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岩佐徹のOFF-MIKE

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誰の中にも居る横道世之介~「…プレイブック」「草原の椅子」もgood~12/03/01

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どういうわけか、2月はたくさんの映画を見ました。28日間に14本!
「ヒンデンブルグ」以外は“はずれ”がありませんでした。
特に、この1週間で見た4本はすべて楽しめました。どの作品も
劇場を出るときに満足感がありました。珍しいです。
4本とも85点をつけましたが、「横道…」が頭一つ抜けています。


「よりよき人生」85

学生食堂で働く調理人のヤンがパリのレストランで“就活”をしている。
「何でも作れる」とアピールし、懸命にマネジャーに訴えるヤンだったが、答えは
どこに行っても同じ「non」だった。
マネジャーがウエイトレスの一人に食い下がるヤンを出口まで見送るように命じた。
ウエイトレスの名はナディア。レバノン出身のシングル・マザーだった。
店の前で短い会話を交わす間にヤンはナディアに好意を抱き、閉店後、飲みに行く
約束を取り付けた。

恋に落ちた2人は、ナディアの息子、スリマンと3人で出かけた湖畔の廃屋を見て
それを買い取ってレストランを経営することを計画する。ヤンの夢だった。
資金を作るための無理な借金はすぐに行き詰り、ヤンは窮地に陥った…
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小品ですが、楽しませてくれました。
たぶん、フランス人なら社会の仕組みについて感じるところもあるのでしょうが、
日本人の私には表面的なことしか分からないのが残念です。それでもこの映画が
温かい愛情にあふれたものだということは分かります。特に、ナディアの息子と
ヤンの間に流れる微妙な感情がうまく描かれていると思います。全編にわたって、
大胆に省略されていますが、流れはきちんと伝わります。監督の手腕でしょう。

次から次にトラブルが襲いかかりますが、能天気に生きているように見えるヤンが
独特の逞しさでピンチを潜り抜けていきます。途中からは「間違いなく この映画は
ハッピーエンドを迎えるな」と観客に思わせてくれます。作り方としてどうなの?
という問題はありますが。ハハハ。


「世界にひとつのプレイブック」 85

ボルチモアの精神病院の一室でセリフのように独り言を言い続けている男がいた。
妻の浮気現場を見たことで心のバランスを失って入院しているパットだ。
部屋のドアがノックされ、看護師が「薬の時間だ」と告げた。
ドクターと看護師の前でカプセルを口に含み水で流し込む。たしかに飲んだことを
示すために大きく口を開けて見せる。
OKが出て病室に戻るパットは歩きながらペッとカプセルを廊下に吐き出した。

8ヶ月後、退院の許可が下り、パットがフィラデルフィアの両親の家に戻った。
妻・ニッキの姿はない。それどころか、彼女の浮気相手に暴力をふるった彼には
“接近禁止命令”が出ていた。

相変わらずドクターの指示を守らず、社会復帰のためには体をきたえることだと
ランニングに励むパットは、ある日、友人夫婦に招待された食事の席で友人の義妹、
ステファニーに出会う。彼女も、事故で夫を失い、会社もクビになったばかりで
精神状態が不安定だった…
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実によくできた作品だと思います。
ともに精神のバランスを崩して苦しむ男女が出会うところから始まる物語ですが、
まったく暗さを感じさせません。この題材で観客を笑わせようとすれば、とかく
あざとくなるものですが、不快な思いをすることは一切ありません。
爆笑することは少ないですが、登場人物のせりふやしぐさに場内はくすくす笑いが
絶えませんでした。字幕頼りでも脚本が素晴らしいことが分かります。

…なんですが、調べてみると、アカデミー賞8部門でノミネートされていたのに、
なんと脚本賞だけは候補になっていないんですね。トホホ。
結果として、主演女優のジェニファー・ローレンスがオスカーを獲っただけですが、
男女の主演・助演全4部門でのノミネートはすごい!

それにしても、この邦題は何とかならなかったのかなあ。


「横道世之介」85

長崎の海辺の町で生まれ育った世之介が法政大学に入学するために上京したのは
1980年代半ばだった。バブル真っ盛りのころだ。
人がよくて、何を頼まれてもイヤと言えない性格の彼に誰もが気軽に声をかける。
ときには利用されることもあるが、彼はまったく気にしない。
長崎とは違うペースに戸惑いながらマイペースで東京の生活を楽しんでいるうちに
ガールフレンドができた。大金持ちのお嬢様だった…
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いやいや、よかった。
見たあと、なんだか幸せな気分になりました。初めは見るつもりはなかったのです。
どうせ、若い人にしか分からないタイプの青春映画だろうと思ったからです。
気が変わってよかったです。ハハハ。

