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岩佐徹のOFF-MIKE

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野球実況:前途多難~岩佐徹的アナウンス論74~12/09/16

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27年ぶりの野球実況

2008年3月中旬、ブログをかなり早い時間に更新する日々が続きました。
千葉ロッテ・マリーンズのオープン戦を2日続けて実況するため、家を出る時間が
早かったからです。

試合開始の1時に間に合わせるのなら、そんなに急がなくてもいいのです。しかし、
実況をやるとなると打撃練習から見ておきたいと思い、どうしても早くなるのです。
理想を言えば10時には着きたいのですが、それだと8時に家を出なければならず、
“老いの身”には少々厳しいです。ハハハ。
少しでも時間を短縮しようと、8時半にタクシーで荻窪に出て、そこからJRで
“御茶ノ水乗換え幕張”というコースを選択しました。

ついていないときはそんなものですが、2日とも総武線は“津田沼どまり”でした。
“千葉行き”を待つ5-6分がもったいなかったこと! ハハハ。
満員電車に乗って野球の実況をしに行くのも初めての経験でした。本を読むことも
ままならない車中で、つり革につかまり、「俺はいったい何をしているんだろう」と、
チラッと思いました。ハハハ。
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古い友人が声をかけてくれて、ためらいながら引き受けました。
野球の実況をするのは久しぶりです。
なにしろ、長嶋茂雄さんをゲストに迎えて伝えた1981年のワールド・シリーズ、
ヤンキース対ドジャーズ以来ですから、27年ぶりということになります。
マイクをつけるのも2005年全米オープンの最終日以来、2年半ぶりでした。

放送席からの眺めは独特です。後ろで音声さんが調整している声を聞きながら、
目の前に置かれたヘッドセット・マイクやモニター用のテレビ越しにグラウンドを
眺めたときいつも、静かな興奮が体の中に充満してきます。
ただし、きっとあるだろうと思っていた“特別の感慨”は何もありませんでした。
“久しぶり”ということで若干の緊張がありましたから、ばたばたしているうちに
放送が始まった感じです。ハハハ。
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机の上に久しぶりに私の“三種の神器”が並びました。
ストップ・ウォッチ、詰まりやすい鼻の通りをよくするためのスプレー、そして、
のどにうるおいを与えるためのキャンディ(POLOを半分にしたもの)です。どれも、
必要なときに備えて必ず放送席に持ち込むものです。使わないときもあるのですが、
それでも、どれか一つが欠けているとなんとなく不安になったものです。
“精神安定剤”のようなもので、WOWOW時代に始まった習慣です。

前途多難…大多難

ひどく疲れました。特に初日は終わったときにガクッと来ました。
2日間やってみて思うことは、「やはりサビがたまっているなあ」です。
実況の感覚は、2年半前までしゃべっていましたから、それほど鈍っているとは
思いませんでした。しかし、こと野球となるとそう簡単ではありません。
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しかも、最近20年ほどは、日本の野球をあまり熱心に見ていませんでしたから、
監督や選手についての情報をゼロから積み上げていく必要がありました。
キャンプを見に行ったおかげでマリーンズについては少し分かりますが、それでも、
まだ顔を見ただけでは名前が浮かびませんし、背番号と選手名を一致させるのも
苦労する体たらくでした。
チームについての情報は新聞やテレビに頼る状態ですから、「日暮れて道遠し」です。
ハハハ。

愕然とした大きな問題は、“打球が見えない”ことでした。
フライはあまり問題がないのですが、内野にゴロが打たれたとき、一瞬ボールが
“消えて”しまうのです。放送席から見たのが久しぶりのせいもあるでしょうが、
早く、打球に目が追いつくようにならないと深刻です。1拍どころか2拍も3拍も
描写が遅れるからです。
テレビですから、黙っていても茶の間の視聴者には分かりますが、状況によっては
盛り上げるために実況する必要があります。“見えない”のでは話になりません。
見えないまま、打者のスウイングと外野の動きにつられて「ライトへ」と叫んで、
実際にはショートが打球を処理しているのを見たときは、ボールではなく私自身が
“消えて”しまいたい気分でした。ハハハ。

笑ってい場合ではありません。実況者としては致命的なので深刻に考えています。
解説者とのやり取りなどはスムーズに行っていましたし、野球に対する勘もすぐに
戻りそうな感触でした。
しかし、マリーンズ以外のチームについては、若手とベテランの区別もつかない
状況では、視聴者から「こいつは何も知らん」と思われるでしょう。
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情報は積み重ねですから、初めから 少し時間が必要なことは予想していましたが、
この面では、制作者、そして誰よりも自分自身が納得できる実況ができるように
なるにはかなり時間がかかる気配でした。
4月分の担当を終えたところで、そこから先も続けるかどうかの判断を自分自身で
下すことにしていましたが、関係者に迷惑をかけないためにも、もっと早い時点で
結論を出さなければいけないなあと、落ち込みました。

“ためらいながら引き受けた”と書きましたが、WOWOWでテニスやサッカーの
実況をしているときから、現役生活の最後には野球をしゃべって終わりたいなあと
思っていたこともあって、“渡りに船”でもあったのです。
この時点では、“隠居”中に、降ってわいたようなチャンスをもらったのですから、
納得できるものをやってからやめたいと強く思っていましたが、前途多難でした。
ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-09-16 08:03 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by もくでら at 2012-09-16 19:57 x
残念ながら岩佐さんの野球の実況を聞くことはできませんでした。
でも、先日、wowowで、1992年usオープン決勝
エドバーグ対サンプラスの実況を聞くことができました。
私はまだその頃wowowに加入していませんでしたので、
サンプラスが負ける時代の試合を始めてみました。
エドバーグのボレーに惚れ惚れし、
岩佐さんのやっぱり若い声に聞きほれました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-09-16 20:52
もくでらサン、こんばんは。

全く残念じゃありません。
聞いたことがあると言われたら
身がすくみます。ハハハ。

1992年の全米決勝はサンプラスにとって
負けることは悔しいのだと初めて知った
試合でした。

前日の準決勝、エドバーグ対チャンは
4時間半ぐらいのロングマッチでした。
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