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岩佐徹のOFF-MIKE

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“ダメ”だと思う実況例2~岩佐徹的アナウンス論 6~12/01/21

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・・・つづき

Too much makeups(厚化粧)の実況


人にもよるのでしょうが、“装飾過多”の実況が私は大の苦手です。
ジャラジャラとジュエリーをつけたりテーブル越しに化粧品がぷんぷんと匂ってきたり…
そんな女性は敬遠したいと思うのと似ています。ハハハ。

◆550-600
ソープが若干出たかに見えます。
4コース 向こう側のソープが若干ハケットを抑えたかに見えますが
どうでしょうか。
ワンストロークずつ、ワンブレスごとに、次元の違う記録のヒガン
(彼岸または悲願?)へと向かうのか。
ソープじわじわと出てまいりました。

◆700
さあ、ここからソープが出るか。ソープのスパートか。
水の特待生、ソープ。
さあ、ソープが出てまいりました。水中四輪駆動全開か。
エラのない魚類と化したか。
さあ、750のターンが近づいてまいりました、ソープ。
ソープがとるのか、最後のターン。ソープがとったあ! 
ソープ、世界新! おのれの記録更新に向かって行く。
いま、渋谷の地べたに座っている18歳の若者もいるゥ。
そして、世界記録へ向けて黙々と泳ぐ、この18歳もいます。
どちらも自分の在り処(ありか)を探しているゥ。
さあ、ソープが体ひとつハケットに差をつけたァ。
世界新! 世界新への予感、ソープ。
なんと夢の39秒台。7分39秒16、夢の39秒台。
ハケット敗れました。
(2001世界水泳 男子800メートル決勝:古舘アナ)
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…これぞ究極の厚化粧実況。ハハハ。
耳で聞いた感じと文字にしたものとではだいぶイメージが違いますが、どちらにしても
プロレス実況時代からの彼のファンにはたまらないであろう独特の“古館ワールド”が
展開されています。違和感の無い方はテレビの前で大いに盛り上がれたことでしょう。
そして、若い人にはそれほど抵抗がないのだと思います。

たぶん、各局のスポーツ・プロデューサーたちはプロレスの印象よりもF1の実況を聞いて
「これはいける」と思ったのでしょう。“普通”の視聴者にとっては迷惑千万な話ですが、
“音速の貴公子”に始まるニックネームや言い替えをちりばめたアナウンスを“新しい
スタイル”として受け止め“評価”したのだと思います。

世界水泳やF1、マラソンなどで“聞かされた”彼の実況を“現代の講談”と名づけました。
そう思って聞けば 立派なエンターテインメントになってはいます。好きか否かは別ですが。
しかし、自分自身がごくオーソドックスなスタイルのアナウンサーでしたから この実況を
聞き続けるのはかなりの“苦行”でした。ハハハ。

抵抗がある者にとって、まず面食らうのは、決して途切れることがない形容詞、修飾語句、
修辞語句のオンパレードです。これまでにも書いているので大幅に縮小してありますが、
選手の入場からゴールまで10分間、視聴者の多くは“苦痛”を強いられました。
“音速の…”は、セナのキャラクターを考えると、ピタリとはまった方でしょう。
しかし、全体には何の脈絡もないところに無理やり押し込んだものが多く、一つ一つに
反応していたら疲れてしまいます。

この実況スタイルが一番ダメなのは、実況者として最も大事にしなければいけないはずの
“現場の感覚”が欠如している点です。
目の前で起きていることの描写より、自宅やオフィスで作りだした言葉、中には事務所の
制作スタッフが考えたものもかなりあるという言葉を優先する姿勢を正統派のスポーツ
愛好家が受け入れるはずはありません。

世界水泳や世界陸上は 普通にしゃべっていても感動やドラマが生まれる可能性のある、
まさに世界トップ・レベルのイベントです。“細工”は無用なんです。
そこにこういう小手先の演出を持ち込まれるのは、相当“つらい”ものがあります。

冒頭に抜粋した実況の中では、特に「渋谷の地べたに…」からのコメントに度肝を抜かれ、
驚きのあまり 声も出ませんでした。意味不明ですもん。ハハハ。
本人や作家軍団には「これは“エンターテインメント”としての言葉遊びであって すべて、
意味が通じなければいけないなどとは考えていないのでしょう。
そのことは理解できるとしても、さあ 世界新記録が出るか、という緊迫した雰囲気の中で、
こんな“安っぽいお説教”のようなフレーズを聞かされる視聴者の気持ちも少しは考えて
ほしいものです。
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彼の才能は素晴らしいものだと思っています。
'88年に私がF1のプロデユーサーになったとき、担当ディレクターが真っ先に飛んできて
「古館さんを実況に使いたい」と言いましたが、すぐに却下しました。
彼のしゃべりが フジがとらえているF1のイメージにふさわしくないと判断したからです。
しかし、半年後に私が番組を離れるのを待っていたかのように 翌年から“古館のF1”は
華々しくスタートしました。

…視聴率は上がりました!
考えられるのは、もともとの彼のファンや「古館がしゃべるF1ってどうなんだろう?」と
思った人たちが見始めたということで、彼が新しい視聴者をひきつける要素になったのは
確かなようです。

…となれば、数字がすべての今のテレビの世界では その数字をもたらす素材に頼るのは
当然でしょう。プロデューサーたちが彼のポテンシャルに頼った理由もそこにあります。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-01-21 08:58 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(15)
Commented by ysphoto at 2012-01-21 13:31 x
お久しぶりです。古舘ワールド。プロレスファンだった私も無理でした。確かにニックネームのネーミングはセンスを感じますが自分の言葉に酔っている酔っているかの実況は耳障りでした。
残念なのはその後のスポーツの実況で若手アナが古舘化して行くことです。
そんな意味では同時期F1を担当していた、関西テレビの馬場アナが担当するレースにホッとしたものです。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 13:47
ysphotoさん、こんにちは。

