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岩佐徹のOFF-MIKE

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明るさ,テンポ,ユーモアetc~岩佐徹的アナウンス論 14~       12/02/18

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さわやかさ、明るさ、テンポ、ちょっとしたユーモア

スポーツ実況で頭に置いておきたい要素です。
“もって回った”言い方を避けて、できるだけ簡潔な言葉、表現でストレートな描写を
心がけることが大事でしょう。それが「さわやかさ」に通じると思います。
私自身は 年令も考えて表現が古臭くならないように気をつけていたのですが、気を抜くと
「万雷の拍手」、「割れんばかりの歓声」などと、出てしまいます。
そうかと思えば、くだけた表現のつもりで、当時伸び盛りだった外国の女子テニス選手を
「単なるカワイコちゃんではありません」と言ったところ、「いまどき、カワイコちゃん
なんて言いませんよ、岩佐さん」と、つっ込まれました。ハハハ。
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「明るさ」は説明の必要がないでしょう。
視聴者はスポーツを見て気持ちよくなろうと思っているわけですから、伝え手が暗くては
その目的は、とても果たせません。「さわやかさ」と「明るさ」で まず放送席が楽しめば
視聴者にも通じると思います。

「テンポ」も同じです。
テレビ放送は映像と音声で成り立っています。 音楽番組などでは、映像を切り替える
(スイッチングといいます)ときのリズムはきわめて重要ですが、スポーツではよほどの
ことがない限り、見ている人の神経を苛立たせることはないと思います。
音声は違います。特別の場合を除けば手を加えることはできない拍手、歓声、ボールを
蹴る音などは別としても、解説者とアナウンサーで構成するコメンタリーが生むテンポは
放送そのものの良し悪しに大きく影響します。
「テンポ」は前の二つと合わせて視聴者の気持ちをつかみ、乗せていく上でとても大事な
要素だと思います。

スポーツ実況は「プレーの描写(いわゆる実況)」、「解説者とのやり取り」と 情報提供や
「前半15分経過、2対1で…」など、状況を伝える「素」の部分で成り立っています。
この三つを同じテンポ、リズムでやってしまうと単調になって、見ている人の気持ちも
なかなか乗ってきません。
誰もがマニアックなファンではありませんから、プレーしている選手の名前を言うことは、
視聴者に大事な情報を提供する意味でも必要です。
私が選手の名前を多めに言ったのは、情報提供に加え、そうすることで「音のリズムの
基礎」を作ろうと考えていたからです。
だらだらとやれば、当然リズムなど生まれませんから、工夫しなければいけません。

やり方はいろいろです。
なぜか好きではないので私自身はやりませんが、「パスが出る。クロスが入る」と、描写を
“現在形”にするのも一つの方法として「あり」でしょう。一定のリズムが生まれるのは
確かですから。これに、「素の部分」、「解説者とのやり取り」を加えると全体のメリハリが
できていくはずです。

「素の部分」で気をつけるべきことは、ほとんど「さりげなく」のところで書いたことと
ダブります。付け加えるとすれば、「簡潔さ」を大事にするくらいのことでしょうか。
そして、「解説者とのやり取り」で実行していたのは、タイプによって、 放送開始直前に
「さあ、それでは楽しくやりましょう」と声をかけることです。
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また、ビデオにコメントをつけるMAや現地から贈られてくる映像を見ながら実況する
オフ・チューブの時には、どうしても“傍観者的な”しゃべりになって臨場感が乏しく
なりがちなので やはり放送が始まる直前、解説者に「気持ちを前に出していきましょう」
と話しかけるようにしていました。放送中に解説者のテンションが下がっているとときも
ゼスチャーで「下がってますよー」と知らせます。試合がつまらなければ放置。ハハハ。

これらは、テクニックというより、むしろ気配りといったほうがいいかもしれません。

最後の「ちょっとしたユーモア」は難しい要素です。
しかし、大事な要素ですから、私はこのことにかなりのエネルギーと時間を使いました。
“小ネタ”を用意したのもこのためです。
大笑いさせることはありません。聞いて思わずくすっと笑っていただけたら、大成功です。
そのために、担当するどの種目でも、ありとあらゆるメディア・情報源ををチェックして
笑える話、感心する話、ビックリする話を探し求めます。
いい話を拾えたときは「早く この話をいい場面で視聴者に」と、わくわくしてたまらない
気持ちになったものです。

