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岩佐徹のOFF-MIKE

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“ダメ”だと思う実況例4~岩佐徹的アナウンス論 8~12/01/28

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・・・つづき

作文コンクール


このブログの中を検索すれば、“用意した言葉”を使うアナを繰り返し批判していることが
分かるでしょう。くどいほど書いています。つまり、それだけ、今のアナ諸氏が 懲りずに
“材料”を提供してくれているということでしょう。ハハハ。
“用意した言葉”は前回のキャッチ・コピーなどとは違います。

代表的なのはアテネ・オリンピックの男子体操の団体戦を担当したNHKの刈屋アナが
実況の中に“ちりばめた”言葉の数々です。

日本チーム最後の演技者・冨田の演技が始まっているときに、「冨田が冨田であることを
証明すれば、日本は勝ちます」と話し、フィニッシュに入るところでは、合わせるように
「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋!」と言いました。
そうです。“実況した”ではなく、“話した”、“言った”のです。
経験から、これはとっさに出たものではありません。用意してあったものです。

まず、「ああ、黙った方がいいのになあ」と思いました。
私だったら、演技の前に「普通の演技ができれば、金メダルは確実です」、フィニッシュに
入る直前には「さあ、フィニッシュです」の一言だけにして、着地が決まったら、あとは
歓声が一段落するまで黙ったでしょう。解説者に向かって人差し指を唇にあてて。ハハハ。
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マスコミが取り上げ、世間では“名実況”とされているだけに、この実況を批判するのは
なかなかの“勇気”ある行動です。蛮勇…。ハハハ。
当時のブログにも書きましたが、反応を見ると、彼の実況に対しても 私の記事に対しても
“賛否両論”でした。
私に対する“遠慮”を割り引くと、この放送に対する世間の支持はやはり高かったのだと
考えるのが妥当でしょう。

ご本人は「演技中に考えたコメントだ」と話しているようです。
そう言うのであれば、もしかしたら、そうなの“かも”しれません。
しかし、NHKがこのオリンピックのテーマ曲に使っていた、ゆずの「栄光への架け橋」を
しっかり踏まえていることなどを考えると、それは“奇跡”に近い技です。

彼は、オリンピックのあとの大相撲9月場所千秋楽 結びの一番、朝青龍と魁皇戦でも
同じようなことをやっています。
12勝をあげ、すでに優勝を決めていた魁皇でしたが、次の場所で横綱を狙うためには、
もう一番勝っておきたいところでした。

立会いの一瞬に合わせて放たれた一言はこうです。
「13勝での優勝は、ツナ取りへの架け橋だ」!!
これも、そのときに思いついたと言うなら、脱帽です。間違いなく“史上最強”アナです。
ハハハ。

誉めてる場合じゃありません。
くどいようですが、スポーツの感動は試合やプレーそのものの中にあるのです。
「言葉で盛り上げよう」という考え方は、必ずしも視聴者の共感を得られません。むしろ、
邪魔だと感じることが多いことを知るべきです。
人の心を捉えるのは、ゲームの中でドラマチックな場面が生まれた瞬間に、とっさに出る、
的確にそのプレーをたたえ、その場を支配する“空気”を伝える言葉です。
そのために、アナウンサーは語彙を整理し、技を磨くのではないでしょうか。

4年前のあの日が、昨日のことのようです。
1400日をまたいで、かすかな負い目とそれを上回る自信を
私達は胸のうちに秘めてきました。
今、ここに再び立ち上がるときがやってきました。
第一戦の相手はベルギーです。


…2002年日韓ワールド・カップ、日本の第一戦のときのアナウンサーの第一声です。
山本アナはサッカー・ファンの間では“神様”扱いのアナウンサーでした。
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脈々と続く今の流れを作ったのはサッカーで“名言”を量産した山本アナでしょう。
多くのファンが喝采を送り、彼は特別な存在になっていきました。
言葉が、視聴者との間で“共感・共有”できるものであるうちはいいと思います。
しかし、山本アナもそうだったように、続けているうちに必ず、“無理”が出てきます。
そこでやめられればいいですが、麻薬みたいなものですから、これがなかなか….ハハハ。
ここに文字起こしした第一声にも、決勝のときのコメントにも“無理”が露呈しています。

