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岩佐徹のOFF-MIKE

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君知るや“ガ行鼻濁音”~岩佐徹的アナウンス論113~13/02/03

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♪ 母は来ました 今日も来た
この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて


だいぶ前、音楽番組で大ベテラン、二葉百合子が「岸壁の母」を熱唱していました。
高砂丸、興安丸、雲仙丸…終戦後、舞鶴に入港するソビエトからの引き揚げ船の
デッキに鈴なりの乗客と出迎える人々が千切れんばかりに手を振っていた光景を
思い出しました。もともと浪曲師だった彼女のノドはよく鍛えられ、ハリのある
大きな声が出ていました。情景が目に浮かぶような歌唱力も見事でした。

ただし、私のアンテナが強く反応したのは、歌そのものではなく、二葉百合子の
“歌い方”でした。“鼻濁音”が完璧だったのです。
一般の方はその存在も知らないだろうと思いますが、しゃべること、歌うことを
職業にしているアナウンサー、俳優、歌手の世界には不可欠なものです。
つまり、日本語の中には“が行”のほかに“が行鼻濁音”があるのです。
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アナウンサーにとって“がんぺき”の“が”と“ねがい”“知りながら”の“が”は
ハッキリと違います。(ついでに、“ちがいます”の“が”も ハハハ)
*表記は「カ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜」となります。
“がんぺき”のように、単語の最初にある“が”は普通に発音します。
しかし、“ねがい”、“知りながら”のように、フレーズや単語の途中にある“が”は
鼻に抜ける“が”、つまり鼻濁音になります。
また、助詞の“が”はすべて鼻濁音です。

ほかにも“法則”がいくつかありますが、みなさんはプロ志向ではありませんから、
ここではこれ以上の説明は省略します。聞いても、おそらく、「なんのことやら」と
思う人が多いでしょうし。ハハハ。
別にその存在を知らなくても、あるいは、発音ができなくても、まったく不自由は
ないのですから関心がなくても当然です。アナウンサーのプロを目指す学生たちが
集まるアナトレなどでも、半分以上が鼻濁音を出せませんでした。

心配する学生に「大丈夫。まず、鼻濁音が出ないからと言って落とされることはない。
そして、必ず出るようになるから」と話してきました。
習得する気があれば、ものにするのはそんなに難しいことではないからです。
「ンが」「ンぎ」「ンぐ」…と、前に「ン」をつけて発音するとほぼ鼻濁音になります。
初めはゆっくり、少しずつスピードを上げていき、ある程度できるようになったら、
「ン」をはずす…そんな練習を続けていけば必ずものにできます。

注意しなければいけないのは、あまり気にしすぎると、鼻濁音の“前後の音”まで
鼻にかかってしまうことです。文章全体が鼻声になって、聞きづらくなります。
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そうまでして鼻濁音を出すのはなぜか?
それは、“やわらかく”、“キレイに”、“滑らかに”聞こえるからです。
ベテラン、二葉百合子の鼻濁音は完璧でした。
「愛のままで」が大ヒットした秋元順子(今、どこに?)は、100点ではないものの、
かなりよく出ていたと思います。彼女の場合、声そのものがやわらかいですから、
より人の気持ちを惹きつける“音”になるのです。
この曲が聴く人の心を捉えたのは、彼女がていねいに歌いこんだからだけではなく、

♪ そう 生きてる限り ときめきをなげかけて
愛が愛のままで 終わるように 


…にある三つの“が”をきれいな鼻濁音にすることで彼女の歌はよりやわらかく、
深くなっていくのだと思います。

布施明もきれいな鼻濁音を出していた記憶があります。秋元と同様に、もともと
声の質もやわらかいですが、全体にほかの歌手に比べるとソフトに感じますね。

女性が歌った曲を徳永英明がカバーして大ヒットしました。
歌のうまさは定評がありますが、なぜ彼は鼻濁音を出さないで歌うのかがずっと
不思議に思っています。
普通の「ガ行音」は、あまりきれいな音ではありません。耳にひっかかる音です。
“だから”、先人は鼻濁音を考え出したのではないでしょうか。もし、彼がきちんと
鼻濁音を出して歌っていたら、もっと売れたのではないかと思います。少なくとも、
私はCDを買おうと思ったはずです。ハハハ。

彼ほどのボーカリストが鼻濁音を知らないはずはありませんから、出さないのは
それなりの理由があるのでしょう。その“わけ”を知りたいです。たしかなのは
出さなかったせいで1枚売り損ねたことですね。ハハハ。

もし、読者の中に、「お前は(君は)話し方が“がさつ”なんだよ」と言われたことが
ある人は、鼻濁音の習得を勧めます。印象が変わる可能性があります。
婚活中の女性が身につけたら、なにがしかの“効果”があるかもしれません。
もしあったら、必ず報告してください。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2013-02-03 08:09 | 岩佐徹的アナウンス論 | Comments(11)
Commented by ふぐ at 2013-02-03 16:16 x
岩佐さん、こんにちは。
私も鼻濁音の発音がとても気になります。

