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岩佐徹のOFF-MIKE

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僅差で「ファミリー・ツリー」~2012上半期映画ランキング~     12/07/05  

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話題の作品、評判がいい(らしい)作品はできる限り見ておこうと思っています。
それでも、タイミングが合わないうちに上映が終わってしまったり、朝早くや
夜遅い時間に1回だけの上映になったりして、見損うものもあります。
特に理由はないのですが、このところ、劇場に足を運ぶ回数が減っています。
6月は5本だけ、今月はまだ1本しか見ていません。
レビューも書いていませんが、単に、書くに値する作品がなかっただけです。
ハハハ。

それでも、6月末までに55本の映画を見ました。例年と大体 同じペースです。

見た直後の採点順にランキングすると以下のようになりました。
ちなみに、採点の基準は次の通りです。

95:お勧めしたい
90:大満足だった
85:見るに値した
80:料金分は楽しめた
75:見なくてよかったかも
70:金と時間を返せ

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95 ファミリー・ツリー クルーニーがいい 今年見た中で最高の一本だった!
95 わが母の記 年齢によって評価は分かれそうだが私にとっては今年のNo1
90+ おとなのけんか 子供の喧嘩に親が出て もつれにもつれて…見事な会話劇
90 マネーボール エンタメイントとして最高 ジョナ・ヒルから目が離せない
90 ミッション… クルーズは相変わらずカッコいい 文句なしに面白い娯楽作品
90 RAILWAYS しみじみと胸に沁み込む名画 三浦友和 小池礼子が素晴らしい
90 永遠の僕たち 孤独な少年・少女の短かい恋物語 若い俳優のみずみずしさ
90 ALWAYS三丁目の夕日 シリーズ3作目で初めて納得 突っ込みどころあり
90 はやぶさ… 感動した 作為のない作り方がいい 江口と吉岡の演技に感銘

85 ミラノ、愛に生きる 富豪の妻と息子の友人シェフの恋 画調・映像が美しい
85 サラの鍵 重いが見る値打ちはある 前半は見るのが辛いが後半はすばらしい
85 麒麟の翼 事件発生から謎解きまでのシナリオがいい 俳優も揃っている
85 ものすごくうるさくて… 心に傷を負った少年を演じたトーマス・ホーンに驚く
85 ドラゴン・タトゥーの女 スウェーデン版との比較は避けられない 引き分けか
85 ピアノマニア 小品だが見事なドキュメンタリー プロ同士の会話が心地いい
85 ヘルプ 60年代初めのアメリカ南部での差別 V・デイビスの演技に感動する
85 別離 国外に出たい妻と認知症の父を抱える夫 見ごたえのあるイラン映画だ
85 ル・アーヴルの靴みがき 密航少年を助ける人々の温かさ 味わいある小品
85 ガール あまり期待しなかったが結構楽しめた キャスティングと演出の勝利
85 外事警察 やっぱり凄い田中泯 渡部篤郎もいいが映画はドラマには及ばず
85 一枚のめぐり逢い 戦場で拾った写真が結びつけた男と女 後味のいい作品

おや?と思われるかもしれません。
「ファミリー・ツリー」がNo1…というレビューには異論があることでしょう。
ネットを眺めても、私ほど高く評価する人は少ないようです。しかし、最後は
“好み”で決めました。

また、アカデミー賞作品賞候補に名前が挙がっていた作品など何本かの話題作が
抜けていますから「おかしい」と言われるかもしれません。しかし、私に言わせれば
「アチラがおかしい」のです。ハハハ。
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一応、全部見ましたが、採点は…

「J・エドガー」80
「ヒューゴの不思議な発明」80
「アーティスト」80
「マーガレット・サッチャー」80
「ミッドナイト・オン・パリス」80
「戦火の馬」75
「ツリー・オブ・ライフ」採点不能:35分で退場


