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岩佐徹のOFF-MIKE

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英語実況も情報源~岩佐徹的アナウンス論 19~12/03/04

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・・・つづき

そもそも、私がちょっといい話に興味を持ったきっかけは若いころ月刊文芸春秋で読んだ
昭和天皇のエピソードでした。

皇室では折りにふれてマスコミ用の写真を撮りますが、あるとき、御用達のカメラマンが
知り合いを助手に仕立てて御所に伺いました。当時のフラッシュはストロボ電球を使って
いたために助手を必要としたのです。
この日は 陛下がお好きな将棋を指しているところを撮影することになっていました。
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カメラマンが「恐れ入りますが、私が『結構でございます』と申し上げますまでお動きに
ならないでください」とお言葉をかけて撮影に入りました。
ところが、助手が緊張したせいでしょうか ストロボが破裂し、こなごなになったかけらが
畏れ多くも陛下の背中や盤上に降り注ぎました。 
大あわての側近やカメラマンたちが 飛び散ったかけらを片付けているとき、ふと気づくと、
陛下は、まだ右手で駒を盤の上に置いた状態で微動だにしておられなかったのです!

陛下には「結構です、と言われるまでは」というお気持ちがあったのでしょう。
お人柄が伝わる話でした。

スポーツには関係ないエピソードですが、話の流れからそれほどかけ離れてはいません。
記憶だけを頼りに書いていますので、こまかいところで間違いがあるかもしれませんが、
この話は長く私の頭の中にとどまって離れませんでした。
実況では どうしてもプレーヤーの動きに気を取られてしまいがちです。
しかし、経験を積んで、“バランス”を考えるようになりました。
プレーの描写、解説者との会話、対戦している選手・チームについてのデータ・情報、
ちょっとしたユーモアを感じさせる話…その四つのバランスです。年齢が増すにつれて、
“ちょっといい話”“小ネタ”は私の実況の“味つけ”になって行きました。

情報はありすぎても“整理”が大変で困りますが、なければ不安です。
WOWOWをやめ、何もしていない私を見かねて古くからの友人が声をかけてくれました。
ロッテの試合を実況してみないか?というのです。

フジテレビ時代、一番自信があったのは野球の実況でした。
現役の最後にもう一度 野球を実況してみたい、と考えていた時期はありました。
しかし、それはテニスの実況にかかわっていたときの話です。
もう、しゃべらなくなって3年が経過していて、舌は“サビついて”いました。
ためらったのですが、友人が強く勧めてくれたこともあって引き受けました。
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…結果として大失敗でした。
最後の野球中継(1981ワールド・シリーズ)から27年ぶりでした。
それでも、野球のことは知っているつもりでしたし、プレーの流れに乗って 解説者から
うまく話を引き出せば十分に通用する実況が可能だと思って臨みましたが、“完敗”でした。
最大の原因は“情報不足”です。

得意とする、チームや選手についての情報を得る手段がなく、空っぽの状態で放送席に
座ることになりました。せっせと球場通いをすれば可能ですが、時間がかかることですし、
“隠居暮らし”の私にはその気がありません。ハハハ。
解説者から話を引き出すにも、土台になる情報が必要なんです。特に私のタイプには。
1シーズンで“撤退”しましたが、ロッテ・ファンにも友人にも悪いことをしました。

WOWOWのテニス解説者の中には英語実況を聞いて、拾った情報を話す人がいます。
これも立派な“情報”です。しかも、選手のケガやコーチの話など、ホスト局ならではの
ものがありますから、視聴者には有難いはずです。やり方として十分“アリ”でしょう。
私もサッカーやテニスでよくやりました。入手できるあらゆる情報を取り入れて放送に
役立てるのが“岩佐流”です。ハハハ。
放送の幅が広がることもあり、画面にセレブが映ったときなど、大いに助けられました。
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アメリカのスポーツ中継では頻繁にスタンドを映し出します。
応援に駆け付けた家族や関係者、そして、スポーツ好きな有名人です。
彼らは、スポーツをフィールドやコートと客席が一体になっておりなす人間ドラマとして
伝えようとする傾向があります。見ていると面白いのですが、我々 外国のテレビ局が使う
ワールド・フィード(国際映像)は、たまにしかスタンドを映してくれません。

