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岩佐徹のOFF-MIKE

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大リーグ中継が始まった~岩佐徹的アナウンス論46~12/06/09

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・・・つづき

ポイントをつかむ


この番組を担当したことで前よりよく考えるようになったことがもう一つあります。
それは、試合のポイントがどこにあるかということです。
試合を見せたあと解説者と振り返るのに使える時間はわずか1分半か2分ですから、
テンポよく話を運ばなくてはいけません。それには、カギになったプレーや作戦を
的確につかんでおく必要があるのです。

実際には、本番前に打ち合わせをしますから、自分で分かっていなくても解説者や
スタッフが助けてくれますが、それでは勉強になりません。
かなりもつれた試合を見たあと、自分なりに「あそこがカギだ」と思ったところが、
解説者の見方と一致すると嬉しかったものです。

野球以外の種目を実況するときにも当然役に立つ、「試合の流れを見て、ポイントを
つかむ力」と「どう省略するか」を学んだことがフジテレビで得た最大の財産だと
言っていいかもしれません。  

そして、この番組で忘れられないのは、放送が終わったあとの“反省会”です。
“反省”は形ばかりでほとんど単なる“飲み会”ですが、私の人生でこの時期ほど
酒を飲んだことはありませんでした。ハハハ。
ここでも親分は大体いつも豊田さんでした。
フジテレビがあった新宿・河田町界隈の飲み屋に腰を落ち着けると、もう 0時を
回っていることが多く、トヨさんの野球談義や昔話、球団担当ディレクターたちの
裏話などが面白く、いつも早めに切り上げる私でさえ家に帰ると2時、3時でした。

トヨさんは一緒に地方に行けば、朝、顔が合ったときから「今晩は何を食う?」と
ディレクターにプレッシャーをかけ、ふだんから、「○才まで生きるとしてあと何年、
…とすると飯を食うのはあと○万回しかないんだ。うまいものを食わなきゃ」が
口癖の人でした。どの店に行っても、「ブリの照り焼き、ジャガイモのホイール焼き、
焼きギンナン」と、決まったものばかり注文する私のような人間が存在することは
信じられなかったことでしょう。ハハハ。

やっていて面白く、スタッフや解説者とのコミュニケーションもうまくとれていて、
すごく愛着のある番組でしたが、フルに参加できたのは、この77年だけでした。
76年は「3時…」と掛け持ちでしたし、78年には鳴り物入りで「大リーグ中継」が
スタートしたからです。
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大リーグ中継が始まった

過去、ワールドシリーズなどを放送した局はありましたが、開幕から1シーズンを
通してというのは初めての試みでした。
ホテルでかなり派手なパーティーを開き、衛星中継でクーン・コミッショナーから
メッセージをもらうなど、フジテレビは力を入れました。
分室を作って、大きなホワイトボードに両リーグの日程を書き出し、英語に堪能な
学生を雇って入って来る情報を整理するという具合で、準備は万端でした。

放送は週2回、しかも日本のプロ野球がない月曜日はゴールデン!
…ただし、1時間しかありませんので編集につぐ編集、中には「ボールカウントも
省略しちゃおう」などという乱暴な意見も出ました。
全部ではないものの、たとえばカウント1‐2 から打った場合でも、3 球目までを
カットして初球を打ったことにしてしまおうと言うのですから、無茶苦茶です。
ハハハ。
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さすがに 内部にも反対する者が多く実行されませんでしたが、どちらにしても
もう一つ中身が伴わない番組になってしまいました。
しかし、スタジオに現役の監督たちをゲストに呼び、パンチョ伊東を加えた3人で
進めた日曜日午後の放送は、特にゲストが長嶋さんのように、もともと大リーグに
興味を持っている人の場合、試合から離れた話で盛り上がったりすることもあって、
楽しい放送になっていたと思います。

資料をあさる

実況を担当するにあたって問題になったのは、やはり資料・情報でした。
日本のスポーツ紙には結果が載るぐらいでしたし、英字新聞にも詳しい記事は出ていませんでした。
報道部に行って外電を見る方法もありましたが、大量の記事の中からメジャーに
関連した記事だけを探し出すのはかなり手間のかかることでした。
いい情報が得られるTHE SPORTING NEWS、SPORTS ILLUSTRATED、
BASEBALL DIGESTなど、アメリカで発行されている新聞、雑誌類は、手元に
届くまでに話が古くなってしまうため理想的とは言えませんでした。
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しかし、探せば何かあるものです。
パンチョさんからヒントを得て“STARS AND STRIPES”というアメリカの軍人、
軍属向けに発行されている新聞を手に入れました。
この新聞には詳しい記録も出るし、軍人たちはアメリカ全土から来ていますから
取り上げる試合が偏ることもありません。日本国内で入手できる情報源としては、
“鮮度”も含めて最高といってよかったと思います。
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もともと軍人、軍属向けですから、すんなりとOKが出たわけではありません。
何度も交渉した結果、あくまで特例だと念を押され、西麻布にあった印刷所まで
フジテレビの単車が取りに行くことを条件にようやく許可をもらったのでした。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-06-09 06:59 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by Vevey at 2012-06-09 17:27 x
大リーグ中継が始まった頃は、何だか面白いことが始まったようだと、ア・リーグ、ナ・リーグのチーム名や有名選手をちょっと勉強してました。
今と違って、番組の担当者ですら情報収集にはそんなご苦労があったのですね〜
視聴者としては、録画放送故に残り時間で試合の展開が読めてしまう所が今イチでしたね(笑)
有料にせよ、色々なスポーツを生で観戦できる現在がどんなに恵まれているか、つくづく感じながら、テニスとユーロで寝不足になっています。
Commented by toruiwa2010 at 2012-06-09 19:04
Veveyさん、こんばんは。

苦労はいつでもどの仕事でもあると思います。
いまは、ネットでかなり集まるので楽になった反面、
取捨選択しなければいけない苦労も。ハハハ。

大リーグ中継・・・ゴールデンの方は当初1時間でしたが、
勝新太郎が麻薬関連のスキャンダルで「新・座頭市」が
お蔵入りになったために2時間枠になったのでした。
勝新よくやってくれた。ハハハ。
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