なんといっても、世之介のキャラクターがいいですね。社交的とは言えないものの、
来る者は拒まず、敵を作らず、いい距離感で誰とでも付き合い、周囲を幸せにする…
そんな“気のいい”青年です。私とは正反対の性格ですが、ちょっと考えてみると、
誰の中にも似たような要素はあるのだという気もします。だからこの映画が共感を
得るのだと思います。見れば、きっと、中学や高校時代の同級生の何人かの顔が
頭に浮かぶことでしょう。

主役の高良が好演しているのはもちろん、恋人役の吉高由里子をはじめ、綾野剛、
柄本佑、池松壮亮がそれぞれ持ち味を見せてくれます。ほかに、アパートの住人・
江口のり子、吉高の家のお手伝いさん・広岡由里子がごく短い出番の中で強烈な
印象を残すところも見落とさないでください。“強烈”だから見落としませんが。
ハハハ。

2時間40分…あそこで15秒、ここで10秒、間違いなく切れるよねという箇所が
至るところにあるのは確かですが、監督は“ゆったり”と作りたかったのでしょう。
主人公の穏やかな性格を投影する形になりました。見事です。
必要以上にごちゃごちゃしていない、優れた青春映画として推薦します。


「草原の椅子」85

パキスタン。
雪を戴く7000メートル級の山、ウルタルのふもとの村、フンザで4人の日本人が
軽い食事をとっている。カメラ・メーカーの営業局次長、遠間憲太郎(佐藤浩市)と
取引先の社長、富樫繁蔵(西村正行)、陶磁器の店の店主、篠原貴志子(吉瀬美智子)、
幼い少年は事情があって憲太郎があずかっている子供だった…
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遠間はエリート街道を歩んでいるように見え、富樫も堅い商売をしているようです。
しかし、実際はそれぞれに悩みを抱えていました。こぎれいな店を営む貴志子も
同じです。最後の桃源郷といわれるフンザへの旅はそれぞれが“考える”ための
ものでした。どう生きるべきだったかを。

エピソードはいずれもどこにでもありそうなものばかりですが、一つの物語として
うまくまとめられています。
佐藤と西村がいい演技を見せています。吉瀬については、ニベアのCMのころから
いい雰囲気だなあと思っていましたが、演技は下手というのが私の中の評価でした。
しかし、TBS「ぴったんこカンカン」に出ているのを見て、性格がよさそうだと
知ってからは見る目が変りました。この映画でも、彼女独特の美しさが出ているし、
演技も“がんばって”います。まだまだだけど。ハハハ。

少年の実の母親役を演じた小池栄子が“鬼気迫る”芝居を見せています。
バラエティのひな壇タレントからいい女優になりましたね。

85 よりよき人生 優れた小品に出会うと幸せを感じる そんな一本
85 世界にひとつのプレイブック 全編に流れる軽いユーモアが心地いい
85 横道世之介 こんな青年がいるか?とも思うが誰の中にも居そうな気もする  
85 草原の椅子 自分の生き方はこれでよかったのだろうか? フンザへの旅

お願い
去年9月の「最強のふたり」以降、Yahooの映画レビューに
ほぼ同じ内容で投稿しています。
Gooの方はさっぱりでしたが、こちらでは手ごたえを感じます。
よろしかったらhttp://goo.gl/TYDf5 を訪れて“役に立ちましたか?”
ボタンをクリックしてください。レビューにハクがつきます。

ちなみに“こんなレビュー、くだらん”ボタンはありません。ハハハ。

by toruiwa2010 | 2013-03-01 08:25 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by しょう at 2013-03-01 18:40 x
岩佐さん、こんばんは。
洋画の邦題ですが、本当になんとかして欲しいと思います。
タイトルは映画の『顔』なのに安直すぎやしませんか?
例えばひとつの映画がヒットすると、それに倣った邦題を付ける。
最近では「最高の〜の〜方」「○○才の△△男」「○○男の△△」
少し前では「愛と○○の△△」なんてのもありましたね。
挙げればキリがありません。

中には秀逸なのもあります。
しかし、映画の内容とかけ離れているものも多いです。
鑑賞し始めて「こんな内容?あのタイトルで?」
と思う事が多々あります(笑)
逆に邦題が酷くて、見逃しているいい作品もたくさんありそうです。
Commented by toruiwa2010 at 2013-03-01 19:21
しょうサン、こんばんは。

邦題が酷くて、見逃しているいい作品もたくさんありそうです・・・

騙されることも多いですね。私もしばしば。ハハハ。
酷かったのは「思秋期」でした。
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