魂のドイツ、技のブラジル。世界を代表するつわものが、初めて
あいまみえる時を迎えました。実力、風格、プライド。
すべてを自らのものとする両雄の戦いです」
「胸高鳴るとき、声高まる一瞬。ワールド・カップが始まって
72年目にして、この対決の幕が切って落ちようとしています。


アドリブだとは思えません。かといって、きちんと書いたものを読んだのかと聞かれると、
それもはっきりとは分かりません。
はじめの文章は、「自信が負い目を上回る」、その自信を「私たちは胸に秘めてきた」など
首を傾げたくなるフレーズがあって、完成度が低いです。
そして、最後の文章では「幕が切って落ちる」と言っていることに戸惑います。
「幕が切って落とされる(始まる時)」、あるいは、「幕が下りる(終わる時)」は聞きますが、
「切って落ちる」は一度も聞いたことがありません。

私は、コメントを用意する場合でも、文章の最後の部分はわざと完成させません。
こうすると 本番の時に、アドリブ風のしゃべりになります。彼も同じことをやろうとして
最後がおかしくなったのかもしれないと推察しています。
by toruiwa2010 | 2012-01-28 08:11 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(25)
Commented by しょう at 2012-01-28 11:27 x
岩佐さん、こんにちは。
一連のアナウンス論を拝読して、
「実況」とは何か、という基本的な疑問が頭に浮かんできました。
辞書で引くと以下のように記述されています。
・現実のありのままの姿
・実際の状況

用意した言葉、応援放送、絶叫…
どれをとっても当てはまりません。
「実況」をするアナウンサーを探す方が難しい現状ですね。
Commented by デルボンバー at 2012-01-28 11:44 x
例の刈谷アナの実況は実は実際の放送を見逃してしまったので何とも言えないのですが、少なくとも心の中で「いつかつかってやろう」と準備してたのは間違いないと思います。
山本アナはもうNHK辞められたんですかね?めっきり実況やらなくなりましたけど、意外と業界内では評価低かったのでしょうか。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-28 11:44
しょうサン、こんにちは。

辞書に載っている通りの実況は難しいでしょうね。
実況検分…というとおりで、ここに出てくる実況は
放送におけるそれとはだいぶ違いますね。

それはそれとして、ありのままの姿を伝える・・・だけでは
いまの“実況”は務まらないからややこしいのです。
どこまでやるか、ということもありますし。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-28 11:47
デルボンバーさん、こんにちは。

いつか使ってやろう・・・それは実況じゃないですよね。

山本アナについては、ファンの間では絶賛しきりでしたが、
同業者で「ああいう実況をやってみたい」という声を聞いた記憶は
まったくありません。みんな、嫉妬してたんでしょうか?ハハハ。
Commented by ysphoto at 2012-01-28 13:12 x
岩佐さん、こんにちは。
以前、ある小売業者が潰れその債権者会議に行ったとき社長が「安売りは劇薬だ」と言いました。
社長曰く、激安をすることでお客さんは増えたが、収益はあがらず、まただんだんその激安にお客さんが慣れて集客も落ちていくという。
この予定稿実況もまさにそれだと思います。
例えば山本アナ。「東京千駄ヶ谷の、国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの青い空が近づいているような気がします・・・。」この言葉にテレビを見ていた我々が「うまく言ったな」と思わせたところまでは良かったのですが、以降山本アナに対して我々は何か言葉を求めずにはいられなくなりました。
そんな意味では刈屋アナも一緒で今更実況だけするスタイルには戻れないのではないでしょうか?
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-28 14:18
ysphotoさん、こんにちは。

