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岩佐徹のOFF-MIKE

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テニス中継始まる~岩佐徹的アナウンス論59~12/07/21

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テニス・グランドスラム

最初のミラン・ダービーから帰国して間もなくのことです。
別のプロデューサーが、「来年の全豪オープン・テニスの放映権がとれました。
ご存知ですか?」と言ってきました。
「“とれたこと”を知ってますか?」の意味だったのでしょうが、WOWOWでは
見くびった扱われ方が続いていましたから「全豪ってなんだか分かりますか?」と
聞かれている気がしました。「おいおい、なめるなよ」ですよね。ハハハ。

しかし、あまりの嬉しさに思わずニコニコしてしまう自分がいました。
「また、新しい“世界レベルのスポーツ”を実況できる」という嬉しさです。
アナウンサーである前に、一人のスポーツファンとして興奮しました

Australian Open Tennis

1月の南半球、オーストラリアは日本とは逆の真夏です。
しばしば40度前後まで上がる猛暑の中、1ヶ月半ほどの短い休暇を終えたばかりで、
しかも、雪の残る北半球から参加する選手たちには過酷な条件で優勝が争われます。
しかし、地元の人たちは、性格もおっとりしていて感じがいいですし、この種の
スポーツ中継に関わっていて一番心配な“雨”については、メイン・スタジアムが
開閉式の屋根つきですから、安心して、ゆったりした気分で仕事ができる大会です。
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テニスもフジテレビ時代に少し実況の経験がありました。
古いファンなら記憶にあるかもしれませんが、ライオン(エメロン)カップです。
エバート、ナブラチロワなど、世界のトップクラスの女子選手を4人招いて開いた
エキシビションです。
ただし、実況を担当するのは せいぜい年に1、2試合ぐらいのことですから大した
実績ではなく、はじめはやはり手探りになりました。

何よりも戸惑ったのはコマーシャルがないことでした。
奇数ゲームのあとのインタバル(90秒)もしゃべり続けなければいけません。
地上局ならコマーシャルが入りますから、「今度はどんな話をしましょうか?」と
解説者と話し合ったり、資料を探したりできたのですが、それができません。
特にこの年は初めてでもあり、話す材料も十分ではなく苦労しました。

やがて、この90秒こそが私にとって嬉しい時間であることを知るのです。
地上局のアナたちは、「プレー中はしゃべるな」と、よく怒られているようですが、
彼らはそこしかしゃべるところがないのですから、気の毒です。
私たちは プレー中は黙っていて、話したいことはインタバルまで取っておくという
選択肢がありました。逆に、何をしゃべるかが大事になるのですが。ハハハ。

Roland Garros & US Open Tennis

初めての全豪は楽しんでいるうちに終わってしまった感じで、終わったときには
「1年待たないとこの楽しさは味わえないんだ」と、さびしい思いもしたものです。
ところが、それから間もなく、「全仏もやれることになりました」との嬉しい報告が
入ってきました。アルペンスキーのときと同じように、テレビ東京が持っていた
衛星放映権をWOWOW が買うことで可能になったのですが、「粋でおしゃれな
ローラン・ギャロスもやれるのか」と感慨深いものがありました。
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このときは 私のほかにプロデューサーと技術者が一人現地に行っただけです。
解説者はテレビ東京のため 現地にいた坂井利郎さんと平井健一さんを借りました。
しかも、2週目に入るところで、「放送席がない」と言われたために、私も帰国して
準決勝と決勝を東京のスタジオで神和住純さん、柳恵誌郎さんと実況するという、
とても変則的な放送になりました。
自前ではない“窮屈さ”はあったものの。なにしろ半年前には夢にも思わなかった
赤土の上の熱戦を実況できる喜びでそんな不満は吹き飛びましたが。ハハハ。

