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岩佐徹のOFF-MIKE

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アナウンサーも人間だから~岩佐徹的アナウンス論81~10/07

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オリンピックで女子バレーが銅メダルをかけた韓国との試合に勝ったとき、監督・
選手たちにインタビューした三宅アナの態度・口ぶりがかなりなれなれしかったと、
ネットの一部で非難されました。私も“便乗”しましたが。ハハハ。
アナウンサーも人間ですから、感情があります。普段は 個人としても喜怒哀楽を
抑え込んで実況したりインタビューしたりするのですが、その“たが”が緩んで
しまうときがあるのです。
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2004年、女子バレーのオリンピック最終予選のあと、当時、私が運営していた
HPのBBSでひとしきり話題になったのは、オリンピック出場を決めた韓国戦後の、
フジテレビ・森アナのインタビューでした。

実は森アナは前年のワールド・カップ・バレーのときにも話題になっていました。
強敵・ポーランドに勝ったあとのインタビューで感きわまった彼は第一声が裏返り、
「まずい」と思ったのでしょう。一瞬、間があいたとき 茶目っ気がある高橋選手が、
マイクを持ち去ってインタビューを続けたのです。

まず、選手たちがもらい泣きするなどして大うけ、会場も大爆笑となりました。
「結果オーライで、決してほめられない」と本人はかなり落ち込んだらしいです。
長いスポーツ中継史上でも、ダムが決壊したのかと思うほど泣いたのは珍しいです。
ハハハ。

「やっちゃったよ」と思いながら見ていたのですが、このとき印象的だったのは、
むしろ高橋選手の“機転”でした。まるで「万一のときには…」と打ち合わせが
してあったのかと思うほど見事な間合いでの“マイク奪取”でした。ハハハ。
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そういう「前ふり」があった上での森アナ・インタビューagainです。
日本は、宿敵・韓国に完勝してアテネへの切符を確保しました。
「さて、聞き手は誰だろう?」と見ていると、果たして森アナでした。
はじめから涙声で危なっかしかったのですが、選手たちに「もらい泣きするから
やめてください」とけん制されながら、何度も泣いていました。
たぶん、もともと“感激屋”なのでしょう。

書き込みを読むと、「ぎりぎりセーフ」も含めて、7:3ぐらいで、OKという方が
多かったようです。もちろん、「プロなのに」と厳しい意見があったのも当然です。
立場で言えば、基本的には「まず、冷静に。お前が先に感動してどうする?」です。
しかし、物事は必ずしもそのとおりにはいかないんですよね。そして、もうひとつ、
考えられる背景を書いておきましょう。

フジテレビのバレー担当アナはまず、高校バレーの取材から始めます。
体育館に行くと、たとえ練習中でも 監督がコートに散っている選手たちを集めて
「フジテレビのOOさんだ」と紹介します。選手は声を揃えて「こんにちは!」と
頭を下げ、「よろしくお願いします!」と言って、また頭を下げます。
「フジテレビのOOです。練習を見せてもらいに来ました。ヨロシクお願いします」
と挨拶すると、また「よろしくお願いします!」と勢いよく頭を下げて、コートに
戻っていきます。

学校によっては、この挨拶のときや監督の話を聞くとき、体力づくりの一環として
選手にずっと“爪先立ち”をさせるところもあります。
はじめのうちは練習の厳しさ、激しさに圧倒されます。
「いじめだろう」、「憎んでるみたいだ」と思うほどのことが目の前で展開されます。
取材が入ると監督が張り切ってしまう傾向もありますが。ハハハ。

しかし、それは「愛のムチ」であることが多いようです。
「憎かったらできませんよ」と監督たちは言います。
監督にしてみれば、「できるはずなのに、何故できないんだ」と歯がゆかったり、
くやしかったりするのでしょう。
女子の場合にこの傾向は強く、実業団に進んでも同じような光景が見られました。

こうして始まったアナと選手との“付き合い”が日本代表につながりますから、
「自分たちのチーム、自分たちの選手」という思い入れ、感情移入が強くなるのは
仕方がありません。自分が育てた…と思ったりしますから。ハハハ。
その彼女たちが苦しい戦いの末に大きな勲章を手に入れた…はるか昔に、同じ道を
歩んだ私には、森アナの気持ちが手にとるように分かったのです。

このときの判定も、「その気持ちは、むしろ大事。結果もよかったんだから、まあ、
いいんじゃないの」と大甘でした。ハハハ。
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“嫌味で、非情で冷たい男”と誤解している人も多いようですが(ハハハ)、私自身、
若いころから涙もろい方でしたから、「そういう場面に出くわしたらオレはいったい
どうなってしまうだろう?」という不安が常にありました。
77年のワールド・カップで優勝インタビューを担当しましたが、このときの選手は
みんな“オトナ”だったせいでしょうか、泣くことはありませんでした。

実況人生で一番危なかったのは、2003年USオープン・テニスで、サンプラスの
引退セレモニーをお届けしたときでした。
1992年にテニス中継を始めてから、彼が史上最高のプレーヤーと呼ばれるまでに
成長する過程をつぶさに見ました。大好きな選手でした。
その彼が司会者に呼ばれてコートに姿を見せたときスタンディングオベーションが
長く、長く続きました。見る見るうちに彼の目に涙があふれていきました。
なんとかこらえようとする、その顔が激しくゆがみます。
とたん、私の胸にもこみ上げてくるものがありました。あと数秒、このシーンが
続いたら、危なかったでしょうね。わが実況人生で最大のピンチでした。ハハハ。
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by toruiwa2010 | 2012-10-07 09:50 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(6)
Commented by shin555 at 2012-10-07 18:14 x
77年の代表選手、みなさん脚は長いしスタイルも良いしカッコいいですね♪
山田監督は白のスーツ!
Commented by taroken at 2012-10-07 19:27 x
岩佐さん、今日の楽天決勝、錦織の優勝はうれしい話ですが、
試合前の君が代斉唱ご覧になりましたか。
誰があの人物に君が代をアカペラで歌わせようと思ったんでしょうね。
ひどい歌でした・・・
あれは彼のせいではなく、彼をキャスティングした人物の罪だと
思いますが、会場にいた人全員苦笑いだったのでは?
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-07 19:28
shin555さん、こんばんは。

前田、松田、白井、吉田、江上・・・
みんな、女性としても素敵でした。
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-07 19:29
tarokenさん、こんばんは。
見てませんでした。
だれですかね。
Commented by taroken at 2012-10-07 20:07 x
元光GENJIの諸星氏です。普通ああいう場での国歌斉唱は、
歌手の中でも相当歌唱力のある人でないと場が持たないものですが、
伴奏なしの完全アカペラという、プロの歌手でもしり込みしそうな
設定でした。彼が出てきた瞬間、「え、彼が国歌斉唱?大丈夫?」
と思ったのですが案の定終始音程が不安定で見ていて気の毒でした。
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-07 20:28
tarokenさん・・・ハハハ。それはまったくの
想定外の人物ですね。
君が代をアカペラで歌うのはかなり勇気がいりますね。
チョイスした人もビッグ・チャレンジャー。ハハハ。
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