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岩佐徹のOFF-MIKE

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NHKスペシャルに感動~恩讐を超えた猿翁と香川照之~01/24

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すぐれたドキュメンタリーには激しく胸を揺さぶられることがあります。
時間をかけて撮影した膨大なテープの中から厳選して編集されたと分かる番組に
出会うと幸せな気分になります。
6日に放送されたNHKスペシャル「父と子 市川猿翁・香川照之」を見たときも
そうでした。何度か目頭が熱くなりました。
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香川が47歳で歌舞伎役者になると聞いて 演じることにかけては“折り紙付き”の
俳優ですから、問題なく成功すると思いました。とんでもない考え違いでした。
そもそも、歌舞伎がどんなものかろくに知らないまま、簡単に結論を出したことが
恥ずかしいです。ハハハ。

発声法も大きく違うし、一つ一つの所作には意味があり、そこに“伝統”という
形のないプレッシャーが加わるのですから、超えるべき壁はとても高いはずです。
それだけでもドキュメンタリーのテーマになるのに、香川と彼の父、現・猿翁には
長い“断絶”がありました。

父はかつて浜木綿子という女優と結婚していましたが、長くは続かず、二人の間に
生まれた香川を浜が引き取って離婚しました。当時、大きな話題になったものです。
番組での説明は、祖父と父を立て続けに失って劇界で孤立した彼は家庭と訣別して
役者としての道を追求することを選択した、ということになっていました。それも、
一切の接触を断つという徹底したものでした。
芸能マスコミは、猿翁にとって初恋だった人の存在が大きかったと伝えましたが。

それはともかく、浜・照之母子にしてみれば“理不尽”な別れだったでしょう。
照之は相当に悩みます。本当は心に温かいものがあるのにないふりをしているのか、
どっちなんだろうと。孤独だったし、友達もできず“とにかく世界が終わればいい”
とまで思ったそうです。

25歳のとき、思い立って公演先に父を訪ねます。
大事な公演の前にいきなり訪ねるなど、役者としての配慮が足りないと叱責され、
そのうえでこう告げられました。

すなわち、私が家庭と訣別した瞬間から私は蘇生したのです。
だから今の僕とあなたとは何の関わりもない。
あなたは息子ではありません。
したがって僕はあなたの父でもない。

25歳の青年にとってはあまりにも衝撃的な言葉でした。
それから20年以上が過ぎ、照之は歌舞伎役者を目指すことになりました。経緯は
必ずしも明らかになっていません。しかし、発表記者会見に臨んだ彼は47歳での
歌舞伎挑戦が“無謀”であることを認め、「しかし、この“船”に乗らないわけには
いかないんです、僕は」ときっぱり語っていました。“覚悟”が見えました。
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歌舞伎は父子相伝、口伝の芸です。
襲名披露公演に向けてけいこに励む照之に父は9年前の脳梗塞から回復しきって
いない不自由な体をもどかしげにゆすりながら懸命に指導します。その姿はまさに
鬼気迫るものでした。自分の持っているものすべてを教えたいのです。
けいこが終わり、父親の横にひざまずいて「頑張る」と誓う息子に「大丈夫だ」と
話しかける父、両者の目に涙がありました。
断絶で生まれた空白を埋めるために残された時間は短いのかもしれないと思うと、
胸が詰まる思いでした。
少しきれいに描きすぎていますが、父と子の思いは痛いほど伝わります。

香川は「生涯をかけて精進する」と襲名披露公演の口上でも述べていました。
覚悟を決めて歌舞伎の世界に飛び込んだ彼がこのあとどんな評価を得ていくのかに
大きな関心があります。きっとやってのけるだろうと信じますが。
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初舞台を前にした照之の楽屋をいとこの市川猿之介(前・亀次郎)が訪れます。
「もうできているから、形とか こだわらずに自由でいいんじゃないの?」と声を
かけていました。肩の荷が下りる、これ以上はない激励の言葉でしょう。
中車の襲名が決まってから、いつもそばにいてくれた亀次郎の存在はありがたく、
心強いものだったに違いありません。

