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岩佐徹のOFF-MIKE

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こういう実況を排す その1~岩佐徹的アナウンス論104~12/22

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当ブログではNHKのKアナの実況について何度も“クレーム”を付けてきました。
面識はないし、取材現場で同席した記憶もなければ、個人的な恨みがあるわけでも
ありません。まして、“ジェラシー&ひがみ”や“生理的に好きじゃない”ことも
理由ではありません。

全否定はしませんが、スポーツ紙などが安易に“名実況”と持ち上げる流れの中で
誰も何も言わなければ、そのまま定着してしまうことを恐れるからです。
これからアナウンサーになろうと思っている学生や若手アナが実況のあるべき姿を
取り違えてほしくないのです。

この3連休は今年の締めくくりとして“岩佐徹的Kアナ論”の3連チャンです。
今更、イニシャルにすることもないのですが、思うところあって…。
興味がない方は、どうぞ、火曜日に戻ってきてください。ハハハ。
  
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NHK・Kアナ論…その前に。

2008年の北京オリンピックを見ながら思ったことがあります。
「ハハーン、やっぱり、NHKのアナウンサーたちには“栄光への架け橋”からの
一種の“後遺症”があるんじゃないかなあ」。

“実況”とは、アナウンサーがその場で見たこと、感じたことを、“ふさわしい”
言葉で伝えることだと考えています。
感動の“押し売り”やシドニーの「ゴル ゴル ゴル」のような感動の“横取り”は
お断りです。ハハハ。

スポーツの現場で生まれている感動が素直な形で視聴者に伝わらない理由の
一つは何度も書いてきたとおり、“用意した”言葉です。“予定稿”と言います。
大きな試合の中継を担当すると、放送の冒頭で言うコメントを作り、局面ごとに
「うまい表現を挟まなくては」と考えてしまうのです。オリンピックやワールド・
カップのような大舞台になると、ビデオがライブラリーに残り、10年、20年に
わたって繰り返し放送されることが頭をよぎります。“いいところを見せねば”と
プレッシャーがかかります。
…結果は“空回り”することが多いです。

十数年前までは、放送の冒頭部分で常に“ひねった”フレーズを言うベテランの
Yアナウンサーがいました。サッカー・ファンの間では“名アナ”として、とても
人気があるアナウンサーでした。嫉妬しました。ウソですが。ハハハ。
聞いて「いいなあ」と思って育った人たちが真似をしても不思議ではありません。
決定打がアテネの“架け橋”でした。その前に…。
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作文コンクールじゃないか!

予定稿の量が増え始めたのは最近15~20年でしょうか。私は徹底して否定論者です。
2006年ワールド・カップのときに書いたものを中心にいくつか記事をアレンジして
事前に文章を用意することの“愚”をまず示しておきたいと思います。
私の“持論”ですから、初めての方も、そのときに読んだ方も(お忘れでしょう)、
この機会に読んでいただければさいわいです。

声は届いています。はるか東の方から。
何百万何千万もの思いが大きな塊となって聞こえてくるようです。
遠かった道のりでした。日本の、世界の舞台に初めて登場する
その相手はアルゼンチン。世界が注目するカードです。


98ワールド・カップで日本が第1戦を戦ったときのYアナの第一声です。
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さらに、2002年日韓ワールド・カップのときにも…

4年前のあの日が、昨日のことのようです。
1400日をまたいで、かすかな負い目と
それを上回る自信を私達は胸のうちに秘めてきました。
今、ここに再び立ち上がるときがやってきました。
第一戦の相手はベルギーです。(日本-ベルギー)

魂のドイツ、技のブラジル。世界を代表するつわものが、
初めてあいまみえる時を迎えました。実力、風格、プライド。
すべてを自らのものとする両雄の戦いです。

胸高鳴るとき、声高まる一瞬。ワールド・カップが始まって
72年目にして、この対決の幕が切って落ちようとしています。
(決勝・ドイツ-ブラジル)


アドリブだとは思えませんが、きちんと書いたものを読んだのかと聞かれると、
それもはっきりとは分かりません。それにしては推敲が足りないからです。
「自信が負い目を上回る」、その自信を「私たちは胸に秘めてきた」、「すべてを
自らのものとする」など不思議なフレーズがあって、完成度が低いと思います。
そして、最後の文章では「幕が切って落ちる」と言っていることに戸惑います。
「幕が上がる」あるいは「幕が切って落とされる」(始まるとき)、「幕が下りる
(終わるとき)」は聞きますが、「切って落ちる」は一度も聞いたことがありません。

…2006ワールド・カップ、日本・クロアチア戦でのUアナはこう始めました。

日本サッカーが問われる瞬間がやってきました。
90分間の集中力だけではありません。
これまで費やしてきた日々を思い起こすことです。
決してくじけないことです。
くじけたとき、日本サッカーのドイツでの挑戦は
終わりを告げます。
ワールド・カップ・ドイツ大会、グループ・リーグ
日本対クロアチア。両チームともに決勝トーナメント
進出をかけて、生き残りをかけた一戦となりました。


クリソツ…いや、そっくりじゃありませんか?ハハハ。
それより、お聞きになってどうでしたか?

