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岩佐徹のOFF-MIKE

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情報をどう使うか?~岩佐徹的アナウンス論 18~12/03/03

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・・・つづき

イメージがふくらむ放送


インターネットのめざましい発展・拡大によって 豊富な情報が得られるようになりました。
厳しい時代を経験したオールド・アナにとってはうらやましい限りです。
今のアナウンサーは恵まれた環境にいることを感謝しなければいけません。ハハハ。

さて、情報は得られるようになりました。
では、それをどう使うのか? アナウンサーにとっては新しいテーマかもしれません。

私の場合、どの競技を担当する時でも、放送に臨むスタンスは基本的に同じでした。
ただし、テニス、ゴルフ、ボクシングなどの個人競技とサッカー、アイスホッケーなど、
チーム競技ではひとつだけ違う点が出てきます。
それは個人競技では、できるだけ選手の情報を放送に盛り込んでいくことです。

たとえば、テニスでA選手とB戦手が対戦しているとしましょう。
「Aはひょろっと背が高く、Bは背は低いが足が速い」など、見れば分かることのほかに、
「国籍、年齢、プロとしてのキャリア、通算や今シーズンの成績」などの情報は、当然、
アナウンサーが提供します。
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これだけの情報で試合を見るのと、「もとは○○国籍だったけど、両親が娘の将来を考えて
苦労の末、いまの国に移住した。16才だが、学校には行かず、家庭教師が同行している、
プロ生活はこの若さで3年目、規則で許される14歳になるやいなやデビューした」などの
“周辺”情報を加わえた上で見るのでは、何かが違いませんか?
コート上の二人は、外見から分かるA、Bというだけではなく、性格や人としての歴史、
家庭環境、バックグラウンドなど、すべてを合わせた存在なのだ…が私の持論です。
そのあたりの情報をできるだけ提供することで、視聴者のイメージを膨らませてもらうと、
試合をもっと楽しんでもらえるはずだと考えていたのです。

特にテニスはネットをはさんで2人の選手が最低でも1時間は戦います。2ゲームごとに
90秒のチェンジオーバー(休憩)もあります。そのたびに、試合を振り返ったり、選手の
調子を聞いたりしているだけでは放送全体が単調になってしまうスポーツです。
WOWOWでテニス放送が始まったころは悩みました。CMがないので、その“90秒”も
黙っているわけにはいきません。考えた末に“小ネタ”を集め始めたのです。
選手の人間性をうかがわせるものやクスッと笑える話です。いわゆる“ちょっといい話”。

“知る人ぞ知る”程度の実況アナでしたが、それでも“絶好調”だった時期はあります。
1990年代半ばから2000年代初めでしょうかね。
そのころの私の放送は、実況、解説者とのやり取り、いわゆる情報、プラス“小ネタ”で
成り立っていました。実況のテクニックや解説者との会話は、経験とともに、自然に身に
ついてきますし、努力によってレベルを上げることもできます。
しかし、こぼれ話となると、経験や努力ではカバーできないものがあります。
まず、集めるための時間と手間をかなり必要とします。この段階で「とてもそんなことは
やっていられない」と思うタイプの人には向いていません。ハハハ。

すでに書いた通り、私自身は「スポーツ放送にちょっとしたユーモアは絶対に不可欠」と
考えていますから「やってられない」とは思いません。
こつこつと、ある種、マゾヒスティックにいろいろなソースを探し回って集めたネタを
放送の中で使える“とき”を待ったのです。
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テニスの場合、チャンスは自分がその選手の試合を担当する時しかありません。
使えないまま、ひとつの大会が終わってしまうと、次の大会まで待つことになりますが、
どんなに面白くても、話の中身によっては、その試合でなければ、その大会でなければ、
使えないというものもあります。
ですから、せっかく時間をかけて探したネタでも、放送されないまま消えていくものが
たくさんありました。

ここで難しいのは、解説者が乗ってくれない時です。
特に理論派に多く、せっかくいい話をしても 無視したり、すぐ戦術や技術の話に移ったり
されると、結構つらいものがあります。
サッカーだったら、早野宏史さんは問題がありませんが、加茂周さんや奥寺康彦さんだと
気をつけなければいけません。面白い話もする―されます。ハハハ。

テニスの遠藤愛さんは性格がとても素直な人ですからストレートに反応してくれましたが、
柳恵誌郎さんも、初め苦労しました。相手になってくれないのです。スルー。ハハハ。
「そんな話より技術的な解説をさせてよ」と言わんばかりでした。
ほかにも、解説者によってアプローチを変えないと痛い目に遭うことがあります。
そういう話が苦手な人のときは、視聴者に直接話しかける方法を選ぶことにしています。
本当は、キャッチボールで話がすすむほうがいいのですが、あからさまに、「そんな話は
どうでもいい」という反応だと、視聴者も戸惑いますよね。そんな時は、お返しに相手の
いいお話も完全無視でプレーの描写に移ったりしました。
…冗談ですよ、冗談。ハハハ。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-03-03 08:33 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(3)
Commented by NINJA at 2012-03-03 11:19 x
岩佐先輩こんにちは。少しは春めいて来ましたかね。 今の若者は情報収集において、大変、楽になったと思います。インターネットさえあれば何でも簡単に調べられるのですから。我々(半世紀生きております(笑))が若者の頃は『足で稼げ!』とよく言われたモノでした。自分で直接、図書館や担当者・関係者、現場に行ってみてこそ自分に直接身になったものでした。逆に今の時代はネット社会だけに情報過多、取々選択が難しくなってしまっているのかもしれませんね。自分自身が汗水垂らして稼いだ資料なら、どういう場面で披露すれば良いのかがよく解っていますが、うわべだけの情報だと判別しにくいのではないのでしょうか?
Commented by キムキムヒンギス at 2012-03-04 08:03 x
おはようございます。

WOWWOWでテニスの試合を見始めたころに主人と
「一体この人はナニモノなんだろう・・・何でもよく知っているよね~~」と話題にしていました。
テニスの技術解説だけでも楽しめないことはないですけれど、あると無いとじゃ全然違いますよね。
生い立ちを聞いて苦手だった選手がちょっと好きになったりします。

遠藤愛さんの解説好きでした。
上手に話すものだなぁって感心していました。
今は神尾米さんの解説が米さん自身の人柄もうかがえて大好きです。
伊達さんが引退したら神尾さんの出番がなくなるのでは・・なんて心配しています。
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 08:22
キムキムヒンギスサン、おはようございます。

何でもよく知ってるねえ・・・そんなわけはありません。
そう聞こえたとすれば、えへん、それは「腕」です。ハハハ。
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