ブログトップ | ログイン

岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

「ヘルプ」&「別離」85点~「アーティスト」はそれほど~12/04/20

d0164636_814021.jpg
妻が時期はずれ?のひどい風邪をひいたせいで、映画を見る回数が少し減っていました。
そんな中で、先週は、今年のアカデミー賞でいくつかの部門のオスカーを獲得した作品を
3本 見ました。なるほど、と思うものあり、えっ?と思うものあり…。ハハハ。


「アーティスト」80

1927年、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)主演の映画は連続して
大ヒットを記録していた。サイレント映画の大スター、ジョージの人気も絶頂だった。
しかし、静かにトーキーへ移行する動きは進んでいた。
反発したジョージが自ら制作・監督・主演した作品は見事に失敗した。世界恐慌の
追いうちが襲う。破産し 人気凋落のジョージは失意のうちに表舞台から消えて行った。
彼が偶然 発掘した若い女優、ペピー・ミラー(ベレニス・ペジョ)はトーキー映画にも
うまく対応してスター街道を突っ走っていた…
d0164636_815817.jpg
ご存知、今年のアカデミー作品賞に輝いた映画です。
最大の“売り”はモノクロ&サイレントですが、さて、それ以外に何があったでしょうか?
見終わって思ったのは「アカデミー会員は、いったいどこを評価してこの映画を作品賞に
選んだのか?」という疑問でした。思いつき・アイディアが作品としての興業的な成功を
生んだのは事実でしょうが、それ以上ではないように思います。
最後の数分間、映像はモノクロのままで音声がついたとき、居心地の良さを感じました。

トーキーに傾いていく映画界を見つめるジョージの胸中を表現するときの演出は面白いと
思いました。これから見る人のために詳しくは書きません。
これで「ファミリー・ツリー」と「ミッドナイト・イン・パリ」以外の候補作品をすべて
見たことになります。ケチをつける気はないものの、私が一押しした「マネーボール」が
作品賞部門でこの映画に負けたのは納得がいきません。ハハハ。
d0164636_821559.jpg
ちなみに、見た人にしか伝わりませんが、終盤近くの字幕・“BANG”はずるいです。
もうひとつちなみに、最後のダンス・シーンは最高です。
さらにちなみに、犬のアギーは最高!スコセッシが「ヒューゴ…」のブラッキーのほうが
ずっと上だと激怒したらしいですが、“犬のアカデミー賞”はアギーで正解です。ハハハ。


「ヘルプ」85

アカデミー作品賞にもなった話題作です。
1960年代初めのミシシッピー州ジャクソンといえば、人種差別がひどかった地域でしょう。
映画は、この街でメイドとして働く黒人女性たちと、新聞記者・作家を目指す若い女性、
スキーターが力を合わせて“タブー”に挑戦する姿を描いています。
d0164636_823822.jpg
50年前に比べればはるかに改善しているでしょうが、差別の問題はアメリカ社会の中に
今も抜きがたく残っているのだと思います。“深刻”だとは理解していますが、どれほど?
となると、想像することもできません。
この映画では、映像や会話できわめて類型的にたくさんの差別の事例が提示されます。
肌の色が違っても同じ人間なのに、なぜ、そこまで平然と人を差別できるのだろうかと、
目を疑いたくなるような光景が出てきます。

メイドたちは耐えがたい苦労や底知れぬ悲しみを抱えて生きていました。
しかし、決してそれを口にすることはありませんでした。そういう時代だったのです。
彼女たちから聞き取り調査をして本にすることなど考えられないことでしたし、協力する
メイドを探すのは至難の業でした。

しかし、スキーターが粘り強く説得を続けた結果、一人、また一人と 重い口を開かせる
ことに成功します。最初の協力者になったエイビリーン役のヴィオラ・デイビスの演技に
唸りました。助演賞候補に挙げられた「ダウト」でも メリル・ストリープ やフィリップ・
シーモア・ホフマンという芸達者を向こうに回して まったく気後れしない堂々たる演技を
見せていました。今回は主演女優賞を獲らせたかったですね。
d0164636_825726.jpg
この作品ではエイビリーンの友人に扮したオクタビア・スペンサーが助演賞を得ましたが、
デイビスの演技はスペンサーを上回っていました。主演賞を獲らせたかったですね。
彼女が浮かべる深い悲しみや怒り、心の痛みをあらわす表情は単なる演技の域を超えて
迫ってくるものがあります。
シドニー・ポワチエやモーガン・フリーマン、デンゼル・ワシントン、ジェイミー・
フォックス…名優と呼ばれる俳優たちの演技を見ていていつも感じることです。彼らの
表情の向こうに数百年の歴史を感じるからでしょう。


「ルート・アイリッシュ」80

ファーガスの電話にフランキーからいくつものメッセージが残されていた。
緊張した声で「連絡してほしい」と告げていた。時間とともに切迫の度は増していたが、
ファーガスはその電話にこたえることができなかった。

