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岩佐徹のOFF-MIKE

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アテネ五輪の記憶~岩佐徹的アナウンス論82~12/10/08

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しのぎやすい日が増えてきました。
今日は3連休の最終日…実は、今日8日が休日とは知りませんでした。とにかく
“毎日が日曜日”状態になってから、曜日は間違えませんが、休日は“うっかり”
見過ごしてしまうことが多くなりました。ハハハ。
土日・休日はアナウンス論と決めているのに用意をしていませんでした。慌てて、
引っ張り出してきたのがこの話です。
8年前のアテネ・オリンピックのときに書いたものをアレンジしました。

WOWOWをごらんの方だと全仏からユーロ2004、ウインブルドン、サッカーの
アジア・カップやオリンピック代表チームの試合、高校野球…とイベントが続き、
この年の夏は大忙しだったはずです。
私自身は、全仏のパリからポルトガルのリスボンに移ってユーロ2004を実況し、
“一時帰国”して、ウインブルドンなどはテレビ観戦してからオリンピックの終盤に、
ニューヨークに向かいました。

いつもそうですが、オリンピックは関心をもって見ました。
やはり、アナウンサーが気になります。中でも民放から参加しているアナたちです。
このとき、ジャパン・コンソーシアム(民放・NHK合同組織)には、日本テレビから
村山喜彦、TBSは林正浩・椎野茂、フジテレビは三宅正治、テレビ朝日は森下桂吉・
中山貴雄、そしてテレビ東京からは植草朋樹の各アナが参加していました。

ベテラン・林アナと最年少の中山アナを除くと、平均年齢は40歳を少しこえた
ぐらいで、アナとしてみんなアブラが乗っていたはずです。
一時は、エース格を自分の局(ユニ)の仕事に回し、「プール」には若手を送る傾向が
あったようですが、このときは働き盛りのメンバーが集まりました。

NHKの顔ぶれをも、かつてにくらべれば平均年齢が下がって、50歳を超える人は
あまりいませんでした。放送量が圧倒的に増えている中で、担当種目によっては、
今日は体操、明日はバレーと、めまぐるしいスケジュールで仕事をこなさなくては
いけないのですから、ベテランにはきついでしょうね。
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以下は、見た範囲での感想です。

民放の中堅組は、NHKにも声が流れるのを意識して“おさえた”感じでしたが、
それなりにいい味が出ていたと思います。

三宅アナは道谷アナ(NHK)と組んで柔道を担当していました。
二人とも得意種目のせいか、競技のポイントを理解した落ち着いた実況ぶりでした。
椎野アナのバレー、飛び込み、村山アナのサッカーも破綻のない放送でした。
「いいな」と思ったのは、水泳の森下アナです。
レースのツボをおさえた的確な実況は聞いていて違和感がありませんでした。
古舘実況だった「世界水泳」も彼中心でやって欲しかったですね。ハハハ。

その後輩、中山アナは当時まだキャリア10年ぐらいではなかったでしょうか?
水泳でも、ソフト・ボールでもがんばりました。レース中の順位の描写に、若干、
疑問がありましたが、自分の10年目を思い出し、ただただ感心するばかりでした。

全体の最年長は、NHKの工藤三郎アナだったと思います。長野オリンピックの
スキー・ジャンプで「立て、立て、立ってくれー」と実況したのを覚えている方も
多いでしょう。ロンドンでは美脚女性タレントと現地のMCをやっていました。
全米テニスに向けて私が日本を出る時点では、出番が少なくて、長嶋ジャパンの
野球しか見ていませんでしたが、2試合とも、ノリがいまひとつの星野仙一さんを
相手に苦戦していました。ハハハ。
放送というのは解説者と二人で“作る”ものですから、テンションが合わないと
かなりつらいです。

このアナウンス論では、あとでまた登場することがあるでしょうが、同じNHKの
刈谷富士雄アナが男子体操の金メダルを伝えていました。
彼のアナウンスに興奮を覚え、感動した視聴者も大勢いらっしゃったようです。
しかし、私の好みで言えば、すこし、「しゃべりすぎ」でした。
かつて、オリンピックに行ったNHKの先輩アナウンサーたちは、現場の興奮に
まきこまれることなく“距離を置いて”冷静に伝える感じがありました。
このときの彼は、周りの騒ぎに“流されて”しまったように聞こえました。
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特に、最後の冨田の演技が始まっている時の、「冨田が冨田であることを証明すれば、
日本は勝ちます」と、フィニッシュに入る直前の「伸身の新月面が描く放物線は、
栄光への架け橋」には、大きな疑問があります。
「ああ、黙った方がいいのになあ」と思いました。
私なら、演技前に「普通の演技ができれば、金メダルは確実です」、フィニッシュに
入る直前には「さあ、フィニッシュです」の一言だけにします。そして、着地後は
場内の歓声が一段落するまで黙ったでしょう。解説者にもしゃべらせません。
ハハハ。

もちろん、テレビの前だったからこそ言える話で、その場にいたら同じことをした
可能性は否定できません。
そして、しゃべった方がいいか、黙った方がいいかは人によって違うはずです。
そこはもう「好み」ですからね。
もっとも、このケースでは“事前に言葉が用意されていた”こと自体が私の主義に
反しました。
「アナウンサーはしゃべることが仕事」ですが、WOWOWに移ってからの私は
「言葉を用意しない。黙ることも大事」をモットーにやっていましたから、こんな
感想を持つのでしょう。
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平泳ぎ・100メートルで金メダルを取った直後の北島にインタビューしたアナに
大きな拍手を送りました。(NHKの人だったようですが、名前は分かりません)
「おめでとうございます」「ありがとうございます」のやりとりのあと、マイクを
自分の方に引き取らないで、北島の前に“残した”のです。
おかげで「気持ちいいッ!チョー気持ちいいッ!」を引き出すことができました。

マイクを残す…これは、話すことを職業としていない人に聞くとき、とても大事で
効果を発揮するテクニックです。
経験をつむと、相手がまだしゃべるかどうか判断できるようになります。
普通は、マイクを引いて 最初の質問に入りたくなるものですが、よく我慢しました。

ただし、あの北島発言は、流行語大賞を意識した、“ネライのひとこと”だったと
思えてなりませんでしたが。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-10-08 08:04 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(0)
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