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岩佐徹のOFF-MIKE

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「アウトレイジ」を見る~たけし、何やってんだ、てめえ この野郎!~12/10/11

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「そして友よ、静かに死ね」80

スペインの海辺のホテル。
見晴らしのいいルーフテラスに男が姿を現した。 髪にも胸毛にも白いものが交じる
がっしりした体格の男は通称“モモン”。1970年代 リヨンを中心に世間を騒がせた
ギャングのボスだったが、遠い昔に引退し 今は過去を忘れようとしている男だった。
腰を下ろした彼は絶景の海に目を向けない。思いは5年前に、さらに70年代へと
さかのぼっていく・・・

私が若い頃、1960~70年代はフランス映画が元気でした。暗黒街を描いたジャン・
ギャバン主演の作品をよく見たものです。ほかに、ジェラール・フィリップ、イブ・
モンタン、ジャン・ポール・ベルモンド…個性の強い男優が好きでした。
フランソワーズ・アルヌールやミレーヌ・ドモンジョと言ったお色気たっぷりの
女優たちの魅力にもドキドキしたニキビ面の青春はまっただ中でした。ハハハ。
当時からフランスのギャング映画は面白かった記憶があります。今も、その伝統は
綿々と受け継がれています。くわしいことは知りませんが、“フレンチ・フィルム
ノワール”と呼ばれるジャンルに入るのだろうと思います。
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モモンは実在の人物だそうです。
妻と穏やかな生活を送っていた彼のもとに昔の仲間から情報がもたらされます。
幼いころから兄弟同然の付き合いをしていた男が警察に捕まり、別の組織からも
追われているというのです。友情を優先したモモンは妻の制止の声を振り切って
“昔”に戻っていきます。

演じているジェラール・ランヴァンという俳優は男が見ても非常にセクシーです。
62歳だそうですが、刻まれた深いシワの1本1本が年輪を感じさせ、大きな声を
出すこともなく、荒くれ者の集団を束ねた男を好演していました。
実を言うと、主なメンバーや若き日のモモンに扮した俳優たちはそれほどいいとは
思いません。しかし、パーティや葬儀の参列者など、なにげない“その他大勢”の
キャスティングが見事です。映画・演劇・ドラマを支える、名もない俳優の層が
相当に厚いということでしょうか。

序盤に野外パーティのシーンがあり、そこで歌われる歌に酔いました。
たぶん、ロマ族(ジプシー)の歌だと思いますが、深みのある声で歌われる 悲しみを
たたえた曲調が素晴らしいです。映画を見るなら 聴き流さないでください。ハハハ。

全編を貫くテーマは“男の友情”です。なぜ、そこまで固い友情で結ばれたかの
説明が十分とは言えないし、いつ、拳銃が火を噴くかと なんでもないシーンまで
体がこわばるのには、いささか閉口しました。だったら、こういう映画を観るなと
言われそうですが。ハハハ。

エンディングが良かったです。


10/07のツイート

映画を見に行った。うっかり半袖ポロシャツで
家を出た。寒かった。MUJIでチャコールグレーの
ベストを買った。考えたらポロシャツが同じ色だった。
映画は「アウトレイジビヨンド」。ひどかった。
上映開始2日目なのに75%の入りだった。
そんなとこだろう。



「アウトレイジ」70


かすかに波立っている海面に金属がきしむいやな音が響いていた。
やがて、水面が割れて車の屋根が浮かんできた。黒塗りの高級車だ。
電話での会話が聞こえてくる。「中にあったのは、お前んとこの山本だ」。
引き上げられた乗用車から二人の遺体が発見された。一人は女。
そして、もう一人は“マル暴”(暴力団担当)の刑事だった・・・
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理容室で順番を待っているときに読んだ週刊誌では「(カンヌ映画祭で)これほど
大騒ぎされた作品はないんじゃないか」と素直に喜び、「なぜ、バイオレンスを
取り上げるかと聞かれるが、それが娯楽として面白いこと間違いなしだからだ」と
北野武監督は話していました。
この映画を製作することになった経緯についてテレビでは「殴り方のバラエティが
映画一本撮れるほど溜まったので…」、「殺し方もアートだと思ってる」と得意げに
話しているのも聞きました。

初めは見るつもりがなかったのですが、そこまで言うなら、「どれだけひどいのか、
見てみようじゃないか」と思うようになりました。
見ないで批判してはいけない、と考えたからです。ハハハ。

…結果として、映画を娯楽としてとらえるなら、“楽しめた”のはオープニングから
20~30分まででした。
“意図的に”でしょうが、とにかく殴る、蹴る、撃つ、刺すの連続に辟易します。
そして、際限なく飛び出す得意の“このやろ、ばかやろ・トーク”。ハハハ。
冒頭の30分までに登場した男たちは次々に命を落としEnd マークが出るときには
ほぼ全員が死亡しています。そして誰もいなくなった。ハハハ。

人間には…特に男には暴力に一種の憧れを抱く一面があることを否定はしません。
匿名性の陰に隠れて、ひたすら暴力的な言葉を連ねた投稿を繰り返すツイッターや
2ちゃんねるに巣食う連中の物言いがその典型です。

北野監督に、ことさら“暴力礼賛”の思想があるとは思いません。
しかし、少なくとも「暴力は、ときに美しい」と考えている“節”はあります。
私ら凡人には彼のような“巨匠”の頭の中を推し量ることはできません。ただし、
できるのは、こういう“おぞましい”映画を見るのを拒否することだけです。
無抵抗に近い相手に激しい暴力をふるい、昼間から銃を乱射するシーンのどこにも
“美しさ”はありません。

