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岩佐徹のOFF-MIKE

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財産になったMLB実況~岩佐徹的アナウンス論47~12/06/10

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・・・つづき

1978シーズン開幕!


開幕シリーズは現地からということになり、パンチョとともに勇躍シンシナチに
乗り込みました。私にとっても大リーグは憧れでしたが、子供の頃、鉱石ラジオで
FEN(極東米軍向けラジオ放送)の大リーグ中継を聞いていたパンチョにとっては、
ユメのような話だったでしょう。
旅の間「いやあ、岩佐さん、こんな時代が来るなんてねえ」を繰り返していました。
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そのころのメジャーの開幕は必ずレッズの本拠地で行われていました。その日は
その1試合だけが行われるのです。
TRADITIONAL OPENER(伝統的開幕試合)と呼んでいますが、アメリカで初めての
プロ・チームだったレッズの前身・レッドストッキングスに敬意を表したものです。
この年の相手はアストロズ、先発ピッチャーは日本を出る前から分かっていますし、
現地にいるだけに情報は新鮮で豊富ですから、放送席に座っても余裕がありました。
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しかし、条件はよかったはずなのに試合が始まって間もなく、実に情けない描写を
することになりました。

大リーグのスピードに慣れておきたいと、プロデューサーに頼んで早めに出発し、
フロリダでのオープン戦を3試合見た上で臨んだはずなのに 1回表 アストロズの
先頭バッター、プールが放ったホームランに対応できなかったのです。
「ライトに高いフライです。ライトのグリフィー…おっと入りました」
…“しまらない”実況しか出来ず大いに落ち込みました。ハハハ。

その時点でアナウンサー暦は14年でしたから、インパクトの音、打球の角度と
勢いを見て「打った。大きい、大きい。入った、ホームラン!」ぐらいの実況
は出来なければおかしいのです。
ただし、言い訳をするなら、このレッズの本拠地、リバーフロント・スタジアムは、
日本ではお目にかかれない完全な円形でした。しかも、スタンドが高く、打球音も
“カキーン”ではなく“ゴツン”という感じにしか聞こえなかったために、こんな
体たらくになったのだと思います。今でも思い出すと恥ずかしいです。ハハハ。

それにしても、投球フォームの手本にしたくなるようなレッズのトム・シーバーと、
バッテリー間が短く感じる 203cm、106kgのアストロズのJR・リチャ-ズという
最高の顔合わせの開幕戦はパンチョさんだけでなく私まではしゃぎたくなるような
忘れがたい経験でした。

Sayonara Homerun

開幕シリーズの第4戦は、テキサスのアーリントン・スタジアムからの放送でした。
試合は 地元のレンジャースがこの年 大金で獲得した4番ジスクのホームランで
サヨナラ勝ちを収めました。
放送が終わると、手伝ってくれていたアメリカ人のミキサー(音声技師)が右手を
差し出しながら近づいてきました。なんのことか分かりませんでしたが、「実況は
日本語だからまったく分からなかったけど、SAYONARA HOMERUNだけは
とてもよく分かったよ。ビューティフルな言葉だね」と言うのです。
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確かに、英語にはこういう表現はありません。
サヨナラホームランも かつては“GAME ENDING HOMERUN”という即物的な
言い方でしたから、初めて直接耳にした日本語の響きに感動したのも理解できる
ような気がします。
ちなみに、いまは“サヨナラ”のケースでは“WALK OFF”を使うようです。
Walk off homer、Walk off error…Game endingよりはましですかね。ハハハ。

たった5試合でしたが、肌で触れた初めての大リーグは私をすっかりトリコにして
しまいました。何とかその面白さ、楽しさ、すごさを伝えたいと思い、それからは
手に入るかぎりの資料を読みあさるようになりました。あの頃、大リーグに関する
情報を読んだ量では誰にも負けていなかったと思います。

大リーグ中継一年目、テレビにとって何より大事な視聴率は低迷しました。
スポーツ部が考えた末に出てきた答えは、「来シーズンは全試合を現地中継で行こう。
ついては、お前が行け」でした。
どんなに好きでも、英語もろくに話せないのに1年間のアメリカ暮らし、それも
生活の本拠を持たずに街から街、ホテルからホテルを転々とするという話に、私が
初めから大乗り気だったわけではありません。
しかし、もう一人の実況担当アナは競馬中継のエースでしたから、私が「イヤ」と
言える状況ではありませんでした。トホホです。ハハハ。

こうして、私にとってのモニュメントとも言うべき1979年は始まったのでした。
この年経験したことを、私はベースボールマガジンに書かせてもらいました。
読み返すと、登場する固有名詞にはなじみがないかもしれませんが、30年以上前の
記事なのに、中身は今の大リーグを見るときにも参考になると思います。
折を見てPDFにまとめ、容量ストレージに上げることにしましょう。
もっとも、ご要望があれば、の話ですが。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-06-10 09:30 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(4)
Commented by ヤップンヤン at 2012-06-10 17:43 x
今、オリオールズの担当のアメリカンの実況は”good-bye homerun”といってますね。もっとも、サヨナラではなく全てのホームランにですが。これもさよならを訳したからかもしれませんね。
また、PDF希望します!

Commented by toruiwa2010 at 2012-06-10 20:01
ヤップンヤンさん、こんばんは。

それは私もよく耳にしています。
good-byeとhomerunは別々ですよね?
サヨナラ本塁打というニュアンスで言っているのではないと
思って聞いているのですが。
Commented by ヤップンヤン at 2012-06-11 13:21 x
サヨナラホームランのみならず、全てのホームランに使ってます。もう彼のフレーズになってますから、もういいですが、彼は自分の代名詞のようなものを作りたかったのかな?とも感じました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-06-11 13:26
ヤップンヤンさん、こんにちは。

昨日の試合でも誰かが同じ言い方をしていました。
もういいですが(ハハハ)私、には、good-byeで
いったん切れて、そのあと、homerunと言っているように
聞こえます。
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