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岩佐徹のOFF-MIKE

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愕然・迷い・そして 続投~岩佐徹的アナウンス論75~09/17

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…6日連続で球場に通ったのはいつ以来か思い出せません。16日の夜は爆睡でした。
ハハハ。

満員に近い電車に揺られて球場に行き、息子より若い(実際には子供はいませんが)
選手たちと顔が合うたびに「こんにちは」「こんにちは」と声をかけ、世話になる
広報担当者には必ず挨拶をし、どこかで、監督・コーチや選手を囲む輪ができると
必死に駆けつけて少しでも生の声を聞く…気がつくと、40年以上前の“駆け出し”
スポーツ・アナのころとまったく同じことをやっていました。ハハハ。

“人見知り”ではないのですが、私自身に 相手が近づきにくい雰囲気があるようで、
若いころから監督や選手から直接取材することが苦手でした。
フジテレビ時代は「プロ野球ニュース」のおかげでだいぶやりやすくなりましたが、
どこの誰だかまったくわからず、単なる“じじい”になったら、なかなか大変です。
ある日、マリンスタジアムで50代なかばの記者(一般紙の編集委員)に「おいくつに
なられました?」と声をかけられました。「えっ、私を知っている記者がいた!」と
ビックリしました。はるかに後輩のアナウンサーを除くとこんなことはまれです。
“今浦島”状態ですから、少しずつ人間関係を広げていく必要がありました。
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ネット中継で、まず3試合を担当しました。終わったあとの率直な感想は、かなり
厳しいものでした。なにしろ、27年のブランクは“ハンパ”ではなかったのです。
“愕然”という言葉がぴったりでした。
打球が見にくいのは慣れれば、少しずつ改善できると思いました。
「デー・ゲームは人工芝が光って見にくいけど、ナイターになれば大丈夫だよ」と
優しく言ってくれる人もいました。あるいは、モニター画面を見て実況することで
対応できるかもしれませんと考えたりしました。
しかし、日本野球にはご無沙汰でしたから、前年のこともよく分からない始末です。
右利きなのか左利きなのか?若手なのかベテランなのか?ベース・コーチは誰か?
…そんな基本的なことさえ、チームによっては選手名鑑などに“相談”しなければ
いけなかったのですから、ほかは推して知るべし、でしょう。ハハハ。
笑っている場合じゃありません。実況するために最低でも知っておくべきことを
クリアするだけでも相当の時間を必要とします。

それなりに納得できたのは、野球を見る感覚や解説者とのやり取りの部分です。
数十年前に食事をした記憶がかすかにある元巨人の藤城和明さん、ロッテで長く
キャッチャーとして活躍した福沢洋一さん、“ジョニー”の愛称で親しまれ、前日に
引退セレモニーを終えたばかりの黒木知宏さんとそれぞれ組んで放送したのですが、
話の引き出し方はスムーズにできたと思います。
とは言っても、頭に入っている知識は新聞やテレビから得たものばかりですから、
話しているうちに2チーム、あるいは3チームの選手が混じりあって、解説者を
まごつかせることもありました。ハハハ。

帰り道、いろいろ考えました。「かかる時間を考えたら続けちゃいけないな」と。
「ここで結論を出すなら、やめるべきだ」という方向にどんどん傾いていきました。
やめるなら早くしないと、関係者にかかる迷惑が大きくなるからです。
「やめるべき」と考えた理由のひとつは、試合を伝えつつ解説者といろいろな話を
からめていく“自分なりの実況”ができているとは言っても、本当はそこにほしい
選手や監督の情報が少ないことでした。そして、それができるようになるには、
かなりの時間が必要だということでした。
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ロッテ以外のチームのことも知らなければいけませんから、100%野球に集中する
必要がありました。毎日のように球場に出かけないと選手に覚えてもらえませんし、
ある程度、親しくならなければ“いいネタ”を聞き出すのが難しいことは 経験で
分かっていました。しかし、悲しいかな、70歳になろうかという“老いの身”には
その活力がありません。ハハハ。
決して“なめて”かかったのではなく、初めから当然予想していたことでしたが、
実際に動き出してみると、その難しさは予想をはるかに超えていたのです。

さらに大きな理由がありました。
古くからの友人であるプロデューサーは気持ちの優しい男ですから、「ストレスの
かからないように、自分のペースでノンビリやってください」と言ってくれました。
本当にその通りにすればいいのなら、そんなに難しいことではありません。
しかし、アナウンサーの立場としては、現場で一緒に組むディレクターとの感覚が
合わなければ、いい仕事をするのは簡単なことではないのです。

ところが、私の実況をどう感じているのかがまったく伝わってきませんでした。
「大変、結構です」とは言ってくれませんでした。“結構じゃない”のですから
当然ですが。ハハハ。
かと言って、注文もつかないのです。積極的に何も言ってくれないと「気に入って
いないんだな」、「彼が考える方向と違うのだろう」と考えるしかありませんでした。
私にとって、それはある意味、深刻で致命的でした。
一番身近にいるディレクターが同じ方向を向いているのでなければ話になりません。
“2階に上がったけど、はしごを外された”心境でした。ハハハ。

月曜日にプロデューサーと会って率直に気持ちを話しました。
「どうも、僕の放送は現場のディレクターたちが目指しているものと違うみたいだ。
彼らが求めているものをやろうとするとストレスが溜まることになる。先に行って
やめるより、代わりが見つかるのなら、今、降りるほうが迷惑をかける度合いも
少なくてすむのではないか」と。
同時に「代わりがどうしても見つからなかったり、開幕後、人繰りがきびしければ
「“岩佐流”でかまわない」という条件で、いくらでも手伝う、とも伝えました。

意見を出し合い、とりあえず最初の予定だった本拠地での開幕戦、マリーンズvs
バファローズはやることにしました。そして、それ以後は、できるだけ“ゆるい”
スケジュールで協力することで決着を見ました。大げさですが。ハハハ。
帰宅後、プロデューサーの話を聞いたディレクターからもメールが来ました。
彼も「岩佐流でかまわない」ということでした。胸につかえていたものがすーっと
消えていきました。
by toruiwa2010 | 2012-09-17 08:29 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by 冒険ダン吉 at 2012-09-17 10:39 x
岩佐さんほど、己の実況に矜持と覚悟をもって臨んでいるスポーツアナが、今いったい何人いるのでしょう?

プロ野球中継は、ここ数年もっぱらラジオを通じて触れるのみですが、基本的な社会知識やボキャブラリーが不足している者(LF・M本)、やたらヒステリックに絶叫すればいいと思っている者(LF・M岡)、大物や人気者や好調な選手にこびへつらう一方で無名だったり不調のさなかにある選手をしたり顔で叩く者(LF・K村〈すでに引退〉、Y田)、中継を自分の色で染め上げることしか考えていない者(QR・S藤、TBS・D井)などなど、俗物ばかりが跳梁跋扈しているように感じます。

数少ない例外として、TBS清水大輔アナの実況は、テレビでもラジオでも、野球でもサッカーでも、端正でほどがいい喋りを聞かせてくれるので、贔屓にしています。
Commented by toruiwa2010 at 2012-09-17 11:10
冒険ダン吉さん、こんにちは。

ラジオでスポーツ中継はほとんど聞かないので
まったく分かりません。しかし、ありそうな話ですね。ハハハ。

矜持と覚悟・・・より、顕示欲が前に出ているようにみえます。
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