その社長さんの言っているのは私と同じことです。
絶叫や用意した言葉の怖いところは一度でもうまく決まると
その快感が病みつきになるのです。
それを社長は劇薬と呼び、私は麻薬と呼んでいるのです。
Commented by うん at 2012-01-28 20:21 x
こんばんは、岩佐さん。
刈屋アナの“栄光の架け橋”実況、ライブで見ていましたが、当時の私の印象は“あちゃ~!!”でした。
 かつてのNHKだったら“お叱り”ものだったかな(^^;!
 ?実況アナウンサーの“心からの叫び(!?)”で印象に残っているのは、何と言っても長野五輪ジャンプ団体・NHK工藤アナの『立て立て、立て立て、立ってくれ~!!』でしょうか。

twitterの呟きとブログ、いつも楽しみにさせていただいています。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-28 20:52
うんサン、こんばんは。

ピタッとシンクロしたので名実況と
もてはやす人もいるようですがね。

同業者としては「立て、立て・・・」もちょっと怪しいです。
限りになくクロに近いグレー・・・ハハハ。
Commented by よねぢ at 2012-01-29 01:46 x
こんばんは★
確かに、体操の時のアナの有名なコメは、言い回しの節としては見事だと思いますが、実況としてはどうなのかと思いますね。
素人なので、実況されてる方の難しさはよく分かりませんが、
狙った決め台詞ではなく、ぽろっと話した実況が、名台詞になってほしいですね★
サッカーで最近よくある冒頭の言い回しは、村上春樹の表現とも似てますが、自分も好きではないです。。。
TV画面では伝わりにくい空気・臨場感を表現したいのかもしれませんが、無言でしばらく会場の音を拾った方がいい気もします。
ライブでも試合でも料理屋の味でも、テレビで伝えられない空気は、
体感するしか術がないから、皆、直接足を運ぶのだと思います。
言葉で伝えようと無理に頑張るのは、作る側のエゴな気がします。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-29 07:20
よねぢサン、おはようございます。

ご指摘のこととは別に、プロとしては
狙ったセリフが決まってうれしいか?と思います。ハハハ。
Commented by もくでら at 2012-01-29 12:14 x
これらを読んだ後、
wowowで、懐かしいテニスの試合を見ました。
もちろん、岩佐&柳さんコンビのものです。
お二人の、息の合った掛け合い、決勝戦終了後の観客の声だけを
大切にしている様子が、改めてわかりました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-01-29 12:18
もくでらサン、こんにちは。

黙ることは勇気が要るんです。ハハハ。
Commented by N at 2013-08-17 12:00 x
こちらにもコメントさせて頂きます。
刈屋アナについてこんなに書かれてたんですね。
ろくに過去記事も読まず、ふらっと来て、もう岩佐さんには分かりきっていることを連続投稿して失礼いたしました。

書かれていることに全く共感します。
素人にすら分かってしまうような「用意した言葉」って何なんでしょうね・・・
あれが名実況なんて世の中いろんな人がいるもんですね。
Commented by けん at 2016-04-02 22:40 x
大昔のエントリーへのコメント、申し訳ありません。
オリンピックイヤー到来。また件の実況が話題になる時期です。ええ。また話題になるでしょう。リアルタイムで観ていて鳥肌たちましまもん。
岩佐様の実況に(半世紀以上生きてますが)記憶に残るものはありませんが、「伸身の~」は未だに忘れることなく刻まれております。

職人には職人的価値観に基づく優劣はあるのでしょうが、大衆は目の前にある事象に対して評価します。大衆に新しいものを提示して支持されたのをもって由とできないならば、「マス」メディアに関わる「職人」たりえないと思いますが、いかがでしょう?
Commented by toruiwa2010 at 2016-04-03 07:28
けんサン、おはようございます。

前段については、どうぞご自由にと。
後段、特に最後の2行は何を云いたいのか
理解できません。

普通、他人のブログを読んで意見が違ったら
黙って立ち去るものです。私はそうしています。
参考にしてみてください。
Commented by とおりすがり at 2016-08-07 12:42 x
ゆずの曲名は「栄光への架け橋」ではなく「栄光の架け橋」です。してやったりの御高説は結構ですが、ちゃんと物事は正確に。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-07 12:49
とおりすがりサン、
書きっぱなしで読みもしないのだろうけど、
承認しとくよ。
他人のブログに書き込むならHNはちゃんとしようぜ。

