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岩佐徹のOFF-MIKE

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サッカー・クリックインタビュー1~スポーツ実況について~12/04/07

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もうひとつ、実況についてのインタビュー記事を再録します。
これは、WOWOW時代に受けたものです。2000年4月ですから、
62歳ですか、まだ、すこぶる元気でバリバリ仕事をしていたころです。
WOWOWのように 地上局に比べればはるかに小さなメディアで仕事を
していても、時々、インタビューを申し込まれる事がありました。
ユーロ2000を目の前にした時期に依頼を受けたのは“サッカークリック”
というEメールマガジンでした。現在どうなっているのかは不明です。

6回に分けて掲載された長い記事です。いまの時点でそのまま載せると
分かりにくい部分もありますので、少しずつ手を加えたり削除したり
しますが、実況についての考え方はかかわるところはあえてそのままに
しておきます。たぶん、基本的な思いは変わっていないはずですが、
最近、書いたことと違ったらそれはそれで面白いかもしれませんから。
ハハハ。

すでに書いた事とダブるところもありますが、実況にかかわる5回分を、
以下に再録します。


『第1回 いい放送のために徹底的な取材を』

フジテレビ時代から38年間にわたりスポーツ実況の最前線で活躍してきた岩佐徹さん。
現在もWOWOWでサッカー、テニス、ゴルフなどの実況で活躍中だ。
いわゆる「絶叫型」のアナウンスではなく、競技そのものの奥深い魅力を引き出す
アナウンスで、サッカーファンの間でも人気が高い。
サッカーというスポーツの魅力とは何か、それを伝えるとはどういう仕事なのか――。
サッカー実況の舞台裏について余すところなく語ってもらった。
UEFA チャンピオンズ・リーグQF2回戦が行われた4月19日早朝、バルセロナが
チェルシーを5対1で
破った試合の実況を終えてから、お話を伺った。

■年季が入っているから、そういうコメントが出たんだと思いますよ(笑)


・今朝は凄い試合でした。お疲れでしょうか。

早朝3時半から放送開始でしたから、夜中の1時半にスタジオに集合なんです。
朝6時過ぎに放送が終わって、こちら(インタビュー場所)に来るまでの間、 車の中で
10分ほど寝ただけです。前の日の晩も寝ていないので、ほとんど徹夜ですね。
現地の試合に合わせてやるのも、この年になるとなかなか大変です(笑)。

・今年2月のカールスバーグカップが久しぶりのサッカー実況でしたね。

そうですね。今シーズンのUEFAチャンピオンズ・リーグ開幕時には放送に加わって
いませんでしたから。

・そのカールスバーグカップの日本対メキシコ戦の試合前、国歌吹奏の際に国旗掲揚が
行われず、メキシコの選手たちがどっちを向いていいかわからないことがありました。
国歌が終わった時、岩佐さんはすぐ、「メキシコ選手には気の毒でした」とおっしゃった。

代表として国際試合に臨む選手の気持ち、特に、海外の選手が国歌・国旗を大切にして
年季が入っているから、そういうコメントが出たんだと思いますよ(笑)。     
確かにあの場面の選手たちはかわいそうでしたね。国歌斉唱の時は国旗に向かうのが
習慣ですから。結局メキシコの選手たちは、子どもたちがピッチに持って入った国旗に
向かうことになり、メーンスタンドにお尻を向けてしまったわけです。

■実はサッカーを知らないんです

・今朝の放送(バルセロナ対チェルシー)でも 一度PKを失敗したリバウド(バルサ)が
二度目のPKを蹴るかどうかというとき、「彼に蹴らせた方がいい」とおっしゃった。
これから先の戦いを考えた場合、チームにとっても、リバウド本人にとっても、ここで
失敗を取り返しておいた方がいいという考えから出た言葉だと思います。
そういうところからも、サッカーを熟知していらっしゃることが垣間見えるのですが。
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うーん、どうでしょうか。・・・というのは、口幅ったいのですが、私の実況はあまり
視聴者の反感を買わないスタイルなんです。視聴者の神経を逆なでするような、例えば
のべつ絶叫したり、思い上がった知ったかぶりをしたりすることがあまりないですから。
しかし、サッカーをよくご存知のファンの方々が私の実況をよく聞けば、実は私が
サッカーをよく知らないことがおわかりになると思うんです。
カールスバーグカップの日本対メキシコ戦のあと、ファンの方々が感想を言い合う
ネットのフォーラムを見に行ったら、私の実況ミスが指摘されていました。