…でした。アカデミーや世間がそこまで高く評価する理由が分かりません。

90点以上の作品の中から特に好きな映画についてのレビューを再録しておきます。

「ファミリー・ツリー」95

マットがひとりごちている。
「友人たちはハワイ暮らしの私を楽園にいるかのように言う。まるで私には悩みも
苦しみもないと思っているらしい」

実際は違うのだった。
23日前、パワーボートのレースに出た妻のリズが海に落ちたのだ。生命維持装置で
辛うじて生きている状態だ。彼が仕事でマウイに行っている間の事故だった。
忙しくて妻とは会話をすることも少なくなっていた。突然、17歳と10歳の2人の
娘の面倒を見ることになって戸惑うマット。知らないことが多すぎた。
妻の病状が絶望的な中、長女との会話から家庭内の問題も明らかになってきた…
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ジョージ・クルーニーについては“いかにもアメリカ的なカッコイイ男”という
イメージが私の頭の中では先行していました。つまり、演技は大したことないと。
その印象がガラッと変ったのは「グッドナイト&グッドラック」からです。
1950年代にアメリカで吹き荒れたマッカーシー上院議員による“赤狩り旋風”に
敢然と立ち向かったCBSの報道制作者たちの奮闘ぶりを描いた映画でした。
脚本を書き監督もつとめています。全編モノクロームの画面が当時の空気を見事に
表現していました。
キャスターのエドワード・マローを演じたデヴィッド・ストラザーンが主役として
アカデミー賞候補になりましたが、クルーニーの演技も素晴らしかったです。
以後、“前非”を悔いて、実力派俳優だと認識して彼の映画を見ています。ハハハ。

「ファミリー…」のクルーニーもかなりいいです。
大声を出したり、大げさな演技をしたりする場面は少ないのですが、家族の問題に
直面して苦悩するマットを鮮やかに演じています。今年のアカデミー賞で候補に
なっていたのも納得です。むしろ、オスカーを獲ったジャン・デュジャルダンより
演技内容はいいと思います。

ざっくり書けば、“家族の絆”がテーマですが、物語自体に魅力がありました。
特に、マットが“父性”に目覚めて行くプロセスや素行に問題があり、マットにも
初めは反抗的だった長女の心が“ほどけて”行くさまが心地よかったです。
全編に流れるハワイアンも物語の雰囲気にぴったりフィットしていました。
映画館を出るときの気分がとてもよかったです。今年見た中でNo1だったのは
「マネーボール」と「わが母の記」でしたが、入れ替わりました。お勧めです。


「わが母の記」95

死期が近い父親の見舞いに訪れていた伊豆・湯ヶ島の実家の居間で妹たちと話を
しながら小説家・伊上洪作(役所光司)は物思いにふけっていた。
思い出していたのは雨宿りの風景だった。沼津中学に入る彼を送ってきた母と妹が
向かいの軒下に立っている。どしゃ降りの雨の中、通りを渡って彼の横に来た母は
はずしたお守りを彼の首にかけてくれたのだった。

「お父さんが、葬式の案内は簡単にって…」
東京に戻る彼に母がそう言った。少し前にも同じことを言ったばかりだが…
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すばらしい!!
瑕疵、わずかなキズも見つかりません。私にとっては“今年最高”の映画です。
母親と洪作、洪作と娘たちの“関係性”が現代とは違いますが、家長が家族全体を
束ねていた昭和30~40年代の日本家庭の空気がよく描かれています。年配者には
懐かしい風景です。

妻はハンカチを2枚用意していました。私も、もっと泣かされると思いましたが、
そんなことはありませんでした。感動はじわっと来る種類のものでした。ハハハ。
涙や感動を“無理強い”していないその演出もよかったです。

主要登場人物たちのセリフはもちろん、乗り合わせたバスの乗客の会話や娘たちが
トランプ占いをしているときに交わすセリフまで シナリオにまったく無駄がなく、
どのセリフにも違和感がありませんでした。
ミスキャスト、力不足と感じる俳優、全体の調和を乱す役者も見当たりません。
妙に“達者な”子役が1人も出てこないのもいいです。ハハハ。

なんという素晴らしい映画でしょうか。

樹木希林に圧倒されます。存在そのものが見事です。
この人のすごさは、演技していることを感じさせないところです。
そんなおばあちゃん、いるよね、と思わせます。自然な演技ということでしょうか。

遅ればせ…ですが、宮崎あおいの人気の理由が少しずつ分かってきました。
役所の演技にはいつも“丁寧さ”を感じますが、この作品でも相変わらずいいです。
洪作は母の意志で、5歳からの8年間を曾祖父の愛人と暮らしました。
後年まで、「僕は母に捨てられた」と言うのが口癖でした。実際に、どこまで母親を
“恨んで”いたのかは彼の言動からははっきり伝わりません。
映画で言えば、最後の最後まで彼自身にも分からなかったのではないしょうか。
その、“判然としない”心模様を見事に演じきっています。

