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岩佐徹のOFF-MIKE

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当然のようにサビが…~岩佐徹的アナウンス論76~12/09/22

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動くものから目を離すな

「岩佐さん、あんなところまで見えているんですね。僕なんか気がつきませんよ」
…後輩が妙に感心してくれたことがあります。
すでに報道局へ異動の内示を受けていて、“フジテレビの”アナウンサーとしては
これが最後というバレーボール中継を終えて帰る電車の中でした。
ベンチ後方のスペースで控えの選手がウォームアップを始めたのが目に入ったので、
そのことを伝えただけで、たいしたことではなかったのです。

なぜ、こまかな動きが目に入ったか?
実況アナとして少し認められ始めて間もないころ、「動くものから目を離すな」が
実況のときに心がけるべきことのひとつとして私の中では確立していました。

もともと、スポーツ実況は動くものを描写するのですから、正しくは、「視界の端で
動くものを見落とすな」と言うべきかもしれません。
相撲やボクシングのように競技が行われる場所が限られたスポーツなら、実況者が
“見ておくべきもの”のほとんど全体を目の中に収めることができます。
しかし、野球やサッカーとなるとプレー・エリアが広いですからそうはいきません。

それでも、アナウンサーとしてはちょっとした動きもしっかり伝えたいのです。
野球なら、外野手が守備位置を変える、ランナーがスタートを切る、ブルペンで
ウォームアップが始まった、サッカーなら、ボールに関係ない逆サイドで、選手が
ライン際を上がっていく、ボールの位置より後方のピッチに選手が倒れている…
そういう場面をすかさず視聴者に伝えることこそ、現場にいる実況者の役目だと
思うからです。
「動くものから目を離すな」には、ボールがプレーされていないところの動きを
見落としちゃダメだよ、という意味が込められています。
とうぜん、“資料読み”をしていたら、それはできません。ハハハ。

私のやり方は、プレーが行われている局面に焦点を絞りきらずに、少しぼかして、
できるだけ視野を大きくすることでした。慣れてくると、その中で、普段と違う
動きがあれば気がつくのです。これは私の一種の“得意ワザ”でした。
後輩が感心してくれたのは、相手が“同業者”ですから、嬉しいことでした。
「いや、慣れれば、目に入るようになるさ」と話した記憶があります。
のちにフジテレビを代表するスポーツ・アナウンサーになった彼がこの秘伝の技を
自分のものにしたかどうかは確認できていませんが。ハハハ。
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得意ワザだった…と書きました。
しかし、経過した年月は残酷でした。
BS12チャンネル・トゥエルビで千葉ロッテ・マリーンズの実況がスタートすると、
この得意ワザがすっかり“さび付いて”いることに気づかされました。
野球中継は27年ぶり、実況そのものも2年半ぶりですから、初めは多少サビが
出るだろうという覚悟はしていました。
しかし、3試合も“慣らし運転”をしたあとなのにひどいものでした。

“多少”じゃなかったサビ

試合の途中で、となりに座っているディレクターが何か言いたそうにしていました。
放送中ですから声は出せず、じれったそうに口を動かすのですが、私にはさっぱり
見当がつきませんでした。CMに入ったときに聞くと、「エンドランでしたね。
ランナーがスタートしていましたよ」ということでした。

5-2とリードしたマリーンズが4回裏の攻撃でノーアウト1・2塁から、ヒット・
エンド・ランをかけていました。2塁ランナーが足の遅いキャッチャーだったので
私の頭の中にこの作戦はまったくありませんでした。「えっ!?」という感じです。
普通の作戦なのに…。油断だし、カンも微妙に狂っているのでしょう。トホホ。

窓を閉め切ったブースでしゃべっているせいで、テンションも低すぎます。
ありがちなことですから、こんなことを防げないのではキャリアが泣きます。
経費節減のため、スコアラーはいませんから、自分でつけながら実況しなければ
いけないのに、気がついたらもう2回の表まで進んでいました。トホホ。
このあたり、トホホの連続でした。トホ…。

中盤からは割合安定しましたが、チームや選手の名前を間違えるなど、こまかな
ミスが多すぎて話になりません。全体的には、60点がいいところです。これでは
“商品”にはなりません。

当時のブログにはいろいろ激励の書き込みがありました。期待してくださる方が
いると分かっているだけに、なんとも残念な“ていたらく”でした。
開幕から1週間、2台のテレビでパ・リーグの全試合をチェックしました。CSで
「プロ野球ニュース」も見ました。準備はしたつもりなのに、情ない話しです。
書き始めると反省ばかりです。ハハハ。

やや“前のめり”になりすぎていたかもしれません。
「次は少しだけ肩の力を抜いてやってみよう」と決めました。いつまでも解説者に
助けてもらったのではキャリアが…こればっかりですね。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-09-22 08:04 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by ヤップンヤン at 2012-09-23 01:51 x
アナの世界は知る由もありませんが、岩佐さんは3試合”も”慣らし運転と書いていますが、読んでいた私は3試合”しか”慣らし運転と思いました。
Commented by toruiwa2010 at 2012-09-23 07:39
ヤップンヤンさん、おはようございます。

いやいや、「放送」ですから、そう甘いことは
誰も言ってくれません。私が運転の仕方を
思いだせなかっただけです。ハハハ。
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