それでも私はホスト局のコメンタリーの声を聞いていました。
手元の画面では国際映像しか見られなくても「おや、○○が来てますね」とか「それでは、
○○にインタビューしてもらいましょう」と話しているのを聞いておけば、その人たちが
スタンドにいることが頭にインプットされます。心構えが出来ていれば対応が可能です。
多少分かりにくくても「○○ではないでしょうか?」と言うことは出来るのです。
聖徳太子?ハハハ。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-03-04 08:29 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(12)
Commented by もくでら at 2012-03-04 11:54 x
わたしは、岩佐さんの「○○が観に来ていますね。」とか、
「このひとは、○○じゃないですか?」
というコメントが大好きでした。
最近なかなかアナウンサーの方も言ってくれないなぁ・・・
と、思っていたら、聖徳太子のようにしていなくてはならない、
高度な技だったんですな。
さすがです。
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 12:09
もくでらサン、こんにちは。

聖徳太子…は現地実況を聞く場合ですが、
ほかにもアンテナを広げておくことが大事ですね。
Commented by hiroko_Joan at 2012-03-04 12:25 x
岩佐さん、こんにちは!

以前全仏OPにレオナルド・ディカプリオがおばあちゃんを連れて見に来た時がありました。
実況の方はその老婦人が誰だか分からず少し失礼な事を言っていました。
彼のおばあちゃんだと分かるとちょっと焦っていた気がします。

テニス以外の知識も時には必要なので、解説や実況をされる方は大変ですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 12:29
hiroko_Joan さん、こんにちは。

ディカプリオのおばあさん!!!
それはまたハードルが高すぎますね。ハハハ。
Commented by hiroko_Joan at 2012-03-04 12:41 x
誰だってディカプリオのおばあちゃんなんて知らないんだから、分からなかったら余計なこと言わなければいいのに…って思いました。

視聴者の為に無理しちゃったのかしら?(笑)
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 14:02
hiroko_Joan さん、NHKのアナなら
失礼なことを言うこともなかったでしょうね。
スルーが好きな連中ですから。ハハハ。
Commented by ヤップンヤン at 2012-03-04 14:12 x
岩佐さんは、ホスト局の放送、ディレクター、解説者と3つのチャンネルを使い分けて実況していたのですね。ハイ、聖徳太子だと思います。

別件ですが、BSフジでのF1放送、Truthがテーマ曲として復活するそうですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 14:30
ヤップンヤンさん、こんにちは。

イベントによっては英語実況をフィードしてくれない
ところもありましたが、全豪と全米に限っては
OKでした。ディレクターからの声も聞けるように
なっていましたが、実際に呼びかけられた記憶は
ほとんどありません。

Truthの復活・・・嬉しいニュースですね。
Commented by デルボンバー at 2012-03-04 19:23 x
たしかにスタンドにいる、要人の人達に触れてくれないアナにはがっかりします。
話は変わっちゃいますが、先日のなでしこの放送での〇島アナはいつにも増してひどかったです。なんであんなに早口、というか、息つく暇もなく喋り続けられるんですかね…。
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-04 19:47
デルボンバーさん、こんばんは。

なでしこ第2戦は日本アカデミー賞があったので
見ていません。X島アナだったし。ハハハ。
早口は彼の売り物ですが、だから、どうなの?って
思う同業者は多いと思います。
Commented by atom at 2012-03-05 10:45 x
私のテニス仲間にWOWWOWの岩佐徹氏の解説が日本一だと話したところ、このブログがあることを教えてくれました。それ以来の読者です。辞められてからテニス中継を見る楽しみが半減しました。もうひとつの理由には、見た通り、感じた通りしか話さない柳恵誌郎氏の解説です。早く他の解説者と代わっていただきたいものです。(良さそうな人で嫌いなタイプじゃないんですがねぇ。)
Commented by toruiwa2010 at 2012-03-05 11:16
atomさん、こんにちは。

気付いた時には実況をやめていた…すみません。ハハハ。
柳さんも去年の全米を最後に勇退しました。
また、WOWOWを見てやってください。今の解説者で
満足されるといいですが。ハハハ。
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