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岩佐徹のOFF-MIKE

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放送文化インタビュー2~スポーツ実況について~12/04/01

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・・・つづき

今でもNHKのアナウンサーは正確で、口跡のしっかりしている人が多いですが、
岩佐さんの言うユーモアという部分ではちょっと欠けますかね。

「NHKの場合、何より正確性が求められますから。僕ら民放育ちは、やっぱり自然と
おもしろく聞いてもらおうという工夫をするんです。多少ミスを犯す危険があっても、
エンターテインメントをめざすといいますか」

ただ、最近の民放はエンターテインメントをはき違えているというか、
スポーツ中継がバラエティ番組化している傾向が強いと思うんです。

「いろいろな側面があるでしょうが、実況面でいうと、あらかじめ言葉を用意しすぎる
きらいがありますね。
始まりは、86年のメキシコW杯アジア予選の日本対韓国戦あたりだと思います。
この中継で山本浩アナが『東京千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうに、メキシコの
青い空が続いているような気がします』と明らかに用意されたフレーズを言ったんですね。
これは視聴者の気持ちと合致したからよかったんですが、最近は多くのアナウンサーが、
用意したフレーズや予定稿を使い過ぎています。
世界水泳の古館伊知郎アナなどはその最たる例ですね。
彼の場合は言葉のエンターテインメントとしてあえてやっているわけですが、スポーツ
実況としては明らかに過剰ですよね。現場で感じたことを自分の言葉で伝えるという
意識が消え、ただ用意されたフレーズをどう繰り出すかというだけになりがちです」
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たしかにそれでは現場からライブで伝える意味がなくなりますよね。
すべての選手にニックネームをつけるという手法も、大きなイベントでは
どの局も必ずやるようになりました。これも視聴者が求めていないギミック
(工夫)だと思いますが。

「アナウンサーにもそれをことあるごとに言わせていますね。
そして、スタジオにタレント司会者をおいて、騒々しい放送をしています。
もちろん、タレントの起用や、過剰な実況にも一定の付加価値はあるでしょう。
でも、本当に普通の中継じゃだめなのか、という検証が行われないまま制作が進んで
いくのは疑問です。
スポーツの感動はプレーそのものの中にあるというのが私の基本的な考え方です。
ゲストで飾り立てないと視聴者の興味を引けない、用意された言葉を並べ、絶叫し続ける
実況でないと、感動を伝えられないというのでは寂しい限りです。
それにしても、局アナたちはよくキレないなと思いますよ。ベタで言いたくないことも
受け入れなければいけないわけですから、まじめなスポーツアナウンサーにとっては
受難の時代といってもいいかもしれません」

では、何をどう変えていけばいいと思いますか?
「作り手の頭の中を変えてもらうしかないでしょうね。
テレビというメディアは、手法的にはもうあらゆることをやりつくしてきています。
でも、プロデューサーは視聴率が落ちたら何を言われるか分からないという
プレッシャーの中で、むりやり変えたり、余計なものを付け加えたりせざるを得ない。
冷静に考えてみれば、多くのイベントが完全独占放送で、『○○がスタジオで司会を
しているから見よう』という時代じゃないわけですよ。多くの視聴者が余分な仕掛けに
辟易しているはずです。
その点に客観的に気がつくプロデューサーが現れてほしいですし、編成部も含めて、
制作にかかわる全体がスポーツ中継のあり方というものをきちんと見直して、正しい
判断をする目をもってくれれば、と思いますね」

以下は、インタビューのあとに書かれていた「放送文化」のまとめです。

民放地上波のお祭り騒ぎが進む一方で、岩佐さんたちがベースを作ったWOWOWの
スポーツ中継や、CSの一部では良心的で本質的なエンターテインメント性をもった
スポーツ放送が行われている。二極化は時代の流れだが、専門局にはアナウンサーを
育成する余裕まではない。

岩佐さんによれば、一人前のスポーツアナウンサーを育てるには、10年はかかるという。
だが、それも野球中継という〝道場〟があり、スコアを付け、ベンチレポーターを務め、
先輩アナウンサーから実況の技術を学ぶという経験を積むことができた時代のこと。
現在、地上波ではプロ野球の中継そのものが減っており、問題はより複雑になっている。

将来アナウンサーになる子供たちへの影響力、スポーツ観戦に興味を持つ入り口という
ことを考えても、地上波の果たすべき役割はまだまだ大きい。単純に二極化していけば
それでいい、と割り切るわけにはいかないのである。

民放各局は、ここでいま一度、スポーツ中継のあるべき姿を真剣に考え直し、スポーツ
アナウンサーの育成をどうしていくか、という問題にもっと主体的に取り組まなければ
ならないだろう。 (聞き手:柳橋 閑)
by toruiwa2010 | 2012-04-01 07:28 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by デルボンバー at 2012-04-01 19:16 x
現在の実況アナの中で、岩佐さんが強いてあげるなら、誰を評価しますか?
Commented by toruiwa2010 at 2012-04-01 20:01
デルボンバーさん、こんばんは。

2,3年前までは、三宅・森下両アナがトップ2だと見ていました。
三宅は「めざまし」転出で少し鈍るでしょう。
最近は実況がおろそかになっている印象がありました。
森下も、実際は知りませんが、「若手に譲ろう」という
雰囲気が見えていて気になります。

NHKでは、竹林が頭一つ抜けています。面白くなくてもいいなら
彼がトップかもしれません。この3人を追う存在がいませんね。
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