数日後、故郷のリバプールでフランキーの葬儀が行われた。空港に通じる バグダッドで
最も危険な道路、“ルート・アイリッシュ”で襲われたのだ。式に参列したファーガスの
思いは複雑だった。幼馴染で仲のいいフランキーを「大きな金になるから」とイラクに
誘ったのは自分だったから。
死因に疑問を持つ彼に告げられたのは“…in the wrong place at the wrong time”
(具合悪いときに具合の悪いところにいたのさ)だった。
納得しないファーガスは、わずかな手掛かりをもとに親友の死の背景を探り始めた…
d0164636_831749.jpg
イラクやアフガンからの報道に日々 接していても、乾いた活字や爆撃のあとの映像では
そこで起きていることの実像までは伝わりません。この映画は、いかにも戦争状態の中で
生まれていそうな“スキャンダル”が中核になっています。
全編に流れるファーガスの悲しみと怒りが強烈です。そのファーガスを初め、登場する
役者は日本ではあまり知られていない人たちですが、逆に新鮮です。特にファーガス役の
マーク・ウォーマックの演技は印象に残ります。


「別離」85

離婚調停の場で2人の主張はすれ違うばかりだった。
外国にあこがれ、娘の教育のためにも一家で国を出たいと願う妻。
アルツハイマーの父を残して行けないと拒む夫。

しばらく実家で暮らすと言って妻が出て行った。夫は自分が仕事に出ている間の父親の
世話をしてもらうために 通いの家政婦を頼んだ。
苦しい家計を助けるために働くことにした家政婦は、夫には内緒だったし、雇い主には
妊娠していることを話していなかった…
d0164636_833444.jpg
今年のアカデミー外国語映画賞に輝いたイラン映画です。
ドラマ映画ですが、ハンディ・カメラを多用しているせいか、ドキュメンタリーのような
タッチを持っています。不思議な効果があって、言葉は分からないのに引き込まれます。

分からないのは言葉だけではありません。
なじみのないイランという国のイメージも漠然としたものしか持っていませんでした。
画面に出てくる車や冷蔵庫などは極めて近代的なのに そこで暮らす人々の日常生活を
支配するイスラム教や女性の社会的地位の低さなどは理解できるものではありません。

それでも、最後まで興味を持って見たのは登場人物に魅力があったし、俳優陣の演技力も
見事だったからです。“余韻”を持たせたエンディングもいいです。
2010年に見て好印象だった「彼女が消えた浜辺」と同じ監督(アスガー・ファハルディ)の
作品と聞いて納得しました。十分、外国映画賞に値すると思います。

80 アーティスト モノクロ&サイレントの思いつきはいいとして、それ以上ではないと
85 ヘルプ 60年代初めのアメリカ南部での「差別」 V・デイビスの演技に感動する
80 ルート・アイリッシュ 空港に通じる危険な道路で親友が襲われて死亡した…
85 別離 国外に出たい妻と認知症の父を抱える夫 見ごたえのあるイラン映画だ
by toruiwa2010 | 2012-04-20 08:08 | 映画が好き | Comments(4)
Commented by hiroko_Joan at 2012-04-20 10:12 x
岩佐さん、こんにちは!

『アーティスト』は確か主演男優賞も獲っていたと思いますが、演技はそれに値するものでしたか?

獲った本人は冷静で、ハリウッドに進出せずにフランスで活動すると言っていましたが。
Commented by toruiwa2010 at 2012-04-20 10:37
hiroko_Joanサン、こんにちは。

ジャン・デュジャルダン・・・どうですかね?
うまい、という先入観にやられてるんじゃないでしょうか。
私は、演技的にはブラッド・ピットに軍配を上げますけど。

助演女優賞の候補になっていたベレニス・ベジョも
顔つきとメークがいかにもサイレント時代のものでしたが、
演技としてはそれほどと思いませんでした。

とにかく、サイレントでこれだけ長いと…ねえ。ハハハ。
Commented by しょう at 2012-04-22 09:00 x
映画レビュー待ってました。

「アーティスト」
アカデミー賞の閉鎖的な一面を指摘したレビューだと思いました。
革新的なアイデアで興行的に成功した作品は数多くあります。
しかしその多くは娯楽作で、娯楽作と言えばアカデミーが
長年無視を決め込んできたジャンル。
近年では少しましになり、受賞を果たす作品もありますが、
歴史的な大ヒット作に限られています。
サイレント映画をそのまま復刻することに何の意味があるのか
私には分かりませんが、アカデミーはこの作品を娯楽ではなく
芸術だと判断したのだと思います。

まだ観ていないので、反則的な感想でしたw
Commented by toruiwa2010 at 2012-04-22 09:17
しょうサン、アカデミーがあの作品を芸術だと見るなら
その判断には首をかしげます。「アバター」が作品賞の
候補になったときもびっくりしましたが。ハハハ。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。