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岩佐徹のOFF-MIKE

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情報:ネット時代が来て~岩佐徹的アナウンス論 17~12/02/26

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インターネット

フジテレビでアナウンサーとして仕事をしていたのは1963年から1982年2月までです。
その頃の情報源は、海外(主にアメリカ)の新聞・雑誌でした。しかし、洋書屋に行って
雑誌を買っても ほとんどが船便でしたから、書かれているのは2ヶ月以上前のことです。
情報として使おうとするときには大きな時差ができていて、絶望的になりました。

外信部に送られてくる通信社からの外電を参考にした時期があります。しかし、外信部は
用のないスポーツ記事は捨ててしまいますから、そこに張り付いていないといけません。
いくら若くてもそれほど暇はないので困っているとき、部屋の隅に英語の新聞が山積みに
なっているのに気付きました。ニューヨーク支局から送られていたNYタイムズなどです。
その中から、スポーツ・セクションだけをもらうようにしました。
“時差”はだいぶ解消されましたが、ほしい情報がすべて得られたわけではありません。
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WOWOWに出向してからの情報に対する“飢餓感”はもっと深刻なものでした。
テニス、サッカー、ゴルフ、ボクシングなど、担当する種目についての日本語の情報が
極端に少なかったからです。そこで、WOWOWの仕事を手伝ってくれるニューヨークの
ある事務所に頼んで NY タイムズ、NYポストから切り抜きをしてもらいました。

一方で 日本の雑誌や新聞にはほとんど目を通していませんでした。
海外の雑誌に載った記事が、提携している日本の雑誌に転載されることがありますから、
下手をすると、同じ情報を視聴者と“共有”してしまう可能性があるからです。
一般の人がアクセスする可能性ができるだけ少ないソースを探すことにこだわりました。
結構しつこい性格がここにも表れています。しかし、得意になってしゃべっても、すでに
広く知られている話だったら恥ずかしいです。「その話どこかで読んだぞ」と言われるのは
何があっても避けたいのです。プロの意地。ハハハ。

インターネットがどんなものか、初めて知ったのは'95年ごろだったと思います。
今でこそWOWOWに限らす大企業ならどこでも全社員にパソコンが支給されていますが、
当時は“フロアに1、2台”しかありませんでした。
週刊誌などでインターネットについての記事を読むと、「アクセスする人はまだ少ないが、
情報は無尽蔵」などと書いてありました。できるだけ人が知らないソースからの情報を
収集したい私には、のどから手が出るほどの情報源だと確信しました。
「手書きの方が早い」とワープロさえ拒否していた私のパソコンへの挑戦が始まりました。
56歳の手習い…。ハハハ。

若い社員に頭を下げて、パソコンからのアクセス方法を習いました。
こまかい仕組みを聞いてもサッパリでした。“用語”が分からないのです。
Aが理解できていないのにBに進まれると混乱するばかりです。とりあえず応用編は無視、
インターネットに入るためには、どのキーをどの順番で押していけばいいのかという形で
教えてもらいました。

かなり苦労した末、なんとか基本をマスターして 毎日パソコンの前に座り込みました。
数少ないパソコンは、本来 会社の事務処理用のもので、こちらはいわば邪魔者です。
よく使う社員が席をはずした隙や昼休みを狙ったものです。
使い始めてすぐ「これはすごいものだ」と分かり、ほどなく自分のパソコンを買って、
いよいよ本格的なネット生活がスタートしました。

もちろん、今の“物差し”で考えたら当時のネットに出ていた情報量は僅かなものでした。
たとえば、セリエAに関する英語の記事は簡単なものしかなく、参考になりそうなものは
イタリア語ばかり…。宝の山を前にして何もできなのか、と口惜しい思いをしました。
今は セリエもリーガも各チームが英語バージョンのサイトを作っています。担当アナが
情報不足に悩むこともないでしょう。逆に目を通しておくべき情報を取捨選択しなければ
いけない時代かもしれません。でも、それは“ぜいたく”というものでしょう。ハハハ。
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言うまでもなく、インターネットの素晴らしさは、いながらにして、行ったこともない
世界の果てにある情報源にでも、時差なしで到達できて、タダで見られることです。
ウィキリークスは行き過ぎだと思いますが、“フリーな情報”は貴重なものです。
エレクトロニクスの急速な進歩で世界はますます小さくなっています。いまでは、大きな
トーナメントや試合なら、リアルタイムで動きが分かるのですから驚くばかりです。

私の現役生活最後のころは、ネットの進歩と、一般の人が情報源にアクセスする度合いの
バランスが絶妙だったと思います。インターネットで見つけた小ネタをテレビで話しても
「そんなの知ってるよ」と言われることはほとんどありませんでした。

現在の事情は知りませんが、例えばサッカーのUCL、ユーロ、ワールドカップなどでは
メディアだけがアクセスを許されるサイトがあるので助かりました。一般の人は知らない
情報として話せるからです。

日常生活にもビジネスにもインターネットは不可欠のものになってきました。
“ぜいたくだ”と書いたばかりですが、誰でもネットの情報にアクセスできる今の時代は
アナウンサーにとっては厄介なのかもしれません。
ネット情報を探る作業が“視聴者に提供するため”という本来の目的ではなく、“視聴者が
知っている可能性がある情報を知らないとまずいからチェックする“というネガティブな
動機に変わってしまうからです。ディフェンシブと言うべきかもしれません。ハハハ。

つづく・・
by toruiwa2010 | 2012-02-26 09:03 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by hiroko_joan at 2012-02-26 22:26 x
仕事の為とはいえ、若い社員に頭を下げてパソコンを必死に習ったなんて、岩佐さんは凄く素敵だと思いました!

前に勤めていた会社の上司は、パソコン出来ないからって若い社員に全て任せていましたから。

Commented by toruiwa2010 at 2012-02-27 06:54
hiroko_joanさん、おはようございます。

おほめの言葉、身に余ります。
なに、必要度の差でしょう。それほど必死だったということです。
ハハハ。
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