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岩佐徹のOFF-MIKE

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“さりげなく”ということ~岩佐徹的アナウンス論 3~ 12/01/09

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・・・つづき

スポーツ実況


フジテレビ時代に8年半のブランクがありましたが、それを除いても、私のスポーツ・
アナウンサー暦は33年になります。引退して6年もたつのに、今も折に触れていろいろと
発信し続けるのはそれだけ、実況についての“思い入れ”が強いということでしょう。

楽しさを伝えたい

フジテレビからWOWOW出向の初期にかけてマイクの前を離れていた時期もスポーツの
“周辺”で仕事をしてきました。ディレクター、記者、デスクなどです。
一貫して考えていたのは「スポーツの楽しさを伝えたい」でした。
つまり、私たちには、現場に足を運べないテレビの前の人たちに、今行われている試合の
面白さ、楽しさを伝える“義務”があると思うのです。
これはスポーツを実況する人たちすべてが考えるでしょうが、そのためにどうするか…
によって、それぞれの実況スタイルや、実況に対するスタンスが決まって来ます。

WOWOWでアナウンサーに戻ったとき以来考えていたのは有料であることも踏まえて、
“スポーツといえども、エンターテインメントだ”という事です。
もともとアナウンサーに課せられた使命といえば、“事実を正確に伝える”ことでしたが、
今ではそれだけではすみません。
視聴者に“楽しい”、“面白い”と感じてもらえなければ、合格点はもらえないのです。
そのための方法は千差万別ですが、ここでは“私の場合”を書いていきます。
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*さりげなく

常に、“さりげなく”実況しようと考えて放送に臨みました。当然、絶叫やオーバーな表現、
事前にコメントを用意することなどはこの中には入りません。
今の若手アナにはいわゆる“絶叫型”が多く、現役時代の私はその対極に位置するアナと
捉えられていたようですが、ビデオを見ると、恥ずかしいほど大きな声を出していることが
結構あります。なぜ“癒し系アナ”と呼ばれるグループに入れられていたのか、
ちょっと不思議な感じがしないでもありません。

どっちにしても、それは他人さまが決めることですからお任せするしかありません。
少なくとも、“さりげなさ”の対極にあるのが“絶叫”でしょう。

「数字を上げるためなら、金に糸目はつけない。何をやってもいいから」と、1995年の
バレーボール・ワールドカップ中継を任された親しいプロデューサーは、実に思い切った
プランをぶち上げました。バレー中継の経験が浅かった三宅アナをメインに据えたほか、
ネット局から“絶叫系”のアナウンサーを二人呼んだのです。
私は当時すでにWOWOWに出向していましたが、古巣で会った彼が「どうですかね」と
聞いてきたとき、「そんなの無理だよ」と答えました。もう、彼の中で答えは出ているのに
白々しいと思いつつ。ハハハ。

長い間、バレーボール中継をしてきた自分の局のアナウンサーを切り捨てて、やたら声を
張り上げるアナウンサーばかり集めてうまく行くはずがないと思っていました。
分からないものです。ふたを開けてみると、三宅アナをのぞけば、テクニックも何もない
やかましいだけの放送(ハハハ)が前回大会を大きく上回る視聴率を稼ぎ出したのです。
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世間では、古館のプロレス実況が“元祖”のように言われていますが、私の認識では、
“絶叫中継”が誕生したのはこのときです。あっという間に、各局が足並みをそろえて、
スポーツ中継はこのスタイルになっていきました。
絶叫の理由ですか。いくつか考えられます。

・局の方針に従っている
・かっこいいと思っている
・視聴者の共感を得ていると思っている
・盛り上げる方法をほかに知らない
・この場面を伝えるにはこれ以外にないと思っている・・・


思いつくのはそんなところです。どれも“治療法”がありません。ハハハ。
年配のアナウンサーには抵抗があっても、若い人にはそれが“普通”となっている以上、
ためらいなく、“悪の道”二踏み込んでいくのでしょう。ハハハ。
視聴者の中には「盛り上がれる」と、歓迎する人もいましたが、拒絶反応もありました。
特にサッカー中継が増え始めたころから強いのに、なぜ、なくならないのでしょうか?

まず考えられるのは“当人に自覚がない”ことです。
アナウンサーなら誰だって自分の放送は録画して見るものです。見て、そう感じるか?
たぶん 自分が絶叫派に分類されているとは夢にも思わないアナがかなりいるはずです。
それほど、自分のことは案外見えないものだし「俺が絶叫派なら○○だって、△△だって
(岩佐だってもふくめて)」と言うのではないでしょうか。ハハハ。

本人に自覚がないのに 気の毒にも“絶叫系”に分類されてしまった人たちはもしかすると
きわどい場面だけでなく、常に目いっぱいの声を出している、解説者の領域に入り込んで、
押し付けがましい話をするなど、視聴者に「うるさいなあ」と思わせる前提があるのかも
しれません。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-01-09 09:23 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(18)
Commented by S_NISHIKAWA at 2012-01-09 10:55 x
いつもありがとうございます。
今日はこちらのコメント欄からお邪魔します。
絶叫、用意したオーバーなコメント・・・
私は、どれも好きではありません。
この世界に片足を突っ込んだ時に、「テレビでは余計なことをしゃべらないことが必要」という話を聞きましたが、今はその逆のような気がしております。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 11:03
S_NISHIKAWAさん、こんにちは。