日本の攻撃で、右サイドのハーフラインを越えたあたりから反対側コーナーへの長い
クロスがゴール裏にそれた場面で、解説の信藤健仁さんが「いいアイデアでしたけどね」
とおっしゃった。それを受けた私はと言えば、メキシコのGKが少し前に出ていたのが
目に入ったので「直接シュートを狙った」とコメントしたのです。
ところが、信藤さんがおっしゃりたかったのは、逆サイドへの展開を狙ったパスのこと
だったのです。アナウンサーは放送中、試合だけを見ているのではありません。
ディレクターからの指示に注意を払ったり、資料に目を落としたり・・・。
おそらくそのときの私は少し資料に目を落とした瞬間だったと思うのです。
そのスキに生まれたミスが、インターネットのホームページで取り上げられ、「岩佐は
サッカーを知らない」と酷評されてしまったのです。そのページでの評判はそれほど
悪くはなかったんですけどね。化けの皮がだんだんはがれてきているわけです(笑)。

・ずいぶん謙遜なさっているふうに聞こえますが・・・。

自分ではサッカーに詳しくないと思い続けています。WOWOWには柄沢と田中という
若いアナウンサーがいますが、彼らはサッカーのことをよく知っているし、取材にも
よく行きます。柄沢と田中が会話を聞いていると、ついていけない話が出てきて途方に
暮れることがあるくらいです(笑)。ただ、経験が武器になる面もあります。また、今は
「絶叫型」のアナウンスが多い中で、私のしゃべりは幸か不幸か、フジテレビ時代から
いまのスタイルです。絶叫型とは対極にあるので、視聴者の皆さんには受け入れられて
いる部分があるのではないでしょうか。

■海外での情報収集はインターネットで

・実況の間に挟むちょっとした話題や、最新情報はどのように取材なさるのですか。

基本的に情報は自分自身で集めます。海外に出ると情報源はインターネットです。
4年前のユーロ '96のときは今のようにインターネット環境が整っておらず、私も
モバイラーではなかったので、現地に行ってしまうとインターネットはあまり頼りに
なりませんでした。大会のインターネットによるメディアサービスも十分ではなく、
たとえばチェコの代表チームのページを見てもメンバーの身長すら載っていない(笑)。
これには困りましたね。'96年の時、私はニューヨークの情報提携会社の事務所にいる
気心の知れたスポーツ大好きのスタッフから情報を送ってもらいました。5月の全仏
オープンのときにはテニスの放送に追われながら、毎朝、パリのホテルのフロントで
ニューヨークからのファクスを受け取っていたのです。ただ、全仏オープンの期間中は
読む時間がないのでロンドンに行く飛行機の中から読み始めたといった具合でしたね。
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ユーロ '96のときは、私の最初の担当試合はイングランド対スコットランドでした。
ロンドンに入ってから1週間近く余裕があったので、その間に“しゃかりき”になって
資料を読みました。それと、開催地がイングランドでしたから、英語の活字の情報は
ふんだんにあります。読むことはなんとかできますので、それで情報を集めました。
出発前も週に2回くらい国会図書館に通い、イギリスの新聞を読んでネタを集めました。
私は臆病なんです。「あの話がでてきたらどうしよう」、「こうなったらどうしよう」と
考えてしまうタイプなので、無駄になることが判っていてもできるだけ資料を手元に
集めておきたいんです。苦労性というのか、怖がりなんですね。だから資料集めの労は
惜しみません。アナウンサーはみんながみんな僕のタイプではないでしょうが、結構、
怖がりが多いと思いますよ。中には、なんの資料も持たずに放送席に座ることのできる
人もいますけどね。僕はそういう人がうらやましくてしようがないです。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-04-07 08:06 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(0)
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