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岩佐徹のOFF-MIKE

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“見たまま”から“絶叫”まで~岩佐徹的アナウンス論 4~      12/01/14

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・・・つづき

最悪だった絶叫

若いアナにありがちな、状況を考えずに絶叫することが視聴者に嫌悪感を与えるのだと
思います。口で言うほど簡単ではありませんが、アナの絶叫が視聴者の気持ちの
高まりと“シンクロ”すれば違和感はないはずです。

私が、“絶叫中継”を嫌う理由はうるさいからだけではありません。今のアナウンサーや
解説のテンションが見ている側のそれと一致していない場合が多いからです。
彼らが騒げば騒ぐほど、そこで起きている感動やオドロキを味わう“権利”を視聴者から
奪うことになっているからこそ“拒絶反応”が起きるのです。違いますか?

“その時、その場面は実況者や解説が独占しているのではなく、視聴者と共有している”
…この点を忘れてはいけないでしょう。
その、共有している瞬間をともに楽しみ、喜びを分かち合うにはどうすべきかを考えれば、
落としどころは自然に決まってくるはずです。
私は、WOWOWに移ったころから「スポーツの感動はプレーそのもの中にあるのだから
言葉で飾ることはやめよう」と決めました。
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“見たまま”から“絶叫”まで

日本のスポーツ実況は、放送局がNHKしかないころに始まりました。もちろんラジオです。
おそらく、見たままを言葉にするところからスタートしたのだろうと思います。

神宮球場どんよりとした雲、黒く低くたれた空、カラスが
1羽、2羽、3羽、4羽、風雲いよいよ急を告げております


戦前の六大学野球で松内則三アナが残した“名実況”です。
もちろん、実際に聞いたわけじゃありません。しかし、子供のころは、NHKのラジオしか
ない時代でしたから スポーツが大好きな少年だった私は、各種のスポーツ中継に熱心に
耳を傾けたものです。声と名前が初めて一致したのは、アナウンサーとしては野球殿堂に
入った志村正順さんがいました。野球と相撲を主に担当した スポーツ実況の歴史に残る
名アナでした。

その後も、続々と花形スポーツ・アナが生まれました。
ヘルシンキのオリンピック、白井義男対ダド・マリノの世界フライ級タイトル・マッチは
フィリピン・マニラから、古橋広之進が1,500メートル自由形で18分19秒の世界記録を
樹立した場面はロサンゼルスから…など、遠くの出来事を目の前で起きているかのように
伝える実況に聞き入りました。ただし、ラジオの時代には、あくまで目に映ったことを
言葉にするという流れは基本的に変わりませんでした。
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やがて、テレビの誕生です。
まだ学生のころのことですから、細かいことは覚えていないのですが、ある有名な作家が
新聞にこんな主旨のことを書いていました。
「これまでなら『横綱・照国が西から登場しました』と言うところだろうが、○○アナは
『西から登場したのは横綱・照国』と言った。これがテレビの実況である」と。

…音声だけのラジオと映像があるテレビでは実況の仕方に違いがあってしかるべきだと
言いたかったのでしょう。なるほど。
しかし、全体としては、ラジオ的な実況を続けるアナが圧倒的に多かったと思います。
そのうち、業界内からも視聴者からも「見りゃ分かることをしゃべる必要はない」という
“例の声”が出始めました。ちょうど、私がフジテレビに入ったころです。
当時のアナウンサーたちは「じゃあ、何をしゃべり、何をしゃべらないのか?」について
まだ迷っていました。

実は、この「見りゃ、分かる」をどう考えるかはとても難しいところなんです。
言葉通り、画面を見れば、現場で何が行われているかがすべて分かる人もいるでしょう。
一方、本人は分かっているつもりでも、理解が間違っている人もいれば、全く分からない
人もいるはずです。先輩たちが迷っていたのは“落としどころ”でしょう。
また、画面ですべて見えていても、実況がないと物足りない競技もあります。
ボクシングなど、格闘技が典型的な例ですね。

雰囲気的に、ないとおかしな競技もあります。
競馬中継に実況がないと落ち着きませんよね。お金がらみですから、アナウンサーには
絶対ミスはできないというプレッシャーがかかりますが。

最後は、似ていますが非常に微妙な「盛り上げるため」の実況があります。ハハハ。
見えているけど、アナウンサーの実況で視聴者の興奮をさらに高めよう、というわけです。
その延長線上に ここ10年ぐらい激増している“絶叫中継”があるのではないでしょうか?
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年齢的なことでしょうが、ビッグイベントのたびに暑苦しくて仕方がありません。ハハハ。
世界水泳、世界陸上、サッカーやバレーのワールド・カップ…
まず、スタジオの司会陣が熱すぎて!! 
誰が どう ではありませんが、生理的に受付けないんですからしょうがないですよね。
「この演出が本当に必要か?」「視聴者はこれが好きなのか?」と考え込んでしまいます。
アナウンサーたちの気持ちを考えると複雑な部分もあります。絶叫や過剰な描写が局の
方針による場合もあるでしょうから、アナウンサーだけを責めることはできないのです。

かつては“事実を伝える”ことにこだわり、絶叫を排していたNHKでさえ、サッカーや
高校野球の中継で若いアナウンサーが金切り声で叫ぶようになりました。
民放はと言えば、テレ朝・森下アナや日テレ・村山アナを除くと 騒々しいアナウンサー
ばかりで、どこにも逃げ場がありません。
立派なキャスターに出世したため、水泳や陸上で、独りよがりの古館節を聞かないで
すむようになったのは大きな救いでした。ハハハ。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-01-14 09:04 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by あおき at 2012-01-15 08:09 x
岩佐さん、おはようございます。

騒げば何でも良いというわけでもないですからね。
個人的にはスポーツ中継に芸能人は必要かな?とも思っていますが、居なくても良いだろ〜実況も解説もうるさいし、と感じてしまうので気持ちが冷めてしまいます。
以前は全米オープンテニスでWOWOWと某局で放送してましたが、某局のはうるさすぎて自分は観る気にもならなかったです!プロレス中継は目指せ古舘節な感じでしたけど、真似出来ないんですよ他の人では。。。余談ですが黒田さんとヤンキースが一年契約で合意したみたいですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-15 08:31
あおきサン、おはようございます。

地上波とWOWOWの違いがあって
アナウンサーだけを責めるのは酷かもしれません。

黒田の件はツイッターのほうでは書きました。
大歓迎です。
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