いつの頃からか、「ガ行」(鼻濁音じゃない方)を強調して歌うのがかっこいいという風潮が出てきたような気がします。耳ざわりだわーと思ったら、あっという間に話し言葉に定着してしまった。調べたら昔から全く使わない地域もあるというのを知って驚きました。
使わない人にとっては聞いても区別がつかないでしょうか?
衰退しつつあるようですが、ぜひ鼻濁音残ってほしいです。何といっても美しいですし。
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-03 16:55
ふぐサン、こんばんは。

知らない人にとっては鼻濁音はそもそも
存在しないのです。
Commented by reiko71 at 2013-02-03 23:43 x
うわ。。鼻濁音ですかー。懐かしい~
小・中と、学校の合唱隊にいるころ、指導の先生にこの鼻濁音のことを注意され、初めて知ったのでした。特に助詞の“が”とガラスの”ガ”とは違うのよ、とずいぶん直されましたっけ。。(遠い目。。)
最近では意識して聞いたりしゃべったりはしていませんが、ときに聞いててイラっときたりするするおしゃべりや声には、その声の強弱やなんとなく”耳心地”悪かったりするのも、潜在的に引っかかっているからなのかもしれませんね。。
かくいう自分も、ずいぶん上司や同僚男子(年齢はさまざま)にイラっとされてるかもしれず。。はははのは。。(^^;
素人ながら、少し言葉つきに気を使わないといかん年齢だわなー、と、遅ればせながら反省する今日この頃ざます。。

PS:徳永英明の鼻濁音じゃない歌は、敢えて男が歌うという意識とエッジを残そうとしたんですかねー。。ん~。。
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-04 12:25
reiko71サン、おはようございます。

その存在を知っている者にとっては、
”出せないプロ”は気になって仕方がありません。

徳永…エッジが効きすぎていて、彼の唄を聞くと
その部分ばかり気になります。ハハハ。
Commented by reiko_f at 2013-02-04 12:53 x
岩佐さん、こんにちは。
鼻濁音については、美智子妃のご成婚前の会見をきいた国語学者(?)が「鼻濁音になっていない」と苦言を呈したところ、次に公で話す機会には見事に直してきた、というエピソードを読んだ覚えがあります。
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-04 12:59
reiko_fさん、こんにちは。

そのエピソードは知りませんでした。
いかにも美智子様らしいですね。
確認の上、いつかどこかで使わせてもらいます。
ハハハ。
Commented by taroke at 2013-02-09 17:47 x
数日前の記事へのコメントで申し訳ありません。私は九州出身ですが、西日本では鼻濁音は日常会話ではあまり使われないので、むしろ鼻濁音が入るとそこだけ不自然に聞こえます。もちろんアナウンサーの方がさりげなく使ったりする分には全然気にならないのですが、最近NHKの9時のニュースのナレーションの女性の声、鼻濁音が凄く強くて、聞いててとても気になります。ブログの「グ」まできつめの鼻濁音で、もう気になって気になって。なので、鼻濁音=きれいな音、というわけではなく、要は程度問題かと。歌手の徳永さんも確か西日本の出身だったと思うのであまり鼻濁音に頓着されてないのかも。そもそも、私は鼻濁音ではない「が」の音がそんなに汚いとも感じないです。硬い、とは思いますが、歌手の方は表現方法として意識的にそれを使うこともあるのかもしれませんし。アナウンサー以外の人が鼻濁音でなくてもいいんじゃないかなと思うのですが、東日本の方が鼻濁音なしの「が」をがさつと感じるなら気をつけないといけないなあ。でも鼻濁音て下手な発音の人を見ると逆にこっけいに聞こえるのでなかなか自分で使う気はしません。(自分は使おうと思えば普通に使えます。)
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-09 20:00
tarokeさん、こんばんは。

NW9…最近見る機会が少ないのですが、
今、ビデオでチェックしてみました。
彼女の場合、鼻濁音は問題がないと思います。
読み方そのものにくせがありすぎる感じですね。
Commented by taroke at 2013-02-10 07:53 x
岩佐さん、わざわざ確認いただいてありがとうございます。なるほど、読み方含めての違和感だったのかもしれませんね。ところでブログ、のグを鼻濁音にしているのは問題ないのですか?私の知人の日本語教師は、外来語は昔からあるもの意外鼻濁しないと言ってましたが。(実際耳にしたらかなり違和感あったので。)
Commented by toruiwa2010 at 2013-02-10 08:34
tarokeサン、おはようございます。

ブログノ「グ」には、鼻濁音にする要素がありません。
外来語は原則的に鼻濁音にならないはずです。
song,king,youngなど、nの次にくるガ行音は
自然に鼻濁音ぽくなりますが。
Commented by taroke at 2013-02-10 23:06 x
ニュースウォッチのナレーションの女性はブログの「グ」に鼻濁音がっつりかけてましたのでそこは間違いということですね。でも最近他局の女子アナでもブログを鼻濁音で読んでる人を複数見かけています。あれは本当に気持ちが悪いです。
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