あ・うんの呼吸
いい放送をするためには、プロデューサーやディレクターたちとのコミュニケーションも
よくする必要があります。しかし、制作部門を持たないWOWOWでは、スポーツ番組も
外部のプロダクションに制作を依頼せざるを得ず、このことが悩みの種でした。
フジテレビ時代なら、それぞれの競技の担当プロデューサー、ディレクターは、
そう頻繁に変わるものではありませんでした。
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付き合っているうちにお互いが何を考えているか分かるようになり、私がしゃべりたいと
思っている映像を撮ってくれたり、「彼なら、ここでこんな絵をチョイスしてくるぞ」と
予測できたりするようになるのです。
しかし、WOWOWに移った初期のころは 中継のたびにスタッフの顔ぶれが変わるので、
名前から覚えなくてはならず、“あ・うんの呼吸”とはいきませんでした。

その後、サッカー、テニスのスタッフはほぼ固定されて ずいぶん、やりやすくなりました。
以前は、試合のたびに音声さんと打ち合わせをしておかなければなりませんでした。
「マッチポイントが決まった瞬間やホームチームがゴールしたとき、短い描写のあとは
黙るから、思い切り、場内ノイズを上げてほしい」と。
途中からは念を押すことを忘れても、私が黙ると、勝手にやってくれるようになりました。

 つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-02-18 08:59 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(8)
Commented by S_NISHIKAWA at 2012-02-18 09:47 x
既にtwitterで伝えられている方もいらっしゃるようですが、今日のblogの内容は特に、プレゼンテーションという意味では、あらゆる人に通じるものを感じました。
明日も楽しみにしております。
Commented by toruiwa2010 at 2012-02-18 09:49
S_NISHIKAWAさん、こんにちは。

深く静かに潜航して読んでる人がいることが分かって
今朝は気分がいいです。ハハハ。
Commented by kanada at 2012-02-19 03:46 x
岩佐さん、おはようございます。
私も人前で話す仕事なので大変参考になりました。気配り忘れずに今日もがんばります。
ところで最近ツィッターが楽しそうですね!本人からリアクションがあるなんてすごいですね!
Commented by toruiwa2010 at 2012-02-19 07:34
kanadaさん、おはようございます。

参考になっている由、書く甲斐があるというものです。
ツイッターは楽しいことばかりじゃありません。
いろんな人がいますから当たり前ですけどね。ハハハ。
Commented by ひろ☆はっぴ at 2012-02-19 09:51 x
ほっしゃんの次は山ちゃんですか。幅広い交友関係ですね(^o^)
ちちんぷいぷいの角淳一氏は、山ちゃんをいじるのが大好きです。まだ南海キャンディーズが東京進出する前からかわいがってました。もちろん口では散々な言われ方ですよ。角氏が一週間の東京生活をしたときでもギャラの金額を聞き出して「おまえ稼いどるの~!」ばっかり。いろいろ重宝される存在になったから稼ぐのは当然ですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-02-19 10:01
ひろ☆はっぴ さん、ツイッターのことはツイッターで。
Commented by inamine at 2012-02-22 09:41 x
岩佐さま
テンポとユーモアで、「実況解説の質」がだいぶ変わるのは痛感します。トークバックでアナのへの実況の張りやトーンのリクエストは出せても、
テンポとユーモアはどうしようもありません。

なので、ゲーム内容が停滞して実況席のトーンが下がってきた時は
トークバックでアナや解説者を”イジって”したりもしていますが・・・。
それで、眠そうだった解説者が息を吹き返したりすることもあるのですがなかなか難しいですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-02-22 09:56
inamineさん、こんにちは。

いったん、試合が始まってしまったら
アナウンサーに任せるしかないのではないでしょうか?
ふだん、十分に話し合っておくことが必要ですが。
どんな放送を目指すのかを互いに理解しておくことが。
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