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岩佐徹のOFF-MIKE

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異動、挫折、そして異動4~岩佐徹的アナウンス論52~06/30

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・・・つづき

東尾修の思考回路


インタビュアーには辛口の豊田泰光さんをはじめから考えていました。
その豊田さんと選手たちのスケジュールをすりあわせて効率よく取材を進めるのは
実に複雑かつ困難なことでした。
選手たちは、それぞれ秋のキャンプに入っていたり、まったくフリーだったり、
トレードされていて、どちらの球団でもなかなか連絡がつかなかったり…一人の
選手をつかまえるのに何日もかかったりしました。
中畑の話を聞くためだけにグアムへ一泊二日で行ったこともありました。

インタビューが始まって、“カモ”や“苦手”を思い出させようと豊田さんが巧みに
仕向ける中で、とぼける選手もいれば、どうしても思い出せない選手もいました。
最後に、私がカメラの横にデータを出したときに選手が見せる、ビックリしたり
納得したりの表情が視聴者に受けたたようです。
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ただし、中には東尾(西武)のように独特の考え方を話す選手もいました。
彼については「Aに対しては13打数2安打の1割5分4厘とカモにしたが、一方、
Bには9打数5安打と苦手だった」というデータがありました。
しかし、そのデータを見た彼は「Aの2安打は“痛い”ところで打たれているから
カモという気がしないし、Bに打たれたのはほとんどが2アウトからとか、あまり
関係ない場面だったと思う」と答えるのでした。

はじめから、データがすべてではないと思っていましたが、選手には選手の思いが
あることをあらためて知り、「数字は必ずしも真実を語らないんだ。この話はいつか
実況するときに使えるぞ」と内心喜んだりしました。ええ、“いつか”とは、自分が
マイクの前に戻る日…のことです。東尾と同じぐらい しぶとい。ハハハ。

二つのコーナーは、昔の仲間に会うと今でも「あれは面白かったね」と思い出話の
中にしばしば出てきます。

“出演”を楽しむ

仲間が忘れていることで、個人的にとても嬉しかったのが「プロ野球ニュース」の
'84年オフ企画として放送した「MONDAY SPORTS WORLD」です。
アメリカを中心に海外のスポーツの結果に、こぼれ話をつけたものと企画もので
まとめたコーナーでした。
メインの司会は、元モデルのセーラに決まったあと、「コメンテーターは岩佐さん、
やってください」と、企画した若手のディレクターが言ってくれたのです。
単に日刊スポーツの名物記者がNGだったからのようですが、私にしてみれば、
またマイクの前に戻れる、スタジオで仕事ができるという喜びでまったく気には
なりませんでした。ハハハ。
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むしろ、ここで問題だったのはアナウンス部が反対する可能性があったことです。
それまでも、「あれほど、しゃべりたがってるんだから」とスポーツ部の仲間たちが
私のために考えてくれたいくつかのアイディアが、「アナウンサーの仕事が減る」、
「若手の芽を摘むことになる」とアナウンス部が反対してダメになっていました。
周囲には、「了見が狭いよなあ」とか「ニュースでは記者や外部の起用も行われて
いるのに、なに寝ぼけたことを言ってるんだ」という声もありました。

しかし、私は 組織を守りたいという彼らの考え方も理解できたのと、常に接触する
アナウンサーたち、かつての仲間とコトを構える気にはどうしてもなれず、その
煮え切らなさが、せっかく担ぎ出そうとしてくれた人たちの気持に水を差す結果に
なったこともあったようです。とことん“ダメ”な奴でした。ハハハ。

そんな懸念を話すと、「分かりました。何とかします」と言って彼は上司を動かして
アナウンス部が所属する編成局のOKを取ってしまいました。
こうなると、しり込みしている場合ではありませんから、積極的に関わりましたが、
それからもいろいろありました。
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まず、スポーツ番組など初めてだからと乗り気ではなさそうだったのをどうにか
口説いてOKしてもらったセーラが、なんと番組スポンサーのライバル会社から
生理用品のCMに出ることが分かりました!
「まずいな、いくらなんでもこれはアウトだろう」と思っていると、どんな手を
使ったのか、彼は社内中を駆け回ってこれもOKにしてしまいました。

スタートしてまもなく、強烈なクレームが来ました。
“大リーグの結果”の中で、1試合1分のダイジェストを流したのですが、当時、
大リーグ中継の権利を持っていた日テレがストップをかけてきたのです。
調べてみると、こちらには突っ張る材料がないことがわかって、以後、目玉だった
大リーグに関しては映像が使えなくなってしまいました。
その後、アメフトなども同じ運命をたどり、扱える映像が制限されるようになって、
状況はかなり厳しかったのですが、なんとかみんなが知恵を出し合って3ヶ月の
オンエアを乗り切りました。

おしゃれなセットにおしゃれなセーラはともかく、ごっつい体つきの解説者たちや
“地味”な私はいささか違和感がありましたが、そんなことはお構いなしに、私は
この3ヶ月を大いに楽しみました。
他人が見れば、おそらく数年ぶりに生き生きしているように見えたことでしょう。

つづく…

最近、このブログを読み始めた方へ

プロフィルでどんなキャリアの持ち主かはお分かりだと思います。
ときどき、毒を含んだ記事がありますから気をつけて下さい。ハハハ。
土・日と休日は原則として「アナウンス論」を連載しています。
過去の記事をアレンジしながら、ナが勝った実況生活を振り返って
アナウンスについての考え方をまとめています。

by toruiwa2010 | 2012-06-30 07:25 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by shin555 at 2012-06-30 21:38 x
79年に大学を出た私は、しばらくの間TVを見ませんでした。
でも84年、ロス五輪が見たくて久し振りに押入からTVを出し、また見るように♪
ですからカモと苦手とMONDAY SPORTS WORLDはとても楽しく見た思い出があります。
東尾の話もなんとなく覚えていました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-07-01 02:03
shin555さん、おはようございます。
いま午前2時、これから黒田の試合です。ハハハ。

あの時代にテレビを見なかったなんて・・・
私には信じられません。ハハハ。
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