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岩佐徹のOFF-MIKE

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サッカー中継・小史~岩佐徹的アナウンス論70~12/09/02

「ダイヤモンド・サッカー」

テレビ東京の金子勝彦アナが岡野俊一郎さんと組んで放送した「ダイヤモンド・
サッカー」は海外サッカーを日本に紹介した番組として傑出したものでした。
イングランド1部リーグ(現・プレミア)を数週間遅れで放送していました。しかも、
初めは前後半を2週に分けて…。今なら「ひと試合を2週に分けて放送なんて」と
猛烈なブーイングが出るでしょうが、海外のサッカー情報に飢えていた私たちに
不満は まったくなくて、放送される土曜日の夕方が毎週楽しみだったものです。
サッカー・ファンにとって、これほど心に残る番組はほかにありません。
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1970年メキシコWCでブラジルが3度目の優勝をしたときには、取材現場などで
顔なじみになっていた金子さんに頼みこんでテレビ東京まで行って試写を見せて
もらいました。ライバル局の人間に、よくぞ見せてくれたものだと思います。

71年に、気まぐれなディレクターが、たまたま持ち込まれたFAカップを購入して
放送することになったとき、実況を担当することになりました。

スポーツ・アナは“スキマ産業”の側面があります。
担当する先輩がたくさんいる種目は“順番”が回ってくるまで時間がかかります。
私が入社した当時のフジテレビは、野球、ボクシング、競馬がメイン種目でしたが、
それぞれに経験を積んだ先輩がいて、つけ込むスキはありませんでした。
私は誰も関心を見せなかったサッカーに注目し、東京オリンピックのあと始まった
日本リーグをよく見に行っていました。それが“仕事”につながったのです。

FAカップ実況

FAカップが権威あるイングランドのカップ戦であることは知っていました。
しかし、ほかの情報は全く持っていませんでした。このときも金子さんに頼んで
資料を借りました。濃紺の表紙で有名なロスマンズのイヤーブックです。
辞書を片手に懸命に読んで放送用の資料を作りました。
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日本協会の専務理事だった長沼健さんの解説でこの年と翌年の決勝を実況したのが
私のサッカー実況の出発点です。
放送時間に合わせるために、サッカーを知らないディレクターは乱暴きわまりない
編集をしてくれました。FKやスローインのたびに、ほぼ同じ角度で飛ぶボールに
合わせて中間をカットし、全く別のシーンとつなぎ合わせるのです!!
長沼さんには黙っていましたが、冷や汗ものでした。ハハハ。

日本のテレビにおける海外サッカー放送の“黎明期”はそんな具合でした。

日本リーグ

あるとき、スポーツ部に異動してきた別のディレクターがサッカー好きだったと
いうだけの理由で1974年に日本リーグを10試合ぐらい中継しました。
解説は銅メダルに輝いたメキシコ・オリンピックで活躍した“快速左ウイング”の
杉山隆一さんでした。同じくメキシコのヒーローだった釜本がヤンマーにいました。
ディフェンスはしない、近くに来なければボールを取りに行こうともしないという
“わがままな”センター・フォワードでした。ハハハ。

古河電工で現役生活の終盤だった元チェアマンの川渕はその後、青年監督となり、
チームの定宿だった渋谷・円山町の旅館で私のインタビューに応じてくれました。

ブラジルから何人かの助っ人が来ていました。
ただし、そのころはすべて“日系二世”でした。
そのうちの一人が、藤和不動産というチームで活躍した若き日のセルジオ越後です。
今のような“辛口”評論家になろうとは思いもしませんでしたが。ハハハ。
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国立競技場から中継したとき、ペレがゲストとして来てくれたのもいい思い出です。
困ったのは話がとても長いことでした。
機嫌よく話してくれるのはいいとして、あまりにも長く、とうとう、私はおそれ
多くもペレの話を“BG”音楽のように扱って実況することになりました。ハハハ。
サッカー雑誌の付録だったポスターにもらったサインはやはりお宝の一つです。

つづく・・・
by toruiwa2010 | 2012-09-02 07:38 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(4)
Commented by ガハハハ at 2012-09-02 19:53 x
『ロスマン』というより、今の日本での慣習に従えば『ロスマンズ』ですね
(今のプレミアのパトロンを『バークレイズ』というように)。その後、ル・マンやパリ・ダカでのポルシェのワークスチームのメインスポンサーになりました。

金子さんの実況は、確かに当時は非常に勉強になりましたが、彼自身にとっては往時の高評価が仇になったようで、Jリーグ発足後の実況(海外リーグ含む)は、ネット時代ですでに視聴者が彼以上の情報を持っているにもかかわらず「俺が教えてやる」という啓蒙臭が強すぎて、ちょっと鼻白みました。

とはいえ、金子氏の残した業績についてはきちんと評価されるべきだと思います。JFA殿堂入りは当然ですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-09-02 20:15
ガハハハさん、こんばんは。

私も、CSでの先輩のパフォーマンスは
残念です。

ロスマンズ、でしたか。そりゃ失礼。修正しときます。
Commented by ガハハハ at 2012-09-03 07:34 x
訂正までしていただいて、恐縮です。

しかしイギリスという国には、タバコ屋がサッカーリーグの年鑑を出したり、ビール屋が各種世界記録集を発行したりと、大企業がパトロンとなってクロニクル的イヤーブックを編纂する文化のようなものがあるようですね。

しかもそれがフランスのタイヤ屋のレストランガイドのように、その本自体で儲けてやろうなんてスケベ心はほとんどなくて、ストイックに事実だけを並べながら改訂していくっていう。

大人の国の大企業のノブレス・オブリージュって感じがして、好きです。
Commented by toruiwa2010 at 2012-09-03 08:16
ガハハハさん、おはようございます。

このHN、なんとかなりませんか?ハハハ。

面白い見方ですね。ただし、そういう国民性が
かつての「英国病」につながった一面もあるわけで。
英国病…と言っても分からないかもしれませんが。ハハハ。
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