北朝鮮の民衆が、金総書記の死を悼み
叫んでいる様は私たちには異様に映りますが、
テレビマンからご覧になって
あの光景はやっぱり演出だと思いますか?
Commented by toruiwa2010 at 2011-12-22 15:37
しょうサン、演出・・・というより、強制、指示されているとしか
思えませんよね。あの泣き方なら、本当は涙が吹きこぼれて
いなくてはおかしいのですが、あの国では、嘆き悲しんで
"みせる"ことが忠誠のしるしと受け取られるのでしょう。

アメリカでも黒人が同じような悲嘆ぶりを見せますが、
彼らは普通に涙を流していますね。
北朝鮮のは民衆だけでなく、兵士も身をもんで嘆いて
いますが、似て非なるものに見えます。
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