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岩佐徹のOFF-MIKE

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サッカー・クリックインタビュー5~スポーツ実況について~12/04/21

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・・・つづき

『第5回 瞬時に選手を見極める実況の秘訣』

■ルールや解釈の変更はしっかりと確認しておきます


・サッカーのルールは全部で17条しかない非常にシンプルなものですが、オフサイドなど、
細かなルールやその解釈がよく変わります。それを抑えておくこともアナウンサーとして
重要な仕事ですね。

そうですね。この7月から全世界的に、ゴールキーパーがステップしていいのは4歩まで
というルールが、6秒までと変わります。距離とステップの数は関係なくなるのです。
これをユーロ 2000では開幕日から実施します。FIFAの決定は当初は7月からでしたが、
ユーロは7月2日が決勝ですから、それならばいっそのこと大会のはじめから適用しよう
ということで、ユーロ 2000開幕の6月10日に実行に移す予定だそうです。

・しかし、ルールの細かな変更を確認しておいても、現実の試合を実況しながらそれを
言葉として即座に表現するのは、また違うレベルのことだと思うのですが。

アナウンサーにとって、スタンドで実況する分には全体が見えていますから、そんなに
怖くないんです。例えばディフェンスの選手が相手のペナルティーエリアまで走り込んで
いっても、視野の中で上がっていくのは見えていますから、とっさの判断が必要という
わけではありません。ところが、スタジオでの実況(オフチューブ)では画面だけを見て
しゃべるので、非常に難しいものがあります。モニター画面という立体感がまったくない
限られた範囲だけを見て、瞬間に判断し、選手の名前やオフサイドかどうかなどを言葉に
しなければならないというのは、技術的に難しいですね。
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■わからない選手ほど、こちらは意地になります

・基本的に22人の選手の名前を間違えてほしくないというのがサッカーファンの気持ち
だと思います。オフチューブでも、フレームに飛び込んでくる選手の名前を間違えない
秘訣のようなものはあるのですか。

ひとつは慣れの問題ですね。私も1試合に何回かは間違えます。ただ間違える回数は、
スタンドでしゃべるときはオフチューブでしゃべるときに比べて圧倒的に少ないです。
オフチューブでも背番号が見えさえすれば怖くないのですが、いつも必ず見えるわけでは
ありません。「もうちょっとその選手を撮り続けてくれれば背番号が見えるのになあ」と
思うときに限って画面が切り変わるんですよね(笑)。

オフチューブでしゃべる、スタンドで実況する、その他にもうひとつ「MA」(マルチ・
オーディオの略、スタジオにおける音声収録の意)と言って、あらかじめ試合のテープを
1,2回見て、それから放送収録に臨むというケースがあります。
このMAの場合は、選手名がどうしてもわからない場面では、その前後をスロー再生で
追いかけるなどして確認します。顔や背番号が見えなくても、何かの特徴が見えるまで
追いかけて、「ああ、あの選手なのか」と見分けるようにします。わからない選手ほど、
こちらは意地になります。なんとしてでも見つけてやろうと思う(笑)。ときには消去法で、
「この選手でもない、あの選手でもない、だから○○だ」というふうに確認したりするんですよ。
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■細かな特徴をあらかじめ頭に入れておきます

・MAならばそういう確認もできるでしょうが、生実況などで瞬間的に判断できるのは
例えばそのチームのフォーメーションがしっかりと頭に入っているからではないですか。

フォーメーションやよくある攻め方、守り方を頭に入れておくことは大切です。それと、
MAではない実況でも「消去法」を瞬間的にやっています。「ここにはこの選手はいる、
でも あの選手はいない、だから○○だろう」と。
選手を瞬間的に見分けるポイントは、髪型や髪の色などはもちろんですが、ユニホームの
長袖・半袖、リストバンドなども目印にしています。足首にテープを巻く・巻かないも
私の場合、重要な目印です。
そういうことを全部、一つ一つ頭にインプットしておかないと、とてもわかりません。
金髪やスキンヘッドの選手はアナウンサーにとってものすごく嬉しい存在ですね(笑)。

・そうした特徴を具体的に教えていただけますか。

例えば、リバウド(バルセロナ、ブラジル代表)は、たぶんシューズの紐が白だと思います。
足の甲部分が妙に白っぽいからです。苦労したのはユーロ '96のときのポルトガルの
サ・ピントとジョアン・ピントです。上背は少し違います。しかし、遠目に見ると髪型は
似ていたし、ポジションも近いんです。その後、時間をかけて調べていたら、どちらかが
足首にテープを巻くことが分かりました。それで見分けるようにしていたら、この間、
ポルトガルのプレマッチで、サ・ピントが坊主頭になっていました。苦労して、やっと
目印を見つけたのに肩すかし食らったようで(笑)。
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マンチェスター・Uの2トップ、ドワイト・ヨークとアンディ・コールもそうです。
ヨークはよく衿を立てていますが、遠目だとなかなか解りません。
オフチューブの場合、広い映像で2人を撮っても、たぶん衿を立てているところまでは
なかなか見分けがつかないでしょう。ただ、ヨークは足首にテープを巻くんです。
黒のストッキングに白いテープをしてくれると、すぐに見分けがつくというわけです。
球に、白いストッキングに白いテープのこともあって役に立ちませんが(笑)。


*選手の見分け方は私にとっては大きな課題でした。
試合が少し中だるみ状態になったときなどに、ボール・タッチする選手の名前を連呼して
言葉でリズムをつけたいと思うからです。固有名詞と、たまにパス、サイド・チェンジ、
スルーなどの“体言止め”をはさんでいくと、放送にリズムが生まれるのです。
野球やテニスなど 黙っている時間帯があるスポーツでは使えませんが、サッカーのように
しゃべる量が多い種目では有効です。

私は、選手を見分けるのが下手なアナウンサーだったと思います。
ほかのアナ、特に若い人はそれほど苦労することなく、ポジションなどから楽に見分けて
いたようです。うらやましかったです。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-04-21 08:55 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by 赤ぽん at 2012-04-21 14:49 x
岩佐さん、こんにちは。

無論超極論ですが、サッカーをやっていた者としてはアナウンサーは選手名を
言い続けてくれていれば最高の番組になりうると私個人は思っています。
名前を間違われると「その位置にあの選手が入って来たのかぁ?」くらい驚きますw
そう、誰々って言われればその選手のプレーが、特色が思い浮かぶからです。
バルサ、レアルはもとよりブンデスでいえば香川のクラブにバイエルンなど、
脳裏に焼き尽くされていますから(笑)
でも、通常の放送ではそうもいかないでしょうね。
体言止めは聴いていて有効だと思います。ま、基本的に岩佐さんの実況が
キライではない!ものとしての実況の印象ですがw

そう考えてくると、同時に私の好きな野球の実況での「間(ま)」の多さは、
放送される方は作戦を立てやすく実況中も対処しやすいのではないのでしょうか。
Commented by toruiwa2010 at 2012-04-21 15:20
赤ぽんサン、こんにちは。

おっしゃることは良く分かります。それだけに
“選手をつかむ”ことが私の実況の生命線でした。
うまくいったときもあればいかなかったときも…。

野球やテニスは、選手名を間違えることはないし、
資料に目を落とす時間がたっぷりですから
アナウンサーにとって助かる種目です。

テニスでは、黙っていていい時間に、
「このゲーム終わりで、ここまでのまとめを聞きます」など、
メモを書いて解説者に渡したりしてました。いきなり聞くより、
考えをまとめる時間があるので、整理された話が聞けました。
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