けいこ場を浜が訪れる場面も感動的でした。元夫とは45年ぶりの再会だそうです。

ドキュメンタリーを見て感動した流れで書いてきましたが、相変わらず、歌舞伎を
取り巻くあれこれは分からないことばかりです。特に、歌舞伎においていい演技と
悪い演技はどこで判断するのかが分かりません。顔は隈取に隠れて表情が見えない、
セリフは普通の会話とは全く違う調子と大きさで言いますからニュアンス不明…
2代目尾上松緑、現・松本幸四郎、先日亡くなった中村勘三郎と先代の勘三郎など、
人間としての魅力にあふれる役者は多いのですがね。
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思いがけない感動に巡り合うことがあるので見るように心がけているのですが、
残念なことに最近はドキュメンタリー番組が減っています。
案外 お勧めなのがフジテレビ「ザ・ノンフィクション」(日14:00)です。
スタッフも予算も圧倒的に少ないはずなのに、しばしばヒットを放っています。
何を取り上げ、どこにフォーカスするか、対象に向けた取材者の愛情が番組成功の
大きな要素になると思いつつ、いつも見ています。

どうでもいいおまけ

昨日は、間チーピンのひっかけリーチに成功しました。
スーピンでリーチをかけたのに、下家に食われて・・・
余計なことするんじゃない!と思いましたが、結果的に
彼が振り込んでくれました。ハッハッハ。
いつも、この手を使うわけじゃありません。為念。
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by toruiwa2010 | 2013-01-24 08:59 | 放送全般 | Comments(6)
Commented by つなっぴー at 2013-01-24 10:18 x
「戦場」にて、今回は出ましたか!おめでとう(?)ございます。しかも、同じチーピンとは。。下家の方はきっと、このブログを読まれていなかったのでしょうね(笑)。
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-24 11:17
つなっぴーサン、こんにちは。

読んでないでしょうね。
ツイッターやブログの手ほどきをしてほしいと
だいぶ前に言ってましたが、最近はさっぱり。
ハハハ。
Commented by 赤ぽん at 2013-01-24 11:23 x
岩佐さん、こんにちは。

この番組、偶然見ていましたが私もなぜか感動しました。
しかし彼は俳優としてこれからも更なる期待を持てる役者だったのに、
なぜ突然歌舞伎の道に・・・?が頭から離れません。複雑な親子の関係なのか、
なにか理由はあるのか?いまいち外からはわかりませんが・・・
たまーに観に行く歌舞伎ですが、彼の活躍には期待したいです。

どうでもいいおまけ・・・引っ掛けは微妙になりましたが?!
まさに“鳴いて出てくる当り牌”でしたねw
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-24 11:27
赤ぽんサン、こんにちは。

香川が歌舞伎役者になろうとしてのは、
自分に流れている血、息子に流れている血・・・
それに対する「責任」みたいなものに衝き動かされたのだと。
Commented by reiko71 at 2013-01-24 20:31 x
こんばんは。(^^)
残念ながら番組は見落としてしまいましたが、香川照之氏の”覚悟”というものに、思わず反応してしまいました。

人は個人差はあるでしょうけれど、今まで生きてきたことを振り返り、これからをどう生きるか、自分に問う分岐点が誰しもあると思うのです。
それが、今生で自分は何をしきるか、生ききるか、いつ何時目を瞑ってもいいくらいにやりきったといえるか。。体力の衰えを一瞬でも感じた時から、それが始まるように思います。

残りの人生で、後悔しないように生きたい。
何が一番後悔することか言えば、一番近しい(はず)の人(たち)との心からのコミュニケーションであり、誤解を解くことであったりするように思います。香川氏は、きっとずーっとわだかまっていた父への思いもさることながら、自分の体に流れる”役者の血”に抗えなかった結果の覚悟だったのではないかと、勝手に思っています。

歌舞伎は一回しか見たことないですが、面白かった!
今後のご活躍を、心からお祈りいたします。

PS:麻雀はさーーっぱりワカランので、コメントは差し控えますです。。(^^;
Commented by toruiwa2010 at 2013-01-25 08:03
reiko71さん、こんばんは。

おっしゃる通り、彼の背中を押してのは
彼の体内に流れている「血」だったと思います。
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