いつもありがとうございます・・・こちらのセリフです。ハハハ。
画面に映っていることはしゃべらなくていいと、言われた
時代もありましたがね。
Commented by つー at 2012-01-09 14:19 x
私がテレビを観た中で一番最低なスポーツ実況は、その後セクハラ事件でいなくなった日テレの某アナウンサーの<絶叫ゴール連呼事件>です。あの時は泣く泣く録画したものを消しました。

スワローズ・ベースボールの若手アナは、あまりにもひどいし勉強もしないので、よくクレームのメールを送っています(笑)。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 15:04
つーサン、こんにちは。

船越アナについては来週末の記事で
書く予定です。
Commented by 老・ましゃこ at 2012-01-09 19:33 x
テニスの実況で岩佐さんが
“恥ずかしいほど大きな声を張り上げて” と仰る場面は
きっと視聴者も同時に(^^)声を張り上げて、
画面の前で“おおーっ!”と感動している場面だったと思います。
言い方が変ですが、プレーを見守る中で、
“タメ”のようなものがあったようにも思い、
一緒に感動している感じでした。
急に柳さんが「うわーっ!凄いっ!」と仰ったときなどは、
それこそ解説していただいて、なるほど!そうなのか!と思い、
テニスを見る楽しみ方が一つ増えたような気がしたものでした(^^)
当時の放送は私にとっては、癒し系というよりも楽しい放送という感じです(^^)
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 19:48
老・ましゃこサン、こんばんは。

当時の放送は癒し系というよりも楽しい放送・・・
最高のほめ言葉です。ありがとうございます。
視聴者との気持ちのシンクロについては
いずれ触れるつもりです。
Commented by ヤップンヤン at 2012-01-09 20:13 x
岩佐さんが絶叫していたのを想像できますが、絶叫の一歩手前くらいではないですか? 私には決して不快にならない叫びでした。
古館伊知郎のは、絶叫というより、比喩を"これでもか"というほどたくさん使った実況という印象です。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 20:25
ヤップンヤンさん、こんばんは。

ここぞというときは結構叫んでます。ハハハ。
全体の調和…にポイントがありそうです。
Commented by あおき at 2012-01-09 20:47 x
岩佐さん、こんばんは。

岩佐さんが絶叫?していたってのは、「こんなポイントの入り方するの??」て時でしょうか、、最近・過去の絶叫系は無駄に叫んでるだけなので、個人的に全然違うと思っています。
癒し系、、岩佐さんの実況はプレーに集中できる感じで無駄が無いと思ってまして、今のベストは倉敷さんぐらいでしょうかね。
昨日、バレーの事を書かれてましたが、あまりにうるさくて苦情?の電話をしました。。後の対処は音量0です。
Commented by ヤップンヤン at 2012-01-09 21:04 x
なるほど、全体の調和ですか。ということは、岩佐さんは絶妙のさじ加減で実況としていたのですね。だから私は岩佐さんの絶叫に不快な思いをしなかったのだと合点がいきました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 21:12
あおきサン、こんばんは。

褒められて悪気はしませんが、なんだか
出来レースみたいで・・・ハハハ。

高校バレーは会場の熱気に巻き込まれる…
ということもあるんですよね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 21:14
ヤップンヤン さん、全体の調和…も実は
少しニュアンスが違います。
視聴者の気持ちとのシンクロ…です。
次回か、その次に触れる予定です。
Commented by デルボンバー at 2012-01-09 21:52 x
今日丁度春高バレーと高校サッカーの決勝の放送がありましたが、岩佐さんの評価はどうでしたか?(視ておられたらの話ですが)自分はサッカーのほうを視ましたが、実況はあまり聞かない若手アナでした。感想は……解説の武田修宏氏とともにひどいものでした。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-09 22:02
デルボンバーさん、こんばんは。

どちらもちらっとしか見ていませんので
論評はできません。
Commented by しょう at 2012-01-10 20:12 x
岩佐さん、こんばんは。
エンターテインメントとショーアップは
似て非なるものだと思うのですが、
最近のスポーツ中継はショーアップに
傾きすぎていることが気になります。
魅せるために趣向を凝らすだけならまだしも
通り越して演出されているものまで…。

WOWOWのテニス名勝負再放送、
アガシのライジングにため息がもれ、
岩佐さん恋しさにため息がもれ…。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-10 20:36
しょうサン、こんばんは。

ショーアップ・・・確かに鮮やかに、シンプルに
やってくれれば文句言いませんけどね。
行きすぎる、方向を間違えるので腹が立ちます。
Commented by バレーファン at 2012-01-10 22:39 x
私はスカパーのヘビーウォッチャーで、11月のワールドカップバレーの海外戦を見ていましたが、地上波ではあれだけ絶叫しているアナウンサーがたんたんと実況していまいした。イラン戦を実況してた森アナは、6ローテーションの攻撃分析からブロックシステムの駆け引きまで、鋭い質問で解説に振ってましたし、ロシア戦を実況してた竹下アナも、戦略分析が見事で絶叫もまったくしてませんでした。地上波とこんなに使い分けてるんだなあと、正直感心しましたよ。なので、地上波だけわざとやってるんじゃないですかねえ。どうなんでしょう?
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-11 07:59
バレーファンさん、おはようございます。
メディアによって放送に臨むスタンスや
モチベーションは違いますから、当然、
BS,CSではトーンが変わるでしょう。

高校野球の試験放送で朝日放送と一緒に
仕事をしたとき、あちらのアナ諸氏の態度は
腹が立つものでした。
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