しかも、パリから帰ってまもなく、「全米もやれるかもしれません、いまTBSと
詰めているところです」と耳打ちされ、ほどなく「まとまりました」との連絡です。
「話がうまく行き過ぎるなあ」と思いましたが、夢ではなく現実でした。
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“ファッション”としてブームになりかけたことが何度かありながら、なかなか
根付かなかったテニスは長い間“マイナー・スポーツ”扱いでした。
しかし、WOWOWが放送するグランドスラムは、テニスでは最高峰の戦いです。
出場する選手もトップクラスばかりですから、現場に入ると熱気はありますし、
何よりも、勝負の世界に生きる選手たちの気持ちのいい緊張感はどのスポーツにも
共通するものがあって、私は最初の全豪からそのとりこになってしまいました。

数年ごとに “権利交渉”という難しいハードルがありますが、幸いなことに毎回
社員の頑張りでなんとかクリアし続けてくれました。おかげで2005年まで14年間、
ウインブルドン以外の3大会をお届けできました。

4大会すべてを中継している今はすっかりWOWOWスポーツの看板番組です。
元デビスカップ監督の柳恵誌郎さんという名解説者を“発掘”したのに加えて、
ちょうど、女子は伊達公子、沢松奈生子、遠藤愛さん、男子でも松岡修造さんらが
伸び盛りだったことがプラスしました。放送開始のときから視聴者の反応もよく
固定ファンも多いですから、今後もWOWOWスポーツ放送の柱になるはずです。
手探りだった黎明期に立ち会って、ある程度評価してもらえる仕事ができたのは
幸せなことでした。

1992年にスタートしたときすでに53歳でした。のどや滑舌、脳で認識したことを
口にするまでの時間など、すべての面で“衰え”が出始めていた年齢でこの種目に
出会ったのはラッキーだったかもしれません。67歳まで続けられたのも、実況の
スピードがピッタリだったからだと思います。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-07-21 07:22 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(5)
Commented by masa at 2012-07-21 13:04 x
岩佐さん、こんにちは。
WOWOWに加入したのは、映画をレンタルするよりはお得かな?
っと思ったからなのですが、それよりテニスに出合えたことが
一番の収穫でした。もちろん岩佐さんと出会えたこともですよ♪

一時、WOWOWを全く視聴しない時期が続いたため
解約も考えたのですが、夫の「僕が視聴料払うから…」
の一言で今も続けています(^^;;;

昔は録画するのもビデオテープでめんどくさかったものですが、
今は録画するのも再生するのも便利にラクになりましたね。
Commented by 老・ましゃこ at 2012-07-21 22:33 x
WOWOWでテニス放送が始まると聞いたとき
全豪オープンが見られるなんて!とすごく嬉しかったのを覚えています。
それから立て続けに全仏、全米と放送が決まり
岩佐さんと同じように私も、ええっ!本当に!と驚きつつ、
とても嬉しかったです!
更に今では全英まで!
WOWOWを契約していてよかったと思うのは、
4大大会開催中はチャンネル権が私にあるということ(^^)
この期間中は、私は夫にも遠慮せず
テニスを見るに熱中しています(^^)
WOWOWテニスで柳さんの解説を聞きながら
テニスの楽しみ方を教わりました。
岩佐さんの実況を聴いて益々テニスを見るのが楽しくなりました。
いい選手が沢山いて、そのことも含めて
WOWOWテニスの黄金期でしたね(^^)
Commented by toruiwa2010 at 2012-07-22 04:52
老・ましゃこサン、おはようございます。

1992年は一番興奮した年かもしれません。
今度は何が放送できるのか?
年齢的にも50歳を過ぎたばかりで、元気いっぱいでした。
Commented by しぐま at 2012-07-22 10:00 x
岩佐さんも、皆さんも、知っていそうで知らない話なのですが、
「全豪オープンテニス」は、日本衛星放送が開局する前、
昭和63年から約5年ほど、
大阪の読売テレビが、日本での放映権を持っていました。
テニスばかりか、ゴルフ、サッカーなどなどスポーツ全般で、
海外メジャー大会の日本でのテレビ放映権を、
大阪の民放テレビ局が取得していたのは、
後にも先にも、これだけではなかったのかと思います。
Commented by toruiwa2010 at 2012-07-22 10:43
しぐまサン、こんにちは。

知っていました。屋根付きのスタジアムを見たのも
YTVでした。
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