あ、それから、修正しとくけど、論点はそこじゃないこと
分かってるよね。ハハハ。
Commented by とおりすがり at 2016-08-08 13:23 x
ちゃんと掲載していただいてありがとうございます、一応お礼を述べておきます。

でも「論点はそこじゃない」と言って逃げるのは正しい態度ではないですね。どんなポイントで誤りであることは間違いでないのですが。それとゆずの曲名が頭にあったに違いないと断ずるなら、曲名を正確に記述することは重要なことですよ。

どうやらご自身の論にご自身で酔っている、というのが至る所で見受けられ、そしれを祭り上げる人たちに囲まれていて、ネットで意見を述べることに求められることを忘れてしまっているように感じます。

それとハンドル名に関して、「とおりすがり」だろうか「一郎」だろうが、匿名であることにはかわりありませんから。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-08 13:35
⇑ この人物にはかかわるつもりがありません。
どこにでもいますなあ、こういうのが。
ハハハ。
Commented by 通りすがり at 2016-08-10 11:10 x
辞書通りに行動することを是とすれば、そうかもしれませんが、感動を伝えることができたのなら刈屋アナの実況も是でしょう。用意された台詞の何が気に入らないのか。マイノリティーを訴える私はかっこいいという自己陶酔ですか?かっこわるい。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-10 11:26
⇑ こう考える人もいるわけで。
「かっこわるい」と言われても承認する…
かっこいいかも。ハハハ。
Commented by ssyyua at 2016-08-26 21:23
当時の実況についてご本人はこのように語られております
http://london2012.nikkansports.com/column/quotations/archives/f-cl-tp0-20120708-980110.html

またあの実況をこう評す人もいます
http://www.tamakimasayuki.com/sport_bn_69.htm

何かの参考になれば幸いです
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-26 21:42
ssyyuaサン、こんばんは。

わざわざ、情報、ありがとうございます。
私は、自分の感覚で判断し、書いています。
本人がどう考えていたか、"あとづけ"の話には
関心がありません。
また、評価する人がいても驚きはありません。

読者のみなさんの中で、興味がある人は
お読みになればいいと思います。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-27 08:38
⇑ 追記
どなたも興味ないでしょうが、書いておきます。
とりあえず、刈屋アナのインタビュー記事を
読んでみました。印象として、どうしても、
その場で思いついたことにしたいようです。

実況を聞きなおしてみると、鉄棒の下に
到着したところから、着地までの実況は…

小学校のころ東京オリンピックを見て
自分もオリンピックでメダルを獲りたい。。。
夢を持った富田。ニッポンが誇る最高のオールラウンダー
(補助を借りて鉄棒にぶら下がる→演技開始) 

富田が冨田であることを証明すれば日本は勝ちます
(演技中盤:「自信もって」と解説者)

離れ業はコールマン
とれば決まります

さあ、あとは最後の伸身の新月面
着地に向かう
伸身の新月面“が描く放物線”は栄光への架け橋だ。(以上)

フィニッシュに入るところで富田は予定より1回多く
回った。そこで“が描く放物線”を急きょ挿入した…
記事には記者がそう書いています。

すっげえ!と思います。超人です。ハハハ。
まともに実況していたら、そんなことを考える
ひまはないのです。第一、一回多く回ったのなら
それを言うのが実況の仕事じゃないですか。

すべて"あとづけ"なんでしょう。魁皇の件で
分かる通り、彼は常習犯です。
聞いて、感動した人が多かったのは認めます。
名実況だと褒めるのも分かります。
しかし、本人がアドリブだったと言うのは
おかしいと私は考えます。
Commented by toruiwa2010 at 2016-09-27 06:57
とおりすがりサン、および
通りすがって逆戻りして。サン、

自分で分かっているようなので
削除させてもらうよ。ハハハ。
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