エンド・ロールを見て撮影が女性カメラマンだったことを知りました。どこか、
映像が優しいと感じたのはそのせいだったようです。


「おとなのけんか」90+

イーストリバー沿いの公園を少年たちのグループが歩いてくる。
言い争っていた少年の1人がもう1人の胸を手でついた。やられた少年がやり返す。
やがて、争いはエスカレートし、一方が 手にした棒を相手の顔面に叩きつけた。
顔を覆ってよろけた少年を仲間が取り囲んだ。

マンションの一室。
被害者の母親、ペネロペ(ジョディ・フォスター)がパソコンのキーを叩いている。
夫のマイケル(ジョン・ライリー)と加害者の父・アラン(クリストフ・ヴァルツ)、
その妻・ナンシー(ケイト・ウィンスレット)がのぞきこんでいた。
被害者の少年は歯を折っていたのだが、訴訟沙汰にはせず、平和的に解決しようと、
確認しながら事実関係を書面にしているのだった。

互いの主張を調整して書面は出来上がり、二組の夫婦は笑顔で別れるはずだった…
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最高です!
物語のほぼすべてが一つの部屋の中で進みます。4人が交わす会話の一つ一つに
意味があり、数分後にそれが生きてくる、というパターンがいくつか見られました。
おしゃれです。
脚本の素晴らしさが、作品の成功の大きな要因であることは間違いないでしょう。
もともとは舞台で演じられたものだそうですが、映画も十分に面白いです。

その理由は、言うまでもなく芸達者な俳優たちです。誰ひとり、一歩もひきません。
がっぷり四つの力相撲は見ていて引き込まれます。
外国人はいなかったはずなのに、数人の女性から何度も笑いが起きていました。
絶対に字幕を見て笑っているタイミングではありません。うらやましかったです。
ただでさえ面白いのに、英語が分堪能なら、もっと楽しめるのでしょうから。


「マネーボール」90

2001年シーズン、アメリカン・リーグの西地区で1位になったオークランド・
アスレチックスはヤンキースとの地区シリーズで2勝0敗から逆転負けした。
しかも、この年限りで主力選手が次々にチームを去り、戦力はガタ落ちになった。
プレーオフで敗退したあとオーナーと会ったGMのビリー・ビーン(ブラッド・
ピット)は、立て直しのためにあと少しでいいから金を出してくれと頼み込んだが、
「ないものは出せない」と取り合ってもらえなかった。

抜けた選手の穴を埋めるためにどうするか、について、ベテランのスカウトたちが
意見を出すが、ビリーは相手にしなかった。これまでの考え方ではこのピンチを
切り抜けることはできない。発想の転換をしないとどうにもならないのだ。
インディアンズとのトレード交渉のためクリーブランドに飛んだビリーは そこで
一人の若い男、ピーター・ブランドに出会う。
野球に関しては素人だが、イェール大で統計を学んだ彼は 各種データから選手の
能力を分析することにたけていた。

ためらうことなくピーターを引き抜いたビリーはチーム作りの概念を根底から覆す
方法で戦力の立て直しにとりかかった…
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最初から最後まで引き込まれました。めっちゃくちゃ、面白かったです。
「ソーシャル・ネットワーク」のチームが作ったようですがよく分かります。
いきなり90点の映画に“当たり”ました。春から縁起がいいです。ハハハ。
ただし、野球がまったく分からない人にとっては80~85点かもしれません。

野球は 塁に出た走者をホームに返すことで挙げる得点の多さを争うスポーツです。
ベテラン・スカウトたちは従来通りの“物差し”で選手を評価して話を進めますが、
2人は違う基準で考えています。普通、野球界の人間やファンは“ヒットで”塁に
出る選手を高く評価します。しかし、2人は“フォアボールでも同じだ”と考えて
打者を見ています。

塁に出る確率を“出塁率”(OBP=on-base percentage)と言います。
ここに ヒットをたくさん打って打率が高くホームランも打てるA選手と 打率は
低いけどボールをよく見てフォアボールで多く出塁する選球眼のいいB選手がいた、
とします。Aの給料は高く Bは安い。スカウトたちは文句なしにAを推します。
一方、2人はBのような選手を3人集めて穴を埋めればいいと考えます。
「塁に出るのにヒットかフォアボールかは関係ないのだ」という考え方が彼らの
基本的なスタンスです。

この作品のキーワードの一つ、“出塁率”が分かると、面白さがアップするはずです。
口幅ったくて恐縮ですが、メジャー・リーグについてはかなり知っていますから、
ディテールまで楽しませてもらいました。当然、逆の面もあります。
野球の実技のシーンに物足りなさが残ります。
“監督のアート”がアート・ハウだと知ってビックリしました。
現役時代を見たことが何度もあって、“長身でほっそりした男”として記憶の中に
あったからです。映画での扱いに不満を漏らしていたと聞きましたが、まさか、
まったく違うキャラクターの俳優が演じたからではないでしょうね。ハハハ。

