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岩佐徹のOFF-MIKE

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黙る勇気を持ちたい~岩佐徹的アナウンス論87~12/10/27

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岩佐さんの解説を聞いていて不満なのはコート・チェンジや
エンド・チェンジはいいとして、ラリー中もしゃべり続けて
いるということです。
GAORAでマスターズ大会を副音声で聞けばわかるのですが、
向こうの解説は原則的にラリー中の喋りはタブーです。


現役時代でしたから、ずいぶん前の話ですが、ブログの投稿欄でこのコメントを
見つけたときは“ショック”でした。ハハハ。
プレーを邪魔しないよう実況をと心がけていたつもりだからです。
WOWOW時代の私のテニスやサッカーをごらんいただいた方はトータルとして
違う感想を持っていらっしゃると信じています。
きっと、投稿者が見ているときに余計なところでしゃべったんでしょうね。
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そう、絶対になかったとは言いきれません。
スポーツ中継は99%がアドリブです。解説者もいますから、サーブのモーションに
入るところで黙る、と決めていても、いつもそのとおりになるとは限りません。
これは、コメントした人が言う“向こうの解説”でもおなじです。
テニスのマスターズ・シリーズやウインブルドンを現地実況で聞いてみると、100%、
理想を守るのは 洋の東西を問わず不可能であることが分かります。

その時点までにも自分なりのアナウンス論を書いていました。
そのつど、友人から「“黙る”ことについても書けばいいのに」と言われました。

書き込みをされた方が、どれぐらい私の実況を聞いて下さったのかは分かりません。
あまり多くはなかったと思いたいです。“たまたま”ですみますからね。ハハハ。
90年代後半から、私は大きな試合の前にはディレクターや音声担当のエンジニアと
「ファイン・ショットが決まったとき、大事なゴールがネットを揺らしたときには
黙るので ノイズ(歓声、拍手など)を出来るだけ上げてほしい」と話していました。

やがてそんな打ち合わせは不要になり、私が黙るとノイズがよく聞こえるように
“音声さん”が配慮してくれるようになりました。あうんの呼吸です。
グランド・スラム決勝で勝負が決まったときや、ユーロ2000決勝のフランスvs
イタリアでトレゼゲが“さよならゴール”を決めたとき、リバプールの試合前に
サポーターが“You’ll Never Walk Alone”を歌うときなどがその例です。
アナウンサーのおしゃべりより 現場の空気、余韻を楽しみたい人たちがいることを
知っているからです。

自慢で書いているわけではありません。
多くの方の賛同を得ましたが、中には「しゃべって盛り上げてほしい」という声も
あって、必ずしも皆さんに歓迎されたものではないのです。
自分としては、ひとつのスタイルとして確立したつもりですが。

しゃべるのが仕事ですから アナウンサーにとって“黙る”ことは勇気が要ります。
拍手・歓声に乗せて、声のトーンを上げてしゃべれば“きまる”と思えるだけに、
その誘惑を克服するのはそんなに簡単なことではありません。ハハハ。
特に若いうちは難しいことです。しゃべれないのだと思われることが怖いからです。
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78年-81年、メジャー・リーグ中継でアメリカに行くたびに現地の実況を聞いて、
「これだ!」と思ったものの、フジテレビではなかなか実践はできませんでした。
「ハイライトや総集編のときに編集しにくい」というディレクターもいるからです。
リアル・タイムを大事にするか、総集編を大事にするか、となれば答えははっきり
していますが、アナウンサーの立場は案外弱いんです。ハハハ。

年齢を重ね、経験を積んで初めて“黙れる”のですから厄介です。
しかも、せっかく自分は黙っても解説者が横しゃべったりすると意味がありません。
唇に指を持っていったり、手を伸ばして押さえ込んだり、結構大変でした。ハハハ。
黙ったことでドラマチックな効果を生んだときは、うまくしゃべれたときよりも
はるかに大きな喜びを得るから不思議です。

アテネ・オリンピックで“栄光への架け橋だー”が受けたからか、以後、事前に
言葉を用意することが“はやり”になり、古いタイプの私は辟易しています。
しかし、そういうアナウンスがお好きな方がいるのも事実ですから、“黙る”ことは、
ますます難しいのです。
まるで、テニスにたとえて言えば、ベースライナーばかりになってサーブ・アンド・
ボレーヤーを懐かしく思うのと同じように、“うまく黙れる”アナウンサーの出現を
待ちわびる今日この頃です。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2012-10-27 08:00 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(4)
Commented by 赤ぽん at 2012-10-27 09:22 x
岩佐さん、こんにちは。

黙る勇気を持つアナ、私は大好きですし、岩佐さんはそれを持っていたと
私は思います!ノイズだけで十分な時間の共有が大好きです。
スタジアムで観戦している感覚にも似た時間!!

しゃべりが職業の人が“黙る”、しかもそれを“勇気”(杞憂ではなくw)
とよぶ・・・「一番簡単そうな事が常に一番難しい」私が社会経験で感じることと
同じような気がしています。

年を取って出来ることと、年を取ったら出来なくなること…スピード、体力
そして判断力…早すぎて早とちり、遅いと致命的。
青年期に迷いはつきもの、中年は上と下や様々な物に“挟まれ”これから
経験するであろう老年期には・・・いくつになっても悩みの種はつきまじ、ですかね。
ケ・セラセラw(あれっ、どっかで話がずれちゃったかな?!)
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-27 11:36
赤ぽんサン、こんにちは。

ずれてますけど、よく分かります。ハハハ。
Commented by patraft at 2012-10-30 11:36 x
岩佐さん、こんにちは。
アナウンサーのお仕事とは逆に思える「黙る勇気」ということも必要なのですね。
私はテニス中継をよく拝見しておりましたが、柳さんの口元も抑えてらっしゃたのでしょうか?笑 岩佐さんと柳さんの実況解説はとてもテニスを見ていて心地よくてプレーにひきつけられたのを覚えています。

それと、とても感心させられたのがグランドスラムに観戦に訪れる著名人のお名前を良くご存知だと言うことでした。
選手の家族だけではなく、映画俳優、スポーツ選手、やはり岩佐さんの見識はとても広いのだなと。90年代は民放でもグランドスラムを放送していました。映像フィードは配信されるものでWOWOWとも同じなのでしょうが、プレーの最中はしゃべり声が大きく、視聴者がこれ誰だ?と思うような部分、主審や選手のコメント(英語なので今なんていったのという部分?)では『黙ってしまう』実況が多かったように思います。
もう一度お2人のコンビでのテニス中継を拝見してみたいものです。
Commented by toruiwa2010 at 2012-10-30 12:08
patraftサン、こんにちは。

必要・・・とおうより、黙った方が効果的な
場面もあるじゃないの?と言いたいのです。
同じことですが。ハハハ。

セレブの名前などは逆に、間違ってもいいから
思い切って言うという「勇気」が必要です。
NHKは怖がりですからね。ハハハ。
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