私は“実況”を仕事にしてきた者として、納得がいきません。
何よりも、これは試合前夜のホテルの一室でも、もっと言えば、日本を出る前に
自宅のリビング・ルームでも作れる文章であることにガッカリします。これじゃ
「作文コンクールじゃないか」と思うわけです。
なぜ、スタジアムのスタンドに座っているあなた自身が見たまま、感じたままを
言葉にしないのですか?と問いたいのです。

言葉を商売道具としてある程度の経験をつんできたアナウンサーなら、この程度の
文章はいくらでも作れるでしょう。
しかも、たったこれだけの文章なのに、ほころびがあって、私ならこのまま口に
するのをためらいます。

Kアナ論に入る前に相当長くなってしまいました。今日はここまで。ハハハ。
以下は、明日に続きます。

つづく・・・

(敬称略)
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by toruiwa2010 | 2012-12-22 08:53 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(9)
Commented by ひろ☆はっぴ at 2012-12-22 10:19 x
実況というものを、私が生業とする接客に置き換えてみましょう。
聞こえて来るのは、いらっしゃいませ、ありがとうございます、かしこまりました、失礼致します、などなど…用意された言葉ばかりではありませんか。マニュアルとして用意しておかねば不安、というよりも聞かされるお客様にとって、さらに接客する側にとっても、もはや定型化されてしまっています。言うまでもなくマニュアルに無い場面に出くわしたら、全くの無力です。実況の場面でも同じことではありませんか。

でも用意せずにはいられない。人間とは弱いものですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-12-22 10:23
ひろ☆はっぴサン、こんにちは。

接客業は各自がバラバラではおかしいから
マニュアルを作る。実況では個性・独自性を
発揮することが大事。決定的に違いますね。
Commented by 赤ぽん at 2012-12-22 11:06 x
岩佐さん、こんにちは。

70年代のスポーツ実況、野球は巨人=日テレ独占でしたが記憶に残っておらず
好きだったサッカー、そして最大のイベントの五輪はNHKだった。
この頃の「~であります」とか硬い?!口調がいつの頃から変わってきたのか?
長嶋引退のビデオでも日テレアナの口調はやはり硬い印象です。

軟らかい?!言い回し、今に近くなっていったのは80年代からでしょうか?
そして予定稿の元祖はやはりYアナ?

ちなみにKアナという表記を見るとなぜか六本木の方を思い浮かべてしまいますw

Commented by toruiwa2010 at 2012-12-22 11:27
赤ぽんサン、こんにちは。

驚くことに70年代初めのバレーボールを見たりすると
「代々木第二競技場であります」と言ってます。

予定稿元祖はKじゃありません。ちゃんと読みましょう。
そんな話がまことしやかに広まったら困ります。ハハハ。
Commented by 赤ぽん at 2012-12-22 11:53 x
70年代のビデオではサッカーの鈴木文弥アナはじめ、硬い言い回しの方が
多いですね。東京五輪実況から(それ以前から)ほとんど変わらない方が
多かったのでしょうか。

いや、予定稿元祖はNHKサッカー実況の「Y」アナ?という疑問だったんですが・・・
決して“一部”熱狂的ファンを持つ?!某アナをここでどうこう言うつもりは
私はありませんw 続編も楽しみにしています。
Commented by Vevey at 2012-12-22 16:35 x
岩佐さんこんにちは。
ちょっと昨日の全日本フィギュアを見ていて気になったのですが、西岡アナ?の実況の中に「空気感」とか「空気」という言葉が何度かあり、全く意味不明でした。
訳のわからない実況で見る物の頭に???が残ってしまうなら、最低限の予定原稿でひっかかりなく進行して欲しいと思いました。
昨日の放送は国分太一がいなかったからか、生中継だったからか、すっきりスポーツ番組として楽しめました。しつこい盛り上げVTRも少なく、普段なかなか見る機会のない選手達の演技を見られたし、実況アナの意味不明コメント以外は良かったと思います。
Commented by toruiwa2010 at 2012-12-22 17:02
Veveyさん、こんばんは。

そうですか、違和感ねえ。
私もしょっちゅう使いますよ。
その場の雰囲気という意味で。
辞書にも出てるんじゃないでしょうか。

つまり、あなたの周辺で聞かないだけ、
あるいは、あなたが生きてきた中で
耳にしたことがなかっただけ…ではないでしょうか?

ちなみに、逆らうようですが、国分は修造ほど気になりません。
VTRも一部の人たちには必要です。
バランスが大事ですけどね。
Commented by Vevey at 2012-12-22 20:49 x
空気感という言葉が流れにそぐわない、意味不明の使い方をされていたと言うことを言いたかったのですが、具体的に前後の流れを書かないとわからないかも知れませんね?言葉のプロなのにまとめきれなかった、言葉のチョイスの問題です。
しかし、今日の塩原アナの実況こそ、事前原稿のオンパレードで鬱陶しいかも。これでは昨日の西岡アナの方が全然良かったですね。
Commented by toruiwa2010 at 2012-12-22 20:55
Vevey さん、確かにどんな文脈の中で
言ったのかもポイントになりますが、
まとめきれずに使う言葉ではありません。


昨日の西岡は賞賛されていますが、
私には普通にしか聞こえませんでした。

ツイートでは「発展途上ですからほどほどに」と
呼びかけておきました。ハハハ。
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