いろいろ制約があったとは思いますが、字幕も例えば…
「He can throw → 投げられる」は「肩がいい」
「Club house → 控室」は「クラブハウス」そのままか、「ロッカールーム」と
訳してほしかったです。 
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ブラッド・ピットの演技を見ていると、奥行きの深さを感じます。
単なるイケメンじゃないことが分かります。ブラピではなく、まるで、ビリー・
ビーンその人を見ているようでした。
そこが、日本のいわゆるイケメン俳優との決定的な差だと思います。
監督を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンはもちろんですが、ピーター役の
ジョナ・ヒルという若い俳優が素晴らしい演技を見せています。目が離せません。
離婚した妻と暮らす娘が歌う挿入歌も素敵です。


「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」90-

北アルプスを望む富山市郊外の田園地帯を単線運転の電車が走る。
この日も運転席には滝島(三浦友和)がすわっていた。
高校時代はカメラマンになりたいと思っていたぐらいで初めから希望して運転士に
なったわけではなかった。しかし、悔いがあるわけでもない。

乗客の安全第一に考えて勤め上げた運転士生活も間もなく終わる。1ヶ月で定年だ。
退職したら 長い間苦労させた妻(余貴美子)を旅に連れ出そうと考えて資料を手に
帰宅した彼に妻は別の話を持ち出した。「看護師として働きたい」というのだ。
「もう結論が出ている。蒸し返すな」とまったく受け付けない滝島と妻の間で
激しい言い争いになるが、そこに会社から電話が入る。
急病人が出たための交代を依頼する電話だった。

交代勤務を終えた滝島が深夜に帰宅したとき、妻の姿はなかった…
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しみじみとした味わいの佳作でした。
中井貴一・高島礼子が出演した「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった…」の
リメーク的なものかと思っていましたが、別ものでした。
ただし、コンセプトは同じです。
家族、夫婦、親子、ふるさと、病気・老後、触れ合い、助け合い、思いやり…
前作と同じように、この作品には日本映画の良さがいっぱい詰まっていました。
何一つ不満がない、というのは珍しいことです。

人が優しい。風景が優しい。方言が優しい…とにかく、すべてに優しさを感じます。
若い人には“刺激”が足りないかもしれませんが、ある程度の人生経験がある
40歳以上の年代の方には必ず共感を覚える部分があるはずです。
まだだったらお勧めします。

地方都市の貴重な交通手段である鉄道を舞台にしてシリーズ化するようです。
すばらしい企画で、間違いなく、毎回 見に行くと思います。ハハハ。

三浦友和がいい俳優になりましたね。
若いころは典型的な人気アイドルでした。山口百恵と結婚してからは、気の毒にも
“百恵の夫”と呼ばれる時期がありました。
しかし、年齢を重ねるに従って、歩んできた人生が役柄に 演技ににじみ出るように
なりました。登場するだけでその場を“支配”する貫録も身についてきました。
もう「アウトレイジ」のような二流映画には出ちゃダメだ。
ハハハ。

余貴美子の芸達者は相変わらずですが、小池栄子がいいと思いました。
グラビア・アイドルから出発してバラエティ番組のヒナ壇でも実に達者なトークで
楽しませてもらいましたが、映画の世界でもしっかり自分の居場所を見つけました。
この人の演技には彼女の内面がよく出ていると思います。
by toruiwa2010 | 2012-07-05 09:45 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by 毛抜き at 2012-07-08 00:52 x
ファミリーツリー見ました!
私はまだ23歳なのですが、見るには人生経験が足りないかな?と感じちゃいました笑
役者を楽しむことはできましたが、
見ないで貯めておく映画も必要だな、と思いました笑
Commented by toruiwa2010 at 2012-07-08 07:53
毛抜きサン、おはようございます。

見ないで貯めておく映画も必要・・・
そういう発想も「アリ」ですね。
ただ、時代物はいつ見ても「時差」が
それほど違わないでしょうが、現代ものは
そのときでないと、リアル感や時代感覚が
ずれてしまうことがありますね。
いい作品はそれも乗り越えますけど。

どちらにしても、私が推薦する作品は
どうしても年配者向きになってしまいます。
ハハハ。
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