朝日新聞の文化面に映画担当記者の署名入り会見記事が載っていました。

詩情をたたえた従来の作品と違い、やくざの怒鳴り合いと殺し合いを、
娯楽性豊かに描き切った。


…と書かれていました。“娯楽性豊かに”のところでずっこけてしまいました。
ハハハ。

それにしても役者たちの迫力ある演技に圧倒される。 ・・・とも。

…笑います。
眉間にしわを寄せ、弱い者の顔面に大声で乱暴な言葉をたたきつけるのに大した
演技力は要らないでしょう。「めざまし」三宅アナだったらそのまま演じられます。
ハハハ。
加瀬亮、塩見三省、三浦友和がいかにも暴力団幹部らしく見えるように、男優なら
だれでも、兵隊ややくざの役はうまくやるのだと思います。
きっと、えなりかずきでさえ…。ハハハ。

さらに 日本映画を研究しているというイタリア人が書いたコラムには「この20年、
日本映画のアイコンだった北野映画…」という記述があり、驚愕しました。
外国人ですからトンチンカンなことを書くのも仕方がないでしょうが、こんな男を
“アイコン”(象徴)などと呼ばれたのでは、地道にいい作品を作っているほかの
日本人の監督たちは浮かばれません。
しかし、こと“北野武”のことになると、無批判に持ちあげるマスコミに煽られて、
彼を本当に名監督だと信じ込んでいる人が多いのは困ったことです。

このレビューの“しめ”は「アキレスと亀」を見たあとに書いたこととほぼ同じです。
私などが何を書こうと「たけしなら なんでも許す」と言う人、「北野監督 最高!」と
考えている人たちにはどうでもいいことでしょう。
“蟷螂の斧”と呼ばれることも覚悟しています。
しかし、誰であれ、何事であれ、“絶対視”することには危うさを覚えるのです。

個人的に 芸人・たけしは天才だし“あっぱれ”を贈りますが、文化人・北野武には
哀れを覚え、“喝”を贈ります。ハハハ。

・・・気づいたかもしれませんが、ここまでは前作の「アウトレイジ」について
2年前に書いたレビューをほんの少しだけアレンジしたものです。バレないように。
ハハハ。

気持ち的に、ほとんどそのまま新作にも当てはまるのです。
なぜ、北野がこんな映画を撮りたがるのか、まったく分かりません。
“3.11”で「ヤクザ映画撮ってる場合じゃない」と1年遅らせたのだそうです。
「この1年見ていて腹立たしくなった。絆とか愛とかいう言葉が漂っているけど、
実際の状況は全然違っている。国は何もしないし。逆にこういうときこそヤクザ
映画を撮るぞ、という気になった」

関係性がよくわからん。ハハハ。

前作のとき、私に言わせれば“提灯記事”を書いた記者は今回もこんな具合です。

ここで描かれるのはヤクザの抗争だ。
しかし、若い幹部が「使えないヤツは切る」と能力主義と
競争原理を打ち出して、年功序列で出世したベテランを
締め上げるなど、現代社会を戯画化しているように見える。

絆や愛が皆無の世界を描くことで、逆に浮かび上がってくるのが、
本当の人間らしさとは何か、という問いだ。


…うえー、恐れ入りました。映画ってそんなに深いところを見なきゃいけないとは
まったく知りませんでした。そこまで“こじつける”か、と呆れます。ハハハ。
よく読むと 決して“誉めて”はいません。きっと慎重なんでしょう。とは言っても

日本を代表するクオリティ・ペーパーがこんな映画を“持ち上げる”ような記事を
載せちゃまずいんじゃないかなあ。これではいい気持にさせるだけでしょう。
上映開始2日目、しかも、日曜日の都心のシネコンで75%の入りというのは少し
予想外でしたが、きっと、客は入るのでしょう。
資金が集まらず、海外からもかき集めたと話していましたが、“北野作品”なら
テレビが飛びつきそうなのに、手を出したのはテレビ東京だったところにわずかな
“救い”を感じます。ハハハ。

かつて人気があった東映の任侠ものにはそれなりの“物語”があったと思いますが、
この映画はひたすら人間が死んでいきます。北野はたぶん“アート”と呼ぶだろう
びっくり仰天の殺し方も登場します。
映画芸術とか娯楽映画という言い方がありますが、ここにはどんな娯楽性もないし、
まして芸術性などはみじんもありません。“こんなもの”を作って喜んでいるのは
せっかくの才能の浪費です。こんな映画を撮っている場合じゃないだろう。
目を覚ませ、北野武!ハハハ。

ネットのレビューを見ると、評判は悪くないようです。このブログの読者の中にも
「よかった」と思う人がいるかもしれません。
ほんのわずかでもこの作品にいいところがあるならぜひ教えてください。ハハハ。

80 そして友よ… フランス版任侠映画 男の友情を描いてそれなりに見せている
70 アウトレイジビヨンド たけしは何を思ってこんな映画を作るのか?意味不明
80 コッホ先生とボクらの革命 はじめから結末の想像がつきその通りになる… 
80 鍵泥棒のメソッド 評判は上々だがありがちな“入れ替わりもの”で特には…
?? ツナグ もともと苦手なカテゴリだが今年2本目の途中退場 脚本も演出もヘン
by toruiwa2010 | 2012-10-11 08:03 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by ローンスター at 2012-10-11 09:37 x
その昔は、三島由紀夫が絶賛した『博奕打ち 総長賭博』という東映任侠映画がありましたね。こちらのほうは、掛け値なしの傑作でしたが。
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-11 09:46
ローンスターさん、こんにちは。

見ていないので何とも言えませんが、
少なくともこの映画よりは上なんでしょう。
下のものを探すのは大変かと。ハハハ。
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