フジテレビのアナに適任者がいなくて
馬場を口説気に入ったときは惨めでしたが。
ハハハ。
Commented by 赤ぽん at 2012-01-21 17:44 x
岩佐さん、こんばんは。
古舘実況・・・猪木にだけならあの実況も良かったんですけどね・・・
意味のよくわからない比喩表現には正直萎えました。
新日本プロレスじゃないんだぞってF1時代も突っ込んでました。

錦織やりましたね!80年ぶりとのことですが、シード選手としては当然?
それとも日本人選手として良くやったでしょうか?
曲者?!のベテランとの戦いは正直ジリジリやきもきしましたが・・・

ダルビッシュ会見の記者が英語をしゃべらせようとして、話さなかった(話せなかった)
会見にも興味があります。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 18:11
赤ぽんサン、こんばんは。
視聴者は萎え、実況者は高揚・・・
アンフェアですね。ハハハ。

錦織についてはツイートで苦言を呈し、
猛烈な反発を受けています。ハハハ。
私は、第2セット4-5ダウンから粘ったときに、
ボールの質は錦織のほうははるかにいいので
大丈夫だと思っていました。
よくやってますが、コート上のだらだらした態度は
なんとかせい、と思います。ハハハ。
Commented by ハハハ at 2012-01-21 18:36 x
嫌なら見なければいいんじゃないですかね ハハハ
どこかのブログでそう仰ってた方がいらっしゃいましたよ ハハハ
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 20:00
ハハハさん、自覚してると思うけど、承認すべき
コメントではない。
でも、どういうレベルの人が反発するかを
多くの人に見てもらうために…。ハハハ。
Commented by ルナパーク at 2012-01-21 20:10 x
岩佐さん、遅くなりましたがブログ拝見致しました。
虚飾に満ちたプロレスや現実離れしたF1の世界での古館氏の輝きはそれこそ話芸として輝きを放ちましたが、水泳あたりになると、世界陸上の某氏同様、うざいだけの存在でしたね。
私自身、新日全日全盛時代の古館・福沢実況は芸として楽しんでいましたけどね。
ところでF1中継のプロデューサー経験者として、地上波撤退はどう思われますか?
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 20:19
ルナパークさん、こんばんは。

地上波撤退はあり得ないと思っていました。
意外です。
部外者ですから何とも言えませんが、たぶん
視聴率とも関係していると思います。
Commented by しょう at 2012-01-21 21:08 x
岩佐さん、こんばんは。
古館氏についてですが、彼はアナウンサーではなく
話芸をする芸人さんであると考えなければならない程
異質の存在であると思うのですが、
その彼を追随する者がいることこそ問題であるような気がします。

錦織選手は勝ちましたが、またいらぬ体力を使ってしまいましたね。
スロースタート改善が次の課題だと強く思いました。
そして私は彼のプレースタイルが大好きで、ファンであるのですが
岩佐さんの苦言には「その通りです」と返さざるを得ません。
逆にあの方向で行くならもっと徹底的にヒールとして
やってもらいたいとまで思います(笑)。
サフィンとかリオスみたいに。
Commented by あおき at 2012-01-21 21:26 x
岩佐さん、こんばんは。

当時のF1中継に熱中してました!88年からなので、古舘さんが実況してなくても見ていたと思います。
古舘さんの実況は好きでしたが、F1とプロレス以外は知らないんです。
そして、今…改めて当時の実況を拝見したらどうなのかな?と、古舘さんは準備してたフレーズはスベってしまったと聞きました。
あの頃のF1は面白かったですね♪
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 21:31
しょうサン、こんばんは。

ヒールなどとは思っていないと思います。
自分がどう見えているかの自覚が全くないのだと。
分かっていれば、改まるはずですが。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 21:33
あおきサン、こんばんは。

私自身はモータースポーツのことを
よく知りません。しかし、セナ・プロスト・マンセルと
揃っていた時代はレースのたびに見ていました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-21 22:05
ゆうサン、とおっしゃる方へ

正義の味方ぶって、ツイッターの発言について
こちらにコメントするのはとんでもない間違いです。
承認できません。
また、連続投稿はお断りしています。よろしいですか?
Commented by cm at 2012-01-22 02:08 x
岩佐さん、こんばんは。

古館実況も問題だと思うのですが、あれはあれで彼のスタイル
なので、ある意味では自然でした。問題なのは、あのスタイルが
地上波F1中継の定番となって、他のアナウンサーも従っている、
又は強いられていることだと思います。同じアナウンサーでも
地上波とCSと全く違うので、地上波では古館スタイルを強制
されていることは容易に想像がつきます。

正直なところ、古館のような能力のないアナウンサーが絶叫したり
似たような表現を無理矢理入れ込んでいるのはかなり聞いていて
つらいです。また、一部でポエムと称されるスタート前の長文の
朗読も視聴者には非常に苦痛です。視聴者はF1を楽しみたいので
あって、アナウンサーの言葉遊びの努力をみたいのではないと
思います。

贅沢はいいませんから、せめて他のスポーツレベルの放送を
お願いしたいです。CS視聴者ですが、無料放送あってのCSです。
無料放送が過剰にテロップが入ったり、画面が小さくなったり、
過度な編集があったりとひどい創作物にされている現状は初期
から見続けているファンには悲しいです。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-22 07:57
cmさん、おはようございます。

もっともな意見だと思います。
文脈で分かりますが、「古舘のような」で切って
読まれると誤解されそうですね。
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