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岩佐徹のOFF-MIKE

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いいね、“からだことば”~岩佐徹的アナウンス論112~13/02/02

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かつて、週刊新潮に連載されていた「夏彦の写真コラム」は“絶品”でした。
山本夏彦のコラムには“辛らつさ”があふれていました。その切り口は、単なる
“辛口”ではなく、鋭く世相をえぐった“文明批評”になっていました。
筆が滑りすぎてたびたびクレームを受けたようですが、彼の“舌鋒”が鈍ることは
ありませんでした。私と考え方が違うコラムもありましたが、まったく気にならず、
毎週、何をどう書いているかと楽しみにしていたものです。こう書くと、いかにも
自分で買ったみたいですが、なに、多くは会社や床屋さんで読んだのです。ハハハ。

すうーっと読める文章ではなかったと記憶していますが、言い回しやレトリックが
絶妙で読みながら思わずにやりとしてしまうことがしばしばでした。
ややもすると“高飛車”な書き方になっていたのに気にならなかったのは、内容が
ずばり、的を射ていたからでしょう。2002年に亡くなりましたが、彼のコラムが
読めなくなったのは本当に残念です。
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コラムにしても評論・批評にしても、何かについて少しでもネガティブなことを
書いたり語ったりすれば、気分を害する人が出てきます。現代のように、ネットが
発達した時代は特にそうでしょう。ブログでもツイッターでも、つまらないことで
予期せぬ言い争いが始まるのは珍しいことではありません。
私も、一度ならず、叩かれたり、嫌味なコメントをもらったりした経験があります。
しかし、それがいやなら、毒にも薬にもならない“無表情”な文章しか書けない
ことになります。それでは、書く意味がありません。

いま、書くものも話すこともなかなかいいなと思うのは天野祐吉です。

朝日新聞の朝刊に「CM天気図」を連載しています。
数年前でした。彼のコラムを毎週愛読している妻が、「これ、読んだ?」と言って
見せてくれたのは“おじゃま虫の節度”と題されたコラムでした。
そういう言い方をするときは面白いことが書かれている場合が多いので、素直に
読むことにしています。ハハハ。

「僕はしゃべるのが苦手だ」と、体操の冨田洋之選手が言う。
「だから、ずっとからだでしゃべっている」と、冨田選手のことばはつづく。


導入部に書かれているのは、アクエリアスの当時のCMに出てくる言葉です。
コラムは続きます。

体操に限らない。なんにせよスポーツの競技は、ことばをこえたことばに
あふれている。オリンピックは、そんなからだことばの壮大な展示場だ。


ポイントをまとめると、以下のようになります。

少しでもよくからだことばを聞くためのヒントをあたえてくれるのは歓迎だが、
絶叫型の中継アナウンスはもちろん、余分な説明はいっさい無用である。

自分が感動するのは勝手だが、感動の押し売りや安売りはいいかげんにしてほしい。
「感動」というのは、人それぞれの内部から、それぞれに生まれてくるものであって、
決して人から押し付けられるものではない。

テレビはただ黙って、選手のからだことばを映しとってくれればいいのであって、
それ以外はすべて「おじゃま虫」なのだ。

(アクエリアスのCMは) ほかにも、福原愛編とか北島康介編を見たけれど、
みんなちゃんと「おじゃま虫」の節度を守っていた。
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彼が言っていることは、私が書いてきたことと驚くほど似ています。間違いなく
私は10年以上前から言っていますから、“パクった”とすれば、それは彼の方です。
どちらも、「実況は余計なことを言うんじゃない」と言う点で一致しています。
ただし、スゴイと思うのは、冨田選手のことばを受けて“からだことば”とした
ところです。プロのプロたるゆえんでしょうね。ハハハ。

そのころの週刊誌にはほかにも似たような論調の記事がいくつかありました。
その中に「NHKと民放が共同で放送しているから、NHKから聞こえる音声でも
民放アナウンサーが実況している場合がある」と書かれている記事がありました。
たぶん、「NHKにしては“やかましい”と思っても、それは民放のアナなのかも
しれないよ」と言いたいのでしょう。ハハハ。

たしかに、少し前までは、そうでした。しかし、最近、NHKのアナウンサーも
大きく変わりました。オリンピックのような大舞台になると、かなり経験を積んだ
ベテラン・アナでも、“絶叫”することが多くなりました。民放アナにくらべて、
「面白く聞かそう」という“工夫”がない上にこれではねえ…と思ってしまいます。
ハハハ。
by toruiwa2010 | 2013-02-02 07:43 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(2)
Commented by ななえ at 2013-02-02 12:21 x
岩佐さん こんにちわ。
昨日のNHKでのテレビ放送60年記念特番をご覧になりましたでしょうか。
鈴木健二元アナウンサーが、自身の担当した最高の放送はアームストロング船長が月面に降り立つ場面の中継の時に、何も話さずにただ黙っていたことだとおっしゃっていました。
もう、すぐに岩佐さんを思い出しました。
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-02 14:13
ななえサン、こんにちは。

鈴木健二の放送は生で見ましたが、
あそこでしゃべるバカはいない…という場面でした。
状況が求めたものと考えるべきでしょう。
「黙ったのは私が最初」と言うつもりは毛頭ありませんが。
ハハハ。
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