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岩佐徹のOFF-MIKE

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スムースorスムーズ?~岩佐徹的アナウンス論108~13/01/13

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今はよほど大きな試合以外あまり見なくなりましたが、かつては、NHKでよく
ラグビー中継を見ました。大好きだったし、同じ業界に入ってからもリスペクトが
変わらなかった岡田実アナの実況で楽しんだものです。
その中で、用語を覚えていきました。
プレーがいったん止まったあとフォワードがしっかりと
肩を組み合う“タイト・スクラム”に対して、流れの中でボールの周囲に選手が
群がって作る“ルーズ・スクラム”、どちらの選手も完全には支配していない状態の
ボールが“ルーズ・ボール”…
その後、スクラムについては呼び方が変わりましたが。

“ルーズ・ボール”を、今のNHKのアナたちが、どう表現しているのかにとても
興味があります。(…だから今日の大学選手権決勝は必ず見ます。ハハハ)
かつてはすべてのアナウンサーも“loose ball”をそう呼んでいたからです。
“lose”ならいいでしょうが、明らかに間違っていますね。
世間一般でも“ルーズ・ソックス”、“ルーズ・リーフ”、「生活態度が“ルーズ”だ」
などという使われ方をしていますし、スポーツの世界では、アイスホッケーでも
“loose puck”があります。
いずれも、長い間使われたことで“認知”されてしまっています。
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私は、スポーツ・アナとしてこの言葉を使ったことがありません。どこかで抵抗を
感じてしまうからです。
便利な日本語、“こぼれ球”に置き換えるか、視聴者に違和感があるかもしれないと
思いつつ“ルース・ボール”、“ルース・パック”と正しい言い方をしていました。
別に、意地を張るほどのことでもないのですが。ハハハ。

用語としては正しいけど、使い方が間違っているケースもあります。
ラグビーやアイスホッケーでは、反則をするとチームや選手に“ペナルティ”が
課されます。プレー中に反則があったことを告げる笛が鳴ったときアナウンサーが
「ペナルティがありました」と言うことがあります。
正しくは“あった”のは、“ペナルティー”ではなく“反則”です。
その結果として「反則をしたチーム(選手)にペナルティーが課されます」…ハハハ。

“ペナルティ”についての解釈は絶対に間違いない…ずっとそう思っていました。
しかし、ライターの生島淳さんと付き合うようになったとき、私が間違っていると
指摘されました。
「ラグビーにはFoulという用語がない」ことがキモでした。
iPadでスタッツを見せてもらうと、たしかにfoulはありませんでした。。
つまり、英語的にも、ラグビーの世界ではほかの競技のファウル(ルール違反)に
相当する言葉がペナルティ…NHKは決して間違っていたわけじゃなかったのです。
間違っていたのはこちらですが、今更、だれに頭を下げればいいのか。ハハハ。

WOWWOで何年かアイスホッケーの実況をやり、そのときに解説者とこのことを
話しましたが、ホッケー界では定着していたため受け入れてもらえませんでした。
英語の実況で、普通は“ニュートラル・ゾーン”と呼ばれる3分割されたゾーンの
真ん中を“センター・アイス”と表現しているのを聞いて、「実に分かりやすいし、
アメリカ人らしい簡潔な表現だな。この言葉を広めよう」とさんざん使いましたが、
これも、誰一人ついてきてくれませんでした。ハハハ。

ほとんどのスポーツが外国生まれですから、実況の中には“カタカナ”がたくさん
登場します。日本語に置き換えにくいのと、実況をスピード・アップしたい意識が
そうさせていると思います。“市民権”を得たものも多いですから「正しく使え」と
言っても簡単ではありません。

変化してきたものはあります。
陸上のトラックの直線を昔は“バック(ホーム)・ストレッチ”と言っていましたが、
その後“バック(ホーム)・ストレート”に変わりました。自転車競技では今でも
“ストレッチ”と言っているようですから、ややこしいですね。ハハハ。

マラソンや水泳では“ラップ・タイム”が“スプリット・タイム”に、テニスでは、
“ストレート”が“ダウン・ザ・ライン”に変わり、野球の“ドロップ”(タテに
曲がるカーブ)は消えました。
TBSの超ベテラン・アナがアメフトのポイント・アフター・タッチダウンを“PAT
(パット)”と言ったことがありましたが、私の“センター・アイス”と同じ運命を
たどりました。ハハハ。

一方、野球では、ストライクとボールのコールは正しい言い方に修正されましたが、
間違っている“デッドボール”(死球)や“フォアボール”(四球)は相変わらずです。
メジャーが日本の茶の間にライブで放送されるようになっても変わりません。
正しくは“hit by a pitch”や“base on balls”と長いですから、仕方がないかも
しれませんね。ハハハ。
ただし、アメリカでも実況などでは“base on balls”とは言わず、短く“walk”と
言っています。


“「スムース」。 それが、これからの新幹線の、コンセプト”

5年前、品川駅でそう書かれたポスターを見ました。
JR東海のダイヤ改正をPRするためのキャッチ・コピーでした。
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全国紙に全面広告が出たし、“エコ”を前面に出したテレビCMもありました。
とんでもない大金を投じているはずのキャンペーンのキーワードをJR東海だけで
決めたとは思えません。電通など大きな広告代理店が間に入って吟味したはずです。
両者をくらべ“スムーズ”が正しいと承知の上で、正しくないほうを選択した…
その裏にどんな狙いあるのか、大きな興味があります。責任者出てこーい!ハハハ。

広辞苑で“スムース”を引けば「スムーズの訛(なまり)」と出ています。
“smooth”ですから“スムーズ”と読むべきなのに、誰かが“スムース”と読んで、
それが広まったのでしょう。
このときのJR東海の“スムース”…“確信犯”と見ました。ハハハ。

生み出され、変化し、消えていく…言葉は生き物ですね。
by toruiwa2010 | 2013-01-13 09:02 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(6)
Commented by マオパパ at 2013-01-13 10:14 x
岩佐さん、おはようございます。スムーズは注意して使っていたのですが、ルースボールは間違えていました。今日の記事もためになります。さて、大学ラグビーですが、帝京の中村、筑波の彦坂兄弟に注目です。ワセダファンの私にとっては悔しい対戦ですが、実力の劣る筑波を応援しています。
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-13 10:31
マオパパさん、こんにちは。

世間的には十分通用しますから
気づきませんね。

私は、やはり帝京のラグビーが好きです。
Commented by ヤップンヤン at 2013-01-13 15:00 x
ラジオの発音、どうしましょう(笑)?
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-13 15:03
ヤップンヤンさん、こんにちは。

ラジオもテレビも日本語ですから。ハハハ。
Commented by 吉岡正晴 at 2013-01-14 01:05 x
岩佐さん、こんにちは。僕も「スムース」か「スムーズ」けっこう迷っていて、岩佐さんのブログをきっかけにいろいろ調べたり、アメリカ人に聞いたりしてブログに書きました。勝手ながら岩佐さんのブログにリンクはらせていただきました。以後はずっと「ズ」でいきます。Newsもほんとは、「ニューズ」なんですよねえ・・・。マイルドセブンも「スムース」を売りにしていて、広告代理店に正しい日本語教師を送り込んで欲しいです。(笑)
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-14 07:10
吉岡正晴サン、おはようございます。

アナウンサーだったにもかかわらず、言葉には
案外、無頓着でしたから、ブログではしばしば
失敗します。一つずつ覚えていけばいいと思います。
このアナウンス論は、少しでも役に立てばと思って
書いています。

マイルドセブンと新幹線、きっと同じ代理店です。ハハハ。
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